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第二章
第100話 【次の目標へ・2】
しおりを挟む「師匠。これからの育成ですけど、どうするんですか?」
「まあ、色々と考えたがレベル上げは一旦止めようと思う。いつまでもあの迷宮で弱い魔物と戦っても、レベルは上がってもアルフ自身の経験にはならないからな。だから、これからは冒険者活動を本格的にやってもらおうと思う。丁度、学園も休みだからな」
「冒険者活動ですか……そうなると、暫くは拠点をウィストの街に移動するんですか?」
「そうなるな、アリス達の魔法訓練に関してだがその間は休む事になりそうだが大丈夫そうか?」
確かに冒険者活動をするなら、ウィストの街で過ごした方が良いだろう。
しかし、そうなるとアリス達との訓練が出来なくなってしまった。
「一応、アリス達と話をしてから決めても良いですか? 俺自身は冒険者活動を通して、色んな魔物と戦闘を行いとは思ってますが、アリス達との訓練も大事ですから」
「分かった。エルドさんが帰る前に、明日アリスを連れてきてもらうように頼んで話し合ってみるか」
師匠のその言葉に俺は返事をして、それからゆっくりと風呂に入って疲れを取った。
入浴後、師匠は先にエルドさんに話しておくからと言って去って行き、俺は一人で食堂に行き夕食を食べ部屋に戻った。
そしていつもの様に、クラリスの勉強に付き合う時間となった。
「それじゃ、暫くはこの勉強時間も無くなっちゃうんだ……」
「ごめんな」
「謝らなくても大丈夫だよ。兄さんが強くなろうとしてるのは分かってるから、それにずっといなくなる訳じゃないんでしょ? それなら、少しの間くらいは我慢できるよ」
クラリスはそう笑顔で言い、その日も受付の勉強に付き合って俺は眠りに付いた。
「えっ、訓練無くなっちゃうの!?」
「うん。冒険者活動してる間だけなくなるんだけど、アリスが嫌なら何とか時間を作ろうとは考えてるよ」
「……」
翌日、エルドさんと一緒に来たアリスに昨日の事を話しをした。
アリスはその内容を聞くと驚き、下を俯いて考え込んでいた。
まあ、無理そうだな……アリスの楽しみとなってる訓練の時間が無くなるのは、アリスにとっても嫌だろうしな。
「お爺ちゃん、アルフ君が居ない間も広場は使っていい?」
「んっ? 別に良いが、何に使うんだ?」
「アルフ君が冒険者活動を頑張ってる間、魔法の訓練を広場でしてるね。戻って来た時、成長した私を見せて驚かないでね」
「えっ、訓練が無くなるけど良いの?」
笑顔で言ったアリスに対し、俺は少し驚いてそう聞いた。
「無くなるの嫌だけど、ずっとじゃないんでしょ? それなら、私も少しの間は我慢出来るよ」
やる気に満ちた顔をして、アリスはそう言った。
そんなアリスを見たエルドさんは、「アリスが成長してる……」と感極まって涙を流していた。
その後、アリスからも許可を貰えた為、最大の難関は乗り越えた。
話し合いもそれで終わりなので、アリスとクラリスと一緒に広場へと移動して訓練をする事にした。
「リアナさん、お久しぶりです」
「ええ、久しぶりね。アルフ君」
話し合いの翌日、朝食を食べた俺は師匠と一緒に馬車に乗って王都を出発し、ウィストの街へと向かった。
数時間の移動を終え、街に到着した俺と師匠は最初に荷物の確認をする為、師匠の家へと向かうと玄関にリアナさんが出迎えに来てくれた。
「少し見ない内にまた逞しくなったわね」
「アルフは本当に努力家だからな、っと近況報告するなら先に部屋に入って話すか」
師匠の言葉に俺達は家の中へと入り、リビングへと移動した。
リビングには、以前までは無かった赤ちゃん用の道具が沢山置いてあった。
「ルディスくんは今はお昼寝中ですか?」
「ええ、さっき眠ったばかりだから暫くは大丈夫よ。それに起きても、ちゃんと見てもらってるから」
「子育てってやっぱり大変ですか?」
「う~ん、手伝ってくれる人達が居なかったら大変だったと思うわ。それにアレン君も仕事をお休みして、一緒に子育てしてくれてるから大変だとは思わないわ」
そうリアナさんが言うと、師匠は「俺の子供だからな、当然だろ」とちょっとだけ笑みが零れた表情でそう言った。
その後、前回も使わせてもらった部屋に荷物を置き、装備の確認をしてから家を出て冒険者ギルドへと向かった。
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