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祝勝会
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「では、いただこうか」
バレウム=リセル公はフォークでトロサーモンの握りを優雅に刺し、自身の口元に運ぶ……。
(ど、どうだろうか?)
俺達は生唾を飲み込み、緊張しながらその反応を見守る。
「森の様々な栄養を育んだ結晶……そのうま味か……。エザーネスダークサーモンは産卵前に魔の森で餌を食べるのは有名な話だしな……」
バレウム=リセル公は深いため息をつき、片手に持っていた白ワインを飲み干す。
「君……すまないが、おかわりと炙りもいただけるかな?」
「あ、すまんが儂は甘エビに卵を乗せた奴を頼む」
「私は主人と同じものを……」
「は、はいっ! 喜んで!」
バレウム=リセル公とその家族達は俺の握った様々な寿司を所望している。
「や、やった!」
俺はレノアやオヤジさん達とハイタッチし、急いでブースに戻り、おかわりを作っていく。
(成功だ! 俺達の握った寿司はここの領主に認められたのだ)
「どうぞ! 他にもまぐろやウニなどの握りもありますので良ければ……。当然炙りもあります!」
俺はバレウム=リセル公御一行に様々な寿司を提供していく。
「おお……この寿司というのは素晴らしいな……。この酢飯とやらで美味しく沢山食べれる……」
「儂はこのライスと魚の間に挟まっている、ワサビとやらが好きじゃな……」
「私はこのマグロの握りが好きですわ……。口の中でとろけるのが、もうたまらなくて……」
「お、俺にもその寿司とやらをくれ!」
「儂もエザーネスダークサーモンの握りを!」
「は、はいっ! 直ちに! 杉尾君、頼む!」
「はいよっ!」
バレウム=リセル公御一行が大讃美するもんだから、俺達のブース前に物凄い大行列が出来てしまう!
よく見ると最後尾は、アホみたいに広い領主の入り口門まで伸びている感じだ。
(ま、まあ、魚はアホみたいに取ってきているから、何とかなりそうかな……)
俺は逆転の発想でこの状況を楽しむことにした!
こうして、俺達は日が暮れるまで、寿司を握ったり、他の料理を作ったりととても忙しく、充実した時間を送るのだった……。
それから数時間後……。
「カンパーイ!」
俺とレノアは乾杯の声と共に、ワイングラスを互いに合わせ、美味しくビンテージものの赤ワインを飲み干す。
俺達はトイズデリッシュの対面にある肉料理専門店「ミートガフリエル」にて、レノアとユキと俺で祝勝会の打ち上げを行っていた。
この肉料理専門店は昼間俺達のブースの対面に合った、この街でも有名なお店であり、料理も美味しそうだったので、俺とレノアは食事用の整った服装に着替え此処に来たってわけだ。
といっても、例のお揃いの風揺らぎ服一式なんだけどね……。
ユキは俺達の足元で、厚切りの極上ステーキをとても美味しそうにパクついている。
まあ、ユキがいる関係で、例の如く2階の個室部屋にいる訳だが……。
「でも良かったね! 大成功して!」
「だな、元々トイズデリッシュのオヤジさんが頑張っていたから知名度もあったし、環境も色々良かった」
俺達は厚切りの極上ステーキを食べながら、楽しく会話していく。
楽しい会話に極上の料理、それに窓から見える闇夜の街明かりがとても美しく感じられる。
(本当に良かったな……)
俺はワイングラスに注がれた透き通ったルビーのようなワインを眺めながら物思いにふける……。
『①職業チャラ男スキルの内訳 【チャラ男エンジョイ7】777スキルの運がアップ』
(そう、俺はこの瞬間をスゲー楽しめている……)
「でも、凄いね杉尾! バレウム=リセル公から『後日邸内で寿司を握ってくれ』て頼まれるとか!」
「ああ! エザーネスダークサーモンの魚卵も大好評だったんで、他国のキャビア好きに高く売れそうだしな」
そう、あれから俺達はバレウム=リセル公御一行から大賛辞を頂き、そのお陰で個人的に付き合う中になれたのだ。
バレウム=リセル公が特に気に入っていたのは、加工して毒抜き出来たエザーネスダークサーモンの魚卵、別名『黒曜の宝石』。
何でも、バレウム=リセル公が後日世界をまたにかける大商人を紹介してくれるらしいし……。
というのも、まず、エザーネスダークサーモンが希少だし、加工出来る者も少なく、探すのも難しい。
更には大粒の極上品の目利きもいる。
だが、俺達ならそれを簡単に、しかも大量に仕入れることが出来る。
ユキが探し、レノアが高速移動兼毒抜きや冷凍加工し、俺がそれを大量に運び寿司として調理することが出来る。
目利きはトイズデリッシュのオヤジさん達に頼めばいいしね。
というか、今日もうオヤジさん達とはその話をしてきてたりする(速っ)。
「しばらくトイズデリッシュのオヤジさん達とはウィンウインの関係になれそうだな……」
「うん! その代わりに杉尾は寿司の握り方とかをオヤジさんや従業員に教えないとね!」
俺は、ステーキをフォークで切りながら苦笑する。
「そうだな、まさか俺がここで寿司握りを教えることになるとは……」
「大丈夫! 杉尾は人に教えるの上手だから、きっと上手くいくって。その……私にも泳ぎを教えてくれたように……」
ちょっと照れくさそうにうつむき笑うレノアは、何だかとても魅力的に見えて……。
「そうだな……」
俺も思わず照れながら、ワイングラスをそっと前にかざす。
「うん! じゃ、上手くいく様にもう一回カンパイ!」
レノアは俺のグラスに自らのグラスを軽く当て、とても美味しそうにワインを飲み干すのだった……。
バレウム=リセル公はフォークでトロサーモンの握りを優雅に刺し、自身の口元に運ぶ……。
(ど、どうだろうか?)
