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第二章
第74話 【動き出す者達・4】
しおりを挟む「そう言えば、アルフって学園に通ってるんだよね?」
「うん。通ってるよ。学園でレオルド見なかったけど、レオルドは逆に学園に通って無いの?」
「いや、通ってるよ。ただ僕のクラスはアルフとは別の校舎だから、それで会えなかったんだよ」
「そっか、学園の校舎沢山あるからね。会おうとしないと会えないよね」
学園の校舎は沢山あり、アリスに紹介してもらったのは基本的に使う場所だけだ。
その他は未だに行った事がない場所が多く、同学年だが会ってない生徒の方が多い。
「本当は学園でアルフに接触しようとも考えたけど、父上からアルフをこれ以上目立たせたら駄目だって言われてね。まあ、僕が接触しなくてもアルフはなんだかんだ学園で有名になっちゃってたけどね」
「不可抗力だよ。まさか、あの程度の魔法で驚かれるとは思わなくてさ……」
「アルフの魔法を見た人から話聞いたけど、アルフの魔法レベルはかなり高いと思うよ? 流石、アレンさんの弟子だね」
そうレオルドは言い、どんな訓練をしてるのか聞いて来た。
特に隠す様な事でも無い為、俺はレオルドに俺がしてる訓練のやり方を教えた。
「へ~、意外と簡単な事をやってるんだ。アレンさんだから、何かこう難しい事をさせてるのかと思ってたけど」
「師匠は基礎的な部分を重要視してるから、難しい事よりも基礎を徹底的に教えてくれるよ」
「いい師匠だね。僕も騎士団の人達に混じって訓練してるけど、ただ模擬試合をしてるだけだからな~。魔法もそれなりに自信があったけど、アルフの話を聞いたら、完全に自信を無くしたよ」
「レオルドも魔法が使えるの?」
そう俺が聞くと、レオルドは神様から全部で4つのスキルを授かり、その内の二つは属性魔法スキルを授かったと言った。
「4つって凄いね。俺なんて一つだけだったのに」
「でもその一つがかなり強力なスキルでしょ? 僕のスキルは全部、知られているようなスキルだからね。属性魔法も一つは光属性で良かったけど、もう一つは土属性だからパッとしないんだよね。火とか、せめて水が良かったな……」
「レオルドのその気持ちは何となく分かるけど、土属性も良い魔法だと俺は思うけどな」
俺の属性魔法の中では、二番目にスキルレベルが高いのは土属性だ。
基本的に土いじりでスキルレベルを上げて来たが、戦闘時にも壁を作ったり魔物の目に土を投げつけたり、かなり使い勝手がいい。
後はやっぱり、野営をする際の簡易家具にも最適で重宝している。
「アルフも土属性の魔法使えるの?」
「使えるよ。なんなら、得意な魔法の一つだね。戦闘でもかなり使えるよ」
「そんなに?」
少しだけ疑ってるレオルドに俺は、どんな風に【土属性魔法】を使っているのか伝えた。
そして俺の話を聞いたレオルドは、「そんな使い方をしてるんだ……」と真剣な顔をしてそう呟いた。
「明日から【土属性魔法】も訓練に入れようかな……アルフの話を聞いてたら、なんだか使って見たくなって来たよ」
「使えるようになったら、いろんな場面で活用できるから訓練頑張って! もし困ったら相談に乗るよ。まあ、直接会うのは厳しいと思うから手紙のやり取りになるかもだけど」
「そうだね。今日は話し合いが会ったから、こうして話せてるけどアルフとはまた暫くは会えそうにないね」
「うん。それに今の俺は平民で、王族のレオルドとは気軽に会えるような立場でも無いしね」
そう言うと、レオルドは「関係ないよ」と平然とした顔で言った。
「だって、エルドさんと父上も親しい間柄でしょ? それなら、別に僕とアルフが親しくても別に問題は無いよ」
「れ、レオルドもそういうのか……」
「うん。だって、アルフは本音を言い合える数少ない友達だからね」
レオルドは凄く良い笑顔でそう言うと、それから少ししてエルドさんと陛下の話し合いが終わったと伝えられた。
話し合いが終わった後、陛下からは昼食を一緒に食べようと誘われた。
しかし、エルドさんはきっぱりとその誘いを断り、馬車に乗って商会に帰る事にした。
「エルドさん、食事断っても良かったんですか?」
「良いんだ。あのまま食事をしていたら、更に居座るように仕向けて泊まらせられる事になる。何度か逃げるタイミングをミスって、夜中まで晩酌に付き合わされた事がある。逃げられるなら、直ぐに逃げる。これが王城から出るコツだ」
エルドさんは、真剣な表情でそう言った。
帰宅後、エルドさんとは別れ俺は寮の広場へと直行した。
今日は師匠が休みの為、俺はそれから一人で夕食までしっかりと訓練を行った。
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