21 / 24
21
しおりを挟む
「……つまり、ここ最近の無言電話はこないだ穂先輩が見つけたあのハッキングソフトの作成者で、この会社と何らかの理由でコンタクトを取りたくて無言電話なる迷惑行為を繰り返してきた結果、全く取り合ってもらえずに悶々としてたら、今日電話とった相手がまさかの穂先輩で感極まったその男はこれから会社にやってくる…ってことですか?」
「とんだ寂しがりヤローだな」
「楓先輩の担当分野ですね」
「ど変態はお断りだよ」
企画開発部のフロアにある会議室に移動した私たちは椅子を持ち寄って円になり、あの男、クラウス=ベーカーについて話していた。
「でもそいつ、ドイツ人なんでしょ?なんで今、日本の会社に来ることができるのよ」
「来日しているタイミングで、無言電話をかけてたのかと。多分理由は…」
「…もしかして、これのことかな?」
克己さんがスマホでネットニュースから一つの記事を拾ってきて見せてくれた。
「『日本のゲーム会社と、ドイツのクリエイターが共同開発。詳細は近日公開!』…3週間ほど前の記事だね。全国ニュースでも発表されてたみたいだ」
「この男、ゲーム開発者としては有能らしく、多くのコンテンツを残してきているそうです。詳細は明らかになっていませんが、ここにある"ドイツのクリエイター"である可能性はあるかと」
「なんでそんな奴がハッキングソフトなんて作ってるのよ」「趣味と実益を兼ねた副業感覚じゃないですかきっと」「それで人様に迷惑かけるもの作ってるなんて究極の構ってちゃんね。専門外だわ」「楓先輩の守備範囲内に入られても困りますけど」と楓先輩と蒼汰くんの息のあった掛け合いを続けているが、特に大事な話ではないので全力でスルーさせていただく。
「まぁ趣味にしてはあれ、えげつないプログラムでしたけど。まじ穂先輩のソフトなきゃ、やばかったですからね」
「最初ぶち当たったとき、ぞっとしましたよ」と腕をさする蒼汰くんに苦笑する。あのカウントの速さは確かに、なかなか追い詰められるものがあった。聞いていた楓先輩は「ふ~ん」と少し興味なさげだがったが、はっとした顔をした。
「それはそうと、穂。よく無言電話相手がそのハッカーだと分かったわね」
私もこの事態は全く想定していなかった。電話中は不可解な数字の繰り返しに嫌悪感を感じていたし、無音になってからは何が起きるか分からないことに恐怖心を抱いていたほどだ。今でも少し、身体が震えているのが分かる。ぐっと握りしめる手を隣に座る克己さんがそっと上から握ってくれたが、真っ暗な夜道を歩いている時のような背後の寒気が消えない。
「その人が電話越しに唱えていた数字っていうのが、そのー…海外の携帯番号だったみたいで…」
「……サーバー内で検索かけたら、穂ちゃんが前回調べて報告書に載せていた男の番号と一致したってことだね」
克己さんの言葉に大きく頷いて、あまりに静かな楓先輩と蒼汰くんを見ると、苦虫を噛み潰した顔をしていた。あれ、この顔既視感がある。
「……は、きっしょ」
「先輩に同意」
「またそういうこと言う…」
今度は身内の人間に言ってないだけマシか。
「いやきっしょいでしょ。自分の存在認知のために電話番号を繰り返すなんて…そいつはほんとに人の子か?」
「"ミノルちゃんなら、電話番号で分かるだろ?俺のこと…"っていう意図があるならそいつは人の子じゃないですね」
「"ミノルちゃんは名前よりも数字の方が馴染み深いだろ…?"っていうのは何、エンジニアなりのネタなの?それとも今の流行りなの?なぁ冬木」
「深山、穂ちゃんの害でしかない奴と僕を一緒にしないでくれる?」
「それとエンジニアのことも馬鹿にしないでください。少なくとも俺はそんなことしないですから」
「蒼汰はただの小坊だもんな」
「え、横山くん小学生なの?」
「だまれ、本命童貞」
「ふふふ、穂ちゃん限定でね」
