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第5章 流来
第80話 愚痴
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順番に現れた四体のモンスターをノアはサクサクと倒す。
白亜の空間で、それを眺める男は口を開く。
「まったく。彼奴も見捨てる世界なら、余計な盟約なんて定めなければいいのにな。そうは思わないかい? エムザラ?」
「この世界の為に必要な事だったのでしょう」
「その所為で、いらぬ苦労ばかりだよ。何だ? あの脆弱な生き物は? たかが知れている、成りそこないの、紛い物に取り込まれる始末だ」
「わざわざ強化用のアセットを用意してやらないといけない。何だか、面倒くさくなってきたよ。それで邪魔するのが、また彼奴の盟約だ。捨てて逃げるんなら、権利は放棄すべきだよね」
「この世界の為に必要な事だったのでしょう」
「用意したアセットを受け渡すのに、僕の影響を与えてはいけない? はっ? 矛盾に満ちているじゃないか? もう意味が分からないよ。頭の作りを疑うよ」
男が用意したモンスターを倒すことで、ノアにアセットが受け渡される。勝者への特典だ。
その受け渡しに、ツイストバンクルは影響を与えてはいけない。
それが、この世界の盟約だ。
ノアが疑似バルサタールと戦い出す。
初めは、互角に切り結んでいるが、徐々にノアが押され始めた。
「……なんで、こんな強い奴を要望したんだ? バカなのかな? 死んじゃうよ?」
最後の条件に必要なのは知っている剣士。
そして、ノアが剣士として、認めているのは、バルサタールだけだった。
「それならば、試験体の得意な槍か杖を用意すれば宜しかったのではないですか?」
「分かっていないな。エムザラは全然分かっていない。神を殺す武器は、剣と相場が決まっているんだ。だから剣じゃないと意味が無い。あの相手を倒せれば、剣士のアセットを受け取れるはずなんだけど……。強すぎて死にそうだね」
「助けを出しますか?」
「えっ? いいよ。因果乱数普遍体は、面倒だけど。また、作ればいいし。それも因果の形だ」
ノアは、剣だけでは不利と魔法を使い、あるいは、打撃を入り交ぜて流れを引き戻そうとしている。
上段切りをいなされたとみるや、その勢いのまま、胴廻し回転蹴りへと移行する。
その一撃はバルサタールへ浅い打撃を与えた。
「おっ! 当たったけど、流れは変わらないね」
ノアの放つ、初見の攻撃をバルサタールは警戒し始めた。
彼は、更に手札を切る。
予備のアイテムボックスから、ネットの出る魔道具を投げつける。
バルサタールは、剣を回すように絡め取り投げ捨てた。
尽きない手札に、幾度も打撃を打ち込むが、それ以上の斬撃を受けてボロボロになってゆくノア。
「これは、決まりかな? もったいないから、次は剣士型にしよう」
「あれっ? うふふ。とうとう笑い出したよ。諦めたのかな?」
白亜の空間で、それを眺める男は口を開く。
「まったく。彼奴も見捨てる世界なら、余計な盟約なんて定めなければいいのにな。そうは思わないかい? エムザラ?」
「この世界の為に必要な事だったのでしょう」
「その所為で、いらぬ苦労ばかりだよ。何だ? あの脆弱な生き物は? たかが知れている、成りそこないの、紛い物に取り込まれる始末だ」
「わざわざ強化用のアセットを用意してやらないといけない。何だか、面倒くさくなってきたよ。それで邪魔するのが、また彼奴の盟約だ。捨てて逃げるんなら、権利は放棄すべきだよね」
「この世界の為に必要な事だったのでしょう」
「用意したアセットを受け渡すのに、僕の影響を与えてはいけない? はっ? 矛盾に満ちているじゃないか? もう意味が分からないよ。頭の作りを疑うよ」
男が用意したモンスターを倒すことで、ノアにアセットが受け渡される。勝者への特典だ。
その受け渡しに、ツイストバンクルは影響を与えてはいけない。
それが、この世界の盟約だ。
ノアが疑似バルサタールと戦い出す。
初めは、互角に切り結んでいるが、徐々にノアが押され始めた。
「……なんで、こんな強い奴を要望したんだ? バカなのかな? 死んじゃうよ?」
最後の条件に必要なのは知っている剣士。
そして、ノアが剣士として、認めているのは、バルサタールだけだった。
「それならば、試験体の得意な槍か杖を用意すれば宜しかったのではないですか?」
「分かっていないな。エムザラは全然分かっていない。神を殺す武器は、剣と相場が決まっているんだ。だから剣じゃないと意味が無い。あの相手を倒せれば、剣士のアセットを受け取れるはずなんだけど……。強すぎて死にそうだね」
「助けを出しますか?」
「えっ? いいよ。因果乱数普遍体は、面倒だけど。また、作ればいいし。それも因果の形だ」
ノアは、剣だけでは不利と魔法を使い、あるいは、打撃を入り交ぜて流れを引き戻そうとしている。
上段切りをいなされたとみるや、その勢いのまま、胴廻し回転蹴りへと移行する。
その一撃はバルサタールへ浅い打撃を与えた。
「おっ! 当たったけど、流れは変わらないね」
ノアの放つ、初見の攻撃をバルサタールは警戒し始めた。
彼は、更に手札を切る。
予備のアイテムボックスから、ネットの出る魔道具を投げつける。
バルサタールは、剣を回すように絡め取り投げ捨てた。
尽きない手札に、幾度も打撃を打ち込むが、それ以上の斬撃を受けてボロボロになってゆくノア。
「これは、決まりかな? もったいないから、次は剣士型にしよう」
「あれっ? うふふ。とうとう笑い出したよ。諦めたのかな?」
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