野人転生

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第06話 樹皮の鍋

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 翌朝、石をぶつけて石器を作り、木の皮を剥ぐ。水を沸騰させるための鍋を作るためだ。意外なことに、水分を含んだ生木は燃えづらい。

 また、お湯を沸かす用途なら水の沸点は100度を超えないため、鍋が燃える可能性はかなり低くなる。

 水分を沸騰させる用途なら、木製の鍋でも火にかけても平気だ。

 サバイバル知識としては知っていたし、修学旅行で行ったアイヌ資料館では、立派に加工された樹皮を使った鍋が展示されていた。

 知識があり、現物を見ている。加工技術は未熟でノウハウもないが、作れないことはないと思う。立派なものは作れなくとも、飲料水用の水を煮沸する用の鍋ぐらいなら作れるはずだ。

 ただ、毒を持っている木もあるので、少しだけ飲んで様子を見る必要がある。

 喉は乾いているし、川は一見綺麗そうだ。

 そのままがぶ飲みしたい衝動に駆られるが、なんとか我慢する。
 
 四苦八苦しながら鍋を作り、焚き火の周りに石を組んで小さなカマドを作る。水をこぼさないように気をつけながら、なんとか鍋を火にかけることができた。


 樹皮の鍋を使って沸騰させた水を少し口に含んで思った。オーガニック臭せぇ。口から鼻に抜ける匂いがあまりにも強烈で、思わずえずいてしまった。

 雨上がりの森の匂いを10倍に濃縮したような、強烈な香りがする。しばらく使っていけば匂いは薄れるだろうが、これはキツイ。

 あまりの匂いに不安になりながら口に含んだ水を飲み込んだ。体感で時間が経っても、体調に変化は現れない。強烈な臭いとは裏腹に、人体に害はなさそうだ。

 体は水分を欲している。たとえ臭かろうが、安全な水分であることには変わらない。俺は涙目になりながら、臭いオーガニック汁を飲み干した。


 その後、現在位置を確認するため高い木に登った。慎重に登り続け、周囲を見渡せる高さへ到達する。

 水場を探したときも高い木に登ったが、あのときは川の発見に注力していた。

 サバイバルは初動が大切なため、水源の発見に集中していた。そのせいで、周囲をしっかり見渡す余裕がなかったのだ。

 改めてしっかりと周囲を見渡す。残念ながら、道や建物などの人工物は見当たらない。

 絶望的なぐらい、ひたすら森だった。森から抜けるのに、どのくらいの時間が掛かるだろうか……。

 森を抜けるには、日持ちする食料を多く確保する必要がある。周囲の果実をドライフルーツにするだけじゃ足りないかもしれない。

 罠などで動物を狩り、肉を確保せねば。生息しているかわからないが、鹿や猪を仕留めることができればかなりの量の肉が手に入る。

 燻製などにすれば、保存食にもなる。肉を保存食にすることができれば、安定してタンパク質が摂取できる訳だ。

 考えたくもないが、冬が存在する可能性もある。

 冬は食料の確保が困難になるため、備蓄が必要になる。異世界で餓死なんてまっぴら御免ごめんだ。

 食料確保のため、本格的に狩りを始めることにした。
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