23 / 24
23
しおりを挟む
時刻は12:17。
「なんだ、まだ深山は無言電話にやられてんの?ウケるね」
「このどクズが、なんでうちの部にいるんだ。ウケるだけなら今すぐ自分の巣に帰れ!!」
「そんな…自分の巣なんて言われたらずっとここに居ちゃうよ?」
「はーはっは!なんだなんだ?自分の部署も分からなくなったのか?迷子かこの野郎」
「僕が帰るところは穂ちゃんがいるところしかないからね」
「だあああああ!きえろ!あたしの前からきえうせろおおおおお!!」
「またそんなに怒って、ビタミン足りてる?」
「誰のせいだ!!誰の!!!」
「うるせー!あんたら!仕事しろ!!!」
先週も事件続きでドタバタとしていたように思うが、事件は概ね解決したし、金曜の夜から行ったシステム更新もうまくいったし、土日は久々に克己さんと過ごせたし、彼じゃないけど私も充分満ち足りている…なんて気持ちを今の楓先輩に知られようもんなら追い出されかねない。それに蒼汰くんも荒れているようだし、もうここは気配を消して静かにしているしかないようだ。私はいそいそと、例の無言電話対策を講じている。
「ねぇ、穂ちゃん。ちょっと横山くんの相談乗ってあげてくれない?」
「蒼汰くんの?」
「できるできるって言うから提案したんだけど、なかなか仕上がってこないんだよね」
「それはあんたが無茶振りするからだ!時間がかかるって言っただろ!」
蒼汰くんが手こずっているのは知っているが、彼も優秀なエンジニアなので特に心配はしていなかった。ただ私も同じ部署の仲間だ。できることは何でもしたいと思っているのだが…
「一体何を要求されてるの?」
「うーん、やっぱり難しいのかな。その辺のことは専門外だから、無理なら無理って言ってほしいんだけど」
「いや…正直な話、イケると思ってるから断ってないんすよ…ただ俺の専門からちょっと外れるんで、今電子系を勉強しながらやってるんです」
「なるほどね………んー……」
克己さんに見せてもらった企画書を見て、私も頭を働かせる。私も蒼汰くんもいわゆるシステムエンジニアだが、この会社に来てから産業用機器のソフトウェアの組み込み等もちらほら担当していて、若干系統が違うだけに毎日が勉強の日々だ。IT関連は日々進歩するので付いていくのに必死なのである。
「穂ちゃんが唸るってことは、やっぱり難しいのかな」
「それみたことか。だから時間をくださいって言ってるんですよ。そしたら必ず組みますから!」
「…この企画書だけじゃ何がしたいのか大まかにしか分からないんだけど、パターンの移し替えなら、ここを組み替えてみるといけるかも」
「……え?」
「あれ、違った?」
「……目からウロコ過ぎて脳内情報処理が追い付いてないですね?」
「いや聞かれても?」
「…え?なんで?なんでこうなるんですか?」
「この間たまたま情報工学専攻の学生と話す機会があって、ロボット製作のこと色々教えてもらったの。それを応用してみた?」
「なんで二人して疑問系で話してんのよウケる」
もちろんこれだけではうまくいくものでもないので、もう少しちゃんと読み込んで、二人で当たった方がいいかなぁと頭の中でスケジュールを確認しながら蒼汰くんと話す。先輩としていいところを見せたい場でもあるし、蒼汰くんがこれ以上やつれないためにも、部長に少し相談しようということになった。それを聞いていた克己さんもその話に合意してくれたので、後は部長待ちということになる。私は引き続き、電話回線ハッキングの準備を行う。これは時間との勝負だから気が抜けない。
「にしても、穂ちゃんにもそういう繋がりがあるんだね」
「そういう繋がり?」
「情報工学部の学生と交流ってやつ」
「んー…」
「穂先輩、常に何かしら勉強してますもんね。そういうのって講演会とかに出かけるんですか?今度俺も連れてってくださいよ」
「あ、まぁ講演会は行くけど、あの子たちはほんとたまたま出会って…」
「たまたま?」
まさか克己さんも見ていたあのナンパしてきた子たちだなんて口が裂けても言えないので、濁しながら話題を変えようとした。
「そ、それより電話の、「あぁ、その子たちってあのナンパされて一緒にカラオケオールした子たちでしょ?」っ、ちょ!楓先輩!」
「は?」
突然の楓先輩の乱入に場の空気が冷える。隣で固まる克己さんをチラ見するも、未だかつて見たことのない顔をしているので全力で目を逸らす。