俺達は生唾を飲み込み、緊張しながらその反応を見守る。
「森の様々な栄養を育んだ結晶……そのうま味か……。エザーネスダークサーモンは産卵前に魔の森で餌を食べるのは有名な話だしな……」
バレウム=リセル公は深いため息をつき、片手に持っていた白ワインを飲み干す。
「君……すまないが、おかわりと炙りもいただけるかな?」
「あ、すまんが儂は甘エビに卵を乗せた奴を頼む」
「私は主人と同じものを……」
「は、はいっ! 喜んで!」
バレウム=リセル公とその家族達は俺の握った様々な寿司を所望している。
「や、やった!」
俺はレノアやオヤジさん達とハイタッチし、急いでブースに戻り、おかわりを作っていく。
(成功だ! 俺達の握った寿司はここの領主に認められたのだ)
「どうぞ! 他にもまぐろやウニなどの握りもありますので良ければ……。当然炙りもあります!」
俺はバレウム=リセル公御一行に様々な寿司を提供していく。
「おお……この寿司というのは素晴らしいな……。この酢飯とやらで美味しく沢山食べれる……」
「儂はこのライスと魚の間に挟まっている、ワサビとやらが好きじゃな……」
「私はこのマグロの握りが好きですわ……。口の中でとろけるのが、もうたまらなくて……」
「お、俺にもその寿司とやらをくれ!」
「儂もエザーネスダークサーモンの握りを!」
「は、はいっ! 直ちに! 杉尾君、頼む!」
「はいよっ!」
バレウム=リセル公御一行が大讃美するもんだから、俺達のブース前に物凄い大行列が出来てしまう!
よく見ると最後尾は、アホみたいに広い領主の入り口門まで伸びている感じだ。
(ま、まあ、魚はアホみたいに取ってきているから、何とかなりそうかな……)
俺は逆転の発想でこの状況を楽しむことにした!
こうして、俺達は日が暮れるまで、寿司を握ったり、他の料理を作ったりととても忙しく、充実した時間を送るのだった……。
それから数時間後……。
「カンパーイ!」
俺とレノアは乾杯の声と共に、ワイングラスを互いに合わせ、美味しくビンテージものの赤ワインを飲み干す。
俺達はトイズデリッシュの対面にある肉料理専門店「ミートガフリエル」にて、レノアとユキと俺で祝勝会の打ち上げを行っていた。
この肉料理専門店は昼間俺達のブースの対面に合った、この街でも有名なお店であり、料理も美味しそうだったので、俺とレノアは食事用の整った服装に着替え此処に来たってわけだ。
といっても、例のお揃いの風揺らぎ服一式なんだけどね……。
ユキは俺達の足元で、厚切りの極上ステーキをとても美味しそうにパクついている。
まあ、ユキがいる関係で、例の如く2階の個室部屋にいる訳だが……。
「でも良かったね! 大成功して!」
「だな、元々トイズデリッシュのオヤジさんが頑張っていたから知名度もあったし、環境も色々良かった」
俺達は厚切りの極上ステーキを食べながら、楽しく会話していく。
楽しい会話に極上の料理、それに窓から見える闇夜の街明かりがとても美しく感じられる。
(本当に良かったな……)
俺はワイングラスに注がれた透き通ったルビーのようなワインを眺めながら物思いにふける……。
『①職業チャラ男スキルの内訳 【チャラ男エンジョイ7】777スキルの運がアップ』
(そう、俺はこの瞬間をスゲー楽しめている……)
「でも、凄いね杉尾! バレウム=リセル公から『後日邸内で寿司を握ってくれ』て頼まれるとか!」
「ああ! エザーネスダークサーモンの魚卵も大好評だったんで、他国のキャビア好きに高く売れそうだしな」
そう、あれから俺達はバレウム=リセル公御一行から大賛辞を頂き、そのお陰で個人的に付き合う中になれたのだ。
バレウム=リセル公が特に気に入っていたのは、加工して毒抜き出来たエザーネスダークサーモンの魚卵、別名『黒曜の宝石』。
何でも、バレウム=リセル公が後日世界をまたにかける大商人を紹介してくれるらしいし……。
というのも、まず、エザーネスダークサーモンが希少だし、加工出来る者も少なく、探すのも難しい。
更には大粒の極上品の目利きもいる。
だが、俺達ならそれを簡単に、しかも大量に仕入れることが出来る。
ユキが探し、レノアが高速移動兼毒抜きや冷凍加工し、俺がそれを大量に運び寿司として調理することが出来る。
目利きはトイズデリッシュのオヤジさん達に頼めばいいしね。
というか、今日もうオヤジさん達とはその話をしてきてたりする(速っ)。
「しばらくトイズデリッシュのオヤジさん達とはウィンウインの関係になれそうだな……」
「うん! その代わりに杉尾は寿司の握り方とかをオヤジさんや従業員に教えないとね!」
俺は、ステーキをフォークで切りながら苦笑する。
「そうだな、まさか俺がここで寿司握りを教えることになるとは……」
「大丈夫! 杉尾は人に教えるの上手だから、きっと上手くいくって。その……私にも泳ぎを教えてくれたように……」
ちょっと照れくさそうにうつむき笑うレノアは、何だかとても魅力的に見えて……。
「そうだな……」
俺も思わず照れながら、ワイングラスをそっと前にかざす。
「うん! じゃ、上手くいく様にもう一回カンパイ!」
レノアは俺のグラスに自らのグラスを軽く当て、とても美味しそうにワインを飲み干すのだった……。
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