光の果てに至るまで

松原塩

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9 永遠の結び

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 目を覚ますと、知らない天井が目に入った。仰向けになった身体がひどく重い。
 傍らに銀色のものが見える。床に座り込んだレイがベッドに顔を伏せていて、その銀髪がカーテンの隙間から差し込む細い光を反射していた。静かな部屋で、彼が泣くひきつった息の音だけが漏れている。かわいそうだ。
 ジェイスは体を起こしてレイを抱き締めたかったが、目覚めたばかりの身体は異常なまでに力が入らない。
「レイ、どうした? 泣くなよ」
 かすれた声で呼びかける。弾かれたように顔を上げたレイが、ジェイスの方へ身を乗り出した。双眸からとめどなく涙が溢れては白い頬を伝い、雫となって落ちていった。
「ジェイス」
 涙で震える声があまりに哀れで、ジェイスは今度こそ軋む体を動かし、レイを抱き寄せた。うまく力が入らずそのまま一緒にベッドに倒れ込む。
 レイを抱き締めると妙にほっとして、やっと自分の身に何が起こったのかを思い出した。
「泣くなって。俺あの後どうなったんだ? レイ?」
 何とか返事しようとしてはいるが、レイは泣きすぎて言葉になっていない。
 この尋常でない様子を見るに、余程危険なことになっていたのだろうなとは思った。
「消し炭になるところでした」
 アメアの声がする。視線だけ向ければ、入り口に呆れ顔のアメアが立っていた。顔に疲労が色濃く滲んでいる。
「マジ?」
「オレが障壁を張りましたけど、それでもすごい吹っ飛んでたし指先ちょっと減りましたよ」
 さすがにぞっとして、重い腕を持ち上げて指先を確認するが、どの指も元の長さと変わっていないようだ。
「治してくれた? ありがとう」
「オレの反応があとちょっと遅れてたらほんとに消滅してましたよ。吹っ飛んだジェイス見てレイが物凄い錯乱してオレが怒って連れて帰ってきました」
 錯乱するレイの様子は見て来たかのように瞼に浮かぶが、レイに怒るアメアのイメージがわかなかった。あんな状況で、アメアもきっといっぱいいっぱいだったのだろう。その状況で力を尽くしてくれたアメアには感謝してもしきれない。
 以前ヴィエンヌとホザンナから、天の園ではレイの超高温の光で魂が溶けあっていたような話を聞いた。邪神になって光が弱まったとはいえ、生身でその光に触れて無事でいられるわけがない。
 一緒に来てくれたのがアメアでよかったと心底思った。
「迷惑かけたな」
「まったくです。体の調子はどうですか」
「まあまあ、痛いとことかは無いかな」
 死ぬほど体がだるくて重いことは言わないでおいた。腕の中の男が気にするだろうから。
 ジェイスがアメアと喋っている間も、レイはジェイスに体を預けてじっとしていた。胸が涙で濡れていくのを感じる。
「ほら、アメアのおかげで俺は元気に生還したし、レイ、俺レイに泣かれると困るんだって」
 アメアが軽く溜息を吐いて、すぐに部屋から出て行く。気を使ってくれたことに感謝しつつ、レイの背中を軽く擦った。
「怖かった? 俺が死ぬと思って?」
 レイが頷く。ジェイスは苦笑した。
「俺だってレイが死んだら同じくらい悲しいし苦しいよ」
 顔を上げたレイが、赤い目をいっぱいに見開いてジェイスを見る。驚きに涙は止まったようで、信じられないというようなその表情につい苦笑してしまった。
「あんなに醜い姿を見ても?」
「俺のためだろ。かわいいよ」
「お前のためじゃない、私が勝手に愛しただけだ」
「はは」
 拗ねた子供のような口調がかわいらしい。濡れた頬を傷付けないように優しく指で拭いながら、ジェイスは笑った。
「じゃあ俺にも勝手に愛させてくれよ」
 レイは眉を下げて、困ったような顔になる。ジェイスの上からどこうとしないで腕の中で大人しくしているあたり、嫌というわけではなさそうだが、どうにも煮え切らない。
「まだなんかある?」
