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安全ボランティア
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「ねぇねぇ!せっかく全員がスーツを着たんだからさ、みんなで街の見回りに行こうよ!」
全員がバトルスーツに着替え終わると、瀬来さんがまたも突拍子もない事を言い出した。いやいや瀬来さん、ちょいとお待ちなさい。自分で言うのもなんだけど、この格好で街中ウロつくのって結構アレなのよ?
「うん、万智ちゃん行こう!私おかあさんに言って来るね、ねぇおか~さ~ん!」
だが自分専用のスーツがよほど嬉しかったのか、瑠羽もまたはしゃいで瑠羽ママのもとへと駆けて行ってしまう。
「ふふ…瑠羽ちゃん、コォチからのプレゼントがほんまに嬉しかったみたいやねぇ」
瑠羽の後姿を見送っていると、仁菜さんからそんな事を言われた。
ああ、言われてみれば瑠羽にちゃんとしたプレゼントって、贈ったこと無かったな。仁菜さんに言われなければ、気付かなかった、うむむ恥ずかしい。いや、考えてはいたのよ。でも女性にプレゼントなんて、いつどんなタイミングで送ればいいのか思いつかなかったのよ。
「そんなん自分の良いと思ったタイミングで、ええんよ」
おうふ、もしかして恋愛巧者の仁菜さんには、オレの考えていた事なんてまる解りですか?
「にふふふ~。私は江月さんがこないだ貸してくれた光るバールでいいよ♪」
おうふ、そして瀬来さんはカツオくんバットだけで飽き足りず、オレからエクスカリバールまで奪うおつもりディスか。
「(きゃああッ!)」
「(わ、どうしたのおかあさん!?)」
ああ…うん。止める間もなく出て行っちゃったけど、自分の娘が全身金ぴか姿で現れたら、そりゃ瑠羽ママだってビックリすると思うよ。
……。
で、そんなことがありつつも、結局完全武装で市中見回りに出かけることになったオレ達。
現在は国から緊急事態宣言が出されているので、外出は自粛するよう求められている。それについて特に罰則などはないが、それでも警察官や自衛官に見つかれば注意くらいは受けるだろう。いや…注意で済むかな?少なく見積もっても武器準備集合罪とかでしょっぴかれそうだ。
だが、そんなオレ達に瑠羽ママがとても良いモノを用意してくれた。
それはかつて瑠羽ママが、瑠羽の小学校時代に行っていたという交通指導ボランティアのベストとタスキ。瑠羽ママは交通指導ボランティアとして交差点に立つなどして瑠羽の同級生たちと顔を繋ぎ、病弱で学校になかなか通えないでいた瑠羽が学校で孤立しないよう気を配っていたそうな。うんうん、実に娘思いなお母さんだ。
そんな交通指導ボランティアの緑ベストはサイズの関係で蟲王スーツⅡ型を着た瑠羽が身に着け、交通安全と書かれたタスキはじゃんけんで負けたオレが身に着けている。
つまりは全員が一切顔の見えない怪しげな格好で手にはバールという凶器で武装しているにもかかわらず、ベストやタスキでは交通安全を謳っているというなんとも珍妙かつ不気味な存在が街を徘徊することになるのであった。
「ん~、全然ひとがいないねぇ」
「まぁ自粛期間中やからねぇ」
糧品宅のあるマンションを一回りすると、なんとなくでフラフラその辺を歩いてみる。
瑠羽の住むマンションの周辺は、モンスタースタンピードが起きてもそれほど大きな騒ぎにはならなかった。きっと地理的に恵まれていたのだろう。
「あ、あそこに何か困ってる人がいますよ。あの、どうしました~??」
「「ひ、ひひぃ~!?」」
いつもと変わらぬ調子で老夫婦にとててと駆け寄る瑠羽。だがそんな瑠羽に老夫婦は震え上がった。
「あ…、すみません!あのコーチ、これ顔の部分だけ開けられませんか?」
老夫婦を驚かせてしまった事を詫びた瑠羽が、小走りに戻ってきてオレに問う。
「うん、まぁ開けられるけど…、恥ずかしくはない?」
「あの、えと…コレを着てると、コーチに守られてる気がして勇気が出てきました!」
ああ、それはきっとヒーロー効果だね。オレも蟲王スーツを着ていると、自然と勇気が湧いてくるもん。
