20 / 24
20
しおりを挟む
「楓先輩、この無言電話、来週には解決するかもしれません」
「なんですって?!よく分かんないけど穂、よくやってくれたわ!」
次の日の朝、開口一番に楓先輩へと伝える。昨日社長と、外回りからちょうど帰ってきて部署に立ち寄っていた山崎部長にも話して許可を貰えたのだ。
「どういうことですか?」
「社内の電話回線をハッキングするの。相手がうちの内線番号を選んで受話器をあげ瞬間から到達するまでの数秒から数十秒の間に、うちは0.2秒以下の速さで回線を通して電話機番号を調べる」
「あー、なるほど。でもそれだと、番号が分かっただけで、電話機と照らし合わせるのに時間がかかるんじゃ?」
「だから予め電話機の物品管理番号をシステムに入力しておくの。そうしたら場所の特定まで0.5秒…つまり、こちらにコールが鳴る前に、かけてくる電話機と場所を特定できる」
「…やば、そんなことできるの?」
「システム入力はまだしも、0.2秒で番号特定しちゃうのは穂先輩だからできることですね」
「穂~!あんたやっぱすごいわよ~!」
「ただ、全電話機の物品管理番号の入力を今度のシステム更新中にやりますので、実際に動くのは来週になるかと」
「終わりが見えただけでこっちのもんよ~。これで今日かかってきてもいつもよりハッピーな声で出ちゃうかも」
「案外優しく声をかければ何か言ってくるんじゃないですか?」
「優しくカレーの作り方でも囁いてあげましょうか」
顔を輝かせている楓先輩の様子が、いつもの二日酔いでどんよりしている彼女とは雲泥の差で笑ってしまった。蒼汰くんは顎に手を当てて考え込んでいる。
「それ、企画開発部の方にも対応できますか?」
「うーん…実はそっちは別で動いてみようと思ってる」
「別?」
「なにか喋ってるってことは通話時間もそれなりにあるだろうし、直接行って解析してみようかなって。話してる数字っていうのも気になるし」
「なるほど。それも穂先輩の自作ソフトですか?」
「うん、まぁ大したもんじゃないけどね。冬木部長の許可もとってあるから、とりあえず今日から電話のなる12:00から13:00の間に張ってみるね」
「張り込み捜査ですね、俺も行きます」
「あたしも行く~。そこでみんなでお昼食べようよ」
「いやピクニックじゃないんだから…」
時刻は12:16。
「まぁこれで、犯人が分かれば電話機の管理番号入力なんて面倒なことしなくていいんですけどね」
「ほんとよ。むしろ今日犯人が分かれば、あたし何しちゃうかわかんないわよ」
「熱烈なキスでも贈りますか?」
「ついでに蒼汰のプリンでも買ってこさせようか」
「焼きそばパン要員ですね。楓先輩やることがヤンキーだなぁ」
「盗んだバイクで暴走なんて、いくらあたしでもしたことないわよ」
「当たり前ですよそれ犯罪ですから。てゆか古いっすよ楓先輩」
「やかましいわ。年齢差をここで出すな卑怯者」
「二人とも、他部署に来てまでそのやりとりやめてください恥ずかしい」
企画開発部の一角を借りて、テイクアウトしてきたお昼ご飯を並べて居座る私たちは、部署内の人からただでさえ遠巻きに見られているのに、会話を聞かれて余計に引かれてしまっている気がする。この二人と一緒くたに変人扱いされるのはやめてほしい。
prrrr…prrrr…………
「………きたわね」
「いよいよですね」
時刻は12:16。聞いている時間よりもだいぶ早い時間だが、きっとそうだろうと変な確信があった。どっちにしろこの時間に鳴る電話は私がとると伝えてあったので、周りの人たちも固唾ん飲んで見守ってくれている。スタンバイしてあった個人PCの解析ソフトを作動させた。
「……えーっと、じゃ、出ますね」
ガチャッ…
「…穂?…ねぇ蒼汰、ちょっと長くない?」
「すっげー解析されてく」
「もーこのシステムオタクが!穂の心配をなさい!」
「……穂ちゃん?あれ、もう始まってるの?」
「、!冬木サン、なんか今日は早かったみたいっすよ」
「ちょっと、この子何にも喋んないけど大丈夫かしら」
「………穂ちゃん?」
外回りから帰ってきた冬木部長と二人が後ろで何やら話していて、視線だけで返す。少し聞き取りづらいが、電話越しに聞こえる背景音は明らかに社内のものではない。それに言っていたとおり数字が聞こえる。それも、これは英語だ。
