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第4章 飄々
第25話 秘事
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俺がやりたかった事。
それは――スパリゾート温泉だ。火山が出来るなら温泉も出来るよね?
海辺で風光明媚な海岸線にイオン溢れる荘厳な滝。そして露天風呂。
そんなリゾートダンジョン作れないかな?
ほらっ? 冒険者がいればアセットが溜まるなら人間を呼び込めばどうでしょうという提案だ。
受動的から能動的に変えて集客をするんだよ。
そしてついでに俺もその温泉に入らせてくれ。
「面白い提案ですが、一般人はダンジョンに入れないのでは?」
そうなんですよね。
「時間はかかるかもしれませんが安全だと確認されれば可能性はあります」
「アセットにも余裕がありその必要性を感じません」
そうですか。そう言われるとアセットの蓄積以上のメリットは出せない。
じゃあ次だ。
「ある階層全てを水で満たせば冒険者がそれ以下の階層に行かなく出来るのではないですか?」
「階層移動の階段を塞ぐことは設定上出来ません。またその順路を水や障害物で塞ぐことも出来ません。ダンジョンは下層に冒険者が来ることを拒めません」
へぇ-なるほどね。
ダンジョンは下層まで人が来ることを望んでいるのに管理者は望まないという皮肉。
その後は選べる環境などを詳しく説明を受けた。
「それでは設備の説明になりますが、こちらは秘匿事項が多くなります。ノアさんからの質問に回答するか回答を避けるか判断して説明します」
俺からはダンジョンのヌクレオを調べてもいいか確認したが拒否された。
ダンジョンが何階層まであるかも拒否。
監視機構はあるかについてはあると回答を貰う。
「私が襲われたときの監視映像とかってありますか?」
「えぇ。あります。ご覧になりますか?」
お願いすると目の前の空中に映像が映し出された。
逆三角の二枚羽のいびつな蝶が飛んでくる。
気づかない俺と俺を守ろうとするモルト。
――モルト。不甲斐なくてすまんな。
いつもありがとう。
蝶はうなじに張り付き肌をすべるように頭に向かって移動する。
獣のように叫ぶ俺と同時にダンジョンの地面が俺を飲み込み映像はブラックアウトした。
「この黒い蝶を放った人物は映していますか?」
「はい。ご覧になりますか? ――どうぞご覧下さい」
まさかの――知ってる顔だな。ギルドにいたバーテンだ。こいつが帝国の工作員か。
結構王国は帝国に入り込まれているな。まだまだいそうだぞ。
この事はギルド長の耳には入れておくか。
「ダンジョンに設置できるモンスターの種類を教えてもらえますか?」
「――拒否します」
「んっ? 何故ですか? 二四階層までなら良いでしょう? もうバレてますから」
あれから一週間で二五階層の入り口まで到達した。
どんなふうにカテゴライズされてどんなユーザーインターフェースか見てみたいんだ。
「……どうぞ」
目の前の映像に映しだされる。
階層ごとに分かれて姿と名前が出てくる。
ふ~ん。こんな風に見えるんだ。
……んっ?
「……っない」
あいつがいない。
――――どういう事だ?
モヤモヤとした不快感が晴れるように無くなる。俺は確かめるように言葉を並べる。
「……モンスターの強さを変更する事は出来ますか?」
「――出来ません」
「……階層にいないモンスターを襲い掛からせる事は出来ますか?」
「っ出来ません」
――返答がかぶせ気味で来たよ。――お前らやったな?
リストには二一階層で俺に襲い掛かってきた。あのアメーバみたいなモンスターは設置されていなかった。
ギルドで調べても分からなかったヤツだ。この機会に名前でも確認しようとしたのだ。
「そこにはいない階層回遊型モンスターもいます」
「なぜ私の考えていたことがわかるんですか?」
二〇匹出て来た狼型のモルモーも三〇〇匹の大群の大猿ラングスウィルも若干の違和感があった。
二つともいきなり強さの上限が上がった。
モルモーがいる五階層より六階層のモンスターのほうが弱くて不思議だった。
特に先週二度目の二一階層で戦ったラングスウィルが弱すぎる。
弱すぎるラングスウィルにいないはずのアメーバ。
いや言い方を変えよう。
異常に強すぎるラングスウィルの大群に俺に探知されずに奇襲に来た。
その階層にいないはずのアメーバ。
俺の中で線が繋がった。
場の空気は凍り付いたように静かだ。
それは――スパリゾート温泉だ。火山が出来るなら温泉も出来るよね?