「結局そのお坊ちゃんたち食わなかったんだっけ?もったいないわよね」
「っもう!黙ってください!」
「は?食うって?なに?」
「え、いやあの、克己さん、」
「なに?いいじゃない別に。その子たちのおかげで"トヨケン"にたどり着いたって言ってたでしょ?我社の救世主よ!」
「そ、それはそうだけど」
「へーえー、私大の外部講師って、その子たちからの情報だったんですね。なるほど」
「い、いやまぁその通りなんだけど!」
結果的に褒められてるんだからいいのかと納得しかけるも、ふいに握られた手がとても冷たくてびくりとする。まずい、めちゃめちゃ怒ってる。
「まぁほら、穂先輩立ってるだけだったらマジ振り返る美女ですから」
「ナンパしたくもなるわよね~喋らなかったら」
「ちょっと失礼ですよそれ!そもそも二人だってモテるくせに、喋らなかったら!」
握られた手に一層力が籠もるので思わず彼を見上げると、見開いた目には困惑が感じられて、私の中に罪悪感が膨れ上がった。
「え、だから、食うって、なに?」
「っ待って!ほんとに違うから!食ってないし、そんなんじゃないから!」
「そんなんってなに?食ってないってなに?ねぇ、穂ちゃん」
「だーもー!楓先輩!責任とってください!」
「なんのことかなぁ~」
楓先輩がわざとらしく吹けもしない口笛をふーふーしていて思わず舌打ちが漏れる。この人は全くいつも、すごくいい人なのに時限爆弾みたいなとこがあるんだから!こうしちゃいられないと、彼が握る手を振り払って、うんっと背伸びをして彼の頬を両手で挟む。怒る瞳の裏には寂しさが見えて、私の胸をずくりとさせた。
「違うから!」
「…穂ちゃん」
「ほんとに!違うから!…ちゃんと説明するから」
「……っ、穂ちゃ」
ピロン
その時小さく可愛らしい通知音が鳴り、緊張が走る。これはつい先程設定した数十秒後に内線が鳴る音だ。これが鳴るとコンマ秒単位を争う。時刻は12:54。やつが来る。
可愛らしい癖にえげつないことを知らせる通知音が鳴ったと同時に私は彼の頬を離し、デスクに向かって指を動かす。時間との勝負だ。気持ちを切り替えて。準備はできている。いざ、尋常に………!
「っ!分かった!6階総務部!東側の窓際から2つ目の島にある電話機!」
「蒼汰ぁ!走れ!」
「っす!」
蒼汰くんが走り出したのより数秒遅れて電話が鳴った。
prrrr…prrrr…
「で、出るわよ?」
「楓先輩、なるべく引き延ばして」
「え、えぇ」
ガチャッ…
「っ…ま、まって!切らないで!…っあたし!あたしね?あーっと実は…」
先輩が優しい声色で話し出すと、いつもならすぐに切れる電話が今は途切れることなく今もなお無言のまま通話中であった。スピーカーに切り替えた楓先輩は一つ息をついてから、意を決したように話し出すので私も思わずつばを飲み込む。
「………今日、パンツ履いてないの」
何言ってんだこの人。
『っ』
電話越しに息を呑む音が聞こえる。いやいやまてまてお前もそこで息を呑むな反応するな。どうするんだこの微妙な空気。
『……はぁー…何言ってんすか、楓先輩』
その直後に蒼汰くんの呆れた声が聞こえて、いつの間にか呼吸を忘れていたらしい私もようやく一息吐けた。なんだか大したことはしてないけれど、ものすごく疲れた気がする。
「っ!蒼汰!やったのね?!」
『ええ、ちゃんと捕まえましたよ。じゃあそっち、連れてくんで』
ガチャッ……ツー…ツー…
「やった、やったわ!穂!」
「えぇほんとに。よかったです」
「穂のおかげよ!本当にありがとう!」
「これでストレスから解放されるー!」と叫ぶ楓先輩に苦笑している間に、また握られた手が今度は暖かくて、そっと振り返る。寂しそうな目でこちらを見る彼の手を今度は私もぎゅっと握り返した。
後は、蒼汰くんの帰りを待つのみだ。
「なんだ、まだ深山は無言電話にやられてんの?ウケるね」
「このどクズが、なんでうちの部にいるんだ。ウケるだけなら今すぐ自分の巣に帰れ!!」
「そんな…自分の巣なんて言われたらずっとここに居ちゃうよ?」
「はーはっは!なんだなんだ?自分の部署も分からなくなったのか?迷子かこの野郎」
「僕が帰るところは穂ちゃんがいるところしかないからね」
「だあああああ!きえろ!あたしの前からきえうせろおおおおお!!」
「またそんなに怒って、ビタミン足りてる?」
「誰のせいだ!!誰の!!!」
