外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花

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第二章

第101話 【次の目標へ・3】

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 ギルドへとやって来た俺は、師匠と一緒に受付へと向かった。

「アルフ君にアレン様じゃないですか。今日はどうしたんですか?」

「実はこれから暫らくの間、アルフが冒険者活動を本格的にやる事になったから挨拶と早速一つ依頼を受けて貰おうと思ってな」

「そうなんですね。アルフ君、王都じゃ活動できませんからね」

 アンナさんは師匠の言葉を聞くと、納得した様子でそう言って早速俺に合う依頼を選んでくれた。
 本来、この依頼を選ぶなどは自分でする事なのだが、師匠の付き添いというのもあってやってくれている。

「これなんてどうですか? アルフ君が今まで戦った事のないオーガという種族で、一匹だけ目撃されたので討伐をして欲しいという依頼なんですが」

「アルフなら簡単に倒せそうだな……どうだやってみるか?」

「そうですね。オーガという種族は知ってますが、まだ戦った事はないのでその依頼で良いと思います」

 オーガという種族は、人型の魔物の中でも体格が大きい事で有名な魔物。
 大体2mから3m程の大きさで、接近戦を得意とする魔物と本で読んだ事がある。
 それからその依頼を受けた俺は、一人で街の外へと出た。
 今までは師匠と共に行っていたが、依頼は受けた者達だけが行くのが本来のやり方。
 なので師匠は街に残り、俺は一人でオーガの討伐に向かった。

「居た……」

 街を出てから一時間程歩いて来た俺は、目的地に到着して辺りを探索した。
 すると、視線の先に食事をしているオーガを発見した。
 体格は目測になるが、大体2m50㎝とやや体格がいい方のオーガか……。

「あたりに他の魔物の気配も感じないし、今やるのがいいな」

 俺は剣を抜き、いつでも戦える状態のまま少しオーガに近づいた。

「グァ?」

 数歩近づくと、オーガは周囲の異変。
 俺の魔力に感づいたのか、少しだけ警戒して辺りを見渡した。
 しかし、まだ腹が減ってるのか食事を再開した。

「今だな」

 更に数歩近づき、魔法が直撃したら一発でやれる距離に移動した。
 そして俺はオーガの頭部に向けて、【氷属性魔法】で氷の槍を作り放った。

「グァッ——」

「叫ばれると、魔物を呼んでしまうから静かにしろ」

 頭部を貫かれたオーガが最後に悲鳴を叫ぼうとしたが、一瞬で氷で顔全体を覆い叫ばせなかった。
 そして、オーガが絶命したのを見届けた俺は、周囲に魔物が居ないか【気配察知】を使って調べ、何もいないのを確認した。

「一発で仕留めれて良かった。本で見た通り、食事に夢中になってる時は警戒心が薄れていたな……さてと、依頼の対象はこいつだけだから街に帰るか」

 魔物が現れる前に撤収しようと、俺はオーガの死体を回収してからその場から立ち去った。
 それから来た道を戻り、街へと戻ってきた俺はギルドへと向かい受付で討伐を終えた事を伝えた。

「聞いていた通り、アルフ君は凄く強くなったみたいだね」

 討伐証明の為に切り取ったオーガの角を見たアンナさんは、平然した様子でそう言うと報酬を渡してくれた。

「そう言えば、アンナさん。オーガの死体って売れますか? 一応、回収しておきましたけど」

「オーガは殆どが使える素材なので、かなり高額で買い取っていますよ」

 持っておいても特に使い道がない俺は、アンナさんの言葉を聞きオーガの死体を売る事にした。
 2m越えの死体の為、この場で出すと業務に支障が出てしまう為、ギルドの地下にある解体場へとアンナさんと一緒に向かった。
 そして解体場の方でオーガの死体を出すと、その状態の良さにアンナさんと解体場のおじさんは驚いていた。

「こんな綺麗なオーガの死体は久しぶりに見るな……」

「私もこれ程、状態の良い死体を見るのは久しぶりです。頭部は無くなっていますが、それ以外はほぼ無傷ですからね。アルフ君、もしかして一発で仕留めたの?」

「はい。頭部に魔法を放ち、一発で倒しました」

「……流石、アレン様のお弟子さんね」

 アンナさんはそう言った後、オーガの死体は状態が良いので金貨1枚で買い取ると言った。
 討伐した魔物の死体を回収したら、金貨一枚も臨時収入が入った俺は笑みを浮かべて金貨を受け取った。
 それから依頼を終えた俺は、アンナさんに「明日も来ますね」と言ってギルドを出て、師匠の家へと向かった。

「もう終わったのか? 早かったな」

「はい。丁度、オーガが食事をしていたのでその隙を突いて倒してきました」

「それは運がいいな、まあ運も実力の内って言うし、取り合えずはお疲れさん」

 それから師匠から、明日からの依頼についてギルドから資料を貰って来たらしいのでそれを見て決める事にした。

「あら、アルフ君帰ってたのね。おかえりなさい」

「リアナさん、ただいまです」

 師匠の家なのに〝ただいま〟という事に少しだけ違和感があったが、俺は直ぐに言葉を言えた。

「ねえ、アルフ君にお願いしたい事があるんだけど」

「お願いですか? はい。俺に出来る事なら、何でも聞きますよ!」

「ふふっ、ありがとう。実はアルフ君に、私と一緒に料理を作ってほしいのよ」

「料理ですか?」

 どんな頼みかなと少しワクワクしていた俺は、〝一緒に料理〟と聞いて首を傾げてそう言った。

「リアナは本職の料理人だから、アルフの作る料理のレベルが知りたいんだよ」

「えっと、俺が作れるのは家庭的な料理だけですよ?」

「でも【調理】のスキルレベルは10なんでしょ? 私も同じスキルを持っているけど、まだスキルレベル10になっていないのよ。だから、どの程度の差があるのか実際に試したいの、アルフ君お願いできるかしら?」

 リアナさんからそう言われた俺は、リアナさんと勝負するみたいで少しだけ抵抗感があった。
 しかし、リアナさんが望んだ事だしな……。
 そうしてお世話になってるのに何も返せてない俺は、そのお願いを聞き入れ、夕食を一緒に作る事になった。
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