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鬼1
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「じゃあさじゃあさ、ツチノコが濡れた猫だったって説に説得力があるのは解ったけど、鬼についてはどうなの??」
おっと、瀬来さん。ツチノコの話は分が悪いと踏んだのか、話題を変えてきたな。
「鬼か。それも人の誤認説が有力だけど、そもそも鬼の解釈が千差万別ですごく曖昧なんだ」
「ん~、つまりどういうこと?」
「つまりね、昔の人はなにか良くないモノや恐ろしいモノを見た時には、大概それを鬼にしちゃってるんだよ」
「なんでも鬼に…」
うん、これは世界各国でも同様の事例がある。キリスト教の広まる以前のヨーロッパでは悪いことは何でも邪悪な妖精の仕業だし、デカくて恐ろしい化け物は大抵ドラゴン。
その後にキリスト教が大きく広まると、今までその土地で信仰されてきた神々や精霊も「だまされないで!実はソレ、悪魔ですから!そんなの信じても1ミリも救われないから今すぐ改宗しなさい!」などと言って全部ひっくるめて人を惑わす悪魔とされてしまう。これが一神教の悪いところだな。
悪魔として有名なベルゼブブも、そんな被害を蒙った神。
ベルゼブブも元はペリシテ人の町であるエクロンで信仰されていた、嵐と慈雨を司る豊穣の神バアル。
しかしそこへ後から入植してきた頑ななヘブライ人たちが「自分達の信仰する神以外は、神と認めん!」とバアルを完全拒絶。さらにはバアルの尊称である気高き主バアル・ゼブルを、おまえの母ちゃんデーベーソー的に蠅の王バアル・ゼブブと呼んで蔑みだす始末。
そんなことからケチがつき、遂には聖書にまで蠅の王として記されてしまったことで後世ではそのまま悪魔とされてしまったなんとも可哀相な神である。ホント、なんにもしてないのにとんだ風評被害だ。
ただこういったことは、世界各地で起きていたこと。
人同士が平和的に融和していったのなら、その流れで神も親子や兄弟の関係になることもあったろうし、侵略し支配される者同士の関係なら負けた方の神も勝った方の子分や家来にされてしまう。それらは神の都合などお構いなしで、ぜんぶ人間たちの都合でだ。
ま、そうしないと統治するうえで色々と不都合が生じるから、そうせざるを得なかったという側面もあるのだろうけど。
「ふ~ん、でもそれじゃグチャグチャ過ぎて、ちんぷんかんぷんねぇ」
「まぁこれは、昔はなんでも一緒くたにしてしまっていたという例えだよ。それでも鬼の正体として人の誤認説が有力なのは、確かかな。人間の方で、意図して鬼に化けてたというものあるだろうし」
「え、なんでなんで?」
「そうだな。例えば山で修行してる坊さんがいたとして、里の人達にはそれを知られたくないと思ってたら?」
「そのお坊さんが鬼に化けるっていうの?」
「まぁ鬼でも天狗でもいいんだけど、集中して修行に打ちこみたいって時に里の人間の病気平癒やしょうもない人生相談持ちこまれても、面倒なだけでしょ?」
「え~、お坊さんがそれ言っちゃう??」
「そういう可能性もあるって話だよ。なんの医療体制も整っていない時代の人ならそれこそ何も知らないし、謎の病気や腹痛もぜんぶ祟りの所為で加持祈祷。神頼みしか当時は頼る術がないんだから」
「あ、そっか…」
「しかも頼まれて祈ってやったとしても、そんな神頼みにまず効果があるわけがないじゃない。それであとになってから『おいクソ坊主!ぜんぜん効かないじゃないか!』なんて因縁つけられるのも面倒極まりないでしょ?なら初めから鬼にでも変装して、里の人間が山に近づかないようにした方が、得策だって考えてもそうおかしなことじゃないよ」
「ポンと蹴りゃ、ニャンと鳴く~」
「ああ、山寺の和尚か。アレもとんだ動物虐待だよね仁菜さん。猫を袋詰めして蹴鞠の代わりにするとか、とんだライフハックもあったもんだ。ともかく昔は、天下布武を掲げて日本統一に乗り出した戦国武将・織田信長と、自分らの事は棚にあげて真っ向から刃向うアウトロー坊主が山ほどいたんだから、鬼に化けて里の人を騙くすくらいの事は平気でやるよ。むしろ、ウハ俺の頓智最強!ってノリノリでやってたまである」
「まぁ昔話でも、和尚の頓智でだまし討ちは鉄板やもんなぁ」
「ああ。力より知恵ってことを言いたいんだろうけど、アレもよく考えると卑怯だよね」
「え~、ソレなんの話?私しらない」
「あんな万智。『なんにでも化けられる』いうて自分の力を自慢する鬼に、和尚が『いくらおまえでも小さな豆には化けられまい?』って挑発するんよ。ほんでムキになった鬼が豆に化けて、『どうだ見たか!』って言うたとこをパクッと食べてもうて、『はいワシの勝ち~!』っていう話や」
「和尚ひどっ!」
「せやろ」
う~ん、なんだか鬼よりも人間のほうが酷いって話になってきちゃったな。
