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夢のようなひととき※
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日ごと、レンのスイに対する想いと欲望は渦巻いていった。
スイはレンの要望を嫌な顔一つすることもなく、むしろ至福の喜びとでも言わんばかりに微笑んで受け入れた。
「どうか、遠慮などなさらないでください」
レンはローブを脱ぎ捨て、ベッドに横たわる。スイはローブを着用しているものの、その手には香油が垂らされていた。
いつものように、マッサージの時間がはじまった。
布地が取り払われただけで、こうも感覚が変わるのかとレンは喜びに震えていた。香油の甘い香りが、鼻をくすぐる。滑らかな肌をすべるスイの指先もまた、わずかな熱を帯びているような気がした。
「こっちのほうが、いいや」
思わずこぼれ出た言葉に、スイは目を細める。
しばらくすると、触れられた場所が強い熱を持ちはじめる。全身が火照るくらいの、強い熱が。
「スイ、今日は、ここまででいいよ」
吐息交じりに、レンはもぞもぞと脚を動かした。
その様子を見てスイもまた何かを察したのか、静かに呼吸を整えてからいつもの落ち付いた声で返事をした。
「かしこまりました。では、香油を拭き取りましょうか?」
「ううん、自分でやるからいいよ」
「……それでは、湯浴みの準備をいたしましょう」
「うん、よろしく」
熱の余韻をその身に残したまま、レンはぼんやりとした頭の中で下半身に集まってしまったこの熱をどうしようかと考えていた。
***
ある日の夜、ベッドに横たわるレンの隣にスイが座り、しなやかな手つきでレンの髪を撫でていた。
この施設に来てから、二回ほどスイが散髪をした髪だ。
指先の感触が髪の毛の一本一本を伝わり、耳元で低く囁く声はまるで甘い魔法のようにレンの胸の奥に広がった。
「……安心なさってください。あなたさまはこの場所で、ただのレンとして自由に過ごす権利があるのですよ」
レンは静かに目を閉じ、心の中で深く息をつく。
現世で抱えていた苛立ち、孤独、すべてが溶けていくようだった。スイの温もりは、体だけでなく心の奥底にまで届くのだと、改めて実感していた。
そして、レンはスイへ抱く想いを自覚していく。
最初はただの安らぎだったものが、やがて淡い恋心へと変わっていった。スイの優しさ、指先の温もり、見つめる視線の柔らかさ。それはまるで恋人同士であるかのように、甘い雰囲気を醸し出していた。
「俺、勘違いしてもいいのかな」
「不安に思うことは、なにひとつとしてありません」
「スイのことが、好きだ。好きなんだ」
その言葉を口にした瞬間、レンの身はあたたかな光に包まれた。
思わず目を開けると、スイがレンの手を取って微笑んでいた。
「ありがたき幸せにございます」
それは、いつも目にする美しい笑みではなかった。
どこか人間らしさを含んだような、それでいて切なく、あまりにも愛おしい笑顔だった。
レンは起き上がり、思わずスイの身を強く抱きしめた。そのあたたかさに、なぜだか心が震えた。
形のいい唇にそっと自らの唇を押し当てると、レンはこの上もない喜びに包まれた。いつもスイが口にしている言葉の意味が、やっと理解できたような気がした。
スイはいつでも、レンのことを想っていたのだ。
***
「レン様、すべて私にお任せください」
甘い囁きに、レンはただゆっくりと頷いた。
ローブを取り去ったスイの肉体もまた、芸術作品であるかのように美しかった。白くしなやかではあるものの、程よくついた筋肉が自らと同じ男であるのだということをレンに意識させた。
思わず目を逸らすと、スイはレンの頬を静かに撫でる。
「恐れることは、何もありません。どうか、私だけを見つめていてください」
さらさらと、金の髪が流れ落ちる。沈むベッドの上で、レンはスイに向かって両の手を伸ばした。
「……スイしか、見えないよ」
レンの望み通り、いや、それ以上にスイはレンを優しく抱いた。
高鳴る胸に、その想いを隠せなかった。言葉など必要もないほどに、二人は何度も唇を重ねた。スイの指先が肌に触れるたびに、レンは体の奥の緊張が甘くほどけていくのを感じていた。
「スイ、もっと」
それと同時に、体の奥が激しく熱くなっていくのを感じた。
「レン様」
互いの肌の温もり、耳元で囁かれる声、静かな吐息、すべてが甘く美しかった。
スイもまた、レンの反応を目にしながらさりげなく微笑んだ。決して急かすこともなく、ゆるやかにその指で、唇で、時折薄い舌を覗かせながらその想いを伝えていた。
スイのしなやかな手がレンの下半身へと移動するころには、レンは息も絶え絶えに顔を赤くしていた。
その様子を目にしたスイは、わずかに眉を寄せてレンを見つめた。