「「褒めてないから」」
「いい加減話戻しませんか?」
エンジニアの口説き方なんてどうでもいいけどその気持ち悪いアテレコはいい加減やめてほしい。
げんなりした顔で三人を見つめていると、克己さんが不思議そうな顔で呟いた。
「でも、どうしてその男は穂ちゃんの名前を知っていたのかな?」
「あー…もしかしたら、前回彼のPCに潜り込んだ時にこっちのことも知られちゃったのかもしれません」
「潜り込んだ?」
突然克己さんの声色が低くなってドキリとする
「なにそれ。どういうこと?前回ってあの時のこと?あれは前から知ってた情報とかじゃないの?」
「いや、流石にそんな遠い国の人知らないし、スリーサイズまで知りたいと思わないし」
「だからあの時潜り込んだっていうの?なにそれ聞いてないけど」
「えちょっとなんでそんな怒ってるの?」
「怒るでしょ。危ないことして。もう二度としないで」
ふんっと鼻息を荒くする克己さんに呆然とする。そうか、確かにこれは危ないことだったな。久しくこのことを心配されることがなかったから油断してた。ソッチ方面の防御は完璧だったし、あまり自分の危険というものを考えたことがなかったのもある。きっと克己さんが心配するようなことは起きないのだが、知らない人からすれば危険だと思われるのかもしれない。
「ご、ごめんなさい…」
「もう二度としないで」
どうしよう。2回も言われてしまった。
「はぁー……まぁ、仮に"そんなことしなくても"穂先輩は界隈で有名ですからね。エンジニアとして知らない人はいないから、その男も普通にアイドルに会えた一般人くらいの感覚で言ったんだと思いますけどね」
「…へー、ふーん、アイドルねぇ…」
なかなか不機嫌がなおらない克己さんをチラチラ見つめる。そんなに怒られることとは思わなかった。自分のことをアイドルなんてそんなおこがましいこと思ったことはないのに。
……コンコン、ガチャッ…
「お話中失礼します。……冬木部長、企画開発部に用があるっていう男が、ロビーに来たらしいんですけど。アポとってないですし、どうしましょうかって…」
来た。
「僕が迎えに行くと伝えてくれる?」
「え…克己さん、」
「彼はうちの部に用があるみたいだからね。僕が対応するよ。あとは全部僕に任せて」
「で、でも…」
「大丈夫。僕を信じて?……それに、」
「?」
「僕はね、相手がただのファンであれ…僕の知らないところで君を困らせ怖がらせたその男が、心底許せないんだよ」
克己さんの目は真剣そのもので、その熱に何も言うことができなかった。
「とりあえず、ここからは僕が預かるから~」と言って、克己さんは1階のロビーまで行ってしまい、私たちは企画開発部を半ば追い出される形でシステム開発部に戻った。時刻は12:58。午後の勤務が始まる頃。
一体二人は何を話すんだろう。あの男の目的はなんだろう。彼は、どんな……彼に何かあったら…どうしたら、
コンコンッ…
「っ…、……え、克己さん…?」
「穂ちゃん、もう終わったからね」
「、え?」
「もう大丈夫だから。君は安心してね」
「そ、それってどういう…」
「ごめんね、これから社外で打ち合わせで。詳しくはまた帰ったら。とりあえず安心してって伝えたくて。……だからそんな顔しないで」
フロアの出口で話していた彼がデスクで頭を抱えていた私に寄ってきて、優しく頭を撫でてくれた。
「大丈夫だから。ね?」
「…っ、う、うん…」
「じゃ、また」
にっこり笑って去って行く彼になんとも声をかけれず、中途半端に伸びした手が宙を舞った。
「なんだったの、あいつ」
「さぁ…?」
…タタタッ………
「穂先輩!なんかやばいです!」
楓先輩のお使いというパシリに使われていた蒼汰くんが勢いよくフロア内へ滑り込んでくる。
「え、なにどうしたの?」
