魔法が存在しない世界でパリィ無双~付属の音ゲーを全クリした僕は気づけばパリィを極めていた~

虎柄トラ

文字の大きさ
23 / 63
第二章 エインヘリャル最強決定戦編

第二十三話 幼き姉弟の実力

しおりを挟む
 僕は凪太郎に向かって準備万全か確認を取った。

「僕はいつはじめてもらっても構わないが、そっちはどうだ?」

 凪太郎は「ナギも大丈夫!!」と両手にそろぞれ持った打刀と脇差をガチガチとぶつけながら答える。

 僕は凪太郎からの返答を聞いたあと、次は楓御前に向かって声をかけた。

「りょうかい!それじゃ、カエデ。開始の合図をお願いな~!」 

 楓御前はタクトと凪太郎を交互に見たあと、スゥーっと空気を吸い込んで、ひと呼吸したのち「はじめ!!!!」と叫んだ。

 その合図が聞こえた刹那、凪太郎は僕との間合いを詰めるため姿勢を低くし駆け抜ける。そして凪太郎が残り2mまで差し迫った時だった、急に目の前から凪太郎が消えた。真っすぐこっちに向かって走って来ていたはずなのに、凪太郎は僕の視界から完全に消失した。

 僕は消えた凪太郎を探すため目を、首を動かし周囲を見渡すが一向に見つけられない。さらにあたりを見回していた時、不自然な現象が起こっているのに気づいた。

 それは影は地面に映しだされているのに、その肝心の物体が目の前にない。影はあるのに目の前には何もないとなれば、導き出される答えは必然的にひとつしかないだろう。

 僕は「上か!!」と叫び、空を見上げ右手に持ったショートソードを頭上に向けた。

 キィィィィンッ!!ギギギギギィィ!!!!

 その瞬間、凪太郎によって振り下ろされた打刀が、僕のショートソードにぶつかり激しく火花を散らす。凪太郎のジャンプ斬りは重力も加算されているため非常に重い一撃だった。

 パリィさえ出来ていればそれらも全て無効にする事が出来るのだが、反応が一瞬遅れてしまった事もあり、凪太郎の攻撃を凌ぐので精いっぱいだった。
 
 奇襲に失敗した凪太郎は、さらに左手に持った脇差をショートソードめがけて振り下ろした。凪太郎はその衝撃による反動を利用して後方に飛ぶと、そのままグルっとバク宙して地面に着地した。

 凪太郎は攻撃失敗したにもかかわらず、ニシシと笑みを浮かべ嬉しそうにしゃべりはじめた。

「やるなぁ~、兄ちゃん!!ナギ、かなり本気で攻撃したんだけどなぁ~。こんなに簡単に防がれるとは思わなかったよ」

「ナギだってすごいじゃないか!僕にはあんなに素早い動き出来ないし、そもそもあんな作戦も思いつかない」

「ありがとうな、兄ちゃん」

 凪太郎はそう言うと今度は、難しい顔をして「う~~~~ん」と何か考えはじめた。僕はてっきり一言二言やり取りし、またすぐに続きをするのかと思っていたので、武器を構えたまま様子をうかがうが対戦相手の凪太郎は動く気配がない。

