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Ocean Adventure 1
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さて、我らの特異産業では日々ゆかいな仲間達が元気に働いてくれている訳だが、そこにはサバゲサークル・トライデントメンバーのほかにも、田丸水産からの出向というカタチで働いている方たちもいる。
その田丸水産は真田薬品に勤める田所さんのお兄さんが社長を務める会社で、普段は水産加工工場で働いているオバチャンたちや、事務所の事務員さん達がそれにあたる。
「でねぇ、しょっちゅう網が破られるもんだから、痛い出費なのよぉ~」
「参っちゃうわよねェ~」
「ほ~、それは大変ですね」
そして今、オレは東屋で飯炊きにきてくれているマダム達から、旦那の仕事がモンスターのせいで大変だという話を聞かされていた。
「ホントよぉもう、なんとかならないもんかしらねェ~(チラチラ)」
(う~む、これは…。もしや海のモンスターを退治してくれって話なのか…??)
地元だけに旦那さんが漁師をやっていて、奥さんが水産加工会社で働いている。うん、そうしたスタイルだと獲れた魚はみな田丸水産で買い取る流れで、綺麗に循環ができていたのだろう。
しかし昨今のモンスター騒ぎにより、漁獲高は激減。
これにより田丸水産も大打撃を受け経営が傾いていたのだが、今は余剰人員を特異産業に出向させることでなんとかバランスを取っているといった具合。とはいえ海の状態が改善しない事には、この先どんどんと苦しくなってしまうだろう。
「では、ちょっと周りの者とも相談してみましょう」
そういってお茶を濁し、マダム達の元から退散したオレ。だがそうして事務所に行くと、提督からも同じ話がふられた。
「なぁ、ちょっといいかジャング。海の化け物どもの事なんだが、なんとかならんか?」
「あ~、またその話か。今さっき、飯炊きのオバチャンたちからもその話をされたばかりだが、提督の方にも相談が?」
「ああ、いや、俺は社長の方からだ。どうにか漁師たちのチカラになってくれないかと、頼み込まれてな」
「ふ~む…」
「で、実際どうなんだ?うちのメンツでも泳ぎの得意な奴はいなくもないが、それでもモンスター相手に水中戦闘は難しかろう?」
「当たり前だ。オレも仕事で酸素ボンベは使ってるが、水中戦闘などほとんどしたことがない。もし水中での戦闘ともなれば、水の中にいるモンスターの方が絶対に有利。それでも潜るなんて、自殺行為だよ」
下水道では鰐頭海竜に抱きついた状態で流されていたが、普通にやりあっていたら負けるのは間違いなくオレの方だったろう。
「だろうなぁ。ではこの話は、俺から断っておくか…」
「…いや、それでも一度くらいは付き合ってやらないと、納得してくれないだろう。いいさ、オレが一度、漁に付き合ってみるよ」
「そうか…、すまんなジャング」
「なに、田丸水産と美味い飯を炊いてくれるマダムたちの為だ。それくらいはしないとな」
水中にいるモンスター相手に戦うとなれば、間違いなく不利。
でも並みのダンジョン能力者と比べれば、圧倒的に水に強いオレ。なにせ防御力の高い蟲王スーツに身を包み、優れたスキル群を有している。
そのなかでも特にスゴイのは【超粘液】。コレでヌルヌルと全身を覆ってしまえば、水の抵抗を大幅に低減し鰻のように泳ぐことが可能。そうしたことが出来るのが、オレの強みだ。
それにこの先、カニダンジョンを攻略する為にも水中戦闘に慣れておく必要がある。
しかしそういった訓練を積みたくても、独りで海に潜っていたなら密漁やまたモンスターと間違われてしまうところ。が、コレが漁師さんの助っ人という立場であれば、堂々と大手を振って海に潜れるというもの。
そんな個人的都合もあって、オレはこの話を引き受けることにしたのだった。
…。
そして当日の未明。そこにはなぜか、シャークと結月ちゃんの姿もあった。
「いや、雛形くん…。泳ぎの得意なシャークが、海ならアタシも連れてけって言うのは解かるけど。どうして乗り物に弱い雛形くんまで?」
「う、それは…。どうしてもルリちゃんが行きたいっていうから…」
「付き合いで、きちゃったのか。う~む、といっても船の上では逃げ場がないからなぁ」
「あの…一応、酔い止めの薬は持ってきてます」
「そうか、まぁ、あまり無理はしないようにな」
「なぁジャング!スゲェなコレ、新装備か!?」
その一方でシャークは、オレの用意した装備を前に眼を輝かせている。
「ああ、それは水中戦闘を想定した、アーマード蟲王スーツのアタッチメントだ」
その内訳は、まずは信頼と実績の背面取り付け増設アーム。 コレは巨大紅蠍の外殻で、新たに作成したモノ。
それプラス左手の前腕部には、ヒレ状の外殻にゴムチューブを用いた三連装の水中銃。その矢には、巨大カメムシの脚を使っている。水をかけば推進力を得られるし、飛び道具もついた優れモノだ。同じく右手の前腕部には、カブトガニを逆さにしたような突剣付ミニ盾を装備。コレでも水をかけば推進力を得られるし、咄嗟の時には即武器としても盾としても使える。
で、足には足ヒレだけを装備。
うん、脚にまでゴテゴテ色々つけてしまうと却って動き難くになってしまうので、ココはシンプルに。 それでもベースがアーマード蟲王スーツなので、これはかなりの本気装備をいえよう。
「お~、兄ちゃん。また、スゴイ格好だな」
「ああ、これならどんな怪物が出ても、裸足で逃げ出すだろうさ」
と、そこへ今日乗せてもらう漁船の漁師さん達がやってきて、オレの恰好に軽く驚いている。
「ええ、よろしくおねがいします」
「よろしくなぁ」
「期待してるぞぉ」
こうして荷物を積み込むと、まだ夜も明けきらぬ海へと船は出航。さて、どうなることか。
その田丸水産は真田薬品に勤める田所さんのお兄さんが社長を務める会社で、普段は水産加工工場で働いているオバチャンたちや、事務所の事務員さん達がそれにあたる。
「でねぇ、しょっちゅう網が破られるもんだから、痛い出費なのよぉ~」
「参っちゃうわよねェ~」
「ほ~、それは大変ですね」
そして今、オレは東屋で飯炊きにきてくれているマダム達から、旦那の仕事がモンスターのせいで大変だという話を聞かされていた。
「ホントよぉもう、なんとかならないもんかしらねェ~(チラチラ)」
(う~む、これは…。もしや海のモンスターを退治してくれって話なのか…??)
