うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ

文字の大きさ
394 / 660

あ~まいぞ

しおりを挟む
遂に巨大化した悪の秘密結社大首領の登場かと慄いていると、次いで響いてきたのはどうどうという滝のような音…。そして風にのって運ばれてきたのは、なにやらそこはかとない硫黄臭…。

「ん、これは…?」
「「……」」

そこで不審に思って3人顔を見合わせると、ソロソロと崖に近づきダンジョン跡を覗いてみる。

「「わぁ~…!」」

するとそこには、底が抜け周囲を飲み込んだ穴からなんとも巨大な湯柱が噴き上がっていたのだった。

「な…もしや!山ダンジョンが消失した影響で、その下にあった温泉を掘り当てたのか!?」
「きっとそうだよ!見てスゴ~イ!あんなに噴き上がってるよ!!」

「ダンジョンは谷間にあったし、相当深かったもんなぁ。あんだけ深かったら、温泉の地下水脈に届いとってもおかしないわぁ」

ふぅむ、そうか。温泉か…。

草津に限らずこの辺は名湯の多い場所。ならば地面が深く掘られたなら、温泉の湧き出る確率もほかとは段違いという訳か。

「しかし…すごいな。湯気も凄いが音もとんでもなく響いている…」

軽く20メートルは噴き上がっている湯柱。それが水飛沫となって周囲に散り、その湯煙のせいで煙幕のようになっている。

「でもさでもさ!ダンジョンクリアのお祝いに、コレってちょうど良くない!?みんなでこの温泉に入ろうよ!」
「せやなぁ。この辺の山はすっかり調査も殲滅も終えとるし、コレもダンジョンクリアの報酬と思ったらエエんやない?」

「そうだな。よし、ではひとっ風呂あびてサッパリするか!」
「「やった~!」」

…。

大量にゴブリンを吐きだしていた山ダンジョンはこうして消失し、その跡地には温泉が湧いたのだった。

そしてオレのスキルを用いれば、浴槽を作るのだってカンタン。手近にあった倒木や岩を粘液で接着し、その上から岩塩で固めてしまえばもうそれだけで特製岩塩風呂の完成だ。

ま、温泉の成分やら溜めた湯の水圧がかかるので耐久性はないが、2時間も持てばいいのでなんの問題もない。

「ハァ~~。災い転じて福となす。ダンジョン消えてお湯が湧く。か…」
「ホントたいへんだったよねぇ。おつかれさまぁ」

うんうん、下手すりゃ今回も死ぬとこだったし。

「ピクシーちゃんたちにも助けられたなぁ。ホンマありがとうなぁ」
「「ぴぴぃ~」」



うん、そしてここにはピクシーたちもいる。で、温泉場を作ったらね、なんか桃源郷もできたのよ。

立ち昇る湯柱をすこし見上げるくらいの位置まで下りてそこに浴槽を作ったのだけど、そこに湯を張るにはピクシークィーンの力が必要。いやほら、湯柱の根元は今、湧き出た湯と泥でドロドロになってるからさ。

そこで再びピクシークィーンにご登場願い、湯柱から落ちていく湯を強い風で浴槽に導いてもらったのだ。で、せっかくならダンジョンで活躍してくれたピクシーたちも自然のなかで遊ばせてあげようと、再び召喚した次第。

なのでその光景はというと、そこここでピクシたーたちが舞い湯と戯れる湯煙旅情ピクシー祭り。まさにファンタジーな桃源郷なのだ。

「ぴぴぃ、ぴぴぃ~」
「うん、おつかれおつかれ。よくがんばってくれたな。ありがとう」

無邪気に遊ぶピクシーたち。

でもそんな彼女たちのおかげで、あの手強かったグレートアントどもを一掃できたのだ。その感謝も込めて、超巨大アブラムシの甘い体液も飲み放題の大盤振る舞いしちゃうぞ。

「ホラおいで、わたしの【糖】と【酸】で作った新なんちゃってレモン水よ~」
「「ぴぴぃ~~!」」

それを見て湯に浸かっていた瀬来さんが両手の平に新たなスキルも活用した新なんちゃってレモン水を生み出すと、それに釣られピクシーたちが集まっていく。

「ほんならウチかて。ほらピクシーちゃ~ん、コッチのみ~ずもあ~まいぞ」

ハハハ、スキル【糖】に【甘露】か。

今はただ甘い水を生み出すだけみたいだけど、そのうちアブラムシがしていたように回復効果とかが乗りそうだよな。うんうん、なんともこれは良スキルの予感。

「ほんならコォチにも。はい、あ~ん…」


「あぁん、わたしの新レモン水の方が先よ~!はい江月さん、あ~ん…」


「お、わ、ふたりとも…」

揃ってふたりが手の平に甘い水をもって迫ってくるので、ともかく大口あけて上を向くと2種のトロリとした甘い液体が口の中へと注ぎ込まれた。

ん、これは…おいちい!!
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

異世界帰還者の気苦労無双録~チートスキルまで手に入れたのに幼馴染のお世話でダンジョン攻略が捗らない~

虎柄トラ
ファンタジー
 下校帰りに不慮の事故に遭い命を落とした桜川凪は、女神から開口一番に異世界転生しないかと勧誘を受ける。  意味が分からず凪が聞き返すと、女神は涙ながらに異世界の現状について語り出す。  女神が管理する世界ではいま魔族と人類とで戦争をしているが、このままだと人類が負けて世界は滅亡してしまう。  敗色濃厚なその理由は、魔族側には魔王がいるのに対して、人類側には勇者がいないからだという。  剣と魔法が存在するファンタジー世界は大好物だが、そんな物騒な世界で勇者になんてなりたくない凪は断るが、女神は聞き入れようとしない。  一歩も引かない女神に対して凪は、「魔王を倒せたら、俺を元の身体で元いた世界に帰還転生させろ」と交換条件を提示する。  快諾した女神と契約を交わし転生した凪は、見事に魔王を打ち倒して元の世界に帰還するが――。

処理中です...