 できるだけ優しい声音で訊ねると、レイは弱り切ったような声を出した。
「私は本当に考えていなかったんだ……私がお前となんて。私がお前の幸せを奪ってしまったのに」
 五十年、百年、積み重ねた自責の念はそう簡単に消えはしない。頑なに自分のせいだと思い込むレイを、力が入らないなりに強く抱き締めた。
「じゃあ奪ったあんたが与えてくれよ。レイの全部を与えてくれよ」
 レイは抵抗もせず、ジェイスに身を任せている。体に圧し掛かる重みと体温を感じるとたまらない気持ちになった。全部欲しい。この美しい体から、醜い邪神の体、震えながら輝く魂まで全部だ。
「そんなものを望むのか。人間としての栄誉や繁栄よりも」
「レイを抱き締めるより大事なことこの世にあるか?」
 本気でそう思えてきっぱりと言い切る。ジェイスの言葉で抱き締められている現状に急に気付いたかのように、腕の中でレイがもぞもぞ身動ぎしはじめた。いつものレイが戻って来たような気がする。逃げられないように彼を抱く腕に力を込めた。
「レイ。俺レイがほしいよ。レイの全部をくれ」
 レイは泣きそうな目でジェイスを見て、口を開こうとして躊躇って、俯くようにジェイスの胸に頬を預けた。繊細な長い睫毛をじっと見ていると、やがて小さく吐息のような声が囁く。
「わかった」
 その瞬間、全身の細胞が沸き立つような感触がした。
 レイがついに、初めて、ジェイスの気持ちを受け入れてくれた。満ち溢れる歓喜にどうにかなってしまいそうで、場所を入れ替わるようにレイをベッドに転がす。急な動きに驚いているレイの薄い唇に唇を押し付けると、体を強張らせてジェイスの肩をぐいぐいと押してきた。
「だめだ」
「嫌?」
「体に障る。安静にしろ」
「じゃあ体が治ったらいいのか」
 睫毛が触れそうなほどの至近距離で訊ねる。レイは瞼を伏せて、視線から逃げるように顔を背けた。白い頬がじわっと赤く染まっていく。
「いい」
 小さな声に、心臓が爆ぜるかと思った。
 ジェイスはベッドに倒れ込んで、抑えきれない喜びのままにレイをもう一度抱き締めた。



「じゃあ、また春に。なんならお兄さん連れてきてもいいよ」
 ジェイスの言葉に、アメアが渋い顔になる。せっかく仲直りした兄とまた離ればなれになるのもどうかと思い提案したのだが、一体どういう心境なのだろう。
 嘆きの塔で邪神に吹っ飛ばされてから七日が経ち、三人の旅は一旦終わりを迎えた。
 世間は、突然首都上空に現れた竜と、破壊された嘆きの塔と崩れた山の話題で持ちきりだ。まだベッドから起き上がれなかった時にアメアが差し入れてくれた新聞では、竜と邪神が争って共倒れしただの、塔の上階に居た青年が塔を制覇したのではないかだの勝手な憶測が飛び交っていた。青年とはバドのことだろう。勇者と同じ姿をした青年が、勇者の役割をなすり付けられそうになっている事実には少しだけ笑ってしまった。
 レイの計画では、本当ならジェイスが英雄に祭り上げられるはずだった。それが台無しになって不満げだったが、口に出すことはなかった。彼は本当に、ジェイスに人間として絵に描いたような幸せを押し付けることを諦めて、ジェイスを受け入れてくれたのだ。
 三日ほどでジェイスは楽に体を起こせるくらいには回復し、しっかりと食事を摂るようになってからはみるみる元気になった。
 嘆きの塔を目指す旅は終わったが、ジェイスはこの先もダンジョンの破壊を目指して各地を回ろうと決めた。もちろんレイと一緒だ。レイが生み出してしまったダンジョンの後片付けのようなものだ。
 アメアは一旦家に帰るというので、しばらく休息をとり、春になったら合流して各地のダンジョンへ向かう約束をした。別にアメアに付き合う義理はなかったが、乗り掛かった舟だからと道を共にしてくれることになった。ありがたいことだ。ジェイスに何かあったらレイが何をするかわからないという状況は変わらないのだから、優秀な治療術師の存在は必須だった。
 列車に乗り込んだアメアを、手を振って見送る。アメアも仕方ないというような顔で小さく手を振り返してくれた。
