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taxi
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ウンディーネとの長い対話の後。再び姿を現した塩太郎は、どういう訳かすっかり萎れていた。
「だいじょうぶか塩太郎!ほら、しっかりするんだッ!」
そんなフラつきながらもオレの元へと戻ってきた塩太郎を両手で抱き上げると、いったいなにが遭ったのかを訊いてみる。
(…ッ、ッ…ッッ…!)
「む、なになに?助けてほしいと懇願されたから、力を分けてやった?それで塩太郎はこんなに弱ってしまったのか…」
そう言われてウンディーネの方に改めて目を向ければ、暗い岩場に立つウンディーネはその透明度や輝きが増し、初めて会った時よりもキラキラしている。
「う~む…。確かに前は、身体を構成する水がもっと濁ってたような。それを塩太郎のチカラで、治してあげたのか?」
(ッ…、ッ、ッ…)
なるほど・ザ・アンダスタン。どうやら塩太郎はウンディーネが下水の影響を受け穢れてしまっていたのを、精霊10万パワーとかを分け与えることで浄化してあげたらしい。
「そうか、でも偉いぞ塩太郎。男ってのはたとえ自身が割を食っても、こうして困っている女性や子供には優しくしてあげる。それがダンディズムってもんよ。うむ、よく頑張ったな」
そこでがんばってウンディーネの抱えていた問題を解決してあげた塩太郎には、肩や頭を撫ぜその健闘を讃えてやる。なにせ塩太郎が生まれて初めての対外的なコミュニケーションで、大変な思いをしつつもこの見事な成果を勝ち取ったのだ。
つまりはその成長が見える形でこうして結実した訳であり、塩太郎の兄貴分的なオレからしてもコレは非常に喜ばしい。
(ァ、ァァ、ァー…)
と、そうして事情を塩太郎から聞いていると、穢れが払われてスッキリした表情のウンディーネからも改めて塩太郎に深々と礼を述べているのがオレにも知覚できた。どうも塩太郎のチカラを分け与えられたことで、ウンディーネとのチャンネルがオレとも繋がったようだ。
「そうかそうか、波子ちゃんも大変だったな。こんな見知らぬ地で独りでは、さぞ難儀しただろう」
恐らくはダンジョンから訳も解らず溢れ出て、時間が経ったことでその支配からは逃れられたものの、今度は下水の影響を受けたうえ出口も解からず彷徨っていたのだろう。酷い穢れを受けつつこんな場所に長い時間閉じ込められたりしたら、そりゃおかしくもなっちまうよな。
(ァァァ、ァー)
「え、でももう大丈夫?塩の因子を貰ったから、これで迷わず海に還れるって?」
ほう、なにやらウンディーネの波子ちゃんは、塩太郎から塩の因子を貰ったことで塩ディーネに進化したらしい。その塩の因子とやらがあれば海の潮とも共鳴し、もう迷うことなく海に還れるのだそうな。
「そうか、それは良かった。あ~…ところで波子ちゃん、ちょっと相談なんだけどね。実はオレ達も道に迷ってんのよ。だからその海に還るっていうのに、オレ達も便乗していい??」
旅は道連れ世は情け。そんな調子で帰り道の解らないオレは帰省に便乗させてもらえないかと訊いてみる。と、しばし思案顔だった波子ちゃん。だがすぐに「この場でちょっと待つように」と言うと、地底湖に飛び込んでどこかに行ってしまったのだった。
…。
こうして地底湖に塩ディーネの波子ちゃんが消えてから、もう30分が過ぎようとしていた。
なんだかずっと待ちぼうけ。すでに雨天もピクシーVもカードにお戻り頂いてる。なのでオレ1人が胸から塩太郎を生やした状態で、ポツンと岩棚の上で帰りを待っている状態。
「はて、この場で待つようにと言われたものの、波子ちゃんはいったい何処まで行ってしまったのか…」
そう腕を組んでいくら湖面を見下ろしても、波紋ひとつ立たない静かなもの。
しかし、あんなに塩太郎に感謝していた波子ちゃんだ。それがそう簡単にオレ達を裏切るとも考えにくい。だが途中で何か遭った可能性も考えてコチラから探しに行くべきかと思案していると、突如地底湖にヌッと白い影が映り、そのまま湖面が大きく盛り上がった。
そうしてザバリと水を割って現れたのは、落ちる時に一緒だったあの白い鰐頭海竜。
「どわ!またオマエか!?なんだってんだ!?」
慌てて立っていた岩から後ろに跳びのき、臨戦態勢をとる。しかしすぐさま湖面から飛び出してきた波子ちゃんがオレと鰐頭海竜の間に降り立つと、両手を広げて戦いになるのを制止した。
(ァー!ァァ!ァー!)
