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最終試験
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ダジリン島に隣接した更に小さな小島。
そこに【エターナルアザー】のアジト【トランス城】がそこにひっそりと佇んでいた。
そのトランス城の最上階に長の部屋はある。
雲一つない満月の夜。
闇夜に昴が瞬き、涼し気な風がとても気持ち良かったのを今でも鮮明に覚えている。
そんな中、まるで闇夜にかかる光のカーテンのような月光を頼りに私は回廊を静かに歩いて行く。
最上階の長の部屋のドアを静かにノックし、長の「入りなさい」という優し気な声を聞き、安心して私は部屋に入る。
その部屋は月明かりが綺麗に当たる場所だった。
更には紫色に光る硝子細工のランプが明々と不思議な光を放っていた。
そのランプはなんでも長が手に入れた、お気に入りのマジックアイテムらしい。
それらの光を浴び、長は真紅の玉座にスラリとした長い脚を組み座り静かに佇んでいた。
身にまとったブルーの燕尾服からも体のラインが分るくらいに引き締まった長身、真っ白いまるで彫像のような肌に、整った端正な顔。
金髪のミディアムヘアが空いた窓のそよ風を受け、まるで金糸のようにふわりとなびくのはとても様になっている。
「調子はどうだいレイシャ?」
まるでルビーのような真紅の瞳で私を見つめ、優しく私に話しかけて来る長。
その声色はとても魅力的で、まるで弦楽器の音色のように私の心に響いて来るようだ。
だが、逆に私はそれがとても恐ろしかった……。
「ええ、お陰様で楽しくやれてます長」
だからこそ私は流暢なお辞儀をし、当たり障りのない言葉を選ぶ。
「はは、君は聡いな。だが、それがいい……」
「は、ありがとうございます」
長は私のことを気に入っているようだし、だからかとても優しいのだがなにしろこの組織の長である。
だから、最低限の礼は尽くすべきと私は考えているのだ。
「まあ、気を楽にして聞きなさい。今日レイシャがここに呼ばれた理由は分るね?」
「はい15歳になった今日、組織の最終試験を長から聞くためです」
「そうだね。では試験を早速始めようか……」
「は、はい……」
私は緊張しながら長に返事をする。
私が緊張しているもう一つの理由……。
それは、最終試験の内容は誰からも聞かされていないためだ。
というのも最低限の知識として組織の知人達から聞いていたのは「試験内容は長から直接だされ内容は個人ごとに違う」という事だ。
そして、この試験に落ちた者はその後誰もその姿を見たことが無いと聞く。
なにしろ長は最強のモンスターの一角としても名高いバンパイヤであるし、幹部クラスの全員も似たり寄ったりの異形の者だ。
北西の僻地の孤島に異形の怪盗集団。
あとは、試験に落ちた者がどうなったかは容易に想像出来るというもの。
だからこそ私はそうなりたくないが為に緊張しているのだ。
「なに、緊張しなくていい。何故なら君は試験のほとんどの条件をクリアしてるからだ」
「えっ?」
「ふむ、詳しく説明させてもらうとだな。この組織で怪盗組織の一員としてなにかしろの技術を一人前に習得出来ていれば第一条件はクリアなんだ」
「は、ありがとうございます」
私は長の言葉に少し緊張がほぐれ、ほっとする。
「君の場合、魔法の才能は全く無かったものの、その生まれつきの美貌と選美眼が元々あった。更には私から受けた剣技を磨き、独自の技へと昇華させた」
私は長が決してお世辞を述べる人、いやバンパイヤでない事を知っている為、その言葉を黙って吟味して聞いていく。
「一言で言うと、私は君を組織の誰よりも高く買っているんだ。だから君の場合はこの組織の一員というより、幹部候補としての試験を出そうと思うんだよね」
「……え?」
私は長のその言葉を聞き、驚きのあまり目を大きく見開いてしまう。