 約束の春までの間、ジェイスはレイと生活の拠点を整えることにした。
 レイはジェイスが居ればどこでもいいと言うので、未だあまり人間が好きではない彼のために人口の少ない湖畔の町ティリニッジを選んだ。湖の美しい町はレイが過ごすのにきっとふさわしい。アメアの住むリベライマオにも近い。
 そして、勇者が訪れたことがない町でもあった。町中にテオバルドの面影を見付けられたりしたら今でも普通に嫉妬しそうなので、自分と新しい思い出を積み重ねてほしいという思いで選んだのだ。
 今回の旅でいくつかのダンジョンの核を売り払った金を元手に、庭つきの小さな家を買った。白い壁が爽やかで、庭には雑草が生えっぱなしになっているが、これから整えていけばいい。
 小高い丘の上の家からは、大きな湖が臨める。夕方には黒い木々の向こうに沈む夕日が水面に反射して、黒と鮮やかな橙のコントラストが美しい。町を選ぶ時にも家を探すときにも、レイに似合いそうかどうかを重視してしまった。
 レイは、ジェイスに触れられても以前のように抵抗することはなくなった。
 恥ずかしそうなところは変わらないが、抱き寄せると黙って俯いて、耐えかねると潤んだ目で控え目に見上げてくる。その度にジェイスは気がおかしくなりそうになる。
 レイの望まないことはしたくない。彼と共に居られて、抱き締められて、たまに口付けをしても受け入れてくれる。それだけで満足すべきだ。満足すべきなのだ。
 頭ではわかっているし、実際に満たされる気持ちもあるのだが、それだけで収まらないのが健全な青少年の性欲だった。
 小さな家には寝室がひとつしかない。晴れて両想いになったのだから今までのように部屋を分ける必要もないだろうと同じベッドで寝ていたのだが、眠るのに下手でぐずるレイをあやしているうちはまだよかった。
 だんだんと眠ることに慣れて、ジェイスの腕の中で穏やかに寝息を立てているところを見た時に、不意に思った。一生これ我慢するのか?
 こんなにかわいい男が腕の中に居て、こんなに愛おしく感じるのに、手を出すことができないなんて。気が狂いそうだ。

「ジェイス。顔色が悪い。調子が悪いのか?」
 冬が近くなったある朝、レイに心配げに声を掛けられた。外の空気は冷たいが、ベッドの中は二人分の体温で温かい。
「いや、全然」
 一晩中レイの体温を感じて悶々としていたジェイスは、そんなことはおくびにも出さずに答えた。納得していない顔のレイの気を逸らすように、体を起こしてベッドサイドのチェストから櫛を取り出す。
「髪とかしていいか」
 レイは不満顔で上体を起こす。膝には布団をかけたままだったが、肌寒いのか、暖炉に視線をやって瞬きするとパチッと火花が散って火が灯った。薪もないのに一体何が燃えているのか、煙も煤も出ないので便利ではある。
 寝起きで若干もつれているように見える長い銀髪は、ひっかかりもなくするすると心地よく櫛が通る。レイが痛い思いをしないように丁寧に梳いていると、気持ちが落ち着くような気がした。傷つけたくない、宝物なのだという思いがしみじみと湧きあがる。自分の欲で汚してしまうわけにはいかない。
「何食べようか、パンを卵にひたして焼いたやつにする? 好きだろ」
 料理はジェイスの役目だ。元々一人暮らししていたから料理はできるし、自分の作ったものがレイの血肉になると思うとかなりやりがいを感じる。
「具合が悪いなら病院に行くか、アメアを呼ぶか」
 まだ納得していなかったレイが振り向いて言う。こんなことでいちいち呼び出されていては、アメアもたまったものではない。
「大丈夫だって。今朝ちょっと寒いせいでそう見えたんだろ」
 レイは納得していないむすっとした顔で、再び暖炉に視線をやる。瞬きを合図に、炎が大きくなった。
 こんなにも純粋にジェイスのことを心配してくれて、今だって納得はしていないのに素直に室温を上げようとしてくれた。だというのに自分ときたら邪なことばかり考えている。情けない。まさかレイに欲情してよく眠れないのだなどと、言い出せるわけがなかった。

