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第二章
第137話 【大会後・2】
しおりを挟む大会から三日間は休日となっていて、パーティーの翌日は俺達は皆で集まった訓練をする事にした。
休みなのに訓練? と俺は感じたが、大会で各々自分の課題を見つけたらしく、早く訓練がしたいとウズウズしていたみたいだ。
「本当に私も参加していいの?」
「良いですよ。デイルの婚約者ですし、何よりヘレナさんだけ仲間外れは俺も気分が悪いですから」
パーティーに参加していて、お泊りも一緒にしたヘレナさんは自分も参加していいのか不安な表情をしていた。
俺はそんなヘレナさんにそう言うと、リサ達も「一緒に訓練しましょう!」と既に仲良くなっているみたいで、そんな風に誘っていた。
「そう言えば、ヘレナさんは詠唱で魔法を使ってますけど、無詠唱は習って無いんですか?」
「いや、そもそも無詠唱って習っただけで出来るものじゃないわよ? 私、試合中だったから驚くの我慢したけどアルフ君が無詠唱で魔法を使ってきて本当に驚いたんだよ?」
「師匠に無詠唱を叩きこまれましたからね……でも、それで言うとレインとデイル以外の魔法が使えるメンバーは、使える魔法の差はありますけど無詠唱での魔法を使う事は出来ますよ」
俺はヘレナさんにそう言い、アリス達に自分達の扱える無詠唱での魔法を使って貰った。
「む、無詠唱ってこんな簡単に出来る技じゃない筈なのに……」
「まあ、これに関しては俺のスキルが関係してるんですよね。昨日は学園の中で人が居たので詳しく話せませんでしたが、俺の成長系のスキルは他人に対しても効果を発揮するタイプのスキルなんですよ」
そう俺は言いながら、俺の持つ【経験値固定】について説明をした。
一通り、話を聞いたヘレナさんは「そんなスキルがあったなんて、凄いわね……」と驚いた表情をしながらそう言った。
「それにアルフは【指導】のスキルも持ってるから、僕達の学ぶ速度も速かったってのも理由の一つだね」
「……長期休暇の誘い、もっとちゃんと受け止めてたら良かった。もし、あそこでここの訓練に参加してたら、私もっと強くなってたんだろうな」
ヘレナさんは若干落ち込んだ様子でそう言うと、婚約者であるデイルが慰めていた。
その後、いつもの様に剣術と魔法に二つに分かれて訓練を始めた。
「魔法はアレンさん、剣術はフローラさんに教わってるの!? だから、あんなに剣の扱いも上手かったんだね。という事は、アルフ君は魔法剣士を目指してるの?」
「そうですね。今の所は、魔法と剣術の二つを覚えているので魔法剣士を目指してますけど、これから先また何か学びたい事があればそれらも学ぶつもりでは居ますね」
お昼休憩として、食堂で食事をしながらそんな話をしていると、食堂にフローラさんがやって来た。
「あら、学生組が揃ってるわね。さっきまで広場に居たみたいだけど、体格の次の日からもう訓練をしてるの?」
「はい。皆、大会で課題を見つけたといってやる気がありましたから、逆にフローラさんは今日は訓練場に居ませんでしたけど、何か予定でもあったんですか?」
「ううん。ただ、昨日のパーティーでちょっと飲み過ぎてさっき起きたのよ」
そうフローラさんは言うと、食堂のおばちゃんに自分の料理を頼み、食事を持って俺達の近くに座った。
そして食事を終えた後、フローラさんも訓練に加わり、一緒に広場で訓練をする事にした。
「アルフ。それじゃ、また学園で」
「アルフ君、またね」
「訓練に参加させてくれてありがとう。一日だけだったけど、少し強くなった気がするわ。また参加してもいいかしら?」
「はい。休日は自分の訓練で王都から離れる事が多いですが、平日はアリス達と一緒に訓練をしてるので時間が合う日があればいつでも来て大丈夫ですよ」
一日の訓練を終え、商会の前で見送りをする際にヘレナさんから今後、訓練に参加したいと言われた俺はそう返答した。
許可は既に貰っているから、断る理由はない。
そうして、レオルド達を見送った俺は寮に戻る事にした。
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