「解った。じゃあジッとしてて…(ふよよよん…)」
「ありがとうございます。じゃあもう一度話してきますね!(とてて!)」
「へぇ~、あの瑠羽が自発的に動くなんて珍しい~」
「せやねぇ、いつも万智の陰に隠れとったのに」
瀬来さんと仁菜さんが小走りに老夫婦のもとに駆けて行く瑠羽を見て、そんな感想を漏らす。なるほど、そう言われると確かにそうだな。あんなに快活な瑠羽というのも珍しい。
「コーチ。おじいさんが腰を打ってしまって、病院に行きたいそうなんです」
「そうか、それはまたこんな時に災難な。じゃあついでだし、送り届けてやるか」
「あのォ…私どもは助かりますけども、よろしいんですか?」
「はい、大丈夫ですよ。見回りのつもりで歩いてましたから」
おお、いつもどこかオドオドとしていた瑠羽が、見知らぬ人ともハキハキと会話をしている。これもスーツのおかげか、はたまた瞑想で精神が落ち着いたせいか。なんにせよ、瑠羽の成長した姿をみられて嬉しいことに変わりはない。
……。
が、こうして老夫婦を最寄りの病院へと送り届けると、案の定そこを警備していた警察官に呼び止められて事情を訊かれた。
まぁ見るからに不審極まりない集団なので、その対応も当然といえば当然だが。
だがこちらには蟲王スーツⅡ型を着て生まれ変わった瑠羽がいるのだ。さぁゆけっ瑠羽!勇気を持っておまわりさんに説明タイムだ!あ、オレは背負ったおじいさんを医療スタッフに預けてくるからね。
「腰を強く打って動けないおじいさんを運んできました」
「ほうほう、怪我人を運んでここまで、それはごくろうさま。でもどうしてそんな恰好を?」
やや強面の年配警察官に事情を訊かれている瑠羽。
「え…?あの、えと、それは…」
だが格好のことを訊かれると、瑠羽は途端に怯んでしまった。おのれ、瑠羽が困ってるでしょが!もっとやさしく質問しなさいよ!
「それは私たちが、ダンジョンのモンスターとも戦える勇敢な戦士だからよ!(キリッ)」
「(ぴくっ)ほう…、それでそんな物騒なモノを手に街中を歩いていると…」
おっと、形勢不利と見て瀬来さんが空かさず瑠羽の援護に回ったが、それはどうも藪蛇になってしまったようだ。
「あんなぁ~、お巡りさん。ウチら見ての通り女の子だけやろ?こないに街んなかモンスターが出とるのに、なんも身を守るモンがないなんて危なすぎるやろ?そりゃお巡りさんたちがもっとしっかりしとったらそないな心配せんでええんやろけど…。でもこないな時にそれ言うんもアレやん?せやからウチら、ダンジョン潜ってたこともあって多少はモンスターとも戦えるから、街の安全ボランティアしとるんやない」
しかし最後は、やはり仁菜さんが綺麗に決めた。
まだ本調子ではないものの、澄んだ声で周囲の耳にも届くようしっかりと話す仁菜さん。うむ、周りを味方につけ警察官の痛い所を突く。感情の機微に長けていなければできないテクニックだ。
「なるほど、そういうことか。いやいや、ならせめて顔くらいは見せて欲しかったな~。それでなくても我々も連日のトラブルに参っていてね」
「コレ、一度着込むと簡単にはよう脱げんのよ。大目に見たってなぁ」
「あのォ…、なんだかわたくしたちの所為ですみません…」
そこにご主人の状態をテントにいた看護師に説明していたおばあさんが戻ってきて間に入ってくれたので、強面警察官の事情聴取はそれまでとなった。よし急げ、この隙に脱出だ。
そうして病院を後にしたマンションへの帰路、瀬来さんがつまらなそうにしてボヤく。
「あ~あ、なんかつまんないの。せっかくみんなでイイコトしてたのにぃ~」
「ハハハ、まぁそう言わない。警察官が不審者を事情聴取するのも仕事で、街中じゃどう見てもオレ達は武装した不審者だしな」
「エェ~!タスキまでしてこんなに目立つ格好してるのにぃ~?」
そんな風に手をピラピラ振ってみせてるけど、瀬来さんが今右手に持ってるのはオレの貸したエクスカリバールでしょが。
「おとうさんを病院に連れて行った時には、何も言われなかったのに…」
うん、まぁあの時はみんな普通の恰好だったしね。スーツを着てる時の周りの反応って、だいたいこんなモンよ?