「うるせー!あんたら!仕事しろ!!!」
先週も事件続きでドタバタとしていたように思うが、事件は概ね解決したし、金曜の夜から行ったシステム更新もうまくいったし、土日は久々に克己さんと過ごせたし、彼じゃないけど私も充分満ち足りている…なんて気持ちを今の楓先輩に知られようもんなら追い出されかねない。それに蒼汰くんも荒れているようだし、もうここは気配を消して静かにしているしかないようだ。私はいそいそと、例の無言電話対策を講じている。
「ねぇ、穂ちゃん。ちょっと横山くんの相談乗ってあげてくれない?」
「蒼汰くんの?」
「できるできるって言うから提案したんだけど、なかなか仕上がってこないんだよね」
「それはあんたが無茶振りするからだ!時間がかかるって言っただろ!」
蒼汰くんが手こずっているのは知っているが、彼も優秀なエンジニアなので特に心配はしていなかった。ただ私も同じ部署の仲間だ。できることは何でもしたいと思っているのだが…
「一体何を要求されてるの?」
「うーん、やっぱり難しいのかな。その辺のことは専門外だから、無理なら無理って言ってほしいんだけど」
「いや…正直な話、イケると思ってるから断ってないんすよ…ただ俺の専門からちょっと外れるんで、今電子系を勉強しながらやってるんです」
「なるほどね………んー……」
克己さんに見せてもらった企画書を見て、私も頭を働かせる。私も蒼汰くんもいわゆるシステムエンジニアだが、この会社に来てから産業用機器のソフトウェアの組み込み等もちらほら担当していて、若干系統が違うだけに毎日が勉強の日々だ。IT関連は日々進歩するので付いていくのに必死なのである。
「穂ちゃんが唸るってことは、やっぱり難しいのかな」
「それみたことか。だから時間をくださいって言ってるんですよ。そしたら必ず組みますから!」
「…この企画書だけじゃ何がしたいのか大まかにしか分からないんだけど、パターンの移し替えなら、ここを組み替えてみるといけるかも」
「……え?」
「あれ、違った?」
「……目からウロコ過ぎて脳内情報処理が追い付いてないですね?」
「いや聞かれても?」
「…え?なんで?なんでこうなるんですか?」
「この間たまたま情報工学専攻の学生と話す機会があって、ロボット製作のこと色々教えてもらったの。それを応用してみた?」
「なんで二人して疑問系で話してんのよウケる」
もちろんこれだけではうまくいくものでもないので、もう少しちゃんと読み込んで、二人で当たった方がいいかなぁと頭の中でスケジュールを確認しながら蒼汰くんと話す。先輩としていいところを見せたい場でもあるし、蒼汰くんがこれ以上やつれないためにも、部長に少し相談しようということになった。それを聞いていた克己さんもその話に合意してくれたので、後は部長待ちということになる。私は引き続き、電話回線ハッキングの準備を行う。これは時間との勝負だから気が抜けない。
「にしても、穂ちゃんにもそういう繋がりがあるんだね」
「そういう繋がり?」
「情報工学部の学生と交流ってやつ」
「んー…」
「穂先輩、常に何かしら勉強してますもんね。そういうのって講演会とかに出かけるんですか?今度俺も連れてってくださいよ」
「あ、まぁ講演会は行くけど、あの子たちはほんとたまたま出会って…」
「たまたま?」
まさか克己さんも見ていたあのナンパしてきた子たちだなんて口が裂けても言えないので、濁しながら話題を変えようとした。
「そ、それより電話の、「あぁ、その子たちってあのナンパされて一緒にカラオケオールした子たちでしょ?」っ、ちょ!楓先輩!」
「は?」
突然の楓先輩の乱入に場の空気が冷える。隣で固まる克己さんをチラ見するも、未だかつて見たことのない顔をしているので全力で目を逸らす。
「結局そのお坊ちゃんたち食わなかったんだっけ?もったいないわよね」
「っもう!黙ってください!」
「は?食うって?なに?」
「え、いやあの、克己さん、」
「なに?いいじゃない別に。その子たちのおかげで"トヨケン"にたどり着いたって言ってたでしょ?我社の救世主よ!」
「そ、それはそうだけど」
「へーえー、私大の外部講師って、その子たちからの情報だったんですね。なるほど」
「い、いやまぁその通りなんだけど!」
結果的に褒められてるんだからいいのかと納得しかけるも、ふいに握られた手がとても冷たくてびくりとする。まずい、めちゃめちゃ怒ってる。
