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「こっちこっち!」
背の高くしっかりと日に焼けた女子高生が仲間を呼ぶ。
するとすぐにはじめの女子高生と似た雰囲気の女子高生らが現れ、バッティングセンター内に立ち入るとまっすぐ小柄な少女のもとへ向かっていく。
(ん、これは不味いか…)
いくらホームランを連発する運動神経抜群の少女でも、自分より背も高く年齢も上の者達に取り囲まれては竦み上がってしまうのでは。そう考え、オッチャンは座っていた椅子から腰を浮かしかけた。
「あ、あなたたちはるりちゃんと同じ学校の…?」
「「「はい!その節はありがとうございました!」」」
しかし糧品瑠羽を取り囲んだ日焼け女子高生たちは大きな声でお礼を述べたうえ、前傾90度の見事なお辞儀もしてみせたので、オッチャンの出番はまるでなかった。
「あ、うん…。どういたしまして?」
しかしこの子達と話したことは無いので、瑠羽自身には面識もほとんどない。
学校の門を警備してただろうから、姿をみかけたことはあったかもという程度。なのでただダンジョンスタンピード第二波の時には、たくさんの避難者を連れて行っちゃって申し訳なかったなという気持ちの方が大きかった。
「それで、今日はご相談というか、お願いがあってきたんですけど…」
「おねがい…?」
5人の女子高生が並び、そのなかで頭ひとつ背の高い子が代表して話し出したのに瑠羽はコテンと首を傾げる。
(なんだろう?万智ちゃんや静ちゃんにお願いだったら解るけど。一番頼りない私にって、いったいなんのお願いだと思う?)
(ホ~ムラ~ン?)
「…あの!わたしたち、どうしてもフェアリーナイトになりたいんです!」
「でも!万智おねえさまは忙しいみたいで、なかなか指導してもらえなくて…」
「それに利賀さんの指導は、あの、なんていうか兵隊みたいで…。その、ちょっと、違うかなって…」
リーダーらしい子が話し出したものの二の句が告げられないでいるのに焦れたのか、ほかの子達が堰を切ったように話し始める。
(ああ…、万智ちゃん。それにるりちゃんも…)
瑠羽もフェアリーナイトの話は聞いていた。そしてダンジョンでステータスを取得させた子達の訓練に、るりちゃんが手を焼いていたことも。
そこでコーチが一計を案じ、そんな子達の前でピクシークィーンを神秘的に降臨させてみせたという。そしてその驚きと興奮を、訓練に身が入るよう点火剤にしたのだと話していた。
でも、いま瑠羽の目の前にいるのは、そんな薬が効き過ぎちゃった子達らしい。
しかし思春期の多感な時期にそんな超絶神秘を間近で見せられては、すっかりそれに入れ込んでしまったとしても無理からぬこと。瑠羽がコーチに惚れたのだって強くて優しいだけじゃなく、どこか底の知れない部分をすごく神秘的に感じたからでもあった。
そしてそれとは別に、万智が学校にいた際にはノリノリで女子高生たちを指導していたにも関わらず、その後はほったらかしにしていたことも知っていた。
その後、連絡先を交換した女子生徒から頻繁に指導のお願いがあったものの、「あの時は流れで指導したけど、わざわざコッチから出向いて指導するってものねェ~」と、持ち前の気まぐれさと飽きっぽさを発揮していたのだった。
(コーチが能力値には一風変わったモノもあるって話してたけど…、万智ちゃんは絶対に気まぐれさと飽きっぽさはダントツだよね…)
(ホームラン!)
(でもどうしよう。私に指導なんてできないし…)
(ホ~ム…、ホームラン?)
(え、同じ人間に学んでて、一番勉強してるのはワタシ?なら一番指導者に向いてるんじゃないかって??)
(ホームラン!)
(そっか…、そうだよね。それに親友なんだから、親友のしたことのフォローもしてあげないとだよね)
(ホームラン!)
