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ダンジョンスタンピード第二波 休養
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大きな土鍋が火にかけられ、ふつふつと美味そうな匂いでハミングしている。
「よし…、そろそろ良さそうだ。さぁみんな、遅くなったが夕飯にしよう」
ガパリと鍋の蓋を開けると、白い湯気がモウモウと湧いて実に食欲を刺激する。
「わぁ~美味しそぉ!もうおなかペコペコだよぉ~!」
「ホンマ、美味しそうやねぇ~」
「おかあさん!おかあさんにはわたしが取ってあげるね!」
「あら、ありがとう瑠羽」
午後10時。色々あったが、ようやくオレ達は糧品宅で鍋を囲んでの夕飯タイム。今夜のメニューは、蠍鍋だ。
「ふぅ~!ふぅ~ッ!んッ…アチチ!」
「もぉ慌てるからやろ。ほら、万智お水」
ガンバってモンスターを追い払ってくれた瀬来さんは食欲旺盛。熱い肉団子を食べて火傷しそうになったところを、仁菜さんにフォローされている。
「ん…まぁ、とってもいいお味ね!」
「すごいでしょ!コーチは料理も得意なんだよ、おかあさん」
瑠羽の取り分けた小鉢からまずスープを頂いた瑠羽ママは、その頬を綻ばせている。うんうん、お口にあったようでなにより。ま、料理が得意というよりは、使ってる塩が違うんですよ。
自宅に戻ったはいいものの、母親の姿が見えずに瑠羽は青くなったそう。だが、ひとりで心細かった瑠羽ママはお隣に身を寄せていたのだそうだ。いやはや無事でなにより。
で、現在の状況はというと、暗がりのなかボンヤリと光るファイヤーワンドの明かりを頼りに食事をするという、いかにも闇鍋チックな光景となっております。
というのもこのマンションは、火災に見舞われてしまった。
その為に、電気もガスも水道もダメになってしまったのだ。ああ、ちなみにガスは機械室の扉をあけて大元を締めて来た。ガス漏れしたままじゃ危ないからね。
水道はしばらくの間は使えたんだけど、すぐに断水。
電気がダメになったせいで揚水ポンプが動かず、高架水槽が空になってしまったようだ。ほら、災害に直面して各ご家庭で一斉に水を確保しようとしたみたいだからさ。
「んふぅ~…ッ!このトロミのあるスープと、肉団子のマッチングが最高~ッ!」
「万智、野菜もしっかりとらなアカンよ?この先、また元の生活にすぐ戻れるかわからんのやから」
うん、瀬来さんは蠍鍋をいたく気に入ったご様子。まぁ字ズラが酷いけど、見た目的にはまんま塩鳥団子鍋といった感じだもんね。
こちら、粗く刻んだ巨大赤蠍の身とすり鉢で磨り潰してペースト状にした身を混ぜて肉団子を作り、それを豆腐タマネギ白菜と共に塩ベースの粘液スープで煮込んだお鍋となっております。なので瑠羽ママも気にせず食べている。まぁ、巨大赤蠍の肉とは話してないけどさ。
ああ、もちろん調理をする前にオーラに因るサイコメトリーとパッチテストを行ない、安全は確認済。
それにスキルで生み出した粘液も、特に人体に悪い影響はない。ほら、断水してるからこういう方法でしか、飲料水が確保できないのよ。
とはいえオレ達は非常に恵まれている。なぜならばオレの【粘液】に加え、4人ともが【酸】のスキル持ち。これらを超極薄で発動させれば、まず水に困ることがないのだから。
特に瀬来さんたちは女性だけあって、【酸】のスキルで日頃からスキンケア用の弱酸性化粧水を自力で生み出していた。う~む、さすが女子。美に対する探究心が半端ない。
そんな訳でほぼ水みたいな酸液を生み出すことも、全員造作もないことなのだ。
「あの江月さん…、コレもっと作ってお隣さんにおすそ分けしてもいいかしら?」
