婚約破棄された侯爵令嬢は、王都を出て西の島にやってきた

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序章

プロローグ

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「そ、そんな・・・。」

「考え直してもらえませんか?」

モンターニュ侯爵夫妻は、フルーヴ公爵家からの突然の申し出に、頭が真っ白になった。なんといっても、2カ月後にはフルーヴ公爵家の長男ベルナールと娘のスザンヌとの結婚式が控えていたのだ。

「これはもう、決まったことです。」

フルーヴ公爵家の執事は、冷たく言った。物腰は柔らかだったが、有無を言わせない雰囲気であった。

「わ、わかりました。」

モンターニュ公爵は力なく返答した。フルーヴ公爵家の執事は軽く会釈した後、靴音を響かせて大広間から出て行った。あとに残されたモンターニュ公爵夫妻は、途方に暮れていた。

やがて、モンターニュ公爵夫人はめまいがしたのか、その場に座り込んでしまった。モンターニュ公爵は、夫人の肩に手をやった。公爵家の使用人たちも次々と夫妻を心配して一気に駆けつけてきた。

「旦那さま!」

「奥さま!」
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