俺は退屈な青春からはおさらばします

臓器猫

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第一章

第六話 想いのすれ違い(新)

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「あぁ、わかった。」

「俺の本当の名前はミツルギ・剣斗だよ。よろしくね!」

「ミツルギ・剣斗?本名も健ちゃんに似てる?!」
 只の偶然なの?

「うん。なんて言うのかな?ドッペルゲンガー?この世界では彼だけど向こうの世界で彼に、代わる存在は俺だから。」
 私達の健ちゃんと、世界は違うけど同じ存在ということだろうか?正直そんな存在はとても信じられ無かったし、今でも信じきれていないし。

「そっか……ミツルギさん教えて下さりありがとうございます。私達はそろそろ行きます!」

「うん、わかった。じゃあ剣城君に会えるといいな、またな!」

「はい。また明後日会いましょう」
 そう言うと私達は手にしていた羽根を離した。すると、説明通り、目の前に光の輪が現れたので羽根をキャッチして、二人はその輪へ飛び込んだ。




「ふぅ……剣城君、これでいいんだよな。彼等を守り、支える。君の願いと彼等の願いを両方叶えるこの方法。これが、最善策だよな。」

「ここが……」
 ゲートを抜けた先には、子どもたちが遊んでいる姿があった。

「んね~オネェちゃん達誰~??」
 
「えっと……ねぇ、君たち?ここは何処なのかな?」
 とりあえず私達の現在地を把握しないと話しにならない。

「ここはね~タンポポの家だよ!」
 タンポポの家……とするとらここで遊んでいる子どもの数を見る限り、保育園かそれに類する施設なのかな?

「ちょっと前にここに、男の子来なかったかなぁ?」
 流石にこんな小さい子は知らないかなぁ?

「ん~とね一人いたよ!フェイニーお姉ちゃんが連れてきた人なんだって言ってた!」
 フェイニー!?ミツルギさんが教えてくれた不死鳥の女性!

「そのお姉ちゃんは何処にいるのかな?」

「あのね~今日は外の広場で修行するっていってたよ?」
 もう少しで健ちゃんに会える、そう思うと胸が高鳴る。

「優衣ちゃんどうするの?」
 話を聞く限り、その女性はここで生活しているということなのだろう。だから、ここで待っていれば会えるのかも知れない。……でも私は今すぐ会いたい!!

「行くよ!護君!」

「うん!!」
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
「んあぁ~~駄目だぁ~~」
妖力って何なんだよ!そもそも人間の俺に使えるのかよ……

「なぁ、フェイニー。人間にもその妖力って使えるのか?」

「はい!健人様、人間と妖怪に妖力の違いはありません」
 本当かよ。十八年間一度も使えた事ないぞ……

「でも俺は地球で妖力を使えたこと無いんだけど……」

「それは出力の問題です!体内に含まれる妖力の量は、個人差はありますが一定量以上は必ず持っています。地球ではその出力を制限されている為、普段使う事はありません。」

「健人様は、中国拳法をご存知ですか?」

「あぁ、名前位は。」

「そこでつかわれている、気という概念。それが妖力です!しかしこの世界では、地球にあった出力制限は無く妖力は常時、解放状態になってしまっています。」

「大概の妖怪は幼い頃から妖力を見て生活をしているので、健人様の今やっている妖力を自覚する練習をする必要が無いのです……」

「因みにその練習をしない場合どうなるんだ?」
 デメリットによっては、やらなくても良いかも!

「死にます!」
 え、今なんて言ったんだ?

「ごめん、今なんて言ったの?聞き逃しちゃったわ!」

「死にますと申しました。」
 死ぬの?それ、産まれたばかりの赤子全員死なない?ヤバいな……確かに、それは練習しないといけないな!

「具体的に申しますと、妖力の量はさっき説明した通り決まっています!妖力を一日使うには力の加減をする必要があります。しかしその加減をすることが出来ない人が戦闘をした場合、妖力の欠乏により立つことが難しくなります……戦闘中にその症状が現れれば、どうなるか解りますよね……」

「……なるほど」
そういう意味なのか。

「また、一度欠乏してしまった妖力は回復こそしますが、コントロール出来ない人は、常に放出状態のため、倒れた状態から回復することはありません。この場合は死にはしませんが二度と立ち上がることは無いでしょう……」

「……そうか。」
 そこまで大切な練習だと思わなかった。フェイニーがこんなに必死に教えるのは俺の事を案じているのか、安定した収入源の確保の為か聞いてみたかったが、フェイニーに失礼な気がしたので辞めておくことにした。