「ええ、構いませんよ。材料はまだまだたくさんありますから」
瑠羽ママは自分達だけがこんな状況で良い食事を摂っていることに気が引けたのか、そんなことを訊いてくる。だが蠍の身はそれこそ腐らせてしまうほどにあるので、なんの問題も無い。
巨大赤蠍をなんとか倒した後、その外殻が欲しくて解体をした。
けど脚の身まで綺麗にほじってなかったから、その身がたんまりとあるのよ。でもそのせいで空間庫が満タンになってしまい、出がけに確保した巨大カニの身はオレ達を追っかけてた百鬼夜行集団のなかに投棄。
食材を捨てるなんてもったいないことだが、レアリティのことを考えればそうせざるを得なかった。
巨大カニの身ならいつでも手に入る。が、巨大赤蠍の外殻を手にすることのできるチャンスは、またとないのだから。そんな訳で現在オレの空間庫は、巨大赤蠍の外殻や肢に鋏に尻尾とパンパン。それでも入りきらずに、百舌の速贄みたいにして神社の境内に茂ってた樹上に隠してきたくらいだ。
だからソレも、誰かに見つかる前に回収しておきたいところである。
「あむあむ!うふふ…、次々ぃ~!」
「もぉ万智…、食べ過ぎておなか壊さんようになぁ」
うむむ…瀬来さん、なにやら育ち盛りのわんぱく小学生みたいな食べっぷり。
だがそんな健康的な笑顔が視れて、実に嬉しい。まぁ下から光があたる暗がりのなかで鍋ガッツいてる姿は、ちょっと不気味にも視えるけど…。
とはいえ巨大黒蜘蛛の生命エナジーを吸収してる時に突然血を吐いた時は、ほんとにビックリした。なので元気になってくれたのであれば、それがなにより。
「よしよし、では追加でたっぷりと肉団子を作ってくるとしよう」
「あ、コーチ、わたしも手伝います!」
そう言って席を立つと、瑠羽もいっしょについてきてくれる。
「そうか、じゃあ頼もうかな」
「はい!」
今まで孤独でボッチだったオレには、彼女たちのそんな笑顔がなによりのご褒美。亠を、保つ衣が美しい。で、ご褒美ですよ。
さてさて、それじゃあ山ほど肉団子を仕込みますか。
……。
糧品宅に落ち着き2日、ゆっくりと休息を摂り英気を養うことが出来た。
『ここまでお疲れ様。コォチもゆっくり休んでええんやで?』などという暖かい言葉を頂き、3人も夜の見張りに手を上げてくれた。なのでここ最近続いていた変な夢などを視ることもなく、オレもぐっすりと眠ることができた。
そして今さっき。瑠羽からコッソリと『おとうさんに回復ポーション使っちゃいました、ごめんなさい』と謝られた。
うん、実に家族思い。
そしてそれをなかなか言い出せずに悩んでいた事もまた、優柔不断な瑠羽らしい。それに対し『瑠羽がどうしてもそうしたかったのなら、いいんだよ』と返すと、涙を浮かべて感謝された。どうも怒られるんじゃないかと、ずっと心配してたようだ。
いや、それくらいで怒らないよ。別に私利私欲で行なった訳じゃなし。純粋に父親を心配して、助けたいと思っただけじゃんね。
なのでそんなことを説明すると、『ありがとうございます。でもお礼がしたいから、なんでも言ってください!』などと言いだす瑠羽。いや、オレにはいいけどさ。『なんでも言ってください!』なんて、他の男に絶対言ったらダメよ?
「ん~…と、じゃあ、耳かきでもしてもらおうかな?」
「わかりました。それなら、わたしの部屋で…」
瑠羽なりに両親を助けてもらったお礼がしたいのだろう。『そんなの気にしないで良いよ』と済ませることも出来るけど、それだと瑠羽の気が納まりそうになかったので耳かきをしてもらうことに。
いやほら、別にマッサージでもいいんだけどさ。瑠羽とオレとだと、だいぶ体格差が一番あるし。一番小柄な瑠羽に一番大きな身体をしているオレがマッサージさせてるのって、なんかヤじゃん?