「顔面蒼白で行き倒れかけの外国人が全力疾走で会社から出ていきました。あれ絶対クラウス=ベーカー!」
「は?」
「うわぁ…冬木は何したの」
余計に心配事が増えたのは言うまでもない。
「とんだ寂しがりヤローだな」
「楓先輩の担当分野ですね」
「ど変態はお断りだよ」
企画開発部のフロアにある会議室に移動した私たちは椅子を持ち寄って円になり、あの男、クラウス=ベーカーについて話していた。
「でもそいつ、ドイツ人なんでしょ?なんで今、日本の会社に来ることができるのよ」
「来日しているタイミングで、無言電話をかけてたのかと。多分理由は…」
「…もしかして、これのことかな?」
克己さんがスマホでネットニュースから一つの記事を拾ってきて見せてくれた。
「『日本のゲーム会社と、ドイツのクリエイターが共同開発。詳細は近日公開!』…3週間ほど前の記事だね。全国ニュースでも発表されてたみたいだ」
「この男、ゲーム開発者としては有能らしく、多くのコンテンツを残してきているそうです。詳細は明らかになっていませんが、ここにある"ドイツのクリエイター"である可能性はあるかと」
「なんでそんな奴がハッキングソフトなんて作ってるのよ」「趣味と実益を兼ねた副業感覚じゃないですかきっと」「それで人様に迷惑かけるもの作ってるなんて究極の構ってちゃんね。専門外だわ」「楓先輩の守備範囲内に入られても困りますけど」と楓先輩と蒼汰くんの息のあった掛け合いを続けているが、特に大事な話ではないので全力でスルーさせていただく。
「まぁ趣味にしてはあれ、えげつないプログラムでしたけど。まじ穂先輩のソフトなきゃ、やばかったですからね」
「最初ぶち当たったとき、ぞっとしましたよ」と腕をさする蒼汰くんに苦笑する。あのカウントの速さは確かに、なかなか追い詰められるものがあった。聞いていた楓先輩は「ふ~ん」と少し興味なさげだがったが、はっとした顔をした。
「それはそうと、穂。よく無言電話相手がそのハッカーだと分かったわね」
私もこの事態は全く想定していなかった。電話中は不可解な数字の繰り返しに嫌悪感を感じていたし、無音になってからは何が起きるか分からないことに恐怖心を抱いていたほどだ。今でも少し、身体が震えているのが分かる。ぐっと握りしめる手を隣に座る克己さんがそっと上から握ってくれたが、真っ暗な夜道を歩いている時のような背後の寒気が消えない。
「その人が電話越しに唱えていた数字っていうのが、そのー…海外の携帯番号だったみたいで…」
「……サーバー内で検索かけたら、穂ちゃんが前回調べて報告書に載せていた男の番号と一致したってことだね」
克己さんの言葉に大きく頷いて、あまりに静かな楓先輩と蒼汰くんを見ると、苦虫を噛み潰した顔をしていた。あれ、この顔既視感がある。
「……は、きっしょ」
「先輩に同意」
「またそういうこと言う…」
今度は身内の人間に言ってないだけマシか。
「いやきっしょいでしょ。自分の存在認知のために電話番号を繰り返すなんて…そいつはほんとに人の子か?」
「"ミノルちゃんなら、電話番号で分かるだろ?俺のこと…"っていう意図があるならそいつは人の子じゃないですね」
「"ミノルちゃんは名前よりも数字の方が馴染み深いだろ…?"っていうのは何、エンジニアなりのネタなの?それとも今の流行りなの?なぁ冬木」
「深山、穂ちゃんの害でしかない奴と僕を一緒にしないでくれる?」
「それとエンジニアのことも馬鹿にしないでください。少なくとも俺はそんなことしないですから」
「蒼汰はただの小坊だもんな」
「え、横山くん小学生なの?」
「だまれ、本命童貞」
「ふふふ、穂ちゃん限定でね」
「「褒めてないから」」
「いい加減話戻しませんか?」
エンジニアの口説き方なんてどうでもいいけどその気持ち悪いアテレコはいい加減やめてほしい。
げんなりした顔で三人を見つめていると、克己さんが不思議そうな顔で呟いた。