メモを用意していなかったので頭の中に叩き込む。どうやら規則性があって、同じ数字を繰り返しているようだ。繰り返される数字は……全部で9桁。0…3……
チラリと画面見るとその間もPCは解析は続いている。自作なのでそこまで精密さはないのだが、それなりに近い座標が出せるよう改良は重ねている。実験台になってくれた仲間たちには頭が上がらないものだ。
数字の羅列は馴染みのないもので、なぜこうも何度も繰り返し唱えられているのか検討もつかない。ふっと、相手が喋らなくなったときに、ちょうど解析が終わった。なんの音も聞こえないし、こちらも何も話していないが、なぜか通話が切れることはないことを不思議に思いながらも、PCを操作する。
出てきた座標を検索にかける。都内か、都外か…英語ってことは海外か、って…
「………は?」
「「え?」」
「どうしたの?」
まさか、どうして…いや、そんなはずはない…
座標検索ソフトを閉じて、サーバー内で検索をかける。先程の9桁の数字、全く覚えはないが何かで引っかかるとするなら、もしかして…
「…っ、くそっ」
「…穂、どうした」
克己さんが受話器を持って固まる私の肩にそっと触れるので、顔をあげた。とても心配してくれているのが伝わるが、どうしていいのか分からず途方にくれる。すると電話越しに空気が動いた。
「…ミノル…?…っ、haha!…you are Minoru Yamashiki!」
「…、by any chance………Klaus Becker…?」
「…hmm……ーーーーーーーー、」
「え?」
プッ……ツー…ツー…
「っあ、くそっ切れた…」
「え、ちょっと、どうなったの?向こう喋ったの?」
「ちょっと、すみません」
「は?ねぇ、穂!」
近くのPCから急いで社内スケジュールを確認し、個人スケジュール管理シートを開く。社長は13:00から都内で会合で、現在は…移動中。山崎部長は…現在外回りで戻るのは夕方。くそ、こういうときに限って誰もいない。
「ちょっと、穂!どうしたの!」
「穂先輩?」
楓先輩と蒼汰くんが声をかけてくれるが、なんにせよ時間がない。今すぐ上の人間に報告して処理を仰がないと、これは一人で判断ができないのに。どうする、どうしたらいい。今の状況で私にできる最善策は…
……パシッ…
こめかみに当てていた手を誰かに掴まれる。勢いよく振り返ると、神妙な顔をした克己さんがいた。
「、はなして」
「説明して。なにが、どうなったの」
「っ今は時間がな「これは企画開発部で起きたことだ。僕は部長として聞く義務がある。こう言えば満足かな?」……、」
そう言われると何も言い返せない。時間が刻々と迫っていて体を覆い尽くす焦りは、じわりじわりと彼に掴まれた腕にも侵食していく。
彼に掴まれた手の熱から少しずつ緩和されていく。
「…なによりも、君が心配だ」
「…、克己さん」
「なんの為に、僕は今ここにいると思う?君を守るためにここにいる。あの時言っただろう?受け止めるって」
―僕はね、君から何を言われても、受け止められる自信がある―
あの時そう言って、彼はほんとに私を受け止めてくれた。何を言っても何をしても、優しい愛を与えてくれた。焦りと不安に支配されていた体が、彼の握る手から少しずつ緩和されていく。
「…落ち着いた?」
「…うん、ごめんなさい」
「ふふ、大丈夫。君を守りきることが、僕にとっての誉になるんだから」
握った手をそっと引いて、トンっとぶつかる広い胸とふわりと鼻をくすぐる彼の匂いに包まれて、私はほーっと息を吐いた。
「ちょっとそこの人間砂糖漬け共。いい加減、話進めないと出荷させるわよ」
「製菓工場で砂糖まみれの側だけ剥いでもらいましょうか」
「はっ、剥いだところで浸透しきってもう手遅れよ」
「ははは、甘くて美味しいだろう?」
「「胸焼けしかしねーよ」」
二人のいつものやり取りに、緊張も全て解けた。こういう時は焦ってはいい結果が出ない。落ち着いて、深呼吸…
「…場所を変えましょう。順を追って説明します」
「なんですって?!よく分かんないけど穂、よくやってくれたわ!」
次の日の朝、開口一番に楓先輩へと伝える。昨日社長と、外回りからちょうど帰ってきて部署に立ち寄っていた山崎部長にも話して許可を貰えたのだ。