 夜、寝支度を整えたレイがベッドに入るのを見計らって、ジェイスは気まずさを押し殺した明るい調子で口を開いた。
「やっぱ別々で寝ないか? レイだって狭いだろ。俺はソファでいいから」
 できるだけ軽く言ったつもりだったが、レイの顔が曇った。良心が痛む。
「私のことがいやになったのか」
「いや!? 全然そんなことはないけど!?」
 心外すぎて頓狂な声が出た。ベッドに座って下半身に毛布をかけていたレイが、不安げな面持ちで見上げてきた。
「ならどうして」
「だから、狭いだろ? 俺もレイもでかいし」
 ベッドが狭いのは事実だ。二人で横になるとほとんど余裕がない。とはいえ別にレイを抱き寄せて寝る分には幸せしか感じないので寝苦しさなどはないのだが、近すぎることでジェイスに別の問題が発生しているのである。主に理性の問題が。
「だったらお前がベッドで寝るといい。私は別に眠らなくても平気だから」
「だめだ。寝ないとレイだって調子悪そうにしてるだろ。ちゃんと寝てくれ」
 レイはむくれて、視線を下に落とした。
「私は、力を使わなければ眠らなくても大して困らないし……お前が一緒に寝てくれるのが心地いいから、毎晩眠っていただけで……」
 ジェイスは深呼吸をした。落ち着かなければならない。
 夏の終わりから同棲を始めて、秋を共に過ごしたが、恋人になったレイの可愛さに毎日新鮮に驚いているし、噛み締めているし、脳が煮えそうになっている。
 俯いてベッドから降りようとするレイが寂しげで、自分の勝手で彼を悲しませている事実に耐えきれなくなった。
「ごめん、俺のせいだ」
 元より隠し事は苦手だ。どんなに情けなかろうと正直に言うしかないと覚悟を決めて、ジェイスは謝った。
「何がだ」
「レイと一緒に寝られないのは俺が悪い。俺が我慢できなくて」
「我慢できないほど私のことがいやなのか」
 レイが傷付いた顔になる。彼の悲しそうな顔は何度見ても心臓に悪い。血の気が引いて嫌な汗が出てくる。
「そうじゃなくて! 一緒に寝てると俺はレイを抱きたくなって我慢できなくなりそうでやばいんだよ!」
 焦りのあまり身も蓋もない吐露をすると、レイがきょとんとしてジェイスを見上げた。赤い無垢な瞳に罪悪感を煽られて、ひどく後ろめたい気持ちになる。
「性交の話をしているのか?」
「そうです」
 ばつが悪くて思わず敬語で返すと、レイがあからさまに驚いた顔になった。
「お前はもうその気はないのだと思っていた。私はあの時、お前の体が治ったらするのかと思っていたが、そんな気配も無いから」
 あの時ってどの時だ。急速に記憶を遡る。体が治ったら。邪神に吹っ飛ばされた後の話だ。レイにキスをして安静にしろと怒られて、体が治ったらいいと言われた。
 よかったのか。そのつもりだったのか。
 自分の努力が無駄だったと知って、ジェイスは一気に脱力した。
「まじかよ」
 呟いて、ベッドに仰向けに倒れ込む。
「セックスとか興味ないんじゃなかったのかよ……レイに嫌な思いさせたくなくてずっと我慢してたのに」
「確かに子を成さないセックスの意味はよくわからなかったが……」
 言い淀むレイの方へ顔を向けて見上げると、ほのかに赤く染まった頬のレイが、ジェイスの頭をそっと優しく撫でた。
「愛するひとに触れたいという人間の気持ちは、今はわかる、気がする……」
 気恥ずかしげに細められた眼。心臓が強く脈打って、ジェイスはがばりと起き上がり、驚きに軽く仰け反るレイの腕を捕えた。勢いのままに押し倒しそうになって、ぐっと踏み止まる。ぱっと手を離し、降参するように軽く両手を上げた。
「悪い。一旦冷静になろう」
「人間は冷静になってセックスすることは少ないのではないか」
「それはそうだろうけど!? 俺はレイにひどいことしたくないんだよ。男同士のやり方もよくわかってないし」
「私はわかっているが」
 聞き捨てならない言葉に、ジェイスの顔色が変わる。
「もしかしてしたことあるのか?」
 反射的に、バドの顔が頭に浮かんだ。レイがかつて執着していた勇者と同じ顔をもち、勇者を喪ったレイを慰めるために生まれた存在。もしかして慰めるとはそういう意味だったのか。一瞬で悪い想像が駆け巡り顔を強張らせるジェイスに、レイは怪訝そうに首を傾げた。
