異世界転職先がダンジョンな訳だが？

健全黒字経営目指します！

ここを楽園とす

第45話　ここを楽園とす



　んふふ、地下管理施設っぽくなってまいりました！
　配線関連は大体良し。次は水系の見直しか。
　天井まで水ブロックで満杯にした水プール部屋を上階の管理部屋横に新設し、そこから各部屋に上水を供給にしようかな。水ブロック、チートすぎだから人目から隠したほうが良さそうだしね。
　増設の度バラバラに引いていた水路を一旦埋めて、新たに上水下水の本流と各部屋用の細い支流を引き直す。
　支流の上水口はよく露天風呂とかにある壁から掛け流しにし、そのまま下水へ落とし込むスタイルにした。真下にくる排水口は鉄格子を縦横と二重に嵌めて格子状にし落下防止もバッチリだ。
　各部屋から流れ落ちる水やトイレなどの汚水は下水道の本流に集めて、最初に作った地下空洞に引き込むのは変わらないのだが、さっき思いついた下水処理施設、マグマブロック(※溶岩でできたブロック)配置でヒャッハー汚物は消ど…いや、汚水を蒸発処分だ！
　空洞にマグマブロックをロの字に配置して真ん中に汚水が落ち込むようにする。落ちた先が高熱なので汚物も瞬間蒸発する仕組みだ。全てのマグマに水が被らない限りは、お互いの熱でマグマは固まらない。リアルじゃあり得ないけど箱庭じゃセーフ。ちょっとしたチート技だよね。但し、水蒸気が籠るのは良くないので排気をこっそり外に出すようにした。勿論侵入対策の鉄格子は四つくらい嵌めた。迷い込んだら最後、終点マグマ溜まりだからな…。しんじゃう…。

　上水下水が整備できたので、…やりますか、トイレ！！

　腹筋に気合いを入れて作業机を立ち隣りの部屋へ移動する。うん、朝イチより筋肉痛に慣れてきたぞ！良くはなってないがね！

「さあて、どれがトイレちゃんかっな～♪トイレちゃん出ておいで～♪」

　鼻歌混じりにダン箱山から何個かあるデカい箱を掘り出したのだが、最終的にヒィヒィ言いながらお目当てのトイレを取り出しました。
　重い。めっちゃトイレ重い。でっかい米袋って確か30キロだっけ？それより全然重いんだが…！トイレは持った事ないから知らんかったよ…。って、

「あ、そうか、箱庭で動かせばよかった…。」

　がっくりとトイレちゃんに突っ伏した。
　トイレショックから立ち直り後、配管類、あとすっかり頼んだ事を忘れてた蛇口も発掘。

　さて、ここから箱庭さんのチート真骨頂ですよ！タブレットをリビングに取りに行くのを先程トイレにやられた筋肉が拒否しているのでスマフォ版箱庭起動です！新たに作業机も出す！

　ふふふ、ゴミ袋から始まりレオさんまでが箱庭画面に取り込めたあのチート、応用編だぜ！！

「トイレ、ストックへGO！！」

　画面に表示されたトイレをぽいっとストック欄へ！

スッ。

　トイレはリアル視界から消え、箱庭のストックにトイレが表示された。タンクレストイレだからドット絵が謎の白いカップみたいだが、完全にトイレ便器です。

「…せ、成功だ…。ちゃんとウォッシュレットトイレだよ。やれるとは思ってたけど、マジでストックに入ったよ…。箱庭チート、やりおるな…。」

　近くに出しておいた配管類や蛇口もストックに入れる。しっかりストックに入り、詳細をタップすると塩ビ排水配管とか商品名も登録されてあった。
　これってストレージ要らずじゃん…。

　しかしとある事が気になり、紙クズを詰めたダン箱と空のダン箱をひとつずつストックに入れてみると…。

「あ、やっぱダンボール箱×2としか出ないわ！多分箱庭に紙クズを先に認識させてからじゃないと、ダン箱に紙クズは反映されないな、これ。」

　デリバリーした弁当やペットボトルのゴミを袋に詰めて捨てる時「ゴミ袋」としか出なかったからちょっと気にはなってたんだ。
　収納箱は例外だが箱庭のアイテム名法則なら、空のバスケットと区別する為、バスケット(リンゴ)のように中身の表記が出るはずなんだよね。

