うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ

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スーパー銭湯へ

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こうしてゴブリン撲殺女子大生たちのレベルは上がった。

瀬来さんは6に、そして糧品さんと仁菜さんは4へとレベルアップ。

「やっぱりレベルも4になったら、コォチの言う通り上りが悪くなったなぁ」
「そうですね。私もそんなに数値が伸びませんでした」

仁菜さんと糧品さんは、オレの提唱する伸び代生命エナジー充填理論に頷いてくれている。

「えぇ~!?でもふたりとも今日だけで3レベルも上がったんだよぉ!すごいよ、いいなぁ!私の時はものすごく時間かかったのにぃ…」

「うむ…。まぁ今持っている伸び代分を使い切ったんだと思うから、今日はこの辺で切り上げたほうがいいね」
「えっ!でも私、まだ1レベルしか上がってないですよコーチ!」

「瀬来さん。パーティー組むつもりなら、歩調はふたりに合わせてあげないと。糧品さんと仁菜さんは今日がダンジョン初なんだし、思った以上に疲れてると思うよ」
「あ…そっか。ごめんねふたりとも…」

「ええて。万智は夢中になると周りが視えなくなるもんなぁ。でも今日はこの辺にしてほしいわぁ」
「はい、私もちょっと疲れました」

「うん、そうだね。じゃあ切り上げようか!コーチ、先導おねがいします!」
「はいよ、じゃ帰り道も油断しないようにね」

「「「は~い」」」


ダンジョンを出て着替えを終えると、再び集合。うんうん、終礼というやつだな。

「コォチ、エライおおきにぃ。受付料まで払ってもろたのに、ドロップまで頂いてもうてぇ」
「ありがとうございます」

「ああ、構わないよ。こっちも調べ物に付き合ってもらっているようなモンだから」
「さすが江月さん、太っ腹!」

今朝のファミレスからダンジョンの受付料まで、オレは全て彼女たちの分も支払った。

なぜって、それはオレが無職でも社会人で、彼女たちが大学生だから。ほんとにお金のない時ならともかく、今は魔石を売ったお金で懐が潤っている。それにそれくらいしないと、年上としてカッコがつかないもんな。

「はい、じゃあ今日はゆっくりと身体を休めてね。それじゃ、おつかれさま」
「え、江月さんもう帰るの?皆ですこしお茶でもしません?」

「ん~、とはいえ汗もかいたし、みんな疲れたんじゃない?」

私服に着替えた瀬来さんたちからは制汗スプレーの爽やかな香りが漂ってきている。それでも身体を鍛えたり、ダンジョンのなかでゴブリンと戦い神経をすり減らしたのだ。早くシャワーでも浴びてサッパリと汗を流したいだろう。

「それとも、この後なにか予定でもあるんですか?」
「いや別に。帰りにスーパー銭湯にでも寄って帰ろうかなって思ってるくらいだよ」

「えぇ~、いいなぁ!私たちを置いて江月さんだけひとりでお風呂行くなんてズルイぃ!」
「せやなぁ。うちらも今日くらい、広いお風呂でゆったり湯に浸かりたいわぁ~」
「そんな、ふたりとも…コーチに悪いよ…」

「えぇ?じゃあルウはおっきなお風呂、入りたくないのぉ?」
「そ、それは…」

むむむ、なんだかおかしな流れになって来たぞ…。

「ん~…じゃあ、みんなでスーパー銭湯行く?それくらいならまぁ持つけど?」
「「「やったぁ!」」」

ややや?なんだか美人女子大生三人とスーパー銭湯に行くことになってしまったぞ。


……。


14時半、スーパー銭湯に到着した。ダンジョンで得た魔石は瀬来さんの勤めるお店で買取に出し、三人は盾やバットをそのままお店に預かってもらいタクシーに。バイクで彼女らの乗るタクシーを追走したので、同時刻で到着ナリ。