「ない。私は性交などする必要がなかった。繁殖しないのだから。だが、全知全能だったから知識はある」
「あ、あー、そういうこと……」
 相変わらず、レイのことになるとジェイスは冷静さを失ってしまう。目を瞑って反省するジェイスに何を考えたのか、レイが顔色を窺いながらおずおずと提案してくる。
「体だけでも女性形にするか?」
「……ん?」
「やはり女の体の方がいいんじゃないのか。機能まで持たせることはできないが、形状を近付けることならできると思う」
 ジェイスに女性を宛がうことは諦めたレイだったが、女性の方がいいのではないかという考えはまだ抜けていないらしい。この期に及んで何を言うのかと、軽い苛立ちを覚えた。
「そういうのまじでいらない。俺はあんたのこの体にずっと欲情してたし」
 レイの鎖骨から平たい胸へと手のひらで撫で下ろす。それまで平然と喋っていたレイの顔が一気に赤くなって、動揺にびくりと揺れた。そのまま手を下へ、下肢の間まで下ろしていく。
「ここも可愛がってやりたいって思ってたんだよ。俺から取り上げないでくれ」
 視線で射抜くようにレイを見て言うと、彼は混乱しきった顔で頷いた。
「あ、あ……?」
「……いい? 俺にレイを可愛がらせてくれる?」
 優しく口付けながら問いかけると、レイの瞼がとろんと下りてくる。レイはキスが好きだ。首に腕を回して抱き着いてくる恋人に、何度もついばむように口付けて、ゆるく開いた唇から覗く舌を吸った。
「……いい」
 許可を得て、ゆっくりとレイをベッドに横たえる。段々と口付けを深くして、舌で熱くぬめる口内をくまなく味わうように掻き回すと、レイが合間にあえかな声を漏らす。溺れているみたいだった。
「ああ、あ、ん……、ジェイス……」
 名残惜しく感じながらも唇を離すと、レイが陶然とした目で見上げてくる。それだけで体が熱くなった。
 ゆったりとした寝間着を剥ぎ取り、レイの白い肌が露わになる。ジェイスはレイの身体をまたぐように膝立ちになって、夢にまで見たその肢体を見下ろした。
 胸の頂も足の間も淡く色付いて、同じ男のものとは思えない。焦がれ続けた神の身体は、瑞々しい果実のようだった。
 明かりも消さないまま、ジェイスの視線に晒されても、レイは少しも恥ずかしがる素振りも見せない。出会った当初からそうだった。レイは素肌を見せることに少しも抵抗がないらしい。
「かわいい」
 胸の尖りに吸い寄せられるように口付けて、舌で舐ると、レイが喉を鳴らした。
「んっ、ぅ……」
「ここ、感じるのか」
 舌で圧し潰したり吸い付いたりするたびに、レイの体が小さく跳ねる。刺激するほどにぷくんと膨らむそこが愛らしくて、もう片方は手で愛撫すると、レイが熱い息をこぼした。
「わからない、あ、ぁ……、変なかんじだ」
 そう言うが、上擦る声には確かに快感が混じっている。確かめるように下肢に目を向ければ、そこはゆるく頭をもたげていて、ひとではないレイの体もひとと同じように感じるのだと安心した。
「こっちは?」
「あ!」
 下へ手を伸ばしてレイのものを握り込み、優しく上下にしごく。長身のレイの体格に見合っただけの大きさがあるのに、無垢を示すような淡い色をしているのがたまらなくアンバランスだった。
 直接的な刺激に、レイが目を見開いてジェイスの肩を両手で掴む。押しているのか、縋っているのかわからない。
「あっ、あ、や、いやだ」
「痛い?」
 少しでもレイに嫌な思いなんかさせたくない。動かしていた手を止めると、レイは潤んだ赤い目で見上げてくる。
「痛くはない……、でもこんな、こんな感覚知らない……」
「……もしかして、自慰したことない?」
「ない」
 衝撃で息が詰まった。そんなことあるか。あるのか。神様なら。
 ジェイスが、レイに初めての快楽を与えているのだと思うと、それだけで昂ってしまう。
 できるだけ興奮を抑えて、困惑に揺れるレイにそっと口付けた。
「俺にまかせて。怖くないよ」
