うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ

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Strategy Crab Dungeon 4.1

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化け物昆布との戦闘後、地下4層の隅に粘液ドームで安全地帯を設けて休憩。そこで装備をチェックすると背負っていた酸素ボンベが凹んでチューブが破損しており、まったくの無傷とはいかなかった。

(遊びが過ぎたか…。失敗したな。)

強くなったこともあり、草津の山ダンジョン以降は命の危険を感じるということも少なかった。

無論、鍛えを疎かにはしていなかったものの、機転を利かそうと戦闘中に鉛を撒いたりしたのは完全に蛇足。最近は調査の仕事や実体のない幽霊なんかの相手ばかりで、戦闘勘が鈍っていたようだ。

地下4層の入り口はモンスターハウスと化していた訳だが、残敵掃討中にお化け昆布のことも調査した。

5メートルくらいある頭のないウツボみたいなヤツで、戦闘スタイルはアナコンダ。なのでお化け昆布と戦うのは5メートルのアナコンダと戦ってるのと、感覚的にはたぶん同じだろう。

しかしアナコンダと違う点は全身がヌルヌルと粘液で覆われていることと、獲物に絡みつくとベタつく粘液を分泌し張り付いてくること。ま、全身がヌルヌルの状態じゃ、ウナギみたいで締め付けようがないもんな。

このベタつく粘液を出す分泌腺は等間隔に並んでいるようで、昆布の表面に水球のようになって幾つも浮いて出てくる。そうして接着した部分が支点となって、獲物を締めつけるのだ。

なのでお化け昆布は、ウツボみたいでアナコンダみたいで、モウセンゴケみたいなヤツとも言えた。

ちなみにモウセンゴケっていうのは、そういうベタベタする粘液で獲物を捕らえる食虫植物のこと。植物ダンジョンの間引きもあるので、食虫植物についても少し調べたのだ。

で、そのドロップは魔石と乾燥昆布。

うん、以前からスライムのドロップでもその核らしい干からびた生八つ橋みたいなのがドロップしてたけど、今回もそれに似たパターン。でも干された事で縮んだのか、1メートルほどになっている。そんなのがお化け昆布を倒すと、バラバラ落ちた。

それでも数としては、50を超える程度。

濁流と化していた時の数は100を優に超えていただろう。が、死ぬと当時に出たそのドロップも、いっしょに燃えたり吹き飛んだりしてしまったようだ。なので残ったのは、およそ1/3程度。

(にしても昆布とは…。またファンタジー的にはコレジャナイ感が…)

ドロップした昆布を確認しつつ、そんなことを考える。

とはいえ水場だからといって魚人や人魚みたいな人型に近いヤツや、ものくそ強い大海蛇シーサーペントみたいなのに出て来られても困る。

人型に近い程どうしたって殺すのに忌避感を抱くし、生物的に恐竜サイズのヤツが馬鹿みたいにスキルや魔法を使ってきたら、とてもじゃないが真面になど戦えない。

喉を潤しつつ周囲の岩場…、地下水脈な磯を見回す。そこに思いついたモンスターが現れ戦闘になった場合をイメージし、脳内シミュレーション

(うん…、やっぱ嫌だな。見てみたいとは思うが、戦いたいとはとても思えない)

いざとなれば戦うが、それでもまだ巨大カニやピラゴロウみたいなのの方がなんぼもマシ。

そういった意味では、地下4層にいたのが化け物昆布で良かったのだろう。いい出汁も取れそうだし、ムラサキの大将んとこに持ってけば喜びそうだ。なんだかんだでムラサキへの食材卸しも、それなりの収入になってるし。


…。


休憩後は慎重に地下4層を探索を続ける。しかし通路が水に沈んでいるので、そういう場で待ち構えている化け物昆布が厄介だ。

そんな場所では釣れるなら釣って水の中から出て来てもらい、それも無理なほど長い水中通路では酸素ボンベを用いて強行突破。破損したボンベのチューブは、休憩中に予備へと交換してある。

水に潜って進むと、視界の悪い前方から化け物昆布がうねりながら迫ってくる。

水中なので、ここは相手のホーム。動きも良いし、知能があるように四肢にばらけて攻撃をしかけてくる。

(よし、来い!)

そこで魔力を通してミスリル靴箆を高周波ブレード化させると、迫ってきた化け物昆布を切り払う。

(むお!?)

しかし水中で高周波を発したせいで、思ってた以上の気泡も発生し視界を奪われてしまう。その隙に、あとから来た化け物昆布が手足に絡みついてくる。こいつらは獲物の知覚を視力に頼っている訳ではないようで、発生した気泡など気にならないようだ。

(おのれ、だが甘い!)

そう、オレが水中で使える武器はなにもミスリル靴箆だけではない。普段コレといって使う場面は少ないが、蟲王スーツの手首と足先には魔力を流すと切れ味の良くなる鉤虫クローがついているのだ。

その鉤虫クローに魔力を通して鋭く立たせると、手足に絡みついた化け物昆布をカット。


そうして何度も水中にいた化け物昆布どもを倒しつつ、ザバザバと水を蹴り再び空気のある場所へと辿り着く。

(ふぅ…。地形もそうだが、やっぱりカニダンジョンは冷蔵庫ダンジョンより高難度だよな)

冷蔵庫ダンジョンの地下4層にいるモンスターは、巨大ナメクジ。

コイツも気配を感じさせず忍び寄ってくる恐ろしいモンスターだが、打たれ強さはあるものの弱点がハッキリしてて弱い。

それに比べるとここにいる化け物昆布は、圧倒的に手強い。

力は5メートル級のアナコンダを相手にするようなもんだし、表面は滑っていて掴みにくく、切り刻んでもコレといった急所が無いので倒す為には結構切り刻まなければならない。

火が効いたので弱点は火のようだが、水中ではそれも使えない。

(ここの地形と相まって、なかなか厄介な相手だなまったく…)

この先も同じような戦闘が続くのか。と、まだ未探索な暗がりの先を見据え、オレはひとり肩を竦めたのだった。
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