外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

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第二章

第93話 【長期休みの始まり・3】

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 話し合いはアリスが来るまでに終えなければいけない為、手短に話し合わなければいけない。

「エリスさん、大前提の話なんですけど。エルドさんはアリスに謝罪はしたんですか?」

「ええ、それはもう何度も頭を下げたとエルド様からもお聞きしたわ。念の為、シエナ様に確認してるから謝罪はしてるわ」

「ふ~む、謝罪していてもだめですか……」

 あのアリスがそこまで怒るという事は、昨日のあの発言はアリスの中で怒るポイントだったのだろう。
 あの時のアリスは、俺に対しての好意というより友達を馬鹿にされた事に対して怒ってる感じがした。
 それから各自、どうすれば仲を取り戻せるか案を出すが、既にエルドさんが試している事ばかりだった。

「逆にここまでしても尚、嫌われてるって事は心の底から嫌ってるんじゃないんですか?」

「エルド様は自分のちょっとした悪戯心で発した言葉で、アリスちゃんとの仲を壊した自分を一生悔やみながら生きる事になるわね」

「そうなると、商会もやばいですよね……どうすれば、仲直り出来るのかな……」

 そう俺は言うが、特に良い案は思い浮かばずアリスが商会に到着したので、俺は会議室から離脱して広場へと向かった。

「今、そんな事になってるんだ。確かに商会に来た時、ちょっとビリついてたもんね」

 休み期間に入ったが、レオルドは変わらず訓練に参加するみたいで少し遅れて広場にやって来た。
 そして商会の様子が変だと気づいたレオルドは、俺に何があったのか聞いて来たので俺はアリスとエルドさんの事件について伝えた。

「本当は合宿の件、エルドさんに伝えてレオルドも誘おうと思ったけど、あの感じだとレオルドを誘うのは難しそうなんだよね……」

「ちょっと待って、合宿って何?」

「休みの宿題を大量に貰ったでしょ? あれをクラスの人達と一緒に解く為、合宿しようっていう話になってるんだよ。それで合宿自体はエリスさんに許可貰えたんだけど、王子のレオルドは流石に副会長のエリスさんでも独断では決められないみたいで……」

「僕もその合宿に参加したいんだけど? 僕だけ仲間外れは嫌だよ?」

 レオルドは焦った様子でそう言い、エルドさんとアリスの仲を取り戻すと、ルクリア商会の人達並みにやる気に満ちた目をした。
 しかし、やる気に見ちたレオルドだが、未だにアリスとの仲はそこまで進展もしてない為、話しかけようにも避けられてしまう。

「僕の考えだけどさ、アルフがアリスさんにエルドさんの事を許してあげるように言えば解決しそうだけどね」

「そんな簡単な事で仲直り本当にする?」

「この数ヵ月、近くで二人の事を見てアリスさんはアルフの事をかなり信頼してると思うんだ。それに言われたのは、アリスさんだけどアルフも一緒に言われた感じだから、アルフがエルドさんの言葉を特に気にしてないならアリスさんも許す流れになると僕は思うよ」

 レオルドはそう言うと、アリスと一緒に訓練をしてるクラリスを呼び、俺はクラリスと交代でアリスの方へと向かった。

「アリス。ちょっと良いか?」

「どうしたの?」

 訓練に集中していたアリスは、俺から話しかけられると顔をこちらに向けて来た。

「昨日の件でエルドさんの事、許してあげてないんでしょ?」

「……誰かに聞いたの?」

「今日、エルドさんに用があって行ったら、かなり落ち込んでいたから聞くまでも無く分かったよ」

「……お爺ちゃんが偉いのは知ってるよ。でも、言って良い事と悪い事は家族でもあるのはアルフ君も分かるよね」

 アリスは、顔をムスッとした表情でそう言った。

「うん。それは分かるよ。でも、昨日のあれはエルドさんも嬉しくなってつい言葉に出ただけだと思うよ」

「ついでも、私の折角の友達のアルフ君に対して失礼な事を言ったのは事実だよ。なのにお爺ちゃんは私にだけ謝って、アルフ君には謝ってないでしょ? そこがまだ怒ってる理由だよ」

 アリスが許してない理由は、エルドさんが自分に対しては謝ってるけど、俺に対しては謝ってないから許してないと言う事か。
 ……俺のせいだったか~、いや気にしてなかったから俺が理由とか全く考えても無かった。

「……け、今朝会った時に俺にも謝罪してくれたよ。だから、エルドさんと仲直りしてくれないか?」

 俺は咄嗟にそこで、エルドさんから謝罪をされたとアリスに言った。
 アリスは俺の言葉に、キョトンとした顔で見つめて来た。

「本当にお爺ちゃんはアルフ君に謝罪したの?」

「したよ。俺が嘘をつくと思う?」

「……言わない。うん、わかった。じゃあ、後でお爺ちゃんと仲直りしに行ってくるね」

 アリスは俺の言葉を一瞬だけ疑ったが、直ぐに信じてくれた様で笑みを浮かべてそう言った。
 それから俺はトイレだと言って広場を出て、急いでエルドさんの部屋に向かった。
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