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第二章
第120話 【学園からの頼み・1】
しおりを挟む長期休みが終わり、新学期を迎えた俺達は授業に慣れるよりも早くにテストが行われた。
事前に勉強会でテスト対策をしていた俺達は、特に問題に詰まる事は無く無事にテストを乗り越えた。
「長期休み明けのテストで、ここまで良い点数取れたのははじめて……勉強会をして本当に良かった」
「本当にね。毎回、休み明けのテストは嫌だったけど今回はそこまで嫌じゃなかったもん」
「休み明けでこんなに良い点数はじめて……」
テストから数日後、返却されたテストを各自見て点数がそれなりに高く、アリス達は物凄く喜んでいた。
そしてテストを頑張った俺達は、点数を確認した日にお疲れ様会として商業区にある食事屋に行く事にした。
事前にお疲れ様会に行こうと思っていると、エルドさんに言うとこのお店を紹介してもらった。
エルドさんの紹介で来たと言うと、本来は予約しないと食べられない希少な部位を使ったお肉料理を提供してもらう事になった。
「ルクリア商会って本当に凄いよね……このお店って王都でもかなりの人気店なのに、当日に来たっていうだけで入れて予約殺到してるお肉料理も食べられるなんて」
「それは俺もこの数ヵ月で本当に思うよ。もしかしたら、その辺の貴族以上権力がありそうだよね。陛下ともエルドさんは仲いいし」
「王子様とはアルフ君とクラリスちゃんが仲良いから、本当にルクリア商会を敵に回したらこの国では生きていけなさそうだよね」
そう俺達はルクリア商会について話をしていると、注文した料理が届いた。
希少部位を使われた予約制のお肉料理は、届いた瞬間から物凄い美味しい匂いを発していた。
店員さんからお肉料理の説明をされた俺達は、店員さんが出て行ってすぐにその料理を食べ始めた。
「「美味ッ!」」
「「美味しい~!」」
俺とレイン、アリスとリサはそれぞれ料理を食べて同じような反応をした。
口の中に入れた瞬間、お肉の美味しさが口全体に広がった。
「このお肉、肉自体も物凄く美味しい物が使われてるけど、調理した料理人さんの技術も高い気がする……」
「本当に凄いよね……これいっちゃうと、あれだけどアルフ君とアリスちゃんの友達になれて本当に良かった~」
リサがそう言うと、レインも「僕もそう思う」と言いながら美味しそうに料理を食べていた。
まあ、この料理を食べたら俺だってそう思うだろうなと思った。
その後、俺達は夢中で料理を食べ、気づけば皆は料理を完食していた。
「一瞬だったね……」
「もっと食べたかったけど、予約制の料理だし難しいもんね~」
レインとリサは、お肉料理を食べ終えると悲し気にそう呟いた。
それから俺達は、会計を済ませて店を出た。
今日はこの後、リサ達は親と約束があるらしいのでここで解散する事になり、俺とアリスは商会に戻って来た。
そして俺とアリスは食後の運動でもしようと、広場へと行き軽く体を動かす事にした。
「ねえ、アルフ君。さっき、お店でリサちゃん達が悲しんでる時に何か考えてる風に見えたけど、何を考えてたの?」
「アリスにはバレてたか……実はさっき、料理を食べる時にどんな肉を使ってるんだろうと思って肉に【鑑定】を使ったんだよ。それでどの肉かなって思ったら、俺も倒したの事あるボア種の【キングボア】って魔物だったんだよね」
「……禁止されてる訳では無いけど、お店の料理に【鑑定】とかってしていいのかな?」
「毒とか入ってたらいけないから、貴族はしてるみたいな事は聞いた事があるけど……まあ、やっちゃ駄目だったかも」
アリスからの指摘に俺は、お店に対しての罪悪感を感じた。
そうアリスと話していると、エリスさんが広場にやって来た。
「アルフ君、帰って来たのね。ちょっと今時間大丈夫かしら?」
「えっと、アリスと訓練してましたけど何かあったんですか?」
慌ててやって来たエリスさんに俺は、何かあったのかと思いそう尋ねた。
「エルド様がアルフ君が帰宅したら連れてきてほしいって頼まれたの」
「……えっ、もしかしてバレたのかな」
エルドさんから呼び出しに俺は、こんな早くにお店の料理を鑑定した事がバレたのかと思い心臓の鼓動が早くなった。
謝るなら早い方が良いと思い、エルドさんの部屋に向かった。
「エルドさん、本当にすみません!」
「んっ、どうして入って来て早々に謝罪をするんだ?」
エルドさんの部屋に到着した俺は、部屋に入って直ぐに頭を下げてエルドさんに対して謝罪をした。
すると、エルドさんは謝罪をした俺に困惑した。
「えっ? 紹介してもらったお店の料理を【鑑定】した事に対しての呼び出しじゃないんですか?」
「違うぞ? それに店の料理を鑑定する事は、上位の冒険者や貴族であればしてる事だし、別に咎める事でもないからそんな事で呼び出したりせんぞ」
エルドさんはそう言うと、俺はここに来るまでずっとやっちいけない事をしたと思い込んでいた。
その為、その言葉を聞いて安心して体の力が抜けて、その場に座り込んだ。
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