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Dungeon instructor 7
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植物ダンジョンで暴れアロエをみつけては、投網で緊縛からの塩撃スピア改で刺殺。それはザ・サーチ&デストロイ。
「ジャン氏、今のでレベルがあがったよ」
「よし、では次からはこの武器を使って戦闘だ」
レベルがあがったという智から塩撃スピア改を受けとり、代わりに総岩塩製のプチソルディオンハンマーを渡す。これはオレがよく使うソルディオンハンマーの軽量版。遠心力を利かせられるように柄が長く、またハンマー部は暴れアロエに合わせデコボコとした肉叩きのようになっている。
「うわ、ズッシリ重いねコレ…」
「うむ、この武器ならいい筋トレにもなるだろう。さ、それで思いっきりアロエをブッ叩いてみろ。外してもオレがフォローするから」
「え…?てことは次からは網がないの!?」
「そうだ。いつまでも過保護なままじゃ、戦闘勘はつかめないからな」
「だ、だいじょうぶかな…」
「アロエの動きは単純だ。それにおまえならもう、そのパターンが読めてるはずだ。音ゲーやシューティングなら、オレよりも得意だろう?」
「ウン!こ、怖いけど、これもゲームとおんなじと思えば…。ならやってみるよ!」
「よし、その意気だ。と、ほら、獲物がやって来たぞ」
そこへダンジョンの奥から現れた暴れアロエが、こちらに気付き近づいてくる。
その様はタコの肢のように無数の根をうねらせ、棘の並んだ葉も激しくざわつかせながら迫ってきており、植物であってもなかなかに不気味だ。
「い、いくぞぉ…エイッ!」
振り下ろされたハンマーは暴れアロエに当たりこそしたものの、根と葉の2割ほどを潰しただけ。
「おしい、でもいいぞ!すぐにさがって距離を取れ!」
「ウ、ウン!」
その指示に従い智が下がるのと入れ替わりに前に出て、投網をふるって暴れアロエを弾き飛ばす。するとアロエはゴロゴロと遠くへ転がっていき、しばらくすると態勢を立て直し再び迫ってくる。
「そら、もう一度だ!」
「今度こそ…、エイッ!」
『ごしゃん!』
と、今度はきれいに真ん中を捉え、暴れアロエはペシャンコに。
「はぁ…はぁ…、やった!やれたよジャン氏!」
「やったな友よ!練習もなしに2発で仕留めるとは、大したものだ!」
…。
こうして、2時間ほど智に戦闘経験を積ませダンジョンから出てくると、空はもう綺麗な夕焼けに染まっていた。
「うわぁ…、キレイだね。空がいつもより明るくて、それになんだか、とても深く感じるよ…」
と、そんな夕焼け空を見あげ、智がいたく感動している。
「ハハハ、そうだろう。ダンジョンという緊迫した状態からの解放。そして身体能力が上昇したことで、知覚もまた鋭敏になってるんだ」
「そうなんだぁ…。うわぁ…」
(うむ、レベルがあがった能力値が上昇したうんぬんよりも、その感動こそプライスレス。ひとつの冒険を成し遂げた冒険家のように、今はその感動に浸り沁み入るがいい…)
周囲に眼を向ければ、木々の合間には夕暮れの涼しげな風が吹き、早くも秋の気配を漂わせている。そしてこの日この時この瞬間の情景は友の心をつよく揺り動かし、成功体験としてたしかな成長の糧となるハズ。
うむ、これこそオレの求めていたモノ。
一時は非常に残念な感じとなってしまっていた智だが、こうして盛り返してくれたことをとても嬉しく思う。こうなれば後は流れ。良いコンディションとマインドさえ維持できれば、これからもどんどんと成長できるはずだ。
「ねぇジャン氏…」
「うん?」
「ここに連れて来てくれて、ありがとう」
夕焼けに顔を染めた智がやや照れたような笑みを浮かべ、オレに向けそう礼を言う。
「ああ、だがまだまだとっかかりだ。先は長いぞ」
「ウン。でも今なら、もっとガンバレそうだよ」
「そうだな。友よ、おまえならやれるさ」
「ううん。これもぜんぶ、ジャン氏のおかげだよ」
「そうでもない。一番大事なのはおまえが頑張ろうと、自分を奮い立たせたからだ」
そう心情の吐露を終えると、互いの顔をみているのもなんだか気恥ずかしくなり、オレたちはふたたび沈みゆく夕陽に眼を向けたのだった。
「ジャン氏、今のでレベルがあがったよ」
「よし、では次からはこの武器を使って戦闘だ」
レベルがあがったという智から塩撃スピア改を受けとり、代わりに総岩塩製のプチソルディオンハンマーを渡す。これはオレがよく使うソルディオンハンマーの軽量版。遠心力を利かせられるように柄が長く、またハンマー部は暴れアロエに合わせデコボコとした肉叩きのようになっている。
「うわ、ズッシリ重いねコレ…」
「うむ、この武器ならいい筋トレにもなるだろう。さ、それで思いっきりアロエをブッ叩いてみろ。外してもオレがフォローするから」
「え…?てことは次からは網がないの!?」
「そうだ。いつまでも過保護なままじゃ、戦闘勘はつかめないからな」
「だ、だいじょうぶかな…」
「アロエの動きは単純だ。それにおまえならもう、そのパターンが読めてるはずだ。音ゲーやシューティングなら、オレよりも得意だろう?」
「ウン!こ、怖いけど、これもゲームとおんなじと思えば…。ならやってみるよ!」
「よし、その意気だ。と、ほら、獲物がやって来たぞ」
そこへダンジョンの奥から現れた暴れアロエが、こちらに気付き近づいてくる。
その様はタコの肢のように無数の根をうねらせ、棘の並んだ葉も激しくざわつかせながら迫ってきており、植物であってもなかなかに不気味だ。
「い、いくぞぉ…エイッ!」
振り下ろされたハンマーは暴れアロエに当たりこそしたものの、根と葉の2割ほどを潰しただけ。
「おしい、でもいいぞ!すぐにさがって距離を取れ!」
「ウ、ウン!」
その指示に従い智が下がるのと入れ替わりに前に出て、投網をふるって暴れアロエを弾き飛ばす。するとアロエはゴロゴロと遠くへ転がっていき、しばらくすると態勢を立て直し再び迫ってくる。
「そら、もう一度だ!」
「今度こそ…、エイッ!」
『ごしゃん!』
と、今度はきれいに真ん中を捉え、暴れアロエはペシャンコに。
「はぁ…はぁ…、やった!やれたよジャン氏!」
「やったな友よ!練習もなしに2発で仕留めるとは、大したものだ!」
…。
こうして、2時間ほど智に戦闘経験を積ませダンジョンから出てくると、空はもう綺麗な夕焼けに染まっていた。
「うわぁ…、キレイだね。空がいつもより明るくて、それになんだか、とても深く感じるよ…」
と、そんな夕焼け空を見あげ、智がいたく感動している。
「ハハハ、そうだろう。ダンジョンという緊迫した状態からの解放。そして身体能力が上昇したことで、知覚もまた鋭敏になってるんだ」
「そうなんだぁ…。うわぁ…」
(うむ、レベルがあがった能力値が上昇したうんぬんよりも、その感動こそプライスレス。ひとつの冒険を成し遂げた冒険家のように、今はその感動に浸り沁み入るがいい…)
周囲に眼を向ければ、木々の合間には夕暮れの涼しげな風が吹き、早くも秋の気配を漂わせている。そしてこの日この時この瞬間の情景は友の心をつよく揺り動かし、成功体験としてたしかな成長の糧となるハズ。
うむ、これこそオレの求めていたモノ。
一時は非常に残念な感じとなってしまっていた智だが、こうして盛り返してくれたことをとても嬉しく思う。こうなれば後は流れ。良いコンディションとマインドさえ維持できれば、これからもどんどんと成長できるはずだ。
「ねぇジャン氏…」
「うん?」
「ここに連れて来てくれて、ありがとう」
夕焼けに顔を染めた智がやや照れたような笑みを浮かべ、オレに向けそう礼を言う。
「ああ、だがまだまだとっかかりだ。先は長いぞ」
「ウン。でも今なら、もっとガンバレそうだよ」
「そうだな。友よ、おまえならやれるさ」
「ううん。これもぜんぶ、ジャン氏のおかげだよ」
「そうでもない。一番大事なのはおまえが頑張ろうと、自分を奮い立たせたからだ」
そう心情の吐露を終えると、互いの顔をみているのもなんだか気恥ずかしくなり、オレたちはふたたび沈みゆく夕陽に眼を向けたのだった。
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