「でも、どうしてその男は穂ちゃんの名前を知っていたのかな?」
「あー…もしかしたら、前回彼のPCに潜り込んだ時にこっちのことも知られちゃったのかもしれません」
「潜り込んだ?」
突然克己さんの声色が低くなってドキリとする
「なにそれ。どういうこと?前回ってあの時のこと?あれは前から知ってた情報とかじゃないの?」
「いや、流石にそんな遠い国の人知らないし、スリーサイズまで知りたいと思わないし」
「だからあの時潜り込んだっていうの?なにそれ聞いてないけど」
「えちょっとなんでそんな怒ってるの?」
「怒るでしょ。危ないことして。もう二度としないで」
ふんっと鼻息を荒くする克己さんに呆然とする。そうか、確かにこれは危ないことだったな。久しくこのことを心配されることがなかったから油断してた。ソッチ方面の防御は完璧だったし、あまり自分の危険というものを考えたことがなかったのもある。きっと克己さんが心配するようなことは起きないのだが、知らない人からすれば危険だと思われるのかもしれない。
「ご、ごめんなさい…」
「もう二度としないで」
どうしよう。2回も言われてしまった。
「はぁー……まぁ、仮に"そんなことしなくても"穂先輩は界隈で有名ですからね。エンジニアとして知らない人はいないから、その男も普通にアイドルに会えた一般人くらいの感覚で言ったんだと思いますけどね」
「…へー、ふーん、アイドルねぇ…」
なかなか不機嫌がなおらない克己さんをチラチラ見つめる。そんなに怒られることとは思わなかった。自分のことをアイドルなんてそんなおこがましいこと思ったことはないのに。
……コンコン、ガチャッ…
「お話中失礼します。……冬木部長、企画開発部に用があるっていう男が、ロビーに来たらしいんですけど。アポとってないですし、どうしましょうかって…」
来た。
「僕が迎えに行くと伝えてくれる?」
「え…克己さん、」
「彼はうちの部に用があるみたいだからね。僕が対応するよ。あとは全部僕に任せて」
「で、でも…」
「大丈夫。僕を信じて?……それに、」
「?」
「僕はね、相手がただのファンであれ…僕の知らないところで君を困らせ怖がらせたその男が、心底許せないんだよ」
克己さんの目は真剣そのもので、その熱に何も言うことができなかった。
「とりあえず、ここからは僕が預かるから~」と言って、克己さんは1階のロビーまで行ってしまい、私たちは企画開発部を半ば追い出される形でシステム開発部に戻った。時刻は12:58。午後の勤務が始まる頃。
一体二人は何を話すんだろう。あの男の目的はなんだろう。彼は、どんな……彼に何かあったら…どうしたら、
コンコンッ…
「っ…、……え、克己さん…?」
「穂ちゃん、もう終わったからね」
「、え?」
「もう大丈夫だから。君は安心してね」
「そ、それってどういう…」
「ごめんね、これから社外で打ち合わせで。詳しくはまた帰ったら。とりあえず安心してって伝えたくて。……だからそんな顔しないで」
フロアの出口で話していた彼がデスクで頭を抱えていた私に寄ってきて、優しく頭を撫でてくれた。
「大丈夫だから。ね?」
「…っ、う、うん…」
「じゃ、また」
にっこり笑って去って行く彼になんとも声をかけれず、中途半端に伸びした手が宙を舞った。
「なんだったの、あいつ」
「さぁ…?」
…タタタッ………
「穂先輩!なんかやばいです!」
楓先輩のお使いというパシリに使われていた蒼汰くんが勢いよくフロア内へ滑り込んでくる。
「え、なにどうしたの?」
「顔面蒼白で行き倒れかけの外国人が全力疾走で会社から出ていきました。あれ絶対クラウス=ベーカー!」
「は?」
「うわぁ…冬木は何したの」
余計に心配事が増えたのは言うまでもない。
0
あなたにおすすめの小説
どなたか私の旦那様、貰って下さいませんか?