「どういうことですか?」
「社内の電話回線をハッキングするの。相手がうちの内線番号を選んで受話器をあげ瞬間から到達するまでの数秒から数十秒の間に、うちは0.2秒以下の速さで回線を通して電話機番号を調べる」
「あー、なるほど。でもそれだと、番号が分かっただけで、電話機と照らし合わせるのに時間がかかるんじゃ?」
「だから予め電話機の物品管理番号をシステムに入力しておくの。そうしたら場所の特定まで0.5秒…つまり、こちらにコールが鳴る前に、かけてくる電話機と場所を特定できる」
「…やば、そんなことできるの?」
「システム入力はまだしも、0.2秒で番号特定しちゃうのは穂先輩だからできることですね」
「穂~!あんたやっぱすごいわよ~!」
「ただ、全電話機の物品管理番号の入力を今度のシステム更新中にやりますので、実際に動くのは来週になるかと」
「終わりが見えただけでこっちのもんよ~。これで今日かかってきてもいつもよりハッピーな声で出ちゃうかも」
「案外優しく声をかければ何か言ってくるんじゃないですか?」
「優しくカレーの作り方でも囁いてあげましょうか」
顔を輝かせている楓先輩の様子が、いつもの二日酔いでどんよりしている彼女とは雲泥の差で笑ってしまった。蒼汰くんは顎に手を当てて考え込んでいる。
「それ、企画開発部の方にも対応できますか?」
「うーん…実はそっちは別で動いてみようと思ってる」
「別?」
「なにか喋ってるってことは通話時間もそれなりにあるだろうし、直接行って解析してみようかなって。話してる数字っていうのも気になるし」
「なるほど。それも穂先輩の自作ソフトですか?」
「うん、まぁ大したもんじゃないけどね。冬木部長の許可もとってあるから、とりあえず今日から電話のなる12:00から13:00の間に張ってみるね」
「張り込み捜査ですね、俺も行きます」
「あたしも行く~。そこでみんなでお昼食べようよ」
「いやピクニックじゃないんだから…」
時刻は12:16。
「まぁこれで、犯人が分かれば電話機の管理番号入力なんて面倒なことしなくていいんですけどね」
「ほんとよ。むしろ今日犯人が分かれば、あたし何しちゃうかわかんないわよ」
「熱烈なキスでも贈りますか?」
「ついでに蒼汰のプリンでも買ってこさせようか」
「焼きそばパン要員ですね。楓先輩やることがヤンキーだなぁ」
「盗んだバイクで暴走なんて、いくらあたしでもしたことないわよ」
「当たり前ですよそれ犯罪ですから。てゆか古いっすよ楓先輩」
「やかましいわ。年齢差をここで出すな卑怯者」
「二人とも、他部署に来てまでそのやりとりやめてください恥ずかしい」
企画開発部の一角を借りて、テイクアウトしてきたお昼ご飯を並べて居座る私たちは、部署内の人からただでさえ遠巻きに見られているのに、会話を聞かれて余計に引かれてしまっている気がする。この二人と一緒くたに変人扱いされるのはやめてほしい。
prrrr…prrrr…………
「………きたわね」
「いよいよですね」
時刻は12:16。聞いている時間よりもだいぶ早い時間だが、きっとそうだろうと変な確信があった。どっちにしろこの時間に鳴る電話は私がとると伝えてあったので、周りの人たちも固唾ん飲んで見守ってくれている。スタンバイしてあった個人PCの解析ソフトを作動させた。
「……えーっと、じゃ、出ますね」
ガチャッ…
「…穂?…ねぇ蒼汰、ちょっと長くない?」
「すっげー解析されてく」
「もーこのシステムオタクが!穂の心配をなさい!」
「……穂ちゃん?あれ、もう始まってるの?」
「、!冬木サン、なんか今日は早かったみたいっすよ」
「ちょっと、この子何にも喋んないけど大丈夫かしら」
「………穂ちゃん?」
外回りから帰ってきた冬木部長と二人が後ろで何やら話していて、視線だけで返す。少し聞き取りづらいが、電話越しに聞こえる背景音は明らかに社内のものではない。それに言っていたとおり数字が聞こえる。それも、これは英語だ。
メモを用意していなかったので頭の中に叩き込む。どうやら規則性があって、同じ数字を繰り返しているようだ。繰り返される数字は……全部で9桁。0…3……
