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第二章 迷宮へ挑む
第19話
迷宮都市の鍛冶屋との出会いから一週間が経ち、装備が出来上がる期日となったので俺達は再び鍛冶屋へとやって来ていた。あの後、ここの鍛冶屋について調べたのだがこの都市でも有数の鍛冶師で、一式装備を作ってもらおうと思ったら金貨が数百枚必要と言う事を聞いた。
それ程の腕の持ち主が助けてくれたという事で、6人分の装備を作ってくれる何て腕も良く心も広い人物なんだと感じた。
「ロイド達来たな、装備は出来上がってるぞ」
店に入ると、グルルドさんがカウンターで俺達が来るのを待っていた。それから、俺達はグルルドさんについて来いと言われて後を付いて行き別室に移動した。そして、別室には6人分の装備が防具立てに着飾られていて、どれもが一級品の物だと理解出来る程素晴らしい出来だった。
「本当にこれをタダでもらえるんですか?」
「あぁ、これが作れるのをロイド達があの時助けてくれたおかげだからな、いつか恩返しが出来たらと思ってこれまで腕を磨き続けてきたんだよ」
俺達はそのグルルドさんの言葉に「ありがとうございます」と返して、アリサ達は別室で装備を着てくると言って女性の店員に連れられて行き、俺はその場で新しい装備に着替えた。
新しい俺の装備は、黒を主体とした色合いの革装備であるが、この革の素材に使われてるのは〝黒魔竜〟の素材で竜種の素材で出来ていた。更に所々に同じく〝黒魔竜〟の鱗でコーティングされており打撃・魔法の防御力が凄まじい事になっていた。更に、下のズボンには剣を掛け下ろす所は勿論の事、短剣・投擲用の針を収納する為のちょっとした工夫が施されていた。
戦い方を魔法剣士と伝えていたので、武器の剣も凄い代物となっていた。作ってもらった剣の素材には〝ミスリル鉱石〟が使用されており、魔力を流すのに最適な鉱石を使われているので俺が少し魔力を流しただけで刀身の輝きは別物となった。
「グルルドさん、この装備。本当に凄いですよ……」
「気に入ってくれたようで良かったよ。魔法剣士なら革装備が無難だと思ってよ。それなら、竜種の素材をケチらずに使って物理・魔法の両方の防御に特化した物を作ってやろうってな、まあロイドの装備分しか〝黒魔竜〟の素材が無かったら他の嬢ちゃん達のには別の素材を使用したがな」
「そうは言いますけど、さっきチラッとみましたけど、アリサ達の装備にも他の竜種の素材を使ってませんでしたか?」
俺の言葉にグルルドさんはニヤッと笑うと「ため込んでいた竜種の素材を全て使い切ってやるって勢いで作ったからな、結局無くなったのは〝黒魔竜〟の素材だけだったよ」と言った。それから、アリサ達が戻って来ると新しい装備の性能に驚いている様子だった。
「この装備、魔王討伐時に着てた装備よりも格段に凄いよ」
「剣も前のより軽くて振りやすいな」
「この杖も魔力の流れが今までよりもすごく早くて使いやすい気がします」
元勇者パーティーメンバーは、魔王討伐時よりも性能が良い装備に驚いていた。アリサ達の後にミリアとリズも自分達の装備の性能の凄さを興奮した様に言っていると、グルルドさんが嬉しそうに「気に入ってくれたようで良かったよ」と言った。
皆はそう言ったグルルドさんに対して、頭を下げてお礼を言った。それから、俺達は早速装備の性能が試したくて我慢していた迷宮へと潜りに行く事にした。
「ここが迷宮の入り口か……旅をしている時は、ここに寄った事が無かったから俺も楽しみだな」
「確か、ここの迷宮って未だに突破した人が居ないんだよね? だったら、私達が突破してみようよ!」
「意気込みは大事だけど、まずは装備の性能の確認と連携の確認の為に入るだけだから変に下に潜ろうって思ったらだめだぞ」
迷宮に着くとモモが嬉しそうに言っていたので、そう注意を言ってから俺達は迷宮の中へと入って行った。この迷宮は、異空間型の迷宮みたいで一定の階層ごとに世界観が変わる仕組みだと一週間の間に調べて分かった。
まず最初は、洞窟の様な場所でそこを抜けると草原、更に抜けると森……と色んなバイオームが存在しているみたいだ。まあ、確かにそう言った迷宮は攻略が困難だと両親との旅で分かっているので本格的に攻略目的で潜るなら金策をきちんとやり、物資を整えてから行くのが正解だろう。
「アリサ、ミキ、モモ。まずは、実力をみせてくれ。俺の実力は既に勇者との一戦で見せているが、アリサ達の実力はまだ見て無いからな」
「りょーかい。ミキ、モモ行くよ!」
「見ててくださいね。ロイド様」
「ロイド、私達の実力を見て驚くなよ」
アリサ達と意気揚々と俺達の元から先行し、前方に見えていたオークとの戦闘を始めた。3人の中で唯一の前衛であるモモは2人より更に先行しオークとの戦闘を始め、モモがオークと戦っている間にミキがアリサの魔力を強化し、ミキによって魔力が強化されたアリサは〖雷・光〗の二属性の魔術を〖合成魔法〗で合わせ、モモに下がる様に指示を出すと同時に魔法を放ち、オークを絶命させた。
「こんな感じで強敵は倒してたかな? 流石にオーク相手にあれだけの連携を使わないけど、多分ロイド君はこんな戦い方を見せて欲しいと思ってやってみたけど、どうだった?」
「良いと思うよ。流石、魔王を討伐したパーティーなだけあるな」
そう褒めると三人は嬉しそうに笑顔になり、それを見ていたミリアが「私の実力も見て欲しいですね」と進言したので、だったらリズと連携してやってみるかと提案した。
「リズさん、前衛を任せても良いですか?」
「はい。これでも、攻撃に耐える事は得意だったので」
「それは良かったです。でしたら……」
ミリアとリズと小声で話し合うと、互いに頷いて先行して行った。そして、出てきたオーガに対してリズが先行すると、オーガは小さな獲物であるリズに拳を振りかざした。しかし、グルルドさんに作って貰った体位の大きさの盾を構えていたリズはオーガの攻撃に耐えた。耐えた事に驚いたオーガは更に追撃をしていて、もう一人の敵であるミリアを完全に忘れていた。
そして、姿を確認されずにミリアはオーガの近くまで寄ると、一気にオーガの頭の位置までオーガの体を使って上り、首元にグルルドさん特製のナイフを突き刺し、急所を突いたミリアの攻撃によりオーガは苦しみながら絶命した。
「リズは思っていた通りの戦い方だけど、ミリア。お前のその戦い方は驚いた……」
「最初に言った筈ですよ? 護身術や魔法の訓練は怠っていないと、これでも暗殺術は得意なんですよ」
ミリアはニッコリと笑顔で言うと、その姿にアリサ達でさえ「初めて知った」と呟いて驚いていた。
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