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
私の旦那様は毎夜、私の部屋の前で見知らぬ女性と情事に勤しんでいる、だらしなく恥ずかしい人です。わざとしているのは分かってます。私への嫌がらせです……。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
政略結婚で、離縁出来ないけど離縁したい。
無類の女好きの従兄の侯爵令息フェルナンドと伯爵令嬢のロゼッタは、結婚をした。毎晩の様に違う女性を屋敷に連れ込む彼。政略結婚故、愛妾を作るなとは思わないが、せめて本邸に連れ込むのはやめて欲しい……気分が悪い。
彼は所謂美青年で、若くして騎士団副長であり兎に角モテる。結婚してもそれは変わらず……。
ロゼッタが夜会に出れば見知らぬ女から「今直ぐフェルナンド様と別れて‼︎」とワインをかけられ、ただ立っているだけなのに女性達からは終始凄い形相で睨まれる。
居た堪れなくなり、広間の外へ逃げれば元凶の彼が見知らぬ女とお楽しみ中……。
こんな旦那様、いりません!
誰か、私の旦那様を貰って下さい……。
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす
小木楓
恋愛
完結しました✨
タグ&あらすじ変更しました。
略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。
「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」
「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」
大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。
しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。
強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。
夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。
恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……?
「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」
逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。
それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。
「一生、私の腕の中で溺れていろ」
守るために壊し、愛するために縛る。
冷酷な仮面の下に隠された、
一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。
★最後は極上のハッピーエンドです。
※AI画像を使用しています。
冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件
水月
恋愛
「君を愛するつもりはない」
結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。
出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。
愛を期待されないのなら、失望させることもない。
契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。
ただ「役に立ちたい」という一心だった。
――その瞬間。
冷酷騎士の情緒が崩壊した。
「君は、自分の価値を分かっていない」
開始一分で愛さない宣言は撤回。
無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。
以後、
寝室は強制統合
常時抱っこ移動
一秒ごとに更新される溺愛
妻を傷つける者には容赦なし宣言
甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。
さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――?
自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。
溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
各務課長が「君の時間を十分ください」と言った結果
汐埼ゆたか
恋愛
実花子はカフェで恋人と待ち合わせしているが、彼はなかなか来ない。
あと十分でカフェを出ようとしたところで偶然上司の各務と会う。
各務から出し抜けに「君の時間を十分ください」と言われ、反射的に「はい」と返事をしたら、なぜか恋人役をすることになり――。
*☼*――――――――――*☼*
佐伯 実花子(さえき みかこ) 27歳
文具メーカー『株式会社MAO』企画部勤務
仕事人間で料理は苦手
×
各務 尊(かがみ たける) 30歳
実花子の上司で新人研修時代の指導担当
海外勤務から本社の最年少課長になったエリート
*☼*――――――――――*☼*
『十分』が実花子の運命を思わぬ方向へ変えていく。
――――――――――
※他サイトからの転載
※※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
※無断転載禁止。
嫌われ令嬢ですが、最終的に溺愛される予定です
由香
恋愛
貴族令嬢エマは、自分が周囲から嫌われていると信じて疑わなかった。
婚約者である侯爵令息レオンからも距離を取られ、冷たい視線を向けられている――そう思っていたのに。
ある日、思いがけず聞いてしまった彼の本音。
「君を嫌ったことなど、一度もない」
それは誤解とすれ違いが重なっただけの、両片思いだった。
勘違いから始まる、甘くて優しい溺愛恋物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる