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第07話 ゲギャゲギャ
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狩りを始めてから数日たった今日、はじめてモンスターに遭遇した。
動物を捕まえるためのシンプルな罠を設置し、木の上で待ち構えていたところにモンスターがやってきたのだ。
「ゲギャゲギャ」
「ギャガギャゲギャギャ」
「ゲギャギャ」
皆さんお馴染みのモンスター、ゴブリンさんと初遭遇である。
うわー、本当にゲギャゲギャって言うんだ。やばい、テンションが上がる。
そう思っていたが、ゴブリンの手にぐちゃぐちゃになった小動物の死体が握られていた。
それを見た瞬間、スッと俺の中でスイッチが切り替わる。
獲物を捕らえるための傷じゃない。
明らかにいたぶり殺した痕だった。
同じ人型の生物だが、わかり合える存在ではないことを心の底から理解した瞬間だった。
ゴブリンたちは、俺の仕掛けた罠の近くへと歩いく。
もうすでにゴブリンたちは異世界で初めて会った知性ある生き物ではなく、駆除する対象として考えている。
こっちは一人。向こうは三体。平和的なコンタクトを……なんて温いことを感がえていたら生き残れない。
あの、やる気のない神様はレベルがある世界だと言っていた。
この接触をポジティブに考えよう。経験値を稼ぐチャンスだ。
俺はゴブリンが罠に掛かるのをジッと待った。すると、罠の付近でゴブリンがスンスンと鼻を鳴らす。
そして、俺の仕掛けた落とし穴などの罠をあっさり見破った。
そうか、匂いを消さないと駄目なのか……。俺は自分の失敗に気付き落ち込んでいた。
すると、ゴブリンたちが罠を指差し大爆笑している。まるで間抜けな奴だな、とでも言わんばかりだ。
ゴブに馬鹿にされて俺は顔真っ赤である。
気が付くと俺は怒りと共に木から飛び降り、ゴブリンの頭に杖代わりにしていた木の棒を叩き付けていた。
木の上に俺が潜んでいることに気付いていなかったようで、ゴブリンたちは驚いたまま固まっている。
木の棒を叩き付けたとき、確かな手ごたえを感じた。
頭を殴られたゴブリンは、糸が切れた操り人形のようにばたっと倒れる。
しかし、力いっぱい叩き付けたせいで木の棒が折れてしまった。
武器は失ったが、俺には空手がある。磨いた技術はゴブリンでも通用するはずだ。
冷静に周囲を見回し、敵の戦力を確認する。ゴブリンは三体、一体倒れて残り二体。
俺は突然の出来事に驚き固まっているゴブリンの喉めがけて、上足底を突き刺すように前蹴りを放った。
ぐちゃっと喉がつぶれる感触と共にゴブリンが倒れる。
残り一体のゴブリンは漸《ようや》く事態に気付く。突然現れた襲撃者である俺に敵意をむき出しにして、うなり声を上げながら粗末な棍棒で殴りかかってきた。
大振りの軌道丸分かりの攻撃だ。俺は冷静に横に避け、がら空きの顔面に正拳突きを放つ。
「せい!」
気合と共に放たれた正拳突きはゴブリンの人中にヒットし、ゴブリンが吹き飛んだ。右手に残る確かな手ごたえ。俺はゴブリンの大ダメージを確信する。
しかし、ゴブリンはふら付きながらも起き上がってきた。そうか、急所が人体とは違うんだ。
俺は自分のミスに気付き舌打ちをした。
ふら付きながらも狂ったように棍棒を振り回すゴブリン。最初の攻撃は動揺したままだったこともあるのだろう、回避しやすかった。
しかし、今は手負いのゴブである。死に物狂いで繰り出す攻撃は、ゴブリンとはいえ脅威だった。下手に綺麗な攻撃より、こういう荒い攻撃の方が避けにくい。