「まぁほら、穂先輩立ってるだけだったらマジ振り返る美女ですから」
「ナンパしたくもなるわよね~喋らなかったら」
「ちょっと失礼ですよそれ!そもそも二人だってモテるくせに、喋らなかったら!」
握られた手に一層力が籠もるので思わず彼を見上げると、見開いた目には困惑が感じられて、私の中に罪悪感が膨れ上がった。
「え、だから、食うって、なに?」
「っ待って!ほんとに違うから!食ってないし、そんなんじゃないから!」
「そんなんってなに?食ってないってなに?ねぇ、穂ちゃん」
「だーもー!楓先輩!責任とってください!」
「なんのことかなぁ~」
楓先輩がわざとらしく吹けもしない口笛をふーふーしていて思わず舌打ちが漏れる。この人は全くいつも、すごくいい人なのに時限爆弾みたいなとこがあるんだから!こうしちゃいられないと、彼が握る手を振り払って、うんっと背伸びをして彼の頬を両手で挟む。怒る瞳の裏には寂しさが見えて、私の胸をずくりとさせた。
「違うから!」
「…穂ちゃん」
「ほんとに!違うから!…ちゃんと説明するから」
「……っ、穂ちゃ」
ピロン
その時小さく可愛らしい通知音が鳴り、緊張が走る。これはつい先程設定した数十秒後に内線が鳴る音だ。これが鳴るとコンマ秒単位を争う。時刻は12:54。やつが来る。
可愛らしい癖にえげつないことを知らせる通知音が鳴ったと同時に私は彼の頬を離し、デスクに向かって指を動かす。時間との勝負だ。気持ちを切り替えて。準備はできている。いざ、尋常に………!
「っ!分かった!6階総務部!東側の窓際から2つ目の島にある電話機!」
「蒼汰ぁ!走れ!」
「っす!」
蒼汰くんが走り出したのより数秒遅れて電話が鳴った。
prrrr…prrrr…
「で、出るわよ?」
「楓先輩、なるべく引き延ばして」
「え、えぇ」
ガチャッ…
「っ…ま、まって!切らないで!…っあたし!あたしね?あーっと実は…」
先輩が優しい声色で話し出すと、いつもならすぐに切れる電話が今は途切れることなく今もなお無言のまま通話中であった。スピーカーに切り替えた楓先輩は一つ息をついてから、意を決したように話し出すので私も思わずつばを飲み込む。
「………今日、パンツ履いてないの」
何言ってんだこの人。
『っ』
電話越しに息を呑む音が聞こえる。いやいやまてまてお前もそこで息を呑むな反応するな。どうするんだこの微妙な空気。
『……はぁー…何言ってんすか、楓先輩』
その直後に蒼汰くんの呆れた声が聞こえて、いつの間にか呼吸を忘れていたらしい私もようやく一息吐けた。なんだか大したことはしてないけれど、ものすごく疲れた気がする。
「っ!蒼汰!やったのね?!」
『ええ、ちゃんと捕まえましたよ。じゃあそっち、連れてくんで』
ガチャッ……ツー…ツー…
「やった、やったわ!穂!」
「えぇほんとに。よかったです」
「穂のおかげよ!本当にありがとう!」
「これでストレスから解放されるー!」と叫ぶ楓先輩に苦笑している間に、また握られた手が今度は暖かくて、そっと振り返る。寂しそうな目でこちらを見る彼の手を今度は私もぎゅっと握り返した。
後は、蒼汰くんの帰りを待つのみだ。
0
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
鬼隊長は元お隣女子には敵わない~猪はひよこを愛でる~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「ひなちゃん。
俺と結婚、しよ?」
兄の結婚式で昔、お隣に住んでいた憧れのお兄ちゃん・猪狩に再会した雛乃。
昔話をしているうちに結婚を迫られ、冗談だと思ったものの。
それから猪狩の猛追撃が!?
相変わらず格好いい猪狩に次第に惹かれていく雛乃。
でも、彼のとある事情で結婚には踏み切れない。
そんな折り、雛乃の勤めている銀行で事件が……。
愛川雛乃 あいかわひなの 26
ごく普通の地方銀行員
某着せ替え人形のような見た目で可愛い
おかげで女性からは恨みを買いがちなのが悩み
真面目で努力家なのに、
なぜかよくない噂を立てられる苦労人
×
岡藤猪狩 おかふじいかり 36
警察官でSIT所属のエリート
泣く子も黙る突入部隊の鬼隊長
でも、雛乃には……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる