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オレは問題の起きたホテルに監禁ナウ。
窓の外は薄曇りで、午後からは雨が降るそうな。そして足元の景色に眼を向ければ消防車はいなくなったものの、まだ数台のパトカーが停まっていてホテルの周囲に規制線を張っている。
「ハァ、最悪の気分だな…」
なぜかというと、コレも感染対策だから。
キノコ感染者のひしめく地下駐車場に単身乗り込んで、その渦中に身を投じたのだ。当然その後は感染を疑われ、3日間のホテル待機を言い渡された。
それにテロ呪物装置なんてシロモノが出てきたせいで、それはもう大騒ぎ。公安らしい背広姿の厳めしいのがゾロゾロやってきて、路亜さんはそちらにかかりきりになってしまった。
そしてオレは、処分対象となっていたとはいえ50数余人の命を奪ったのだ。
これは誰かがやらねばならなかったこととはいえ、それでも異常者というか…。関係者からも触れてはいけない存在のように扱われ、ただただホテルの一室に閉じ込められている。
まぁ一時はモテモテで、推定公安のオッサンらに取り囲まれ、矢継ぎ早に質問されまくるけどコチラの質問には一切答えてもらえないという、なんともな時間も過ごしたけど。
なわけで高級ホテルにタダで宿泊している訳だが、部屋からは一歩も出られないうえ、あの呪物のせいでシャワーすら使えない。
テロ呪物装置が出していた胞子が水に混じり供給されたことで、このホテル内で化け物キノコ感染事件が起きてしまったのだから。なのであのキノコ胞子がまだどこかに潜んでいるのでは思うと、怖くてよく眠れもしない。
そこで高級ホテルに宿泊しているにも関わらずスーツのまま過ごしているし、塩太郎に頼んで体内の塩分濃度もおもいっきりあげてもらった。これもまた、防疫のためだ。だから若干、身体がむくんで重く感じている。
水と、食事として自衛隊の戦闘糧食が提供されているが、コチラも手をつけず自分で口のなかに生み出したなんちゃってレモン水のみで過ごしている。化け物キノコが胞子の経口摂取でも感染してしまうなら、このホテルではなにも口にしない方が安全だろう。
瑠羽のお父さんとの約束で瑠羽に会えないオレだが、キノコなんかを身体に生やした日にはそれこそ二度と瑠羽に会えなくなってしまう。だからそれだけは、絶対にイヤなのだ。
…。
こうして3日後、移動式人間ドッグカーでメディカルチェックを終えたオレを豊波チーフが訪ねてくれた。
「いやいや、あの大問題をひとりで解決したそうじゃないか。感心したよ」
「でも豊波チーフ。そのせいでオレは、感染したひとを何十人と殺めたんですよ?正直なところ、ツライです」
なにせ今回の件で、やるせなさが遂に1000を超えてしまっている。
いつかはやるヤツだと思っていたが、本当にやりやがった。いっしょに精神力も上がっていなければ、きっと酷い鬱にでもなっていたことだろう。
「でもカウンセリングはちゃんと受けたんだろう?それで問題ないと出たんなら、もうなにも問題はないよ」
「はぁ…」
だがさすがは研究者というべきか、豊波チーフは実にドライな物言いをする。ま、オレの尊敬するアニメ監督も、全滅エンドとか平気でするけどさ。
「それでも気にかかるというなら…、そうだね。キミがここの感染者を殺さなかったら、その感染者が10人20人と、また他の人を犠牲にしていたかもしれない。そんな感染者が、ここには何人もいたんだ」
「はい」
「わたしも殺すという行為そのものを、擁護するわけにはいかない。だが、それで死んでしまったかもしれない10人20人という死の可能性を潰したのは間違いなくキミの実績で、それは充分評価に値するよ」
「はい、ありがとうございます」
「なによりあんなシロモノを無傷で発見してくれたことに、とても感謝している」
「……」
ああ、研究者としては、やっぱりソッチなのね。チラと聞いた話でも、あのテロ呪物装置には対策省にも凄まじい衝撃が走ったそうだし。
「ふむ…、そうだ。キミのあのスーツ、今度は着た状態でいろいろ調べさせてもらえると嬉しいね」
そういって豊波チーフは、メディカルチェックを受けるために脱いでいた蟲王スーツへと眼を向ける。
「はぁ…。じゃあまた、お時間の都合のいい時にでも」
「そうしてくれると助かるよ。それじゃあ、お疲れさま。帰ってゆっくり休んで」
「はい、ありがとうございます」
うん、これでオレはお役御免、もう帰っていいらしい。
ただテロ呪物装置なんてシロモノが出てきたせいで、事態は感染症問題からテロ災害対策へと移行。そのせいですっかり報酬うんぬんの話をできるような雰囲気ではなくなってしまった。
なので、もう帰ろう。そして日を改めて、路亜さんが落ち着いてから話をさせてもらおう。
(ハァ…)
疲れた訳ではない。が、それでも…50数余人の殺めたひとの命が、心に重くのしかかってくるようだ。。。
窓の外は薄曇りで、午後からは雨が降るそうな。そして足元の景色に眼を向ければ消防車はいなくなったものの、まだ数台のパトカーが停まっていてホテルの周囲に規制線を張っている。
「ハァ、最悪の気分だな…」
なぜかというと、コレも感染対策だから。
キノコ感染者のひしめく地下駐車場に単身乗り込んで、その渦中に身を投じたのだ。当然その後は感染を疑われ、3日間のホテル待機を言い渡された。
それにテロ呪物装置なんてシロモノが出てきたせいで、それはもう大騒ぎ。公安らしい背広姿の厳めしいのがゾロゾロやってきて、路亜さんはそちらにかかりきりになってしまった。
そしてオレは、処分対象となっていたとはいえ50数余人の命を奪ったのだ。
これは誰かがやらねばならなかったこととはいえ、それでも異常者というか…。関係者からも触れてはいけない存在のように扱われ、ただただホテルの一室に閉じ込められている。
まぁ一時はモテモテで、推定公安のオッサンらに取り囲まれ、矢継ぎ早に質問されまくるけどコチラの質問には一切答えてもらえないという、なんともな時間も過ごしたけど。
なわけで高級ホテルにタダで宿泊している訳だが、部屋からは一歩も出られないうえ、あの呪物のせいでシャワーすら使えない。
テロ呪物装置が出していた胞子が水に混じり供給されたことで、このホテル内で化け物キノコ感染事件が起きてしまったのだから。なのであのキノコ胞子がまだどこかに潜んでいるのでは思うと、怖くてよく眠れもしない。
そこで高級ホテルに宿泊しているにも関わらずスーツのまま過ごしているし、塩太郎に頼んで体内の塩分濃度もおもいっきりあげてもらった。これもまた、防疫のためだ。だから若干、身体がむくんで重く感じている。
水と、食事として自衛隊の戦闘糧食が提供されているが、コチラも手をつけず自分で口のなかに生み出したなんちゃってレモン水のみで過ごしている。化け物キノコが胞子の経口摂取でも感染してしまうなら、このホテルではなにも口にしない方が安全だろう。
瑠羽のお父さんとの約束で瑠羽に会えないオレだが、キノコなんかを身体に生やした日にはそれこそ二度と瑠羽に会えなくなってしまう。だからそれだけは、絶対にイヤなのだ。
…。
こうして3日後、移動式人間ドッグカーでメディカルチェックを終えたオレを豊波チーフが訪ねてくれた。
「いやいや、あの大問題をひとりで解決したそうじゃないか。感心したよ」
「でも豊波チーフ。そのせいでオレは、感染したひとを何十人と殺めたんですよ?正直なところ、ツライです」
なにせ今回の件で、やるせなさが遂に1000を超えてしまっている。
いつかはやるヤツだと思っていたが、本当にやりやがった。いっしょに精神力も上がっていなければ、きっと酷い鬱にでもなっていたことだろう。
「でもカウンセリングはちゃんと受けたんだろう?それで問題ないと出たんなら、もうなにも問題はないよ」
「はぁ…」
だがさすがは研究者というべきか、豊波チーフは実にドライな物言いをする。ま、オレの尊敬するアニメ監督も、全滅エンドとか平気でするけどさ。
「それでも気にかかるというなら…、そうだね。キミがここの感染者を殺さなかったら、その感染者が10人20人と、また他の人を犠牲にしていたかもしれない。そんな感染者が、ここには何人もいたんだ」
「はい」
「わたしも殺すという行為そのものを、擁護するわけにはいかない。だが、それで死んでしまったかもしれない10人20人という死の可能性を潰したのは間違いなくキミの実績で、それは充分評価に値するよ」
「はい、ありがとうございます」
「なによりあんなシロモノを無傷で発見してくれたことに、とても感謝している」
「……」
ああ、研究者としては、やっぱりソッチなのね。チラと聞いた話でも、あのテロ呪物装置には対策省にも凄まじい衝撃が走ったそうだし。
「ふむ…、そうだ。キミのあのスーツ、今度は着た状態でいろいろ調べさせてもらえると嬉しいね」
そういって豊波チーフは、メディカルチェックを受けるために脱いでいた蟲王スーツへと眼を向ける。
「はぁ…。じゃあまた、お時間の都合のいい時にでも」
「そうしてくれると助かるよ。それじゃあ、お疲れさま。帰ってゆっくり休んで」
「はい、ありがとうございます」
うん、これでオレはお役御免、もう帰っていいらしい。
ただテロ呪物装置なんてシロモノが出てきたせいで、事態は感染症問題からテロ災害対策へと移行。そのせいですっかり報酬うんぬんの話をできるような雰囲気ではなくなってしまった。
なので、もう帰ろう。そして日を改めて、路亜さんが落ち着いてから話をさせてもらおう。
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