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こうして路亜さんの案内で、地下駐車場へと続くスロープ前へと移動。
「気を付けてください。ですが時間は限られています。夜になってしまえば、陽射しを嫌って地下に隠れていた感染者たちが、活発に動き出してしまいます」
「わかりました」
現在ホテルの上階からは隈なく消毒が行われており、キノコ感染者たちは甚大な被害を出しながらも地下駐車場へ押し込めるところまでは成功したらしい。
ただ、それでも踏ん切りがつかなくて、現場を目前に思いついた他の案を路亜さんに提案してみる。
「あの…なにかキノコに対して毒性のある薬物を混ぜた水とかで、放水攻撃をしてみては?」
「いえ、解析の時間がなく、そういった毒性を持った物質は特定できていません。それに生き残った胞子がそれで流れてしまえば、ほかの地域でまた同じことが起きてしまいます」
しかしオレが思いつくくらいの事はすでに検討済みだったらしく、即座に論破されてしまう。
「ということは酸性粘液で包み込んで、胞子も飛ばさせず殺すのがイチバンですか…」
「ええ。よろしく…おねがいします」
むぅ、もう後には引けぬ。感染してしまった方たちには大変申し訳ないが、こうなっては本当にオレが殺すよりほかにない。
(そういったことはスタンピード中にも何度か遭った。けど、あれは相手が襲ってきたから。それと比べると、なんとも心苦しく感じる…)
そこで自我も奪われ化け物キノコの木偶人形となってしまったという被害者に対し、せめて心で詫びて手を合わせる。
それを終え自身の気持ちを切り替えると、オレは地下駐車場へと続くスロープをゆっくりと下って行った。
…。
そうしてスロープをおりて行くと、コチラの近づいていく気配に気付いたのか陽の射さぬ地下駐車場のスロープギリギリにまで来ている姿がチラホラとみえた。
(アレがそうか…)
このホテルは、オレなんかじゃまず泊まる気にもならないようなお高い料金設定の高級ホテル。なのでそこの宿泊客ともなれば衣服も良いモノを着ているし、身だしなみだってちゃんとしている。
だがそれ故に、変わり果てた姿は一層無残。
化け物キノコに寄生された顔は養分を吸われ浅黒く、ミイラのようにゲッソリ。それに加えて体のアチコチから、おかしな色をしたデカいキノコが生えているのだ。なかには頭がそっくり笠になってしまった者までいる。
と、そんな感染者たちがまだ距離があるというのに、オレに向け声をかけてきたではないか。
「こんにちハ!こんにちハ…!」
「ツゥミマテン!道をききたいんぽディスガ!」
(なんと。キノコに支配されてても、ああやって喋れるのか…)
あれでは暗がりで顔のよく視えない状態だったら、つい普通に応じてしまいそうだ。そしてどうやらそのムーブも、寄生した化け物キノコが感染者にやらせているモノらしい。
(うむむ…。人面瘡といいこの化け物キノコといい、寄生型はホント厄介だな…)
「フヒ、フヒヒ!お腹が空いてるのかい?サァ、ボクのカサをお食べ…!」
「だれが食べるか馬鹿野郎!」
だがそこへフラフラと近づいて来たキノコヘッドがふざけたことを口走るものだから、つい条件反射で攻撃してしまった。
「ギャアア!」
「あ…」
しかしそうして酸粘液を浴びたソイツは、白煙を上げのたうちまわっている。
(ぬ!なんだ?痛覚が無いんじゃないのか??)
路亜さんから聞いてた話と違うじゃないか。そう思いつつもこのままでは胞子が飛び散ってしまうので、相手を酸粘液のベールで包み込む。
「(むがぁああぁ!)」
ふぅむ。だが様子をみるに化け物キノコがダメージを負うと、感染者もそれにより悲鳴をあげているようだ。その証拠として酸粘液で焼かれた化け物キノコは色が変わり、みるみるうちに溶け萎んでいく。
「こんにちハ!こんにちハ…!」
「ツゥミマテン!道をききたいんぽディスガ!」
「おまえたちもいい加減うるさいぞ!」
「「ギャアア~!」」
と、最初こそ感染者を殺すという忌避感に苛まれもした。が、いざ戦闘が始まってみるとなんの躊躇もなく攻撃を繰り出せるオレもまた。
「ウレシイ!オデカケなの。オデカネねの…!」
「グッ…!?」
だが、暗がりからヨソ行きおめかし服を着た女の子がヨチヨチと歩み寄ってくるのを目にした瞬間、さすがに攻撃するのを躊躇ってしまう。その子は身体のアチコチから小さなキノコこそ生えているものの、まだどうにか出来そうな雰囲気を残していたのだ。
しかしオレへとあと3メートルといったところで、チュパン!とその子の身体に線が入り、そのままクチャッとバラけ崩れ落ちた。
迫ってくる脅威に対し何もせぬことを見かねて、ピクシークィーンがその子に向け鋭い真空波を放ったのだ。そして心に、どうして戦わぬのだと責める意識の波も。
(……)
(すまない…、もう大丈夫だ)
「ウレシイ…。オデカケなの。オデカネねの…」
倒れこみ、真っ二つになってもまだ同じコトバを繰り返し発し続ける少女…。しかし零れ出た臓物には白い菌糸が幾重にも絡みつき、それがもう手遅れなことを如実に物語っていた。
(そうか。クィーンにはこの子は助からないと、解っていたのだな…)
そこでせめて苦しむ時間の短いようにと、より強い酸性度の粘液でその子を包み込む。すると他の者達と同じようにして、化け物キノコから先にグズグズと溶けおちていく。
そうだ、助けられないことを悔やんでも始まらない。ならここで感染を押え込もう。でなければ、この不幸がもっと大きく膨らんでしまうのだから…。