それにマッサージであれば、最近は瀬来さんが自分からすすんでしてくれる。
瀬来さんて結構Sな気があるのか、ツボを捉えてこちらがそれに反応を示すと、『ねぇ、ここが気持ちイイの?』なんて言いながらグリグリと執拗に責めてくる。そんな風に言われながらしつこくグリグリされたら、『こりゃもう堪りませんッ!』てなわけですよグヘヘ…。って、何言わせんだよ。てオレか、こりゃ失礼。
ともかく戦闘スーツ姿の瑠羽のあとに付いて、部屋へと入る。
うん、ふたりともスーツ姿。だって非常時だもん。自宅に着いたからといって装備を解けるほどには、落ち着いていない。それに瑠羽だけが私服というのも、ほかのふたりに不公平だしね。といっても室内なので、頭部と腕部は外してるよ。
「それじゃコーチ…、こっちに来てください」
ベッドのふちに座った瑠羽が、ふとももの上にバスタオルを敷いて恥ずかしそうにオレを呼ぶ。その余りの可愛いらしさに、このままジャンピングダイブで押し倒してしまいたくなる。が、そこは激しく自重。これから耳かきしてもらうのに突然そんな真似をしたら、ものすごく怒らせてしまうだろう。
「うん…、それじゃあおねがいます」
なのでゆっくりとベッドの上に乗ると、横向きになり瑠羽の太腿のうえに頭を載せる。
「はい、それじゃあ耳かき始めますね…」
『ブッピガン!』と脳内ドッキング音が再生されるなかで、瑠羽の耳かきが始まった。
『(ごそごそごそ…こしょこしょこしょ…)』
「「………」」
う~ん、心地良い…。
生ふとももでないのが非常に残念ではあるが、この状況だけでも十分に癒される。アキバでもこういうお店は、30分くらいで¥3000とか¥4000もするらしいからな…。いや、むしろ戦闘スーツに身を包んだ従順美少女に耳かきしてもらうという特殊プレイは、そんな金額では絶対収まらないぞ。
「あの…コーチ?」
「ん…?」
「コーチの耳の中、ぜんぜん汚れてないですけど…」
「て、あれ?そう…?」
うむむ…、実はスキル習熟訓練の過程で粘液耳かきも試してみたんだよな。
まずはスライム状の粘液を耳の穴を塞がぬように侵入させ、粘性を高めて壁面の耳垢をしっかりと吸着させる。その後にズビャっと引き抜けば、耳垢は粘液に絡め取られ綺麗さっぱり除去できるという塩梅だ。
「うぅむ、実は少し前に、粘液での耳かきに挑戦してみたんだ。自分では解らなかったけど、そんなに綺麗になってる?」
「はい、耳かきがぜんぜん必要ないくらいに…」
あやや、瑠羽の声のトーンがさがっちゃった。コレはマズイ。
「い、いや!瑠羽の耳かきはとっても気持ち良くてすごく癒されるよ!汚れてなくても、良ければこのまま続けてくれないかな?」
「え…?あ、ハイ!」
『(ごそごそごそ…こしょこしょこしょ…)』
ホッ、どうやら持ち直してくれたようだ。
ん~、でもこうして耳かきしてもらうのって、やっぱり気持ちいいもんだなぁ。
「よし…、そろそろ良さそうだ。さぁみんな、遅くなったが夕飯にしよう」
ガパリと鍋の蓋を開けると、白い湯気がモウモウと湧いて実に食欲を刺激する。
「わぁ~美味しそぉ!もうおなかペコペコだよぉ~!」
「ホンマ、美味しそうやねぇ~」
「おかあさん!おかあさんにはわたしが取ってあげるね!」
「あら、ありがとう瑠羽」
午後10時。色々あったが、ようやくオレ達は糧品宅で鍋を囲んでの夕飯タイム。今夜のメニューは、蠍鍋だ。
「ふぅ~!ふぅ~ッ!んッ…アチチ!」
「もぉ慌てるからやろ。ほら、万智お水」
ガンバってモンスターを追い払ってくれた瀬来さんは食欲旺盛。熱い肉団子を食べて火傷しそうになったところを、仁菜さんにフォローされている。
「ん…まぁ、とってもいいお味ね!」
「すごいでしょ!コーチは料理も得意なんだよ、おかあさん」
瑠羽の取り分けた小鉢からまずスープを頂いた瑠羽ママは、その頬を綻ばせている。うんうん、お口にあったようでなにより。ま、料理が得意というよりは、使ってる塩が違うんですよ。
自宅に戻ったはいいものの、母親の姿が見えずに瑠羽は青くなったそう。だが、ひとりで心細かった瑠羽ママはお隣に身を寄せていたのだそうだ。いやはや無事でなにより。
で、現在の状況はというと、暗がりのなかボンヤリと光るファイヤーワンドの明かりを頼りに食事をするという、いかにも闇鍋チックな光景となっております。
というのもこのマンションは、火災に見舞われてしまった。
その為に、電気もガスも水道もダメになってしまったのだ。ああ、ちなみにガスは機械室の扉をあけて大元を締めて来た。ガス漏れしたままじゃ危ないからね。
水道はしばらくの間は使えたんだけど、すぐに断水。
電気がダメになったせいで揚水ポンプが動かず、高架水槽が空になってしまったようだ。ほら、災害に直面して各ご家庭で一斉に水を確保しようとしたみたいだからさ。