まぁオレが振ったんだからいいんだけど。なんにせよ宗教ってのは少量ならば薬にもなるかもしれないが、大抵は用法容量を守れないイカれたヤツが大勢を巻きこみ、最後には不幸と仇しか残せない厄介な毒劇物さね。
おっと、瀬来さん。ツチノコの話は分が悪いと踏んだのか、話題を変えてきたな。
「鬼か。それも人の誤認説が有力だけど、そもそも鬼の解釈が千差万別ですごく曖昧なんだ」
「ん~、つまりどういうこと?」
「つまりね、昔の人はなにか良くないモノや恐ろしいモノを見た時には、大概それを鬼にしちゃってるんだよ」
「なんでも鬼に…」
うん、これは世界各国でも同様の事例がある。キリスト教の広まる以前のヨーロッパでは悪いことは何でも邪悪な妖精の仕業だし、デカくて恐ろしい化け物は大抵ドラゴン。
その後にキリスト教が大きく広まると、今までその土地で信仰されてきた神々や精霊も「だまされないで!実はソレ、悪魔ですから!そんなの信じても1ミリも救われないから今すぐ改宗しなさい!」などと言って全部ひっくるめて人を惑わす悪魔とされてしまう。これが一神教の悪いところだな。
悪魔として有名なベルゼブブも、そんな被害を蒙った神。
ベルゼブブも元はペリシテ人の町であるエクロンで信仰されていた、嵐と慈雨を司る豊穣の神バアル。
しかしそこへ後から入植してきた頑ななヘブライ人たちが「自分達の信仰する神以外は、神と認めん!」とバアルを完全拒絶。さらにはバアルの尊称である気高き主バアル・ゼブルを、おまえの母ちゃんデーベーソー的に蠅の王バアル・ゼブブと呼んで蔑みだす始末。
そんなことからケチがつき、遂には聖書にまで蠅の王として記されてしまったことで後世ではそのまま悪魔とされてしまったなんとも可哀相な神である。ホント、なんにもしてないのにとんだ風評被害だ。
ただこういったことは、世界各地で起きていたこと。
人同士が平和的に融和していったのなら、その流れで神も親子や兄弟の関係になることもあったろうし、侵略し支配される者同士の関係なら負けた方の神も勝った方の子分や家来にされてしまう。それらは神の都合などお構いなしで、ぜんぶ人間たちの都合でだ。
ま、そうしないと統治するうえで色々と不都合が生じるから、そうせざるを得なかったという側面もあるのだろうけど。
「ふ~ん、でもそれじゃグチャグチャ過ぎて、ちんぷんかんぷんねぇ」
「まぁこれは、昔はなんでも一緒くたにしてしまっていたという例えだよ。それでも鬼の正体として人の誤認説が有力なのは、確かかな。人間の方で、意図して鬼に化けてたというものあるだろうし」
「え、なんでなんで?」
「そうだな。例えば山で修行してる坊さんがいたとして、里の人達にはそれを知られたくないと思ってたら?」
「そのお坊さんが鬼に化けるっていうの?」
「まぁ鬼でも天狗でもいいんだけど、集中して修行に打ちこみたいって時に里の人間の病気平癒やしょうもない人生相談持ちこまれても、面倒なだけでしょ?」
「え~、お坊さんがそれ言っちゃう??」
「そういう可能性もあるって話だよ。なんの医療体制も整っていない時代の人ならそれこそ何も知らないし、謎の病気や腹痛もぜんぶ祟りの所為で加持祈祷。神頼みしか当時は頼る術がないんだから」
「あ、そっか…」
「しかも頼まれて祈ってやったとしても、そんな神頼みにまず効果があるわけがないじゃない。それであとになってから『おいクソ坊主!ぜんぜん効かないじゃないか!』なんて因縁つけられるのも面倒極まりないでしょ?なら初めから鬼にでも変装して、里の人間が山に近づかないようにした方が、得策だって考えてもそうおかしなことじゃないよ」
「ポンと蹴りゃ、ニャンと鳴く~」
「ああ、山寺の和尚か。アレもとんだ動物虐待だよね仁菜さん。猫を袋詰めして蹴鞠の代わりにするとか、とんだライフハックもあったもんだ。ともかく昔は、天下布武を掲げて日本統一に乗り出した戦国武将・織田信長と、自分らの事は棚にあげて真っ向から刃向うアウトロー坊主が山ほどいたんだから、鬼に化けて里の人を騙くすくらいの事は平気でやるよ。むしろ、ウハ俺の頓智最強!ってノリノリでやってたまである」
「まぁ昔話でも、和尚の頓智でだまし討ちは鉄板やもんなぁ」
「ああ。力より知恵ってことを言いたいんだろうけど、アレもよく考えると卑怯だよね」
「え~、ソレなんの話?私しらない」
「あんな万智。『なんにでも化けられる』いうて自分の力を自慢する鬼に、和尚が『いくらおまえでも小さな豆には化けられまい?』って挑発するんよ。ほんでムキになった鬼が豆に化けて、『どうだ見たか!』って言うたとこをパクッと食べてもうて、『はいワシの勝ち~!』っていう話や」
「和尚ひどっ!」
「せやろ」
う~ん、なんだか鬼よりも人間のほうが酷いって話になってきちゃったな。
まぁオレが振ったんだからいいんだけど。なんにせよ宗教ってのは少量ならば薬にもなるかもしれないが、大抵は用法容量を守れないイカれたヤツが大勢を巻きこみ、最後には不幸と仇しか残せない厄介な毒劇物さね。
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