 考えがまとまったのか凪太郎は「う~ん、しかたないかぁ……」と声に出したあと、僕の顔を見て予想外の事を言い出した。

「兄ちゃん、次はカエデを参戦させてもいい?」

「一戦どころか、一回しか刃を交えていないけど、ナギがそれでいいのなら僕は全然構わないけど……」

「ありがとうな、兄ちゃん!そういう事だから、カエデもこっちに来いよぉ~!!」

 凪太郎は後方に待機している楓御前の方を振り向き手招きして参戦するように促す。呼ばれた楓御前は小走りでこっちに向かって来る。

 そしてこっちに来た途端、楓御前は凪太郎に「だ~か~ら~、言ったでしょ!タクトくんはコタロウくんが認めるほどの実力者なんだよ!!」と小言を言い始めた。

 僕はそんな小言を聞きながら、あれほど1対1で僕と戦いたいと言っていた凪太郎が、もう2対1で戦いたいと言ったその心境の変化が少し気になった。

 凪太郎に言いたい事を言い終えた楓御前は、今度は僕に向かって話し始めた。

「タクトくん!次はカエデとナギのふたりでお相手します。よろしくお願いします!!」

「あぁよろしく。んじゃ、カエデもナギも戦う準備が出来たら教えてくれ」

 楓御前と凪太郎は顔を見合わせ、大きく頷いたあと僕に向かって「準備は出来ています、タクトくん」「いつでもいいぜ、兄ちゃん!」と返事を返してくれた。

 僕は予選という名のバトルロイヤルによって、砕けたコロシアムの壁の一部小さな破片を拾い上げると、ふたりに見えるように手のひらにのせた。

「これを上に向かって投げるから、これが地面に落ちたら戦闘開始って事でいいかな?」

 ふたりはコクっと頷くと、僕が手に持っている破片をジッと見つめていた。

 ふたりが賛同した事を確認した僕は「それじゃ~、投げるよ!!」と声に出しながら、天に向かって破片を投げた。

 投げた破片は日光が当たりキラキラと輝きながら空を舞った。そしてその破片が地面に落下しさらに細かく砕けた。

 その刹那、僕の胸部めがけて直進してくる矢が迫ってきているのが見えた。楓御前は破片が落下するまで弓は持っていたが、弓を引いてはいない、それ以前に弓を矢につがえてすらいなかった。なのに、破片が落ちた瞬間にはもう僕を狙って矢が放たれている。

 僕は飛んでくる矢を逆手に持ったダガーで弾き、楓御前が二射を放とうとしていないか目を配らせる。楓御前は背負っている矢筒から矢を取り出し、もう二射目の準備に取り掛かっている。そして僕が矢を弾くために目を離した隙に、凪太郎が視界から消えていた。これは……ふたりを相手取って戦うのはなかなか厳しいかもしれない。

 一寸の狂いもなく正確無比な矢を放つ楓御前に、常に視界から消え続け奇襲を仕掛けて来る凪太郎。片方を気にしているともう片方から攻撃される。両方を同時に気にしながら戦うと今度は注意が散漫になり、ふたりの攻撃に対応出来なくなってしまう。

 ふむ、どうしたものか……こういう場合は定石どおりでまずは攻めてみるとしよう。それがダメだった場合は行き当たりばったりで戦うしかないか。

 どこから奇襲してくるか分からない凪太郎も気になるが、いまは見えない相手を探すよりも目の前にいる相手を倒して、少しでも有利な状況にしないと……。

 僕は遠距離攻撃を止めるため楓御前に向かって一直線に駆ける。僕が狙っている事に気づいた楓御前は即座に二射目を放った。今度は走れないようにするため僕の右脚めがけて矢が飛んできた。僕は右脚に刺さるギリギリまで迫った矢をダガーで弾こうと、左手を右脚前に出そうとした時だった。急に左側から嫌な予感、気配を感じた。

 僕は咄嗟に矢を右手に持ったショートソードで弾き、気配を感じた左側に目をやった。すると、凪太郎が手に持っている打刀と脇差が僕の身体を横一線ではなく、横二線にしようと迫って来ているのが見えた。

 僕はダガーを打刀と脇差の両方がちょうど当たる位置で固定した。そしてダガーに打刀と脇差が触れた瞬間、僕はダガーを振り抜き凪太郎の攻撃をパリィした。

 パリィされた凪太郎はその衝撃で身動きが取れず、焦りを感じつつもそのはじめての体験に、ちょっとわくわくしているようだ。

「うわぁ~、なんだこれ身体が動かせない。これ兄ちゃんがやったの!?」

 パリィによって仰け反った凪太郎は走れず足を止めている。時間としては1秒にも満たないほんの一時ではあるが、この手に入れたわずかな時間によって僕は、楓御前を攻撃出来る範囲にまで入る事が出来た。

 距離としてはまだ3mほど離れてはいるが、ここまで近づければ一気に距離を詰める事も、またソニックブレイドなどで攻撃する事も可能となる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺の職業は【トラップ・マスター】。ダンジョンを経験値工場に作り変えたら、俺一人のせいでサーバー全体のレベルがインフレした件

夏見ナイ
SF
現実世界でシステムエンジニアとして働く神代蓮。彼が効率を求めVRMMORPG「エリュシオン・オンライン」で選んだのは、誰にも見向きもされない不遇職【トラップ・マスター】だった。 周囲の冷笑をよそに、蓮はプログラミング知識を応用してトラップを自動連携させる画期的な戦術を開発。さらに誰も見向きもしないダンジョンを丸ごと買い取り、24時間稼働の「全自動経験値工場」へと作り変えてしまう。 結果、彼のレベルと資産は異常な速度で膨れ上がり、サーバーの経済とランキングをたった一人で崩壊させた。この事態を危険視した最強ギルドは、彼のダンジョンに狙いを定める。これは、知恵と工夫で世界の常識を覆す、一人の男の伝説の始まり。

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

処理中です...