「え、なに?彼がオレ達を運んでくれるって!?」
なんと、波子ちゃんはタクシーよろしく、ホワイト鰐頭海竜にオレ達の運搬を頼んだらしい。てか、よく話通じたな。
「……」
「ああ~、うん。ゴホン、さっきは傷つけてゴメンて。あ、ホラ、傷はこの回復薬で治すからさ」
姿を現したホワイト鰐頭海竜が、その爬虫類特有の感情を感じさせない縦筋瞳孔の眼でジッとみつめてくる。それがなんともバツが悪くて、手持ちの万能回復薬をオレが傷つけた箇所にかけてやる。
見た目はまんまダイナソー。
けど、神の使いとなる動物の色は白ともいうし、もしかしたらコイツもそっち系なのかもしれない。そんなことを考えつつ傷に回復薬をかけ癒していると、さっさと乗れといった感じで岸に背中を寄せてきた。
「……」
「いいのか?じゃあオレ達は東京湾まででいいからさ、よろしく頼むよ」
こうしてオレ達は白いイルカならぬホワイト鰐頭海竜に跨るとすぐさま潜行し、この訳の分からぬ不気味な地底湖から脱出できたのだった。
「だいじょうぶか塩太郎!ほら、しっかりするんだッ!」
そんなフラつきながらもオレの元へと戻ってきた塩太郎を両手で抱き上げると、いったいなにが遭ったのかを訊いてみる。
(…ッ、ッ…ッッ…!)
「む、なになに?助けてほしいと懇願されたから、力を分けてやった?それで塩太郎はこんなに弱ってしまったのか…」
そう言われてウンディーネの方に改めて目を向ければ、暗い岩場に立つウンディーネはその透明度や輝きが増し、初めて会った時よりもキラキラしている。
「う~む…。確かに前は、身体を構成する水がもっと濁ってたような。それを塩太郎のチカラで、治してあげたのか?」
(ッ…、ッ、ッ…)
なるほど・ザ・アンダスタン。どうやら塩太郎はウンディーネが下水の影響を受け穢れてしまっていたのを、精霊10万パワーとかを分け与えることで浄化してあげたらしい。
「そうか、でも偉いぞ塩太郎。男ってのはたとえ自身が割を食っても、こうして困っている女性や子供には優しくしてあげる。それがダンディズムってもんよ。うむ、よく頑張ったな」
そこでがんばってウンディーネの抱えていた問題を解決してあげた塩太郎には、肩や頭を撫ぜその健闘を讃えてやる。なにせ塩太郎が生まれて初めての対外的なコミュニケーションで、大変な思いをしつつもこの見事な成果を勝ち取ったのだ。
つまりはその成長が見える形でこうして結実した訳であり、塩太郎の兄貴分的なオレからしてもコレは非常に喜ばしい。
(ァ、ァァ、ァー…)
と、そうして事情を塩太郎から聞いていると、穢れが払われてスッキリした表情のウンディーネからも改めて塩太郎に深々と礼を述べているのがオレにも知覚できた。どうも塩太郎のチカラを分け与えられたことで、ウンディーネとのチャンネルがオレとも繋がったようだ。
「そうかそうか、波子ちゃんも大変だったな。こんな見知らぬ地で独りでは、さぞ難儀しただろう」
恐らくはダンジョンから訳も解らず溢れ出て、時間が経ったことでその支配からは逃れられたものの、今度は下水の影響を受けたうえ出口も解からず彷徨っていたのだろう。酷い穢れを受けつつこんな場所に長い時間閉じ込められたりしたら、そりゃおかしくもなっちまうよな。