「んふぅ~…ッ!このトロミのあるスープと、肉団子のマッチングが最高~ッ!」
「万智、野菜もしっかりとらなアカンよ?この先、また元の生活にすぐ戻れるかわからんのやから」
うん、瀬来さんは蠍鍋をいたく気に入ったご様子。まぁ字ズラが酷いけど、見た目的にはまんま塩鳥団子鍋といった感じだもんね。
こちら、粗く刻んだ巨大赤蠍の身とすり鉢で磨り潰してペースト状にした身を混ぜて肉団子を作り、それを豆腐タマネギ白菜と共に塩ベースの粘液スープで煮込んだお鍋となっております。なので瑠羽ママも気にせず食べている。まぁ、巨大赤蠍の肉とは話してないけどさ。
ああ、もちろん調理をする前にオーラに因るサイコメトリーとパッチテストを行ない、安全は確認済。
それにスキルで生み出した粘液も、特に人体に悪い影響はない。ほら、断水してるからこういう方法でしか、飲料水が確保できないのよ。
とはいえオレ達は非常に恵まれている。なぜならばオレの【粘液】に加え、4人ともが【酸】のスキル持ち。これらを超極薄で発動させれば、まず水に困ることがないのだから。
特に瀬来さんたちは女性だけあって、【酸】のスキルで日頃からスキンケア用の弱酸性化粧水を自力で生み出していた。う~む、さすが女子。美に対する探究心が半端ない。
そんな訳でほぼ水みたいな酸液を生み出すことも、全員造作もないことなのだ。
「あの江月さん…、コレもっと作ってお隣さんにおすそ分けしてもいいかしら?」
「ええ、構いませんよ。材料はまだまだたくさんありますから」
瑠羽ママは自分達だけがこんな状況で良い食事を摂っていることに気が引けたのか、そんなことを訊いてくる。だが蠍の身はそれこそ腐らせてしまうほどにあるので、なんの問題も無い。
巨大赤蠍をなんとか倒した後、その外殻が欲しくて解体をした。
けど脚の身まで綺麗にほじってなかったから、その身がたんまりとあるのよ。でもそのせいで空間庫が満タンになってしまい、出がけに確保した巨大カニの身はオレ達を追っかけてた百鬼夜行集団のなかに投棄。
食材を捨てるなんてもったいないことだが、レアリティのことを考えればそうせざるを得なかった。
巨大カニの身ならいつでも手に入る。が、巨大赤蠍の外殻を手にすることのできるチャンスは、またとないのだから。そんな訳で現在オレの空間庫は、巨大赤蠍の外殻や肢に鋏に尻尾とパンパン。それでも入りきらずに、百舌の速贄みたいにして神社の境内に茂ってた樹上に隠してきたくらいだ。
だからソレも、誰かに見つかる前に回収しておきたいところである。
「あむあむ!うふふ…、次々ぃ~!」
「もぉ万智…、食べ過ぎておなか壊さんようになぁ」
うむむ…瀬来さん、なにやら育ち盛りのわんぱく小学生みたいな食べっぷり。
だがそんな健康的な笑顔が視れて、実に嬉しい。まぁ下から光があたる暗がりのなかで鍋ガッツいてる姿は、ちょっと不気味にも視えるけど…。
とはいえ巨大黒蜘蛛の生命エナジーを吸収してる時に突然血を吐いた時は、ほんとにビックリした。なので元気になってくれたのであれば、それがなにより。
「よしよし、では追加でたっぷりと肉団子を作ってくるとしよう」
「あ、コーチ、わたしも手伝います!」
そう言って席を立つと、瑠羽もいっしょについてきてくれる。
「そうか、じゃあ頼もうかな」
「はい!」
今まで孤独でボッチだったオレには、彼女たちのそんな笑顔がなによりのご褒美。亠を、保つ衣が美しい。で、ご褒美ですよ。
さてさて、それじゃあ山ほど肉団子を仕込みますか。
……。
糧品宅に落ち着き2日、ゆっくりと休息を摂り英気を養うことが出来た。
『ここまでお疲れ様。コォチもゆっくり休んでええんやで?』などという暖かい言葉を頂き、3人も夜の見張りに手を上げてくれた。なのでここ最近続いていた変な夢などを視ることもなく、オレもぐっすりと眠ることができた。
そして今さっき。瑠羽からコッソリと『おとうさんに回復ポーション使っちゃいました、ごめんなさい』と謝られた。
うん、実に家族思い。
そしてそれをなかなか言い出せずに悩んでいた事もまた、優柔不断な瑠羽らしい。それに対し『瑠羽がどうしてもそうしたかったのなら、いいんだよ』と返すと、涙を浮かべて感謝された。どうも怒られるんじゃないかと、ずっと心配してたようだ。
いや、それくらいで怒らないよ。別に私利私欲で行なった訳じゃなし。純粋に父親を心配して、助けたいと思っただけじゃんね。
なのでそんなことを説明すると、『ありがとうございます。でもお礼がしたいから、なんでも言ってください!』などと言いだす瑠羽。いや、オレにはいいけどさ。『なんでも言ってください!』なんて、他の男に絶対言ったらダメよ?