「でもウチはいつもと周囲の反応が違って、ちょっとだけ面白かったなぁ」
そうだね、悪目立ちもしてたけど、顔の見えない瀬来さんや仁菜さんが綺麗な声で話しだすと、途端に項垂れていた顔を上げる男達が何人もいたもんな。怪我だけの若いのは、体力があるからと病室に入れてもらえなかったのだろう。
ホントにやったら顰蹙モノだが、そんな彼らに「ムフフ、どうだ。三人ともオレの彼女なんだぞ!」なんて自慢したかったな~。
きっとオレ達が去った後で、野戦病院にいた男達は声だけでも美人と解る瀬来さん仁菜さんの顔を想像して、アレコレと話題にして盛り上がったことだろう。
まぁそれで多少は怪我の痛みを忘れられたのなら、幸いだ。
「みんな、しばらく経ったけどスーツの着心地は?」
「ウン!バッチリ!」
「私もですコーチ!」
「ウチもコレ気に入ったわぁ」
「そうかそうか。なら落ち着いたら、今度はみんなスーツでダンジョンに潜ろう」
……。
世の中は非常に不安定だ。
今も中国軍に占拠された佐渡島から住人を避難させる交渉を政府が行っているらしい。占拠という曖昧な単語を使っているが、領土が侵犯されたのだからそれはもはや占領だ。猛烈に抗議して、展開している中国軍を逆包囲してやるぐらいのことをしてやればいいのに。だが今の政府にそんな度胸は露程もないらしい。
そしてロシアもまた北方で怪しい動きを見せているし、EUはまたなにか内輪で勝手に揉めている。
米国も中国の動きに強い不快感を示してはいるが、自分達が中国から防衛しようとした台湾が無事でどこかホッとしたような気配も見せている。
つまり世界は今もバラバラで、頼れるのは自分たちの力だけという事…。
なら今のオレに出来ることは、なにがどう転んでも良い様に少しでも強くなっておくこと。そして、愛する彼女たちを鍛えて、少しでも強くしてやることだけだろう。
全員がバトルスーツに着替え終わると、瀬来さんがまたも突拍子もない事を言い出した。いやいや瀬来さん、ちょいとお待ちなさい。自分で言うのもなんだけど、この格好で街中ウロつくのって結構アレなのよ?
「うん、万智ちゃん行こう!私おかあさんに言って来るね、ねぇおか~さ~ん!」
だが自分専用のスーツがよほど嬉しかったのか、瑠羽もまたはしゃいで瑠羽ママのもとへと駆けて行ってしまう。
「ふふ…瑠羽ちゃん、コォチからのプレゼントがほんまに嬉しかったみたいやねぇ」
瑠羽の後姿を見送っていると、仁菜さんからそんな事を言われた。
ああ、言われてみれば瑠羽にちゃんとしたプレゼントって、贈ったこと無かったな。仁菜さんに言われなければ、気付かなかった、うむむ恥ずかしい。いや、考えてはいたのよ。でも女性にプレゼントなんて、いつどんなタイミングで送ればいいのか思いつかなかったのよ。
「そんなん自分の良いと思ったタイミングで、ええんよ」
おうふ、もしかして恋愛巧者の仁菜さんには、オレの考えていた事なんてまる解りですか?