「ん……」
 レイの薄い唇を割り、縮こまっている舌を舐め、絡ませる。うっとりとして口付けに夢中になっている隙に、再び手を動かして扱いてやる。先端からとろとろと蜜が溢れて、ぬちぬち音が鳴る。
 たどたどしい動きで応えてくる舌を吸ってやると、レイの体がぶるっと震えた。
「きもちい?」
「っは、ん……、きもちいい……」
 濡れた瞳で素直に返してくるのが可愛らしい。一度楽にしてやろうと擦る手を速めると、レイが混乱したように悲鳴じみた声を上げた。
「あ、あ! やっ、だめ、だめだジェイス、でる、でる……っ!」
「もしかして、射精するのも初めて?」
 興奮のあまり声が掠れる。レイは目をぎゅっと瞑って、こくこく頷いた。
 ジェイスはレイが十分に追い詰められているのを見計らって、膝を掴んで足を開かせると、今にも弾けそうなそこをぱくりと口に咥えた。
「っ!? ジェイス、何を、なんで、あっ、あ……!」
 口の中で肉の塊がぶるっと震え、白濁した体液を吐き出す。なぜか甘い味がする。全部出せとばかりに吸い上げると、レイがか細い悲鳴を上げて、思わず足を閉じたせいでジェイスの頭がふとももに挟まれた。
 出されたものを飲み込んで、ぺろりと唇を舐め、レイを見る。彼は信じられないものを見るような目をジェイスに向けていた。
「なんで……」
「いや、初めてだと思ったらなんかもったいなくて。ごちそうさま。……そんな顔するほど?」
 レイは驚きのあまり妙に深刻な顔でジェイスを見ていた。初めてのレイには刺激が強すぎたのだろうか。べつにジェイスだって全て初めてだ。
 ジェイスはこれまで異性からどれだけ言い寄られても興味が無かったし、同性だって同じだ。誰にも興味を抱かないまま生きて来た。今ならわかる。ジェイスはずっと、生まれる前から、レイにしか興味が無かったのだ。
「はぁ、あつ」
 レイに触れていただけですっかり暑くなってしまったジェイスは、シャツを脱ぎ捨てる。
「ジェイス、私ばっかり気持ちよくなっても意味がない」
「でも俺、レイに触ってるだけでこんなだよ」
 ズボンの前を寛げると、育ち切って天を向いたものが露わになる。レイが目を丸くして、そこをまじまじと見つめた。
「勃起している」
「おかげさまで」
 世間ずれしたレイの反応はちっとも色気が無い。一体何の会話をしているのだと思いつつ真顔で返した。
「私も手でしてやろうか?」
「それよりレイの中に挿りたいんだけど」
 単刀直入に望みを告げれば、レイはジェイスの顔と下肢を交互に見て、大きいな、と呟いた。ジェイスはレイを傷付けたりしないようできるだけ落ち着いて事を運ぼうとしているのに、本人がその努力を無意識に台無しにしようとする。全知全能だったくせしてどうしてこんなに無防備なのだろう。今レイの目の前に居るのは、彼を食い荒らしたくて仕方がない獣も同然なのに。
「ジェイス、そこに」
 レイが躊躇いがちに、ベッドサイドの棚を指差す。
「お前がくれたクリームが入っているから、それで尻を……いや、私がやる」
 動こうとするレイを制して、指示通り引き出しから保湿用のクリームを取り出す。冬にレイの肌が乾燥してはかわいそうだからと贈ったものだ。本人はあまり気にしていないようだが、ちゃんと使っているのでチューブは半分くらい減っていた。
「俺がやるよ。やらせて」
 レイは気まずげな顔をしていた。
「やっぱり女の……」
「指いれるよ」
 聞き飽きた文句には付き合わず、クリームを指に出して後孔をなぞる。硬く窄まったそこを揉み解すようにして、まずは指を一本挿入した。その途端熱い肉が締め付けてきて、心臓が早鐘を打つ。今指がレイの中を探って、包まれているのだと思うだけでジェイスのものが痛いほど張り詰めた。呼吸が荒くなる。
「痛くないか?」
「大丈夫だ」
 かと言って良くもなさそうだ。眉間に皺が寄っている。
「レイ」
 口付けると、薄く唇を開いてジェイスを素直に迎え入れてくれる。顰められていた顔がゆるんで、夢見心地な様子で腕をジェイスの首に回してきた。そうやってレイの気を逸らしている間に、中を慣らす指を二本、三本と増やしていく。
