うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ

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酔いが足りないぜ!

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今日は飲みに誘われて出かけた。

そしてひさしぶりに会った重機ファイターのオッチャンたちは、超がつくほどにご機嫌だった。なぜならば避難所になっていたシャーク女子高を守っていた事が評価され、あのあと警察や消防から感謝状を貰ったそうな。

なのでこれにより、オッチャンらの行動の正当性が社会的に保証されたようなもの。

スタンピード中に酒を飲んで重機で暴れるという暴挙に出た責任があるわけだが、それを遥かに上回る規模で自衛隊がデタラメをしてくれたおかげで、もう彼らのしたことなど誰も気にしない程度のことになってくれたのであった。

なわけでそんな一計を授けたオレに、礼がしたいと飲みに誘われたのだ。

まずはチェーン店の居酒屋で合流し、そこで軽く飲んだ後はすぐ二軒目に行くというので居酒屋紫に連れてきた。いやほら、ここならオレの得意先だしさ。売り上げにすこしは貢献しようと思って。

「大将こんばんは。9名なんだけどヨロシク」
「江月ちゃんイラッシャイ!だいじょうぶ、待ってたわよ!!」

「よぉし、今日はビールをジャンジャン飲むぞぉ~!」
「そうだそうだ!小麦がバカみたいに高くなってるからな!こりゃまたいつビールが飲めるか解らんぞ!」

「おう、呑めるうちに呑み貯めだ!」

うん、なんか輸入がストップしてるらしいから、輸入品を原料にしたモノは値上がり不可避。だがそんなシリアスなどはガン無視で、オッチャンらは二軒目もおおいに盛り上がる。

「「「カンパ~イ!」」」

「そうさ、もっと浴びるほどビールを!!」
「コブクロと扶餘っ!土手煮に、お通しのソラマメも!」

「そうだ、のっぺい汁も人数分!」
「カァーッ!酒が巡るよ!あ、エノキとモヤシってコレ限り??」

シャーク女子高では周囲の眼もあって、一時は借りてきた猫のように大人しくしてたからな。そこから解放された事もあってか、今日はおもいきり羽を伸ばしたいのだろう。

「ふぅ~~っ。にしても黄金虫の兄ちゃんには、ほんと世話んなったな~!」
「おうよ。あのまま建物のなかに隠れてたら、今頃どうなってたか解ったもんじゃなかったしな」

「ほんとほんと。あの逃げ込んだ建物のなかにゃあ、大した店もなかったしな~」
「ああ。化け物に見つからなくても、そのうち飢えて逃げ出さなくちゃならなかったさ」

「いえいえ。オレも知り合いのいる学校を守ってもらえて、助かりましたよ」

なんてことを話しながら、オレは各人からレベルと成長度合いを指導という態で聞かせてもらう。うむ、いつ何時でもデータ収集は欠かさないのだ。

ただ傾向としてはオッチャンたちは器用さ・体力・筋力の順に上昇が大きいようだ。

まぁガテン系の職業だからね。元々体力と筋力には下地があったんだろけど、器用さの上昇が大きいのは明らかに重機の操縦によるものだろう。

あとはやっぱり、重機でモンスターを倒してたことで吸収できなかった生命エナジーが多かったのが惜しい。故にそのぶん成長が低いようだ。それでもレベル7~8となって能力値的には倍以上になっているのだから、50代前後の人が一般的な生活を送るには充分すぎる力といえるだろう。

…。

「げふぅ…。うぅ、やっぱこの貝ヒモの美味ぇこと…ヒック!」
「いや、リーダー。もう飲みすぎなんじゃ…?」

「はぁ~…?酔いどれながら~人はなぜ酒盛るぅ~?そんなもんはおめぇ…、どこかでほんとの自分を~ヒック!見失うためさ~ッ!!」

いやいや、見失っちゃだめでしょが。

「酔いが足りないぜ!」
「そうだシラフのままじゃ、解り合えねぇだろう!」

「呑みがたりないぜ!」
「そうだ、ほら呑め呑め!」

「そら杯を干せ!そして切なさを知るまで呑め!」

いや切なさはないけどさ、やるせなさなら振り切れる感じであるんすよ。

…。

なんて感じで、しこたま呑まされた。

まぁなんとも参ったね。それでもオッチャン等はこの後もさらに呑むのだと言って、ネオン輝く繁華街の雑踏に消えて行った。今夜は夜通し呑むのだそうだ。

ホント、能力者になったことで酒にまで強くなったのか、ドワーフみたいなオッチャンたちだな。

オレはさすがにそこまでは付き合えないから先にあがらせてもらうよ。これ以上は二日酔いになりそうだ。【病耐性】なんていまひとつ効果のハッキリしないスキルもあるけど、これ二日酔いには効くのかな…?
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