「にふふふ~。私は江月さんがこないだ貸してくれた光るバールでいいよ♪」
おうふ、そして瀬来さんはカツオくんバットだけで飽き足りず、オレからエクスカリバールまで奪うおつもりディスか。
「(きゃああッ!)」
「(わ、どうしたのおかあさん!?)」
ああ…うん。止める間もなく出て行っちゃったけど、自分の娘が全身金ぴか姿で現れたら、そりゃ瑠羽ママだってビックリすると思うよ。
……。
で、そんなことがありつつも、結局完全武装で市中見回りに出かけることになったオレ達。
現在は国から緊急事態宣言が出されているので、外出は自粛するよう求められている。それについて特に罰則などはないが、それでも警察官や自衛官に見つかれば注意くらいは受けるだろう。いや…注意で済むかな?少なく見積もっても武器準備集合罪とかでしょっぴかれそうだ。
だが、そんなオレ達に瑠羽ママがとても良いモノを用意してくれた。
それはかつて瑠羽ママが、瑠羽の小学校時代に行っていたという交通指導ボランティアのベストとタスキ。瑠羽ママは交通指導ボランティアとして交差点に立つなどして瑠羽の同級生たちと顔を繋ぎ、病弱で学校になかなか通えないでいた瑠羽が学校で孤立しないよう気を配っていたそうな。うんうん、実に娘思いなお母さんだ。
そんな交通指導ボランティアの緑ベストはサイズの関係で蟲王スーツⅡ型を着た瑠羽が身に着け、交通安全と書かれたタスキはじゃんけんで負けたオレが身に着けている。
つまりは全員が一切顔の見えない怪しげな格好で手にはバールという凶器で武装しているにもかかわらず、ベストやタスキでは交通安全を謳っているというなんとも珍妙かつ不気味な存在が街を徘徊することになるのであった。
「ん~、全然ひとがいないねぇ」
「まぁ自粛期間中やからねぇ」
糧品宅のあるマンションを一回りすると、なんとなくでフラフラその辺を歩いてみる。
瑠羽の住むマンションの周辺は、モンスタースタンピードが起きてもそれほど大きな騒ぎにはならなかった。きっと地理的に恵まれていたのだろう。
「あ、あそこに何か困ってる人がいますよ。あの、どうしました~??」
「「ひ、ひひぃ~!?」」
いつもと変わらぬ調子で老夫婦にとててと駆け寄る瑠羽。だがそんな瑠羽に老夫婦は震え上がった。
「あ…、すみません!あのコーチ、これ顔の部分だけ開けられませんか?」
老夫婦を驚かせてしまった事を詫びた瑠羽が、小走りに戻ってきてオレに問う。
「うん、まぁ開けられるけど…、恥ずかしくはない?」
「あの、えと…コレを着てると、コーチに守られてる気がして勇気が出てきました!」
ああ、それはきっとヒーロー効果だね。オレも蟲王スーツを着ていると、自然と勇気が湧いてくるもん。
「解った。じゃあジッとしてて…(ふよよよん…)」
「ありがとうございます。じゃあもう一度話してきますね!(とてて!)」
「へぇ~、あの瑠羽が自発的に動くなんて珍しい~」
「せやねぇ、いつも万智の陰に隠れとったのに」
瀬来さんと仁菜さんが小走りに老夫婦のもとに駆けて行く瑠羽を見て、そんな感想を漏らす。なるほど、そう言われると確かにそうだな。あんなに快活な瑠羽というのも珍しい。
「コーチ。おじいさんが腰を打ってしまって、病院に行きたいそうなんです」
「そうか、それはまたこんな時に災難な。じゃあついでだし、送り届けてやるか」
「あのォ…私どもは助かりますけども、よろしいんですか?」
「はい、大丈夫ですよ。見回りのつもりで歩いてましたから」
おお、いつもどこかオドオドとしていた瑠羽が、見知らぬ人ともハキハキと会話をしている。これもスーツのおかげか、はたまた瞑想で精神が落ち着いたせいか。なんにせよ、瑠羽の成長した姿をみられて嬉しいことに変わりはない。
……。
が、こうして老夫婦を最寄りの病院へと送り届けると、案の定そこを警備していた警察官に呼び止められて事情を訊かれた。
まぁ見るからに不審極まりない集団なので、その対応も当然といえば当然だが。
だがこちらには蟲王スーツⅡ型を着て生まれ変わった瑠羽がいるのだ。さぁゆけっ瑠羽!勇気を持っておまわりさんに説明タイムだ!あ、オレは背負ったおじいさんを医療スタッフに預けてくるからね。
「腰を強く打って動けないおじいさんを運んできました」
「ほうほう、怪我人を運んでここまで、それはごくろうさま。でもどうしてそんな恰好を?」
やや強面の年配警察官に事情を訊かれている瑠羽。
「え…?あの、えと、それは…」
だが格好のことを訊かれると、瑠羽は途端に怯んでしまった。おのれ、瑠羽が困ってるでしょが!もっとやさしく質問しなさいよ!
