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 主人公は、作家という職業に固執して生きるしかない不器用な男だ。この男は妻帯者で子供もいるが、家族からみればはた迷惑な奴であった。おおよそ愛とは無縁な生き方をしてきたせいで、十年も前から男は痺れを切らした妻から別居を言い渡されている。四畳半のぼろアパートに引きこもり来る日も来る日も小説だけを書き続けていた。定職にも就かない穀潰しとして。   四十代も後半になり世間の風当たりはますます冷たい。それでも男は取り憑かれたように筆を執る。それは今日も明日も変わらないかに見えた。隔絶された世界で孤独だけが慰め、といった様子で。  そんな折りに妻が倒れたという連絡がもたらされる。  これは男が筆を擱(お)くまでの、物語。  ――丁年(ていねん)、字引を相棒に。転がる無数のちり紙、失敗作の山に埋もれて。  カクヨム、ステキブンゲイ、アルファポリス、小説家になろう、のサイトで重複投稿しています。
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文字数 10,383 最終更新日 2024.03.27 登録日 2024.03.27
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