「今日は、ここまでにいたしましょうか?」
その言葉に、レンは力強く首を横に振る。
なおもレンを気遣うことのできる余裕があるスイに反して、レンはこれまで以上の快楽と刺激に、思考が追い付かなくなっていた。
「やめないで。……久々だからさ、その、いろいろと追いつかなくて」
スイは控え目な笑みを浮かべながら、レンの頬に唇を寄せた。
「かしこまりました。ですが、このままではレン様の胸の鼓動が乱れてしまいます。穏やかなものになるよう、こちらに触れてもよろしいでしょうか?」
こちら、の意味もわからぬままレンは何度も頷いた。
スイと会話をするこの時間さえも、レンには惜しかったのだ。
そして次の瞬間、レンの熱はあたたかなものに包まれる。
思わず目を下に向けると、そこには信じられない光景が広がっていた。
「えっ、ちょっと……!スイ?」
これまで通り涼しげな顔をしたスイが、レンの熱をその形のいい口に含んでいたのだ。
すぐにでも辞めさせようとレンは力を振り絞るものの、スイの熱い舌が与える刺激に勝つことはできなかった。レンは呆気なく精を放ち、スイはにこやかな笑みを浮かべながらそれを飲み干した。
「そんなことまでしなくても……」
「少しは、落ち着きましたでしょう?」
スイによって多少は熱を放つことができたおかげか、レンは落ち着きを取り戻していた。
レンの額に滲む汗をタオルで拭い、スイはそっと口づけた。
その甘さに、レンは何も言い返すことができなかった。
再び指を絡ませて、スイはレンの目を見つめた。
「レン様、」
その声を合図に、レンはスイの金色の瞳を見つめ返した。そこには優しさと共に、わずかな欲望の色が浮かんでいた。
「スイ」
その名前を、レンは何度も口にした。
スイの熱もまた、レンに劣らず強い想いを秘めていた。
しかし不思議なことに、レンはその想いをすんなりと受け入れていた。まるでこれが初めてではないかのように、その熱はレンの中によく馴染んだ。
スイは静かに息を吐きながら、しかし確実にレンの心地良い場所を探り当てる。そのたびに、レンは思わず声をあげてしまう。羞恥からか、レンが歯を強く食いしばる。
そのたびに、スイは舌を入れ込んでこう囁いた。
「もっと、聞かせてください」
次々とその身に降りかかる甘い刺激に、レンは抗うことができなかった。
気づけば強くスイを抱き寄せて、何度も悦びに声をあげていた。
「もっと、もっとほしい……」
「かしこまりました」
金色の髪が、まるで救いの光であるかのようにまばゆく揺らめいていた。
その身の奥底で何度も吐き出される熱を感じながら、レンは幸せというものを噛みしめていた。
スイはレンの要望を嫌な顔一つすることもなく、むしろ至福の喜びとでも言わんばかりに微笑んで受け入れた。
「どうか、遠慮などなさらないでください」
レンはローブを脱ぎ捨て、ベッドに横たわる。スイはローブを着用しているものの、その手には香油が垂らされていた。
いつものように、マッサージの時間がはじまった。
布地が取り払われただけで、こうも感覚が変わるのかとレンは喜びに震えていた。香油の甘い香りが、鼻をくすぐる。滑らかな肌をすべるスイの指先もまた、わずかな熱を帯びているような気がした。
「こっちのほうが、いいや」
思わずこぼれ出た言葉に、スイは目を細める。
しばらくすると、触れられた場所が強い熱を持ちはじめる。全身が火照るくらいの、強い熱が。
「スイ、今日は、ここまででいいよ」
吐息交じりに、レンはもぞもぞと脚を動かした。
その様子を見てスイもまた何かを察したのか、静かに呼吸を整えてからいつもの落ち付いた声で返事をした。
「かしこまりました。では、香油を拭き取りましょうか?」
「ううん、自分でやるからいいよ」
「……それでは、湯浴みの準備をいたしましょう」
「うん、よろしく」
熱の余韻をその身に残したまま、レンはぼんやりとした頭の中で下半身に集まってしまったこの熱をどうしようかと考えていた。
***
ある日の夜、ベッドに横たわるレンの隣にスイが座り、しなやかな手つきでレンの髪を撫でていた。
この施設に来てから、二回ほどスイが散髪をした髪だ。
指先の感触が髪の毛の一本一本を伝わり、耳元で低く囁く声はまるで甘い魔法のようにレンの胸の奥に広がった。
「……安心なさってください。あなたさまはこの場所で、ただのレンとして自由に過ごす権利があるのですよ」
レンは静かに目を閉じ、心の中で深く息をつく。
現世で抱えていた苛立ち、孤独、すべてが溶けていくようだった。スイの温もりは、体だけでなく心の奥底にまで届くのだと、改めて実感していた。
そして、レンはスイへ抱く想いを自覚していく。
最初はただの安らぎだったものが、やがて淡い恋心へと変わっていった。スイの優しさ、指先の温もり、見つめる視線の柔らかさ。それはまるで恋人同士であるかのように、甘い雰囲気を醸し出していた。