「わぁ、私こういうところ来るの初めてかも」
「私も…」
「ウチもやなぁ、ほんなら三人とも…今日が初体験やなぁ!」

「ぶほォッ!…ゴホッ!ゴホッ!」
「やだぁ!江月さんなんで咽てるのぉ。やらしいぃ~」

いや、それは仁菜さんが変な事言うからじゃん、オレは悪くないぞ。

「むむむ、もういいから早く受付しよう」
「「「は~い」」」



『かぽ~ん…』
「「「ざわっ!?…ざわざわざわ…」」」

穏やかでゆったりくつろぎ空間な浴場が、一瞬にして緊迫した空気に包まれる。

まぁそれはオレが浴場に立ち入ったからなんだけど。うん…ゴリゴリのマッチョボディが、周囲から異様に警戒されるんだよね。ま、そんな時はすぐに洗い場に腰を落ち着け身体を洗い始めれば、その警戒も次第に薄れていく。いやはや、ガチムキ過ぎるのも考えものかぁ…。

「ふぅ~~~っ」

まぁ周りの人達からしたらゆるい日常系マンガの中に、いきなり〇哲夫キャラが登場したようなもの。それで驚くなという方が無理があるか。

今日も暑かったしダンジョンでかいた汗を綺麗に流し、ゆっくり湯に浸かって身体をほぐす。ただオレの場合、蟲王スーツを装着した際には内部を潤滑の為の粘液で満たすので、粘液を流すといったほうが正解か。

とはいえその粘液のおかげで、スーツ装着中は汗で蒸れたりベトついたりすることもなく快適に過ごすことが出来る。ま、長時間だと多少ふやけたりはしてしまうけど。


………。


待ち合わせ場所に指定したソファに向かうと、そこにはすでに三人の姿。オレもそうだが、三人ともゆったり寛げるベージュの館内着を着ている。

「江月さぁん、ここぉここぉ!」
「おまたせ、瀬来さんたちの方が早かったか」

「ううん、うちらも今出たとこやでぇ」
「ふたりとも今日はおつかれさま。ゆっくり身体はほぐせた?」

「広くてとっても気持ち良かったですぅ」
「ええ、ほんま気持ち良かったわぁ」

「ブ~ゥ!どうして私には訊かないの江月さん!?」
「それは…ハハ、瀬来さんはもう何度も潜ったことのあるダンジョン経験者だからだよ。ふたりは今日が初めてだったから。疲れたんじゃないかと思ってさ」

「あ~あ!私も初めては江月さんが良かったなぁ!」
「ぶほォ!…ゴホッ!ゴホッ!」

「万智ぃ…コォチからこうて遊ぶのやめぇや…」
「そ、そうですよ…」

うむむ…やっぱりからかわれてたか、コンチクショーめ。

「で、三人とも何食べるのか決まった?」

ここのスーパー銭湯には比較的リーズナブルなフードコートもあれば、焼き肉や中華料理の専門店も入っている。瀬来さんたちにはお風呂に入る前にどこで食事をしたいか決めておくように、と話しておいたのだ。

「ん~、万智は焼肉がいいって言うし、うちはどっちかっていうと今日は中華の気分なんよ。でもルウちゃんはコォチの懐具合を気にしてフードコートにしようって。だから決まらなかったんよ」
「なんだ、そうだったのか。じゃあ糧品さんは、焼肉と中華だったらどっちがいい?」

「えぇ!私…そんな…決められない…」
「あらら、ごめんしてねコォチ。ルウちゃんはこういうとこあるんよ」

「いやいや、いいんだ。じゃあ瀬来さん、今日はがんばったふたりに華を持たせるという事で、中華で良いかな?中華なら肉料理も色々あるだろうし」
「そうね、じゃあそうしましょうか。ゴチになります!江月さん」

「「ゴチになりまぁす!」」
「おう、まかせとけ!」

こうしてオレ達は、中華専門店に入ることに決めたのだった。
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