「良し!じゃ、もうひと頑張りするか!!」
 もう一度練習する為に立とうとしたその時、懐かしい声が聞こえた。

「「健ちゃん!!」」
 俺の事をそう呼ぶのはあの二人の幼馴染みだけ・・・
俺が断腸の思いで決別したあの二人だけだ、こんな声を聞いちゃうなんて覚悟が甘すぎる。

「「健ちゃんってば!」」
 余りにも幻聴にしてはリアル過ぎるので確認の為に辺りを見廻すと、そこにはこちらに走りながら手を振るあの二人の姿があった。

「優衣、護!?」

「何で……グッ」
 次の瞬間右頬に護の右拳が飛んできた。
漫画で例えるならば「ドゴッ」という効果音で表現されるくらいの勢いで護から腹を殴られた。

「何で!!健ちゃんはいつもいつも一人で決めちゃうんだよ!!」
「健ちゃんは賢いからいつも一人で答えを出しちゃうけど……偶には事後報告じゃない報告をしてくれても良いじゃん!!」

「僕達、親友でしょ?」
 護がここまで切れているのは初めてかも知れない。いや、二回目か。本当の初めては優衣が襲われていた時か……

「ごめん。」
護と、優衣に目配せをした。

「うん!いいよ!健ちゃん許してあげる!ねっ護君!」

「そうだね!でも、優衣ちゃん。次健ちゃんが同じ事したらどうする?何か罰を設定しておかないと!」
 そう言った護は、こちらをみながら、ニヤニヤしていた。おい、護!バカ、余計なことを優衣に言うんじゃない!

「それもそうだね!じゃあ次やったら死ぬまで、私のペットね!!」
 ペット?!ペットって何?俺、人間なのに?

「いや、ペットっt」
「ペットね!!!!!!」

「はい……」
 この日限り俺はもう二度と優衣達に隠し事はしないと心に決めた。

「なぁお前らはどうやって俺のことを知ったんだ?」
勿論この事を知っているのは、俺とミツルギ、フェイニーの三人だから消去法でミツルギになる事は推察できるが、あいつが簡単に漏らすとは思えない、あいつの平穏な日常を望んであの世界に来たんだ、わざわざそれを壊すようなことをする筈が無いんだが……

「え、えーとそれは……」
 優衣にしてはなんだか歯切れが悪いな。怪しい、ものすごく怪しい。

「まぁ、どんな理由でもお前らの想いだけで俺は嬉しいから許すけどな」

「そうだよね~例え、私達がミツルギを、拷問し……もとい問い詰めたって優しい健ちゃんは怒らないよね~」

「は?」
「え、あっ!!」
こいつらミツルギを拷問したって言いかけなかったか?マジかよ、しかも私達ってあの誰に対しても優しい護がいても詰問止まりってなに?
あれ?今まで意識した事無かったけど俺の幼馴染ってもしかしてヤンデレ?!
女子のヤンデレは良いにしても、同性のヤンデレって只只怖いだけなんだけど……
宣誓!私、剣城健人は本日をもちましてヤンデレ好きを引退致します!平成○○年五月二十八日、二次元代表剣城健人!!

「優衣、問い詰めるって具体的には何をしたんだ?」

「私達の健ちゃんへの想いを語ったら教えてくれたんだよ!決して法に触れるようなことなんてして無いよ!!」
ますます心配だ、なんだ法に触れるぐらいグレーなことをやったってことなのか?!
優衣はもうパニックになってあわあわし始めてるし、護から聞いた方が賢明か。
「分かった優衣、じゃあ護を呼んできてくれ、護にも確認しておきたい」
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
「で、来てもらった訳だが、護。実際のところを正直に教えて欲しい」

「えっと、まず優衣ちゃんが健ちゃんの変化に気付いて、それからミツルギさんに問い詰めて、事情を知ったんだ」

「それは優衣からも聞いた、俺が知りたいのは、どんな詰問ききかたをしたかなんだ、教えてくれ」
俺は解釈の齟齬が発生しない様に丁寧に、優しく護へ問いかけた。

「優衣ちゃんが『もし健ちゃんの居場所を吐かないと、コロスよ?』って聞いたり、ミツルギさんの説明に憤怒してヤンデレみたいになって恫喝というか脅迫のようなことしてた……」
おぉう幼馴染ヤンデレ説が濃厚になって来たんだが……

「優衣……」
「健ちゃんごめんなさい、私健ちゃんのこと心配でつい……やり過ぎちゃった!」
優衣は自分の頭を小突きながら舌をだしている、何故だろう全然可愛く無い。
あぁ、そうかてへぺろってリアルでされるとこんなにも腹立たしく相手に不快感を与える行為なのか……二度とやらない様に気をつけよ。

「それは俺じゃないミツルギに伝えるべきだ。もうこんな無茶はするなよ?」

「健ちゃんも、私達に黙っていないで話してくれたらもうしない!!」

「あぁ。もうしないよ」



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