「俺、勘違いしてもいいのかな」
「不安に思うことは、なにひとつとしてありません」
「スイのことが、好きだ。好きなんだ」
その言葉を口にした瞬間、レンの身はあたたかな光に包まれた。
思わず目を開けると、スイがレンの手を取って微笑んでいた。
「ありがたき幸せにございます」
それは、いつも目にする美しい笑みではなかった。
どこか人間らしさを含んだような、それでいて切なく、あまりにも愛おしい笑顔だった。
レンは起き上がり、思わずスイの身を強く抱きしめた。そのあたたかさに、なぜだか心が震えた。
形のいい唇にそっと自らの唇を押し当てると、レンはこの上もない喜びに包まれた。いつもスイが口にしている言葉の意味が、やっと理解できたような気がした。
スイはいつでも、レンのことを想っていたのだ。
***
「レン様、すべて私にお任せください」
甘い囁きに、レンはただゆっくりと頷いた。
ローブを取り去ったスイの肉体もまた、芸術作品であるかのように美しかった。白くしなやかではあるものの、程よくついた筋肉が自らと同じ男であるのだということをレンに意識させた。
思わず目を逸らすと、スイはレンの頬を静かに撫でる。
「恐れることは、何もありません。どうか、私だけを見つめていてください」
さらさらと、金の髪が流れ落ちる。沈むベッドの上で、レンはスイに向かって両の手を伸ばした。
「……スイしか、見えないよ」
レンの望み通り、いや、それ以上にスイはレンを優しく抱いた。
高鳴る胸に、その想いを隠せなかった。言葉など必要もないほどに、二人は何度も唇を重ねた。スイの指先が肌に触れるたびに、レンは体の奥の緊張が甘くほどけていくのを感じていた。
「スイ、もっと」
それと同時に、体の奥が激しく熱くなっていくのを感じた。
「レン様」
互いの肌の温もり、耳元で囁かれる声、静かな吐息、すべてが甘く美しかった。
スイもまた、レンの反応を目にしながらさりげなく微笑んだ。決して急かすこともなく、ゆるやかにその指で、唇で、時折薄い舌を覗かせながらその想いを伝えていた。
スイのしなやかな手がレンの下半身へと移動するころには、レンは息も絶え絶えに顔を赤くしていた。
その様子を目にしたスイは、わずかに眉を寄せてレンを見つめた。
「今日は、ここまでにいたしましょうか?」
その言葉に、レンは力強く首を横に振る。
なおもレンを気遣うことのできる余裕があるスイに反して、レンはこれまで以上の快楽と刺激に、思考が追い付かなくなっていた。
「やめないで。……久々だからさ、その、いろいろと追いつかなくて」
スイは控え目な笑みを浮かべながら、レンの頬に唇を寄せた。
「かしこまりました。ですが、このままではレン様の胸の鼓動が乱れてしまいます。穏やかなものになるよう、こちらに触れてもよろしいでしょうか?」
こちら、の意味もわからぬままレンは何度も頷いた。
スイと会話をするこの時間さえも、レンには惜しかったのだ。
そして次の瞬間、レンの熱はあたたかなものに包まれる。
思わず目を下に向けると、そこには信じられない光景が広がっていた。
「えっ、ちょっと……!スイ?」
これまで通り涼しげな顔をしたスイが、レンの熱をその形のいい口に含んでいたのだ。
すぐにでも辞めさせようとレンは力を振り絞るものの、スイの熱い舌が与える刺激に勝つことはできなかった。レンは呆気なく精を放ち、スイはにこやかな笑みを浮かべながらそれを飲み干した。
「そんなことまでしなくても……」
「少しは、落ち着きましたでしょう?」
スイによって多少は熱を放つことができたおかげか、レンは落ち着きを取り戻していた。
レンの額に滲む汗をタオルで拭い、スイはそっと口づけた。
その甘さに、レンは何も言い返すことができなかった。
再び指を絡ませて、スイはレンの目を見つめた。
「レン様、」
その声を合図に、レンはスイの金色の瞳を見つめ返した。そこには優しさと共に、わずかな欲望の色が浮かんでいた。
「スイ」
その名前を、レンは何度も口にした。
スイの熱もまた、レンに劣らず強い想いを秘めていた。
しかし不思議なことに、レンはその想いをすんなりと受け入れていた。まるでこれが初めてではないかのように、その熱はレンの中によく馴染んだ。
スイは静かに息を吐きながら、しかし確実にレンの心地良い場所を探り当てる。そのたびに、レンは思わず声をあげてしまう。羞恥からか、レンが歯を強く食いしばる。
そのたびに、スイは舌を入れ込んでこう囁いた。
「もっと、聞かせてください」
次々とその身に降りかかる甘い刺激に、レンは抗うことができなかった。
気づけば強くスイを抱き寄せて、何度も悦びに声をあげていた。
「もっと、もっとほしい……」
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