「ん~…と、じゃあ、耳かきでもしてもらおうかな?」
「わかりました。それなら、わたしの部屋で…」
瑠羽なりに両親を助けてもらったお礼がしたいのだろう。『そんなの気にしないで良いよ』と済ませることも出来るけど、それだと瑠羽の気が納まりそうになかったので耳かきをしてもらうことに。
いやほら、別にマッサージでもいいんだけどさ。瑠羽とオレとだと、だいぶ体格差が一番あるし。一番小柄な瑠羽に一番大きな身体をしているオレがマッサージさせてるのって、なんかヤじゃん?
それにマッサージであれば、最近は瀬来さんが自分からすすんでしてくれる。
瀬来さんて結構Sな気があるのか、ツボを捉えてこちらがそれに反応を示すと、『ねぇ、ここが気持ちイイの?』なんて言いながらグリグリと執拗に責めてくる。そんな風に言われながらしつこくグリグリされたら、『こりゃもう堪りませんッ!』てなわけですよグヘヘ…。って、何言わせんだよ。てオレか、こりゃ失礼。
ともかく戦闘スーツ姿の瑠羽のあとに付いて、部屋へと入る。
うん、ふたりともスーツ姿。だって非常時だもん。自宅に着いたからといって装備を解けるほどには、落ち着いていない。それに瑠羽だけが私服というのも、ほかのふたりに不公平だしね。といっても室内なので、頭部と腕部は外してるよ。
「それじゃコーチ…、こっちに来てください」
ベッドのふちに座った瑠羽が、ふとももの上にバスタオルを敷いて恥ずかしそうにオレを呼ぶ。その余りの可愛いらしさに、このままジャンピングダイブで押し倒してしまいたくなる。が、そこは激しく自重。これから耳かきしてもらうのに突然そんな真似をしたら、ものすごく怒らせてしまうだろう。
「うん…、それじゃあおねがいます」
なのでゆっくりとベッドの上に乗ると、横向きになり瑠羽の太腿のうえに頭を載せる。
「はい、それじゃあ耳かき始めますね…」
『ブッピガン!』と脳内ドッキング音が再生されるなかで、瑠羽の耳かきが始まった。
『(ごそごそごそ…こしょこしょこしょ…)』
「「………」」
う~ん、心地良い…。
生ふとももでないのが非常に残念ではあるが、この状況だけでも十分に癒される。アキバでもこういうお店は、30分くらいで¥3000とか¥4000もするらしいからな…。いや、むしろ戦闘スーツに身を包んだ従順美少女に耳かきしてもらうという特殊プレイは、そんな金額では絶対収まらないぞ。
「あの…コーチ?」
「ん…?」
「コーチの耳の中、ぜんぜん汚れてないですけど…」
「て、あれ?そう…?」
うむむ…、実はスキル習熟訓練の過程で粘液耳かきも試してみたんだよな。
まずはスライム状の粘液を耳の穴を塞がぬように侵入させ、粘性を高めて壁面の耳垢をしっかりと吸着させる。その後にズビャっと引き抜けば、耳垢は粘液に絡め取られ綺麗さっぱり除去できるという塩梅だ。
「うぅむ、実は少し前に、粘液での耳かきに挑戦してみたんだ。自分では解らなかったけど、そんなに綺麗になってる?」
「はい、耳かきがぜんぜん必要ないくらいに…」
あやや、瑠羽の声のトーンがさがっちゃった。コレはマズイ。
「い、いや!瑠羽の耳かきはとっても気持ち良くてすごく癒されるよ!汚れてなくても、良ければこのまま続けてくれないかな?」
「え…?あ、ハイ!」
『(ごそごそごそ…こしょこしょこしょ…)』
ホッ、どうやら持ち直してくれたようだ。
ん~、でもこうして耳かきしてもらうのって、やっぱり気持ちいいもんだなぁ。
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