エセ陰陽師と猫又の不自由気ままな散歩旅~飼い猫から魂を分けてもらったので、二度目の人生はウチの子と異世界を謳歌してみせる~

虎柄トラ

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第二章 ティタニアル大陸編 クラーク共和国

第39話 大っ変失礼いたしましたあ~!

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 それとはまた別に言葉が通じようが読み書きができようが、僕がいま異世界にいるのだと再確認するいい機会となった。なぜなら、僕の眼前にいる騎士にはふさふさの耳と尻尾が生えていたからだ。

 動物のような耳や尻尾を持つ人たちの総称であり、人族と呼ばれる普通の人間に比べて数段身体能力が高い種族、それが獣人族である。クラーク共和国はそんな獣人族が代々治めている。
 アライア連邦国にいた時に彼らと出会っているかもしれないが、彼らは他国にいる時はその個性を隠しているため、認識したという意味においては今回が初見だったりする。

 そういえば石像群には耳や尻尾が生えているのは一つもなかった。ただ帽子などの被り物をつけている石像は数体あったので、もしかするとそれらのどれかが彼らかもしれないが、詮索はやめておくとしよう

 騎士は灰色の髪と同色の猫耳をぴくぴくと動かし僕の話に耳を傾けていた。

「――というわけなんで、至急彼らの救出をお願いしたいのですが」

「…………」

「あの聞いてます?」

「あ~失礼しました。一応確認なのですが、貴方が一人でバジリスクを撃退したということでよろしんでしたっけ?」

 彼女は疑いを眼差しを僕に向けながらそう聞き返してきた。
 
 武器どころか雅な衣装で手ぶらな人間の口から、いきなり突拍子もない話を聞かされたらそうなるのが普通か。

 僕がバジリスクを討伐したと証明しようにも手元には何もない。炭化したトカゲの一部だけでも回収しておくべきだったかもしれない。

 何か他に証明する手立てはないものかと、頭を悩ませているとギースのとある言葉が頭に浮かんだ。

『最上位の冒険者であれば、他国であったとしても有力者の協力も得やすい』

 有力者の基準がどこからなのかは分からないが、もしかすると冒険者カードを見せれば彼女の反応も好転するんじゃないか。物は試し……やるだけやってみよう。

「はい、そうです。えっと~、これで信用してもらえますか?」

 僕は袖から冒険者カードを取り出し彼女に手渡した。

「あ~はい、どうもありがとうございます。うん……ミスリルランク? 冗談じゃなくて? 本当に?」

「こんななりですけど、一応ミスリルランクです……」

 彼女は冒険者カードの顔写真と実物を見比べては何度も確認をとった。言霊にして無理矢理納得させるかのように何度も何度も儀式のように行っていた。
 それはもう首を傷めないかと心配になるほど……。

「大っ変失礼いたしましたあ~!」

 彼女は深々と頭を下げながら冒険者カードを仰々しく返却してくれた。

「いえ……僕もあなたと同じ立場なら、きっとそんな感じになっていたと思いますし」

「だとしても、騎士として恥ずかしい行為を私はしてしまった。そのことには変わりません。早速で申し訳ないのですが、よろしければその場所まで案内していただけませんでしょうか?」

「それは別に構いませんが、お話した通り結構な人数だと思うんだけど」

「そのことでしたら問題ありません。実は私たちもバジリスクを討伐するために編成を組んでいたところでして……っと噂をすればですね」

 国境検問所の先、クラーク共和国方面から騎士が二十名ほど姿を現した。
 騎士たちの武器は各々違ってはいたが、防具だけは全員同じ物を身につけていた。

 白のストライプが入った緑基調の騎士服。その上に胸部と手足を保護するため銀色に輝く金属製の防具を装着していた。キュイラスにガントレット、グリーヴ。どこかで見覚えがあるような出で立ち。

 とある騎士の装備が目に入ったことで、僕はどこで見たのかを思い出した。

 馴染みの某女性が手にしていたような無骨で大きな剣。

 ワイバーン討伐時にガレスも同じ物を身につけていた。なぜ彼女がクラーク共和国製の防具をそれも騎士にしか授与されないはずの物を持っているのか。受付嬢であり冒険者……さらに騎士装備まで、謎は深まるばかりだ。

「……結構な人数を準備してたんだな」

 個人的な感想が口から滑り落ちた。

「ええ……プラチナランクの魔物相手には最低でもこれぐらいいないと、下手すれば全滅しますんで……」

 その感想にこれまた個人的な感想が追加された。
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