というのも、まさか自分が幹部候補として選ばれているとは思ってもいなかったためだ。
そこに【エターナルアザー】のアジト【トランス城】がそこにひっそりと佇んでいた。
そのトランス城の最上階に長の部屋はある。
雲一つない満月の夜。
闇夜に昴が瞬き、涼し気な風がとても気持ち良かったのを今でも鮮明に覚えている。
そんな中、まるで闇夜にかかる光のカーテンのような月光を頼りに私は回廊を静かに歩いて行く。
最上階の長の部屋のドアを静かにノックし、長の「入りなさい」という優し気な声を聞き、安心して私は部屋に入る。
その部屋は月明かりが綺麗に当たる場所だった。
更には紫色に光る硝子細工のランプが明々と不思議な光を放っていた。
そのランプはなんでも長が手に入れた、お気に入りのマジックアイテムらしい。
それらの光を浴び、長は真紅の玉座にスラリとした長い脚を組み座り静かに佇んでいた。
身にまとったブルーの燕尾服からも体のラインが分るくらいに引き締まった長身、真っ白いまるで彫像のような肌に、整った端正な顔。
金髪のミディアムヘアが空いた窓のそよ風を受け、まるで金糸のようにふわりとなびくのはとても様になっている。
「調子はどうだいレイシャ?」
まるでルビーのような真紅の瞳で私を見つめ、優しく私に話しかけて来る長。
その声色はとても魅力的で、まるで弦楽器の音色のように私の心に響いて来るようだ。
だが、逆に私はそれがとても恐ろしかった……。
「ええ、お陰様で楽しくやれてます長」
だからこそ私は流暢なお辞儀をし、当たり障りのない言葉を選ぶ。
「はは、君は聡いな。だが、それがいい……」
「は、ありがとうございます」
長は私のことを気に入っているようだし、だからかとても優しいのだがなにしろこの組織の長である。
だから、最低限の礼は尽くすべきと私は考えているのだ。
「まあ、気を楽にして聞きなさい。今日レイシャがここに呼ばれた理由は分るね?」
「はい15歳になった今日、組織の最終試験を長から聞くためです」
「そうだね。では試験を早速始めようか……」
「は、はい……」
私は緊張しながら長に返事をする。
私が緊張しているもう一つの理由……。
それは、最終試験の内容は誰からも聞かされていないためだ。
というのも最低限の知識として組織の知人達から聞いていたのは「試験内容は長から直接だされ内容は個人ごとに違う」という事だ。
そして、この試験に落ちた者はその後誰もその姿を見たことが無いと聞く。
なにしろ長は最強のモンスターの一角としても名高いバンパイヤであるし、幹部クラスの全員も似たり寄ったりの異形の者だ。
北西の僻地の孤島に異形の怪盗集団。
あとは、試験に落ちた者がどうなったかは容易に想像出来るというもの。
だからこそ私はそうなりたくないが為に緊張しているのだ。
「なに、緊張しなくていい。何故なら君は試験のほとんどの条件をクリアしてるからだ」
「えっ?」
「ふむ、詳しく説明させてもらうとだな。この組織で怪盗組織の一員としてなにかしろの技術を一人前に習得出来ていれば第一条件はクリアなんだ」
「は、ありがとうございます」
私は長の言葉に少し緊張がほぐれ、ほっとする。
「君の場合、魔法の才能は全く無かったものの、その生まれつきの美貌と選美眼が元々あった。更には私から受けた剣技を磨き、独自の技へと昇華させた」
私は長が決してお世辞を述べる人、いやバンパイヤでない事を知っている為、その言葉を黙って吟味して聞いていく。
「一言で言うと、私は君を組織の誰よりも高く買っているんだ。だから君の場合はこの組織の一員というより、幹部候補としての試験を出そうと思うんだよね」
「……え?」
私は長のその言葉を聞き、驚きのあまり目を大きく見開いてしまう。
というのも、まさか自分が幹部候補として選ばれているとは思ってもいなかったためだ。
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