しばらく回避に集中することにした。攻撃に目が慣れ、攻撃も鈍ってきた。ゴブリンのスタミナが切れたようだ。
わざと隙を作り、攻撃を誘う。スタミナが切れたゴブリンは、罠とも知らずチャンスに飛びついた。
疲れてキレの無い攻撃に後の先を合わせるのは簡単だ。
上から振り下ろした棍棒が空振りになり、隙だらけのゴブリンの延髄に手刀を叩き落とした。
「えいしゃあああ」
気合と共に放たれた手刀はゴブリンの延髄にめり込み、ゴブリンの体がブルリと震えて動きが止まった。
俺はダメ押しとばかりに、ゴブリンの脳天に肘を縦方向に落とし突き刺した。
「せりゃあああ」
ぐしゃりと何かが潰れるような音の後、ゴブリンの鼻からドロリとした粘着性の液体が流れ、そのままバタリと倒れ動かなくなった。
俺は油断すること無く他のゴブリンにも目を配る。
最初に木の棒で殴ったゴブリンは頭から血を流して死んでいた。割れた頭からは大量の血液が流れ出し、ゴブリンは血の海に沈んでいる。
二体目のゴブリンはまだ息があった。喉が潰れて呼吸ができないのか、苦しそうにもがいている。俺は二体目に近づくと頭を踵で踏みつけ止めを刺した。
俺は三体のゴブリン全員を視界に入れられる位置まで下がり、今の騒ぎで他のモンスターや動物が来ていないか気配を探る。
足音も気配もないと判断し、ゴブリンも動かないことを確認してから漸《ようや》くふぅと息を吐いた。
ゴブリンの強さも確認しないまま、ついカッとなってやってしまった。今は後悔している。
物語によってはゴブリンはそこそこ強いという作品も多かった気がする。勢いでやってしまったが危険な行為だった。猛省しよう。
ゴブリンたちの死体をあさり戦利品を確認したが、粗末な棍棒のみである。
どうなってんだよ、普通は冒険者から奪った錆びたナイフとかあるだろ。
というか腰蓑すら付けてないのかよ。こいつら丸出しじゃねぇか! こんな奴らに馬鹿にされたのか、なんていうか心に刺さるわ~。
動物を捕まえるためのシンプルな罠を設置し、木の上で待ち構えていたところにモンスターがやってきたのだ。
「ゲギャゲギャ」
「ギャガギャゲギャギャ」
「ゲギャギャ」
皆さんお馴染みのモンスター、ゴブリンさんと初遭遇である。
うわー、本当にゲギャゲギャって言うんだ。やばい、テンションが上がる。
そう思っていたが、ゴブリンの手にぐちゃぐちゃになった小動物の死体が握られていた。
それを見た瞬間、スッと俺の中でスイッチが切り替わる。
獲物を捕らえるための傷じゃない。
明らかにいたぶり殺した痕だった。
同じ人型の生物だが、わかり合える存在ではないことを心の底から理解した瞬間だった。
ゴブリンたちは、俺の仕掛けた罠の近くへと歩いく。
もうすでにゴブリンたちは異世界で初めて会った知性ある生き物ではなく、駆除する対象として考えている。
こっちは一人。向こうは三体。平和的なコンタクトを……なんて温いことを感がえていたら生き残れない。
あの、やる気のない神様はレベルがある世界だと言っていた。
この接触をポジティブに考えよう。経験値を稼ぐチャンスだ。
俺はゴブリンが罠に掛かるのをジッと待った。すると、罠の付近でゴブリンがスンスンと鼻を鳴らす。
そして、俺の仕掛けた落とし穴などの罠をあっさり見破った。
そうか、匂いを消さないと駄目なのか……。俺は自分の失敗に気付き落ち込んでいた。
すると、ゴブリンたちが罠を指差し大爆笑している。まるで間抜けな奴だな、とでも言わんばかりだ。
ゴブに馬鹿にされて俺は顔真っ赤である。
気が付くと俺は怒りと共に木から飛び降り、ゴブリンの頭に杖代わりにしていた木の棒を叩き付けていた。