チラリと画面見るとその間もPCは解析は続いている。自作なのでそこまで精密さはないのだが、それなりに近い座標が出せるよう改良は重ねている。実験台になってくれた仲間たちには頭が上がらないものだ。
数字の羅列は馴染みのないもので、なぜこうも何度も繰り返し唱えられているのか検討もつかない。ふっと、相手が喋らなくなったときに、ちょうど解析が終わった。なんの音も聞こえないし、こちらも何も話していないが、なぜか通話が切れることはないことを不思議に思いながらも、PCを操作する。
出てきた座標を検索にかける。都内か、都外か…英語ってことは海外か、って…
「………は?」
「「え?」」
「どうしたの?」
まさか、どうして…いや、そんなはずはない…
座標検索ソフトを閉じて、サーバー内で検索をかける。先程の9桁の数字、全く覚えはないが何かで引っかかるとするなら、もしかして…
「…っ、くそっ」
「…穂、どうした」
克己さんが受話器を持って固まる私の肩にそっと触れるので、顔をあげた。とても心配してくれているのが伝わるが、どうしていいのか分からず途方にくれる。すると電話越しに空気が動いた。
「…ミノル…?…っ、haha!…you are Minoru Yamashiki!」
「…、by any chance………Klaus Becker…?」
「…hmm……ーーーーーーーー、」
「え?」
プッ……ツー…ツー…
「っあ、くそっ切れた…」
「え、ちょっと、どうなったの?向こう喋ったの?」
「ちょっと、すみません」
「は?ねぇ、穂!」
近くのPCから急いで社内スケジュールを確認し、個人スケジュール管理シートを開く。社長は13:00から都内で会合で、現在は…移動中。山崎部長は…現在外回りで戻るのは夕方。くそ、こういうときに限って誰もいない。
「ちょっと、穂!どうしたの!」
「穂先輩?」
楓先輩と蒼汰くんが声をかけてくれるが、なんにせよ時間がない。今すぐ上の人間に報告して処理を仰がないと、これは一人で判断ができないのに。どうする、どうしたらいい。今の状況で私にできる最善策は…
……パシッ…
こめかみに当てていた手を誰かに掴まれる。勢いよく振り返ると、神妙な顔をした克己さんがいた。
「、はなして」
「説明して。なにが、どうなったの」
「っ今は時間がな「これは企画開発部で起きたことだ。僕は部長として聞く義務がある。こう言えば満足かな?」……、」
そう言われると何も言い返せない。時間が刻々と迫っていて体を覆い尽くす焦りは、じわりじわりと彼に掴まれた腕にも侵食していく。
彼に掴まれた手の熱から少しずつ緩和されていく。
「…なによりも、君が心配だ」
「…、克己さん」
「なんの為に、僕は今ここにいると思う?君を守るためにここにいる。あの時言っただろう?受け止めるって」
―僕はね、君から何を言われても、受け止められる自信がある―
あの時そう言って、彼はほんとに私を受け止めてくれた。何を言っても何をしても、優しい愛を与えてくれた。焦りと不安に支配されていた体が、彼の握る手から少しずつ緩和されていく。
「…落ち着いた?」
「…うん、ごめんなさい」
「ふふ、大丈夫。君を守りきることが、僕にとっての誉になるんだから」
握った手をそっと引いて、トンっとぶつかる広い胸とふわりと鼻をくすぐる彼の匂いに包まれて、私はほーっと息を吐いた。
「ちょっとそこの人間砂糖漬け共。いい加減、話進めないと出荷させるわよ」
「製菓工場で砂糖まみれの側だけ剥いでもらいましょうか」
「はっ、剥いだところで浸透しきってもう手遅れよ」
「ははは、甘くて美味しいだろう?」
「「胸焼けしかしねーよ」」
二人のいつものやり取りに、緊張も全て解けた。こういう時は焦ってはいい結果が出ない。落ち着いて、深呼吸…
「…場所を変えましょう。順を追って説明します」
0
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。
だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。
車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。
あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる