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地下5層での死闘
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今日は午前中をスキル【粘液】の習熟と身体能力の確認を行った。昨晩は夢見が悪かったので、慎重にいきたいと思う。
ま、そのせいで地下1層にいたスライム達は実験に付き合わされて粘液塗れになっていたが、それをスライムが気にする様子はなさそうだ。
そしてダンジョンの攻略をはじめて以降、身体能力については大きく変化していた。
現在 初期
レベル 24 1
種族:人間
能力値
筋力: 88 12
体力: 90 10
知識: 93 8
精神力:108 13
敏捷性:100 10
運: 3 3
器用さ:94 -
オレが初めてステータスを見た時の筋力は12だった。それが今では約7倍…。
そのためただ懸垂をしただけでは大した負荷も感じなくなってしまった。なら身体に重りでも巻きつけてやればいいのだが、いかんせん。スチール棚を組み立て直しただけの懸垂器具では、そこまでの強度はないので壊れてしまう。
腕立ても同様に普通に行っただけでは物足りないので、いまでは逆立ちしての指立てふせだって出来る。しかも心肺能力も向上したおかげか、逆立ちしていても苦しくならない。普通なら頭に血が昇ってとても苦しい筈なのに、そういった血流の調整までもウマイ事行なえてしまえている模様。う~む、不思議だが凄い。それだけでも驚きなのに、それを余裕で出来てしまえるのだから自分でもビックリだ。
しかしだからといって身体の筋肉量も7倍になったかというと、それはそうでもない。
筋肉が増えるには増えたが、それでもいいとこ3倍程度。これは身体能力の強化に魔力やなにかが影響しているのか、それとも筋肉そのものの質が変わったのだろうか…。
(うむ…もしかしたら今のオレは持久力と瞬発力、その両方の特性を持つという幻の筋肉。白筋でも赤筋でもないピンクマッスルの持ち主になっているのかもしれないぞ!)
さらに頭は冴えてスッキリ。思考の回転が増し、記憶力も向上した。精神も以前より格段に研ぎ澄まされている気がする。それでも趣味嗜好は以前と全く変わっていないオタのままなのは、オレがオレたる所以(ゆえん)か。
おなじく敏捷性と器用さも以前とは段違いになり何をするにもモタつかずに行えるし、躓いたり変な所に身体をぶつけたりということも無くなった。うん、まさにストレスフリー。それに素早く動けるというのは実に気持ちの良いものなので、これからも高速反復横跳びは欠かさずに続けて行こうと考えている。
……。
で、昼食後は初めて地下5層へと下りた。
今日の昼食は無難にチキンソテーと卵焼き。いつもの如くタンパク質の量を意識したメニュー。しかし味については特筆すべきことはないので省略。道中では肩慣らしに目に付いたモンスターを倒しながら下りてきているので、すでに身体のウォーミングアップもバッチリ。
いつもより地下4層でのモンスターとの戦闘時間が短いのは、アレだ。ナメクジは音も無く忍び寄ってくる暗殺者だが、反面その動きはそれほど速くない。そして集団で群れている訳でもないので、狩って捜し歩くのがダルいのだ。
狩り効率が高いなら【粘液】のスキルはもっと高めたいのでナメクジ狩りもありなんだろうけど、時間がかかるというのは結構なストレス。なので先に地下5層を確認してみようと考えた次第。
さて、地下5層も変わらずに幅3メートル高さ4メートルほどの通路。階段を降りてすぐのところが、少し広くなっているくらいで上の階層と違う点は見られない。なのでいつものように二重の簡易防御陣を構築すると、通路の先へと進んだ。
「う~む、そうきたか…」
地下5層のモンスターはまたしても巨大ゴキだった。しかも若干サイズアップしている。そしてスライムの姿も遠くにチラホラと。でも、2種類のモンスターが同じ階層に現れるのは初めてだな。
うぇ…、さらにゴキの種類も増えていた。
地下2層にもいた黒くて丸っこい〇ンバみたいなゴキの他にも、茶色くてシュッと細長いヤツがいる。コイツは見るからにスピードタイプのようで、スケボーよりもデカいのにダッシュした時の速度がヤバイくらい速い。戦うなら、なるべく距離を取って戦いたい相手かもしれない。
(うん、まぁそうだな。色々と思うところはあるが、予想していた蠅や蛆と戦うよりはまだマシか)
「ま、【俊敏】を獲得した後で【敏捷】のスキルオーブを使ったらどうなるのかも調べたかったし、丁度いいか」
早速撒き餌で誘因し薄い酸霧散布で釣り、キルゾーンで止めのゴキ殺戮填めコンボで狩りを開始。それを4度ほど終えてステータスを確認してみると、レベルが2上がっていた。
現在 前回
レベル 26 24
種族:人間
能力値
筋力: 100 88
体力: 101 90
知識: 102 93
精神力:120 108
敏捷性:108 100
運: 3 3
器用さ:100 94
ほぉ、成長が早いな。
うん、ここはゴキの量が多い。やはり一度にたくさん狩れるゴキは効率が良いということだな。う~み、ゴキでウハウハ。略してゴキウハだ。見た目は酷い有様だけど。
そこで一度狩りをやめると、今度はマッピングに専念する。
体力なんかと同じで生み出す魔力も一度に深く疲労してしまうと回復に時間がかかるからな。逆にこまめに休憩を入れてやると回復時間が短くて済む。
ゲームなんかだと魔法に使うMPは宿屋で寝ないと回復しないなんて仕様があるが、起きていても安静にしていれば自然と気力は回復する。もちろんぐっすりと眠ってしまったほうが回復の度合いは高いのだろうけど、起きていてもほどほどに回復するのだ。
「ん…?あっちにも通路があるのか、よし行ってみ…ゲェ!?」
大広間のような空間から、いくつも枝分かれして伸びている通路のひとつに足を向けた。だがその通路の奥から、ヌッと大きな影が現れたのだ。
(バ、でか…デカすぎる!なんだあれは!?)
視た瞬間に胃がキュッとなり、たちまち背中に怖気が走る。
(今まで見てきたモンスターのなかで、ダントツにデカイ…。まるで普通乗用車…いや、そのフォルムでいえばちょっとしたボートじゃないか…)
視界に現れたのは、ボートほどもある大きさの超巨大ゴキブリだった。
体表の色は枯れた銀杏の葉のようなくすんだ黄色。ゴキブリのはずなのに外皮は硬く厚そうで非常にトゲトゲしている。その貫禄ある姿は、ゴキというよりヘラクレスオオカブトムシ(メス)のようだ。
(不味い…。あんなのとはとてもじゃないがやり合えないぞ…、ここは撤退を…)
「ギチチィ!」
「ウッ!?」
ヘラクレスオオカブト風味な超巨大ゴキブリから目を離さない様に後退りしようとしたら、つい後方への注意が疎かになっていた。そこに運悪く取り掛かったスケボーゴキを踏みつけてしまった。
すると当然スケボーゴキが体当たりで反撃。それを盾で受けとめながら恐る恐る視線を超巨大ゴキに戻すと、案の定こちらに注意を向けていた。
「不味いッ!クッ、この!あ、しまった!」
急いでその場から走り去ろうとするが執拗に追い縋って攻撃をしかけてくるスケボーゴキ。それを振り払おうとしているうちにバットでスケボーゴキを攻撃してしまった。するとそれを視ていたのか超巨大ゴキが身を震わせて咆え、こちら目掛けて走り出した。
「キュモモォォオオン!!」
(うひぃ~!ア、アイツ、仲間を攻撃されて怒ってるのか!?)
他のゴキ達にはそんな習性はなかったはず。見た目も特別なら、習性も特別らしい。
「う…クソ速い!ロ、ローションフィールド!」
スキル【粘液】を使い、自分と超巨大ゴキとの間にヌルヌルと滑るローション状の粘液を撒き散らず。
「キュモモォォオオ…ン!!」
「クッ、サイズがデカすぎる!」
超巨大ゴキは生み出したローションフィールドに突っ込みスリップはしたものの、すぐに安定の六脚機動で体勢を立て直すと再びオレに向け迫ってくる。
「じゃあ、これはどうだ!」
今度はゴキ誘因用に撒き餌にしていたゴキの皮を走りながら撒き散らした。
「キュモモォォオオン!!」
しかし超巨大ゴキはそんなモノには目もくれず、踏み潰しながら突進を仕掛けてくる。
「おわっ!!」
すんでのところで横に飛んで超巨大ゴキ突進を避けた。が、ライダージャケットの背中が棘にカスっただけで音を立てて破れる。
(嘘だろおい…!)
あんなのを喰らったらひとたまりもない。あれじゃまるで、異世界に転生する者を一撃のもとに確殺する暴走トラックじゃないか。
そんな暴走トラックが、再びこちらへと頭を向け直す。
「キュモモォォオオン!!」
「不味いッ!加速装置ッ!」
スキル【俊敏】を発動させ敏捷性を高めると、本気ダッシュで逃走。
だが振りきれない…それもそうだ。ゴキブリというのは『前方ダッシュ』にその種の生存を懸けて進化してきたような生物…。そんな生き物にダッシュ勝負で勝てるわけがない。
(な、ならば高速反復横跳びッ!)
「キュモモォォオオン!?」
凄まじいダッシュを決める超巨大ゴキも、【俊敏】を使った高速反復横跳びには反応しきれなかったようだ。相手は前方ダッシュに特化したいわばバイクみたいな生物。故に走行中に左右への方向転換は出来ても、やはり身体の構造上突然真横への移動とかは出来ないようだ。
そうだ。オレはモンスターとしてゴキブリの事もしっかり研究していたのだ。
こうして高速反復横跳びと大広間に立っている支柱を盾に超巨大ゴキの攻撃を何とか躱し、入り口の通路付近まで逃げ帰ってきた。しかしその間に色々と関係のないゴキまで傷つけてしまい、すぐ後ろを超巨大ゴキを先頭に大量のゴキの群れが追い迫っていた。
「ハァっ…!ハァっ…!だがこれで最後だ、死ね!酸霧(アシッドフォグ)!!」
簡易防御陣の手前で渾身の酸霧を放つと、ネットの向こう側へと滑り込む。
「キュモモォォオオン!!」
「なっ!?」
しかし超巨大ゴキは酸霧を物ともせずに、通路を一杯に塞ぐその巨体を躍らせ突っ込んできた。
そんな眼前に迫る暴走トラックのような超巨大ゴキの姿に、オレは思わず怯んで立ち尽くしてしまうのだった。
ま、そのせいで地下1層にいたスライム達は実験に付き合わされて粘液塗れになっていたが、それをスライムが気にする様子はなさそうだ。
そしてダンジョンの攻略をはじめて以降、身体能力については大きく変化していた。
現在 初期
レベル 24 1
種族:人間
能力値
筋力: 88 12
体力: 90 10
知識: 93 8
精神力:108 13
敏捷性:100 10
運: 3 3
器用さ:94 -
オレが初めてステータスを見た時の筋力は12だった。それが今では約7倍…。
そのためただ懸垂をしただけでは大した負荷も感じなくなってしまった。なら身体に重りでも巻きつけてやればいいのだが、いかんせん。スチール棚を組み立て直しただけの懸垂器具では、そこまでの強度はないので壊れてしまう。
腕立ても同様に普通に行っただけでは物足りないので、いまでは逆立ちしての指立てふせだって出来る。しかも心肺能力も向上したおかげか、逆立ちしていても苦しくならない。普通なら頭に血が昇ってとても苦しい筈なのに、そういった血流の調整までもウマイ事行なえてしまえている模様。う~む、不思議だが凄い。それだけでも驚きなのに、それを余裕で出来てしまえるのだから自分でもビックリだ。
しかしだからといって身体の筋肉量も7倍になったかというと、それはそうでもない。
筋肉が増えるには増えたが、それでもいいとこ3倍程度。これは身体能力の強化に魔力やなにかが影響しているのか、それとも筋肉そのものの質が変わったのだろうか…。
(うむ…もしかしたら今のオレは持久力と瞬発力、その両方の特性を持つという幻の筋肉。白筋でも赤筋でもないピンクマッスルの持ち主になっているのかもしれないぞ!)