木の上に俺が潜んでいることに気付いていなかったようで、ゴブリンたちは驚いたまま固まっている。
木の棒を叩き付けたとき、確かな手ごたえを感じた。
頭を殴られたゴブリンは、糸が切れた操り人形のようにばたっと倒れる。
しかし、力いっぱい叩き付けたせいで木の棒が折れてしまった。
武器は失ったが、俺には空手がある。磨いた技術はゴブリンでも通用するはずだ。
冷静に周囲を見回し、敵の戦力を確認する。ゴブリンは三体、一体倒れて残り二体。
俺は突然の出来事に驚き固まっているゴブリンの喉めがけて、上足底を突き刺すように前蹴りを放った。
ぐちゃっと喉がつぶれる感触と共にゴブリンが倒れる。
残り一体のゴブリンは漸《ようや》く事態に気付く。突然現れた襲撃者である俺に敵意をむき出しにして、うなり声を上げながら粗末な棍棒で殴りかかってきた。
大振りの軌道丸分かりの攻撃だ。俺は冷静に横に避け、がら空きの顔面に正拳突きを放つ。
「せい!」
気合と共に放たれた正拳突きはゴブリンの人中にヒットし、ゴブリンが吹き飛んだ。右手に残る確かな手ごたえ。俺はゴブリンの大ダメージを確信する。
しかし、ゴブリンはふら付きながらも起き上がってきた。そうか、急所が人体とは違うんだ。
俺は自分のミスに気付き舌打ちをした。
ふら付きながらも狂ったように棍棒を振り回すゴブリン。最初の攻撃は動揺したままだったこともあるのだろう、回避しやすかった。
しかし、今は手負いのゴブである。死に物狂いで繰り出す攻撃は、ゴブリンとはいえ脅威だった。下手に綺麗な攻撃より、こういう荒い攻撃の方が避けにくい。
しばらく回避に集中することにした。攻撃に目が慣れ、攻撃も鈍ってきた。ゴブリンのスタミナが切れたようだ。
わざと隙を作り、攻撃を誘う。スタミナが切れたゴブリンは、罠とも知らずチャンスに飛びついた。
疲れてキレの無い攻撃に後の先を合わせるのは簡単だ。
上から振り下ろした棍棒が空振りになり、隙だらけのゴブリンの延髄に手刀を叩き落とした。
「えいしゃあああ」
気合と共に放たれた手刀はゴブリンの延髄にめり込み、ゴブリンの体がブルリと震えて動きが止まった。
俺はダメ押しとばかりに、ゴブリンの脳天に肘を縦方向に落とし突き刺した。
「せりゃあああ」
ぐしゃりと何かが潰れるような音の後、ゴブリンの鼻からドロリとした粘着性の液体が流れ、そのままバタリと倒れ動かなくなった。
俺は油断すること無く他のゴブリンにも目を配る。
最初に木の棒で殴ったゴブリンは頭から血を流して死んでいた。割れた頭からは大量の血液が流れ出し、ゴブリンは血の海に沈んでいる。
二体目のゴブリンはまだ息があった。喉が潰れて呼吸ができないのか、苦しそうにもがいている。俺は二体目に近づくと頭を踵で踏みつけ止めを刺した。
俺は三体のゴブリン全員を視界に入れられる位置まで下がり、今の騒ぎで他のモンスターや動物が来ていないか気配を探る。
足音も気配もないと判断し、ゴブリンも動かないことを確認してから漸《ようや》くふぅと息を吐いた。
ゴブリンの強さも確認しないまま、ついカッとなってやってしまった。今は後悔している。
物語によってはゴブリンはそこそこ強いという作品も多かった気がする。勢いでやってしまったが危険な行為だった。猛省しよう。
ゴブリンたちの死体をあさり戦利品を確認したが、粗末な棍棒のみである。
どうなってんだよ、普通は冒険者から奪った錆びたナイフとかあるだろ。
というか腰蓑すら付けてないのかよ。こいつら丸出しじゃねぇか! こんな奴らに馬鹿にされたのか、なんていうか心に刺さるわ~。
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