海辺で風光明媚な海岸線にイオン溢れる荘厳な滝。そして露天風呂。
そんなリゾートダンジョン作れないかな?
ほらっ? 冒険者がいればアセットが溜まるなら人間を呼び込めばどうでしょうという提案だ。
受動的から能動的に変えて集客をするんだよ。
そしてついでに俺もその温泉に入らせてくれ。
「面白い提案ですが、一般人はダンジョンに入れないのでは?」
そうなんですよね。
「時間はかかるかもしれませんが安全だと確認されれば可能性はあります」
「アセットにも余裕がありその必要性を感じません」
そうですか。そう言われるとアセットの蓄積以上のメリットは出せない。
じゃあ次だ。
「ある階層全てを水で満たせば冒険者がそれ以下の階層に行かなく出来るのではないですか?」
「階層移動の階段を塞ぐことは設定上出来ません。またその順路を水や障害物で塞ぐことも出来ません。ダンジョンは下層に冒険者が来ることを拒めません」
へぇ-なるほどね。
ダンジョンは下層まで人が来ることを望んでいるのに管理者は望まないという皮肉。
その後は選べる環境などを詳しく説明を受けた。
「それでは設備の説明になりますが、こちらは秘匿事項が多くなります。ノアさんからの質問に回答するか回答を避けるか判断して説明します」
俺からはダンジョンのヌクレオを調べてもいいか確認したが拒否された。
ダンジョンが何階層まであるかも拒否。
監視機構はあるかについてはあると回答を貰う。
「私が襲われたときの監視映像とかってありますか?」
「えぇ。あります。ご覧になりますか?」
お願いすると目の前の空中に映像が映し出された。
逆三角の二枚羽のいびつな蝶が飛んでくる。
気づかない俺と俺を守ろうとするモルト。
――モルト。不甲斐なくてすまんな。
いつもありがとう。
蝶はうなじに張り付き肌をすべるように頭に向かって移動する。
獣のように叫ぶ俺と同時にダンジョンの地面が俺を飲み込み映像はブラックアウトした。
「この黒い蝶を放った人物は映していますか?」
「はい。ご覧になりますか? ――どうぞご覧下さい」
まさかの――知ってる顔だな。ギルドにいたバーテンだ。こいつが帝国の工作員か。
結構王国は帝国に入り込まれているな。まだまだいそうだぞ。
この事はギルド長の耳には入れておくか。
「ダンジョンに設置できるモンスターの種類を教えてもらえますか?」
「――拒否します」
「んっ? 何故ですか? 二四階層までなら良いでしょう? もうバレてますから」
あれから一週間で二五階層の入り口まで到達した。
どんなふうにカテゴライズされてどんなユーザーインターフェースか見てみたいんだ。
「……どうぞ」
目の前の映像に映しだされる。
階層ごとに分かれて姿と名前が出てくる。
ふ~ん。こんな風に見えるんだ。
……んっ?
「……っない」
あいつがいない。
――――どういう事だ?
モヤモヤとした不快感が晴れるように無くなる。俺は確かめるように言葉を並べる。
「……モンスターの強さを変更する事は出来ますか?」
「――出来ません」
「……階層にいないモンスターを襲い掛からせる事は出来ますか?」
「っ出来ません」
――返答がかぶせ気味で来たよ。――お前らやったな?
リストには二一階層で俺に襲い掛かってきた。あのアメーバみたいなモンスターは設置されていなかった。
ギルドで調べても分からなかったヤツだ。この機会に名前でも確認しようとしたのだ。
「そこにはいない階層回遊型モンスターもいます」
「なぜ私の考えていたことがわかるんですか?」
二〇匹出て来た狼型のモルモーも三〇〇匹の大群の大猿ラングスウィルも若干の違和感があった。
二つともいきなり強さの上限が上がった。
モルモーがいる五階層より六階層のモンスターのほうが弱くて不思議だった。
特に先週二度目の二一階層で戦ったラングスウィルが弱すぎる。
弱すぎるラングスウィルにいないはずのアメーバ。
いや言い方を変えよう。
異常に強すぎるラングスウィルの大群に俺に探知されずに奇襲に来た。
その階層にいないはずのアメーバ。
俺の中で線が繋がった。
場の空気は凍り付いたように静かだ。
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