 ちゅっと音を立てて唇を離すと、体を汗でしっとりと濡らしたレイが息を震わせた。
「ジェイス、もう、大丈夫だと思う……」
「ほんとに?」
 それこそ華奢な女性というわけでもないのに、レイの体を傷付けてしまわないか不安になる。男を受け入れられるほど中が広がったのかと、ぐるりと指を回すようにして確かめると、レイが眉根を寄せて目をぎゅっと瞑り、悲鳴を上げた。
「っあ、あ!」
「痛かったか?」
「だい、じょうぶだと、言って……、早くしろ!」
 しまいには涙目で怒られる。ジェイスはレイの膝裏を掴んで足を抱え上げ、痛いほど昂った自身を窄まりへぐっと押し付けた。
「挿れるよ」
 レイは不安げな顔をしていたが、かすかに頷いた。ジェイスは生唾を呑み込み、腰を進める。途端にやわらかく、熱くとろけた肉に包み込まれて、息を詰めた。
 心臓が痛いほど脈打っている。小さく声を漏らしながら圧迫感に耐えるレイの顔がかわいくて、ゆっくりと挿入するつもりが、一瞬理性が飛んだ。一息に押し入ると、レイが背を仰け反らせて悲鳴を上げる。
「あ! やっ、あぁっ」
 その途端ぎゅうっと締め付けられて、ジェイスは射精しそうになるのをなんとか堪えた。
 見れば、ぐったりと横たわるレイの腹が白濁で汚れている。
「イったのか? 挿れただけで?」
 レイはひきつるような荒い呼吸をしながら、何が起こったのかわからないように混乱して呆然としていた。
「上手にイけて偉いな」
 宥めようと身を屈めてキスをすると、縋るように応えてくる。
 レイが落ち着くのを待ってから、その引き締まった細い腰を掴んだ。
「動くよ」
 レイが泣きそうな目で浅く頷いたのを確認して、ジェイスが律動を始める。
 引き抜こうとすると縋るように絡みつき、隘路を掻き分けて奥へ突き込むとぬめる媚肉が蠕動して奥へ奥へと引き込もうとしてくる。腰から快感が駆け上がって、全身が熱くなる。レイの口からはひっきりなしに嬌声が零れ、薄桃色に染まった白い裸身がなまめかしく跳ねるのが、何よりジェイスの劣情を誘った。
 荒い息を吐きながら、ただ目の前の恋しい人を貪ることしか考えられなくなる。
「あぁっ、あ、あっ、ジェイス、ジェイス……」
 レイのことを泣かせたくないと思っているのに、乱れて涙声を上げるレイにはただひたすらに興奮した。
 無我夢中で動いているうちに、レイの反応がよくなる場所があることに気付き、張り出した部分でそこを擦ってやる。
「やっ、あ、だめ、だめだそこ、やめて、やめてくれ……っ」
 レイが悲鳴を上げて、身をよじる。レイのものの先端からは、先走りがひっきりなしに溢れて幹を伝い、結合部まで垂れていた。
「痛い?」
「ちがう、また、またイってしまう……」
「いいよ、何度でもイって」
「だめだ、なんで、あっ、ジェイス!」
 レイが感じる場所を強く擦ると、レイの体ががくがくと跳ねて、中に入ったジェイスを食い締める。触れてもいない性器からぴゅ、ぴゅっと精液が溢れた。胸まで飛んだ精液を舐めとるが、レイは反応もなくぐったりとしていた。
「大丈夫か?」
「ん……」
 朦朧としているレイに何度か軽い口付けを落とす。
「レイ、かわいい、たまんねえ……」
 熱い溜息を吐き、ゆっくりと腰を揺すった。切れ切れに甘い声を漏らすレイの中は断続的に収縮して、まるでジェイスのものを味わっているようだった。汗が噴き出て、知らず知らずのうちに腰の動きが速くなる。
「ああ、あ、あ……っ」
 レイは横を向いて、強く目を閉じる。それが快感を噛み締めているように見えて腰がぞくぞくするが、顔を逸らさないで欲しいとも思う。
「レイ、こっち向いて」
「んぁ、ゃ、いやだ……」
「なんで? 俺のこといや?」
 答えのわかりきった問いを投げると、レイが眉を下げて泣きそうな、怒ったような顔をして涙の膜の張った赤い目でジェイスのことを見た。綺麗でおいしそうで、舐めてしまいたくなるのを抑えて目元に口付けを落とす。
「かわいい顔見せてくれないと寂しいだろ」
「だっ、だって、わたし、お前のこと」