「あ、あのそれで…、すこしでもいいんで、指導してもらえないでしょうか」
「「「おねがいします!」」」
「あ、えと、じゃあそういうことなら―」
と、そこへバッティングセンターへふらりと入ってきたおじさんが、場の空気も読まずに話しかけてきた。
「ああキミたち。ちょっといいかな。ココにホームランを連発するダンジョン能力者の女の子がいるって聞いて来たんだが、なにか知ってるかい?」
その言葉に糧品瑠羽と女子高生たちが目を向けると、そこには赤い野球帽に口髭グラサンという恰幅の良いおじさんの姿。
はたして糧品瑠羽を探すこのおじさんの正体とはいったい…。
背の高くしっかりと日に焼けた女子高生が仲間を呼ぶ。
するとすぐにはじめの女子高生と似た雰囲気の女子高生らが現れ、バッティングセンター内に立ち入るとまっすぐ小柄な少女のもとへ向かっていく。
(ん、これは不味いか…)
いくらホームランを連発する運動神経抜群の少女でも、自分より背も高く年齢も上の者達に取り囲まれては竦み上がってしまうのでは。そう考え、オッチャンは座っていた椅子から腰を浮かしかけた。
「あ、あなたたちはるりちゃんと同じ学校の…?」
「「「はい!その節はありがとうございました!」」」
しかし糧品瑠羽を取り囲んだ日焼け女子高生たちは大きな声でお礼を述べたうえ、前傾90度の見事なお辞儀もしてみせたので、オッチャンの出番はまるでなかった。
「あ、うん…。どういたしまして?」
しかしこの子達と話したことは無いので、瑠羽自身には面識もほとんどない。
学校の門を警備してただろうから、姿をみかけたことはあったかもという程度。なのでただダンジョンスタンピード第二波の時には、たくさんの避難者を連れて行っちゃって申し訳なかったなという気持ちの方が大きかった。
「それで、今日はご相談というか、お願いがあってきたんですけど…」
「おねがい…?」
5人の女子高生が並び、そのなかで頭ひとつ背の高い子が代表して話し出したのに瑠羽はコテンと首を傾げる。
(なんだろう?万智ちゃんや静ちゃんにお願いだったら解るけど。一番頼りない私にって、いったいなんのお願いだと思う?)
(ホ~ムラ~ン?)
「…あの!わたしたち、どうしてもフェアリーナイトになりたいんです!」
「でも!万智おねえさまは忙しいみたいで、なかなか指導してもらえなくて…」
「それに利賀さんの指導は、あの、なんていうか兵隊みたいで…。その、ちょっと、違うかなって…」
リーダーらしい子が話し出したものの二の句が告げられないでいるのに焦れたのか、ほかの子達が堰を切ったように話し始める。
(ああ…、万智ちゃん。それにるりちゃんも…)
瑠羽もフェアリーナイトの話は聞いていた。そしてダンジョンでステータスを取得させた子達の訓練に、るりちゃんが手を焼いていたことも。
そこでコーチが一計を案じ、そんな子達の前でピクシークィーンを神秘的に降臨させてみせたという。そしてその驚きと興奮を、訓練に身が入るよう点火剤にしたのだと話していた。
でも、いま瑠羽の目の前にいるのは、そんな薬が効き過ぎちゃった子達らしい。
しかし思春期の多感な時期にそんな超絶神秘を間近で見せられては、すっかりそれに入れ込んでしまったとしても無理からぬこと。瑠羽がコーチに惚れたのだって強くて優しいだけじゃなく、どこか底の知れない部分をすごく神秘的に感じたからでもあった。
そしてそれとは別に、万智が学校にいた際にはノリノリで女子高生たちを指導していたにも関わらず、その後はほったらかしにしていたことも知っていた。
その後、連絡先を交換した女子生徒から頻繁に指導のお願いがあったものの、「あの時は流れで指導したけど、わざわざコッチから出向いて指導するってものねェ~」と、持ち前の気まぐれさと飽きっぽさを発揮していたのだった。
(コーチが能力値には一風変わったモノもあるって話してたけど…、万智ちゃんは絶対に気まぐれさと飽きっぽさはダントツだよね…)
(ホームラン!)
(でもどうしよう。私に指導なんてできないし…)
(ホ~ム…、ホームラン?)
(え、同じ人間に学んでて、一番勉強してるのはワタシ?なら一番指導者に向いてるんじゃないかって??)
(ホームラン!)
(そっか…、そうだよね。それに親友なんだから、親友のしたことのフォローもしてあげないとだよね)
(ホームラン!)
「あ、あのそれで…、すこしでもいいんで、指導してもらえないでしょうか」
「「「おねがいします!」」」
「あ、えと、じゃあそういうことなら―」
と、そこへバッティングセンターへふらりと入ってきたおじさんが、場の空気も読まずに話しかけてきた。
「ああキミたち。ちょっといいかな。ココにホームランを連発するダンジョン能力者の女の子がいるって聞いて来たんだが、なにか知ってるかい?」
その言葉に糧品瑠羽と女子高生たちが目を向けると、そこには赤い野球帽に口髭グラサンという恰幅の良いおじさんの姿。
はたして糧品瑠羽を探すこのおじさんの正体とはいったい…。
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