さらに頭は冴えてスッキリ。思考の回転が増し、記憶力も向上した。精神も以前より格段に研ぎ澄まされている気がする。それでも趣味嗜好は以前と全く変わっていないオタのままなのは、オレがオレたる所以(ゆえん)か。
おなじく敏捷性と器用さも以前とは段違いになり何をするにもモタつかずに行えるし、躓いたり変な所に身体をぶつけたりということも無くなった。うん、まさにストレスフリー。それに素早く動けるというのは実に気持ちの良いものなので、これからも高速反復横跳びは欠かさずに続けて行こうと考えている。
……。
で、昼食後は初めて地下5層へと下りた。
今日の昼食は無難にチキンソテーと卵焼き。いつもの如くタンパク質の量を意識したメニュー。しかし味については特筆すべきことはないので省略。道中では肩慣らしに目に付いたモンスターを倒しながら下りてきているので、すでに身体のウォーミングアップもバッチリ。
いつもより地下4層でのモンスターとの戦闘時間が短いのは、アレだ。ナメクジは音も無く忍び寄ってくる暗殺者だが、反面その動きはそれほど速くない。そして集団で群れている訳でもないので、狩って捜し歩くのがダルいのだ。
狩り効率が高いなら【粘液】のスキルはもっと高めたいのでナメクジ狩りもありなんだろうけど、時間がかかるというのは結構なストレス。なので先に地下5層を確認してみようと考えた次第。
さて、地下5層も変わらずに幅3メートル高さ4メートルほどの通路。階段を降りてすぐのところが、少し広くなっているくらいで上の階層と違う点は見られない。なのでいつものように二重の簡易防御陣を構築すると、通路の先へと進んだ。
「う~む、そうきたか…」
地下5層のモンスターはまたしても巨大ゴキだった。しかも若干サイズアップしている。そしてスライムの姿も遠くにチラホラと。でも、2種類のモンスターが同じ階層に現れるのは初めてだな。
うぇ…、さらにゴキの種類も増えていた。
地下2層にもいた黒くて丸っこい〇ンバみたいなゴキの他にも、茶色くてシュッと細長いヤツがいる。コイツは見るからにスピードタイプのようで、スケボーよりもデカいのにダッシュした時の速度がヤバイくらい速い。戦うなら、なるべく距離を取って戦いたい相手かもしれない。
(うん、まぁそうだな。色々と思うところはあるが、予想していた蠅や蛆と戦うよりはまだマシか)
「ま、【俊敏】を獲得した後で【敏捷】のスキルオーブを使ったらどうなるのかも調べたかったし、丁度いいか」
早速撒き餌で誘因し薄い酸霧散布で釣り、キルゾーンで止めのゴキ殺戮填めコンボで狩りを開始。それを4度ほど終えてステータスを確認してみると、レベルが2上がっていた。
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種族:人間
能力値
筋力: 100 88
体力: 101 90
知識: 102 93
精神力:120 108
敏捷性:108 100
運: 3 3
器用さ:100 94
ほぉ、成長が早いな。
うん、ここはゴキの量が多い。やはり一度にたくさん狩れるゴキは効率が良いということだな。う~み、ゴキでウハウハ。略してゴキウハだ。見た目は酷い有様だけど。
そこで一度狩りをやめると、今度はマッピングに専念する。
体力なんかと同じで生み出す魔力も一度に深く疲労してしまうと回復に時間がかかるからな。逆にこまめに休憩を入れてやると回復時間が短くて済む。
ゲームなんかだと魔法に使うMPは宿屋で寝ないと回復しないなんて仕様があるが、起きていても安静にしていれば自然と気力は回復する。もちろんぐっすりと眠ってしまったほうが回復の度合いは高いのだろうけど、起きていてもほどほどに回復するのだ。
「ん…?あっちにも通路があるのか、よし行ってみ…ゲェ!?」
大広間のような空間から、いくつも枝分かれして伸びている通路のひとつに足を向けた。だがその通路の奥から、ヌッと大きな影が現れたのだ。
(バ、でか…デカすぎる!なんだあれは!?)