(ァァァ、ァー)
「え、でももう大丈夫?塩の因子を貰ったから、これで迷わず海に還れるって?」
ほう、なにやらウンディーネの波子ちゃんは、塩太郎から塩の因子を貰ったことで塩ディーネに進化したらしい。その塩の因子とやらがあれば海の潮とも共鳴し、もう迷うことなく海に還れるのだそうな。
「そうか、それは良かった。あ~…ところで波子ちゃん、ちょっと相談なんだけどね。実はオレ達も道に迷ってんのよ。だからその海に還るっていうのに、オレ達も便乗していい??」
旅は道連れ世は情け。そんな調子で帰り道の解らないオレは帰省に便乗させてもらえないかと訊いてみる。と、しばし思案顔だった波子ちゃん。だがすぐに「この場でちょっと待つように」と言うと、地底湖に飛び込んでどこかに行ってしまったのだった。
…。
こうして地底湖に塩ディーネの波子ちゃんが消えてから、もう30分が過ぎようとしていた。
なんだかずっと待ちぼうけ。すでに雨天もピクシーVもカードにお戻り頂いてる。なのでオレ1人が胸から塩太郎を生やした状態で、ポツンと岩棚の上で帰りを待っている状態。
「はて、この場で待つようにと言われたものの、波子ちゃんはいったい何処まで行ってしまったのか…」
そう腕を組んでいくら湖面を見下ろしても、波紋ひとつ立たない静かなもの。
しかし、あんなに塩太郎に感謝していた波子ちゃんだ。それがそう簡単にオレ達を裏切るとも考えにくい。だが途中で何か遭った可能性も考えてコチラから探しに行くべきかと思案していると、突如地底湖にヌッと白い影が映り、そのまま湖面が大きく盛り上がった。
そうしてザバリと水を割って現れたのは、落ちる時に一緒だったあの白い鰐頭海竜。
「どわ!またオマエか!?なんだってんだ!?」
慌てて立っていた岩から後ろに跳びのき、臨戦態勢をとる。しかしすぐさま湖面から飛び出してきた波子ちゃんがオレと鰐頭海竜の間に降り立つと、両手を広げて戦いになるのを制止した。
(ァー!ァァ!ァー!)
「え、なに?彼がオレ達を運んでくれるって!?」
なんと、波子ちゃんはタクシーよろしく、ホワイト鰐頭海竜にオレ達の運搬を頼んだらしい。てか、よく話通じたな。
「……」
「ああ~、うん。ゴホン、さっきは傷つけてゴメンて。あ、ホラ、傷はこの回復薬で治すからさ」
姿を現したホワイト鰐頭海竜が、その爬虫類特有の感情を感じさせない縦筋瞳孔の眼でジッとみつめてくる。それがなんともバツが悪くて、手持ちの万能回復薬をオレが傷つけた箇所にかけてやる。
見た目はまんまダイナソー。
けど、神の使いとなる動物の色は白ともいうし、もしかしたらコイツもそっち系なのかもしれない。そんなことを考えつつ傷に回復薬をかけ癒していると、さっさと乗れといった感じで岸に背中を寄せてきた。
「……」
「いいのか?じゃあオレ達は東京湾まででいいからさ、よろしく頼むよ」
こうしてオレ達は白いイルカならぬホワイト鰐頭海竜に跨るとすぐさま潜行し、この訳の分からぬ不気味な地底湖から脱出できたのだった。
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