「うん?」
 息も絶え絶えに何か訴えようとしているので、ジェイスは動きを緩やかなものに変える。
「お前のこと好きなのに……こんなの、死んでしまう……」
 息を震わせながらたどたどしく告げられる言葉に、なけなしの理性が崩壊した。
 レイの膝裏を抱え上げ、容赦なく中を抉る。
「あぁっ! ん、ぁ、あぁっ、あ、あっ、ジェイス、ジェイス」
「レイ、かわいい、好きだ、すき、かわいい」
「やっ、あ、あぁっ」
 限界を迎えたレイの足が宙を蹴る。中がうねって搾り取るような動きをして、耐えられずにジェイスは強く腰を押し付け、レイの奥で射精した。目の前が真っ白になる、強烈な絶頂感だった。
 どくどくと信じられないような量をレイの中に放って、その刺激でレイの体が幾度も痙攣する。最後の一滴まで注ぎ込んで、長く息を吐いた。くらくらする。
「レイ」
 力を失ってベッドに沈み込むレイを心配して呼びかけると、蕩けた目がジェイスを見る。のろのろと腕を伸ばされて、抱き締めてほしいのかと屈むと、逆に頭を胸に抱きこまれた。
「じょうずに、イけて、えらかったな……」
 よしよしと頭を撫でられて、たった今達したばかりだと言うのに、まだレイの中に挿ったままのものに血が集まる。レイもそれを体で感じ取って、びくりと震えた。
「また大きくなった」
 さすがにこんなの俺は悪くないんじゃないか、いや、俺が教えてしまったのか? 自問自答しながらも、最早ここでやめてやる選択肢はなかった。
「なるよ。あんたがかわいいと何度でも元気になる。次はゆっくりするから」
「次?」
 宣言通りゆっくりと抜き差しを始めると、すぐにレイの顔から余裕が消えた。一度中で出したせいで滑りがよくなり、じゅぷじゅぷとひどい水音が聞こえる。
「あ、ぁ……、だめ、ゆっくりだめ……。お前のかたち感じるから……ぁ」
 思えば、ジェイスのことを愛していると言ってはばからないこの男に、最初からずっと煽られ続けているような気がする。さすがにもうここまで来て我慢してやる道理はない。
 泣き声のように喘ぐレイの体をゆっくりと揺さぶり続けていると、中がぎゅっときつく締まってレイの性器が震える。もう出るものも無くなってしまったらしかった。
「感じやすいんだな」
「あっ!」
 ジェイスの抽挿に合わせて揺れる性器を指で軽くなぞると、そんな些細な刺激でさえレイは悲鳴を上げる。
 赤い目が恨みがましくジェイスを見た。
「わたっ、私は、天の園では排泄もしなかったから、こんな場所つかうの、慣れて、ないからっ」
 その言葉に、ジェイスは硬直した。すっかり息が上がったレイが、不思議そうに見上げてくる。
「ジェイス?」
「いや……、なんか……マジでレイを俺が汚したんだと思って……」
 睡眠もとらない、食事もしなければ排泄もしない、神聖で清らかないきものを地上に引きずり降ろしてしまった。あまつさえ性交という、神として生きていたなら一生知らなかったであろうことを、今まさに教えているのだ。こんな低俗で高尚で、深くまで混じり合い、奥底まで暴いて神聖を汚す行為を。
「はは、……っ」
 にわかに顔を曇らせるジェイスを見て、レイが軽く笑った。その振動ですら快感を拾ったのか、軽く息を詰める。それからまた笑って、ジェイスの頬に手を添えた。
「私が神性を取り戻したら、地上には居られないぞ。光ですべてを灼き尽くしてしまうからな。精々私を汚してくれ」
 笑うレイは男に組み敷かれ、体内に性器を埋め込まれている最中だとは思えないほど美しかった。
「……そうか」
 そもそもレイが勇者に対して異常なほどの愛情を傾け、神性を失うことがなければ、地上に降りてくることはできなかった。ジェイスに出逢うことも、こうして愛を交わすこともなかったのだ。
「レイが俺を好きになってくれてよかった」
 心の底からの呟きに、レイが伸ばした腕をジェイスの首に絡める。誘われるままに深く口付けて、このまま一生放したくないと思った。
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