視た瞬間に胃がキュッとなり、たちまち背中に怖気が走る。
(今まで見てきたモンスターのなかで、ダントツにデカイ…。まるで普通乗用車…いや、そのフォルムでいえばちょっとしたボートじゃないか…)
視界に現れたのは、ボートほどもある大きさの超巨大ゴキブリだった。
体表の色は枯れた銀杏の葉のようなくすんだ黄色。ゴキブリのはずなのに外皮は硬く厚そうで非常にトゲトゲしている。その貫禄ある姿は、ゴキというよりヘラクレスオオカブトムシ(メス)のようだ。
(不味い…。あんなのとはとてもじゃないがやり合えないぞ…、ここは撤退を…)
「ギチチィ!」
「ウッ!?」
ヘラクレスオオカブト風味な超巨大ゴキブリから目を離さない様に後退りしようとしたら、つい後方への注意が疎かになっていた。そこに運悪く取り掛かったスケボーゴキを踏みつけてしまった。
すると当然スケボーゴキが体当たりで反撃。それを盾で受けとめながら恐る恐る視線を超巨大ゴキに戻すと、案の定こちらに注意を向けていた。
「不味いッ!クッ、この!あ、しまった!」
急いでその場から走り去ろうとするが執拗に追い縋って攻撃をしかけてくるスケボーゴキ。それを振り払おうとしているうちにバットでスケボーゴキを攻撃してしまった。するとそれを視ていたのか超巨大ゴキが身を震わせて咆え、こちら目掛けて走り出した。
「キュモモォォオオン!!」
(うひぃ~!ア、アイツ、仲間を攻撃されて怒ってるのか!?)
他のゴキ達にはそんな習性はなかったはず。見た目も特別なら、習性も特別らしい。
「う…クソ速い!ロ、ローションフィールド!」
スキル【粘液】を使い、自分と超巨大ゴキとの間にヌルヌルと滑るローション状の粘液を撒き散らず。
「キュモモォォオオ…ン!!」
「クッ、サイズがデカすぎる!」
超巨大ゴキは生み出したローションフィールドに突っ込みスリップはしたものの、すぐに安定の六脚機動で体勢を立て直すと再びオレに向け迫ってくる。
「じゃあ、これはどうだ!」
今度はゴキ誘因用に撒き餌にしていたゴキの皮を走りながら撒き散らした。
「キュモモォォオオン!!」
しかし超巨大ゴキはそんなモノには目もくれず、踏み潰しながら突進を仕掛けてくる。
「おわっ!!」
すんでのところで横に飛んで超巨大ゴキ突進を避けた。が、ライダージャケットの背中が棘にカスっただけで音を立てて破れる。
(嘘だろおい…!)
あんなのを喰らったらひとたまりもない。あれじゃまるで、異世界に転生する者を一撃のもとに確殺する暴走トラックじゃないか。
そんな暴走トラックが、再びこちらへと頭を向け直す。
「キュモモォォオオン!!」
「不味いッ!加速装置ッ!」
スキル【俊敏】を発動させ敏捷性を高めると、本気ダッシュで逃走。
だが振りきれない…それもそうだ。ゴキブリというのは『前方ダッシュ』にその種の生存を懸けて進化してきたような生物…。そんな生き物にダッシュ勝負で勝てるわけがない。
(な、ならば高速反復横跳びッ!)
「キュモモォォオオン!?」
凄まじいダッシュを決める超巨大ゴキも、【俊敏】を使った高速反復横跳びには反応しきれなかったようだ。相手は前方ダッシュに特化したいわばバイクみたいな生物。故に走行中に左右への方向転換は出来ても、やはり身体の構造上突然真横への移動とかは出来ないようだ。
そうだ。オレはモンスターとしてゴキブリの事もしっかり研究していたのだ。
こうして高速反復横跳びと大広間に立っている支柱を盾に超巨大ゴキの攻撃を何とか躱し、入り口の通路付近まで逃げ帰ってきた。しかしその間に色々と関係のないゴキまで傷つけてしまい、すぐ後ろを超巨大ゴキを先頭に大量のゴキの群れが追い迫っていた。
「ハァっ…!ハァっ…!だがこれで最後だ、死ね!酸霧(アシッドフォグ)!!」
簡易防御陣の手前で渾身の酸霧を放つと、ネットの向こう側へと滑り込む。
「キュモモォォオオン!!」
「なっ!?」
しかし超巨大ゴキは酸霧を物ともせずに、通路を一杯に塞ぐその巨体を躍らせ突っ込んできた。
そんな眼前に迫る暴走トラックのような超巨大ゴキの姿に、オレは思わず怯んで立ち尽くしてしまうのだった。
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