「…と言う事は…、」

　ポチりとダン箱を床に２つとも出してみる。

「…おふ、空のダンボール箱２つ…。名前が括弧なしのダンボール箱だからか…。…よかった、紙クズで実験して…。危なく中身ロストする所だった…。」

　…ふう、箱庭不用意なストック危険、俺おぼえた。うん、収納はストレージよな！よし、検証終了！
　
　さてもう一つ実験がある…。
　こっちは正直博打だ。

「トイレに配管類を合成して組み立て済トイレにする…。いけるか、箱庭チート…？」

　そう、トイレはそのまま置いても機能しないのだ…。流す為の上水管やらその後の下水管やらをパッキンや金具などで色々取り付ける必要がある。…そしてだな！
　俺、取り付けの工具は注文してなかったんだナ～！！そこまで考えてなかったナ～！！

　…取り付け業者さん、異世界までは出張来ないよなあ…。はあ…。

　さあこの博打、負けはかなりデカいぞ。20万相当のおトイレ一式ロスト。しかもロストしたら、次におトイレ準備できるの半年後…。
　しかし、勝ちはウォッシュレットトイレ使い放題。床の穴生活からの解放…。

「漕ぎだせっ！勝負の大海原へ！」

　まず説明書を見ながら、対応する配管と金具をポチポチと何回に分けて合成。結果、トイレ部品(洗浄管)とトイレ部品(排水管)が完成。これは確実に成功すると思ってた。あくまでも俺のカンだけど、販売価格でアイテムのレアリティ判定してる気がする。ネジや配管は箱庭みたいに掘って出てくるモンじゃないから、簡単に手に入るかどうかを金額で判定かなあと予測。
　まあ、それでいくと確実にトイレ便器はレア判定だな。金額的には低レアアイテム。そして、前みた検証班予測の低レア合成のロスト率は5パー。
　たった5パーだが…、一撃目がその5パーかもしれんのよね！まさに博打よ！

「よろしくお願いしまぁぁぁす！！！！」

ポチっ。

　ウォッシュレットトイレ(完成品)

　で、出来たーーーッ！！！！
　完成品だーーーッ！！！！

　インド映画なら金箔が舞い散り登場人物みんな踊り出してるぜ！！
　俺の心のインド人もウォッシュレットトイレ(完成品)を中心に激しく踊り狂ったね…。

「…ふう、これで快適トイレライフが約束されたな…。」

　やっと踊り疲れた俺(心の中でだよ！)は、リビングの作業机までフラフラと戻った。
　約束されたトイレ楽園の仕上げに、トイレ部屋を便器に合わせた造りに直す。amazooで買ったオシャレなペーパーホルダーも設置だぜ。

「最後はトイレ本体だ。しっかり上下水道にくっついてくれよ～。」

　ポチりと設置してやる。
　…箱庭ビューだとしっかり設置されてるな？

　よし、テストだ！！


ザァァァ。

ーーーぱたん。

「…宣言しよう。無事ここにトイレの楽園は築かれた。トイレよ、栄えあれ！！」

「…何の楽園を築いたんだ？」

　振り返るとそこには笑いを堪えるイケメン。

「うええええ？！？！」

　トイレのテストから帰還したら、レオさんも丁度帰還してた…。

「…オカエリナサイ…キニシナイデ…。」

「ん、ふっ、気にしねえ気にしねえ。いま戻った。その感じだと留守の間は何も無かったようだな。」

　もう笑うな！アレはちょっとテンション上がっただけだから！

「…改造してて気づかなかったけど、多分何もなかったと思う。あ、そうそう、トイレがちゃんと出来たからご案内だよ！」

　丁度良いのでウォッシュレット使い方を伝授ですよー。話題変えじゃないですよー。ホントですよー。
　便器自体はレオさん達も馴染みの椅子型だったので、用を足すときは蓋をあけて小なら便座上げて…などはサラッと説明できた。壁面についた流すボタンも、トイレットペーパーを一巻き便器に落としてから、ここを押すと水が流れますと解説し穴の奥に水が吸い込む様子で理解したようだ。
　ウォッシュレットは…、人体で実演はアレだから尻がわりに鍋底へ水を当てて説明した。前は超絶ビックリするから押さないよう気をつけてな、レオさん…。まあ、ウォッシュレットは慣れたら使ってねとアドバイスした。