地元だけに旦那さんが漁師をやっていて、奥さんが水産加工会社で働いている。うん、そうしたスタイルだと獲れた魚はみな田丸水産で買い取る流れで、綺麗に循環ができていたのだろう。
しかし昨今のモンスター騒ぎにより、漁獲高は激減。
これにより田丸水産も大打撃を受け経営が傾いていたのだが、今は余剰人員を特異産業に出向させることでなんとかバランスを取っているといった具合。とはいえ海の状態が改善しない事には、この先どんどんと苦しくなってしまうだろう。
「では、ちょっと周りの者とも相談してみましょう」
そういってお茶を濁し、マダム達の元から退散したオレ。だがそうして事務所に行くと、提督からも同じ話がふられた。
「なぁ、ちょっといいかジャング。海の化け物どもの事なんだが、なんとかならんか?」
「あ~、またその話か。今さっき、飯炊きのオバチャンたちからもその話をされたばかりだが、提督の方にも相談が?」
「ああ、いや、俺は社長の方からだ。どうにか漁師たちのチカラになってくれないかと、頼み込まれてな」
「ふ~む…」
「で、実際どうなんだ?うちのメンツでも泳ぎの得意な奴はいなくもないが、それでもモンスター相手に水中戦闘は難しかろう?」
「当たり前だ。オレも仕事で酸素ボンベは使ってるが、水中戦闘などほとんどしたことがない。もし水中での戦闘ともなれば、水の中にいるモンスターの方が絶対に有利。それでも潜るなんて、自殺行為だよ」
下水道では鰐頭海竜に抱きついた状態で流されていたが、普通にやりあっていたら負けるのは間違いなくオレの方だったろう。
「だろうなぁ。ではこの話は、俺から断っておくか…」
「…いや、それでも一度くらいは付き合ってやらないと、納得してくれないだろう。いいさ、オレが一度、漁に付き合ってみるよ」
「そうか…、すまんなジャング」
「なに、田丸水産と美味い飯を炊いてくれるマダムたちの為だ。それくらいはしないとな」
水中にいるモンスター相手に戦うとなれば、間違いなく不利。
でも並みのダンジョン能力者と比べれば、圧倒的に水に強いオレ。なにせ防御力の高い蟲王スーツに身を包み、優れたスキル群を有している。
そのなかでも特にスゴイのは【超粘液】。コレでヌルヌルと全身を覆ってしまえば、水の抵抗を大幅に低減し鰻のように泳ぐことが可能。そうしたことが出来るのが、オレの強みだ。
それにこの先、カニダンジョンを攻略する為にも水中戦闘に慣れておく必要がある。
しかしそういった訓練を積みたくても、独りで海に潜っていたなら密漁やまたモンスターと間違われてしまうところ。が、コレが漁師さんの助っ人という立場であれば、堂々と大手を振って海に潜れるというもの。
そんな個人的都合もあって、オレはこの話を引き受けることにしたのだった。
…。
そして当日の未明。そこにはなぜか、シャークと結月ちゃんの姿もあった。
「いや、雛形くん…。泳ぎの得意なシャークが、海ならアタシも連れてけって言うのは解かるけど。どうして乗り物に弱い雛形くんまで?」
「う、それは…。どうしてもルリちゃんが行きたいっていうから…」
「付き合いで、きちゃったのか。う~む、といっても船の上では逃げ場がないからなぁ」
「あの…一応、酔い止めの薬は持ってきてます」
「そうか、まぁ、あまり無理はしないようにな」
「なぁジャング!スゲェなコレ、新装備か!?」
その一方でシャークは、オレの用意した装備を前に眼を輝かせている。
「ああ、それは水中戦闘を想定した、アーマード蟲王スーツのアタッチメントだ」
その内訳は、まずは信頼と実績の背面取り付け増設アーム。 コレは巨大紅蠍の外殻で、新たに作成したモノ。
それプラス左手の前腕部には、ヒレ状の外殻にゴムチューブを用いた三連装の水中銃。その矢には、巨大カメムシの脚を使っている。水をかけば推進力を得られるし、飛び道具もついた優れモノだ。同じく右手の前腕部には、カブトガニを逆さにしたような突剣付ミニ盾を装備。コレでも水をかけば推進力を得られるし、咄嗟の時には即武器としても盾としても使える。
で、足には足ヒレだけを装備。
うん、脚にまでゴテゴテ色々つけてしまうと却って動き難くになってしまうので、ココはシンプルに。 それでもベースがアーマード蟲王スーツなので、これはかなりの本気装備をいえよう。
「お~、兄ちゃん。また、スゴイ格好だな」
「ああ、これならどんな怪物が出ても、裸足で逃げ出すだろうさ」
と、そこへ今日乗せてもらう漁船の漁師さん達がやってきて、オレの恰好に軽く驚いている。
「ええ、よろしくおねがいします」
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