「気を付けてください。ですが時間は限られています。夜になってしまえば、陽射しを嫌って地下に隠れていた感染者たちが、活発に動き出してしまいます」
「わかりました」
現在ホテルの上階からは隈なく消毒が行われており、キノコ感染者たちは甚大な被害を出しながらも地下駐車場へ押し込めるところまでは成功したらしい。
ただ、それでも踏ん切りがつかなくて、現場を目前に思いついた他の案を路亜さんに提案してみる。
「あの…なにかキノコに対して毒性のある薬物を混ぜた水とかで、放水攻撃をしてみては?」
「いえ、解析の時間がなく、そういった毒性を持った物質は特定できていません。それに生き残った胞子がそれで流れてしまえば、ほかの地域でまた同じことが起きてしまいます」
しかしオレが思いつくくらいの事はすでに検討済みだったらしく、即座に論破されてしまう。
「ということは酸性粘液で包み込んで、胞子も飛ばさせず殺すのがイチバンですか…」
「ええ。よろしく…おねがいします」
むぅ、もう後には引けぬ。感染してしまった方たちには大変申し訳ないが、こうなっては本当にオレが殺すよりほかにない。
(そういったことはスタンピード中にも何度か遭った。けど、あれは相手が襲ってきたから。それと比べると、なんとも心苦しく感じる…)
そこで自我も奪われ化け物キノコの木偶人形となってしまったという被害者に対し、せめて心で詫びて手を合わせる。
それを終え自身の気持ちを切り替えると、オレは地下駐車場へと続くスロープをゆっくりと下って行った。
…。
そうしてスロープをおりて行くと、コチラの近づいていく気配に気付いたのか陽の射さぬ地下駐車場のスロープギリギリにまで来ている姿がチラホラとみえた。
(アレがそうか…)
このホテルは、オレなんかじゃまず泊まる気にもならないようなお高い料金設定の高級ホテル。なのでそこの宿泊客ともなれば衣服も良いモノを着ているし、身だしなみだってちゃんとしている。
だがそれ故に、変わり果てた姿は一層無残。
化け物キノコに寄生された顔は養分を吸われ浅黒く、ミイラのようにゲッソリ。それに加えて体のアチコチから、おかしな色をしたデカいキノコが生えているのだ。なかには頭がそっくり笠になってしまった者までいる。
と、そんな感染者たちがまだ距離があるというのに、オレに向け声をかけてきたではないか。
「こんにちハ!こんにちハ…!」
「ツゥミマテン!道をききたいんぽディスガ!」
(なんと。キノコに支配されてても、ああやって喋れるのか…)
あれでは暗がりで顔のよく視えない状態だったら、つい普通に応じてしまいそうだ。そしてどうやらそのムーブも、寄生した化け物キノコが感染者にやらせているモノらしい。
(うむむ…。人面瘡といいこの化け物キノコといい、寄生型はホント厄介だな…)
「フヒ、フヒヒ!お腹が空いてるのかい?サァ、ボクのカサをお食べ…!」
「だれが食べるか馬鹿野郎!」
だがそこへフラフラと近づいて来たキノコヘッドがふざけたことを口走るものだから、つい条件反射で攻撃してしまった。
「ギャアア!」
「あ…」
しかしそうして酸粘液を浴びたソイツは、白煙を上げのたうちまわっている。
(ぬ!なんだ?痛覚が無いんじゃないのか??)
路亜さんから聞いてた話と違うじゃないか。そう思いつつもこのままでは胞子が飛び散ってしまうので、相手を酸粘液のベールで包み込む。
「(むがぁああぁ!)」
ふぅむ。だが様子をみるに化け物キノコがダメージを負うと、感染者もそれにより悲鳴をあげているようだ。その証拠として酸粘液で焼かれた化け物キノコは色が変わり、みるみるうちに溶け萎んでいく。
「こんにちハ!こんにちハ…!」
「ツゥミマテン!道をききたいんぽディスガ!」
「おまえたちもいい加減うるさいぞ!」
「「ギャアア~!」」
と、最初こそ感染者を殺すという忌避感に苛まれもした。が、いざ戦闘が始まってみるとなんの躊躇もなく攻撃を繰り出せるオレもまた。
「ウレシイ!オデカケなの。オデカネねの…!」
「グッ…!?」
だが、暗がりからヨソ行きおめかし服を着た女の子がヨチヨチと歩み寄ってくるのを目にした瞬間、さすがに攻撃するのを躊躇ってしまう。その子は身体のアチコチから小さなキノコこそ生えているものの、まだどうにか出来そうな雰囲気を残していたのだ。
しかしオレへとあと3メートルといったところで、チュパン!とその子の身体に線が入り、そのままクチャッとバラけ崩れ落ちた。
迫ってくる脅威に対し何もせぬことを見かねて、ピクシークィーンがその子に向け鋭い真空波を放ったのだ。そして心に、どうして戦わぬのだと責める意識の波も。
(……)
(すまない…、もう大丈夫だ)
「ウレシイ…。オデカケなの。オデカネねの…」
倒れこみ、真っ二つになってもまだ同じコトバを繰り返し発し続ける少女…。しかし零れ出た臓物には白い菌糸が幾重にも絡みつき、それがもう手遅れなことを如実に物語っていた。
(そうか。クィーンにはこの子は助からないと、解っていたのだな…)
そこでせめて苦しむ時間の短いようにと、より強い酸性度の粘液でその子を包み込む。すると他の者達と同じようにして、化け物キノコから先にグズグズと溶けおちていく。
そうだ、助けられないことを悔やんでも始まらない。ならここで感染を押え込もう。でなければ、この不幸がもっと大きく膨らんでしまうのだから…。
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