「それは私たちが、ダンジョンのモンスターとも戦える勇敢な戦士だからよ!(キリッ)」
「(ぴくっ)ほう…、それでそんな物騒なモノを手に街中を歩いていると…」
おっと、形勢不利と見て瀬来さんが空かさず瑠羽の援護に回ったが、それはどうも藪蛇になってしまったようだ。
「あんなぁ~、お巡りさん。ウチら見ての通り女の子だけやろ?こないに街んなかモンスターが出とるのに、なんも身を守るモンがないなんて危なすぎるやろ?そりゃお巡りさんたちがもっとしっかりしとったらそないな心配せんでええんやろけど…。でもこないな時にそれ言うんもアレやん?せやからウチら、ダンジョン潜ってたこともあって多少はモンスターとも戦えるから、街の安全ボランティアしとるんやない」
しかし最後は、やはり仁菜さんが綺麗に決めた。
まだ本調子ではないものの、澄んだ声で周囲の耳にも届くようしっかりと話す仁菜さん。うむ、周りを味方につけ警察官の痛い所を突く。感情の機微に長けていなければできないテクニックだ。
「なるほど、そういうことか。いやいや、ならせめて顔くらいは見せて欲しかったな~。それでなくても我々も連日のトラブルに参っていてね」
「コレ、一度着込むと簡単にはよう脱げんのよ。大目に見たってなぁ」
「あのォ…、なんだかわたくしたちの所為ですみません…」
そこにご主人の状態をテントにいた看護師に説明していたおばあさんが戻ってきて間に入ってくれたので、強面警察官の事情聴取はそれまでとなった。よし急げ、この隙に脱出だ。
そうして病院を後にしたマンションへの帰路、瀬来さんがつまらなそうにしてボヤく。
「あ~あ、なんかつまんないの。せっかくみんなでイイコトしてたのにぃ~」
「ハハハ、まぁそう言わない。警察官が不審者を事情聴取するのも仕事で、街中じゃどう見てもオレ達は武装した不審者だしな」
「エェ~!タスキまでしてこんなに目立つ格好してるのにぃ~?」
そんな風に手をピラピラ振ってみせてるけど、瀬来さんが今右手に持ってるのはオレの貸したエクスカリバールでしょが。
「おとうさんを病院に連れて行った時には、何も言われなかったのに…」
うん、まぁあの時はみんな普通の恰好だったしね。スーツを着てる時の周りの反応って、だいたいこんなモンよ?
「でもウチはいつもと周囲の反応が違って、ちょっとだけ面白かったなぁ」
そうだね、悪目立ちもしてたけど、顔の見えない瀬来さんや仁菜さんが綺麗な声で話しだすと、途端に項垂れていた顔を上げる男達が何人もいたもんな。怪我だけの若いのは、体力があるからと病室に入れてもらえなかったのだろう。
ホントにやったら顰蹙モノだが、そんな彼らに「ムフフ、どうだ。三人ともオレの彼女なんだぞ!」なんて自慢したかったな~。
きっとオレ達が去った後で、野戦病院にいた男達は声だけでも美人と解る瀬来さん仁菜さんの顔を想像して、アレコレと話題にして盛り上がったことだろう。
まぁそれで多少は怪我の痛みを忘れられたのなら、幸いだ。
「みんな、しばらく経ったけどスーツの着心地は?」
「ウン!バッチリ!」
「私もですコーチ!」
「ウチもコレ気に入ったわぁ」
「そうかそうか。なら落ち着いたら、今度はみんなスーツでダンジョンに潜ろう」
……。
世の中は非常に不安定だ。
今も中国軍に占拠された佐渡島から住人を避難させる交渉を政府が行っているらしい。占拠という曖昧な単語を使っているが、領土が侵犯されたのだからそれはもはや占領だ。猛烈に抗議して、展開している中国軍を逆包囲してやるぐらいのことをしてやればいいのに。だが今の政府にそんな度胸は露程もないらしい。
そしてロシアもまた北方で怪しい動きを見せているし、EUはまたなにか内輪で勝手に揉めている。
米国も中国の動きに強い不快感を示してはいるが、自分達が中国から防衛しようとした台湾が無事でどこかホッとしたような気配も見せている。
つまり世界は今もバラバラで、頼れるのは自分たちの力だけという事…。
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