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第6章 罪咎
第33話 対峙
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ホブゴブリンの長は急ぎ集落へ戻り指示を出した。
「この集落を放棄する。急ぎ森の外縁で待機。移動を開始するぞ」
「――長。何があったのだ。森の混乱の原因が分かったのか?」
地下壕の外で物見役をしていたホブゴブリンが問いかける。
「……聖獣様がご乱心なされた。――森は荒れる。ここにいては巻き込まれるだけだ」
「――聖獣様が……」
「今は人間が闘って時間を作っている。だが、……」
(――勝てないだろう)
長の指示でゴブリン達も殆ど着の身着のままちょこまかと走り出す。
その仕来りにより殿は長だ。
~~~
辺りを気にしながら進む集団へ猛烈な圧力が背後から迫る。
長が振り返るとその視界の端にジョシュアが映った。
(――人間。勝てたのか?)
だが、人相がおかしい。笑顔を絶やさない柔和な顔は無表情だ。ただ、眼だけを吊り上げて血走らせている。
何より殺気が尋常ではない。
長は闘鬼を滾らせて備え、声をかけようとした。
――と
頭上から目の前に人間が落ちてきた。
――ノアだ。そして、声を張り上げる。
「ジョシュアさんは押さえます。皆さんは早く逃げて下さい。巻き込まれないように」
突然現れた人物を長は不審げに聞いた。
「――お前は何者だ。何をするつもりなんだ?」
ノアを守るように浮かぶのはアンキーレの楯。そして、左手で杖を持ち口早に話す。
「ジョシュアさんに恩を受けた者です。今あの人は暴走状態です。止めないと」
「あの人間は聖獣様に勝ったのか?」
(――聖獣様? 黒狼の事かな)
「えぇ。それに勝ち。代償に暴走に感染されました。今は目に映る者を襲います。私はジョシュアさんに貴方達を襲わせたくない。頼むから早く逃げてくれ」
その言葉を示すように光の楯が複数現れてジョシュアを囲む。
ジョシュアも警戒してか動きを止めた。
長は逡巡する。自身の種族の仕来りの通り初めに闘うのは自分であると。
「――あなたでは届かない。俺も守りながらでは手札が切れない。助けると思って行ってくれ」
長は戦闘を見て判断しようと、自身は離れた場所に陣取り。集団は外縁へと向かわせた。
◇
ホブゴブリンが一人だけ遠くから俺達を見ている。正直に言うと邪魔なんだけどね。
あれか? エルフの森に住むゴブリンに聞いた仕来り。
年上の実力者から闘うってやつかな。早めに何処かへ行ってくれるといいんだが。
さてとジョシュアさんだ。
「この集落を放棄する。急ぎ森の外縁で待機。移動を開始するぞ」
「――長。何があったのだ。森の混乱の原因が分かったのか?」
地下壕の外で物見役をしていたホブゴブリンが問いかける。
「……聖獣様がご乱心なされた。――森は荒れる。ここにいては巻き込まれるだけだ」
「――聖獣様が……」
「今は人間が闘って時間を作っている。だが、……」
(――勝てないだろう)
長の指示でゴブリン達も殆ど着の身着のままちょこまかと走り出す。
その仕来りにより殿は長だ。
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辺りを気にしながら進む集団へ猛烈な圧力が背後から迫る。
長が振り返るとその視界の端にジョシュアが映った。
(――人間。勝てたのか?)
だが、人相がおかしい。笑顔を絶やさない柔和な顔は無表情だ。ただ、眼だけを吊り上げて血走らせている。
何より殺気が尋常ではない。
長は闘鬼を滾らせて備え、声をかけようとした。
――と
頭上から目の前に人間が落ちてきた。
――ノアだ。そして、声を張り上げる。
「ジョシュアさんは押さえます。皆さんは早く逃げて下さい。巻き込まれないように」
突然現れた人物を長は不審げに聞いた。
「――お前は何者だ。何をするつもりなんだ?」
ノアを守るように浮かぶのはアンキーレの楯。そして、左手で杖を持ち口早に話す。
「ジョシュアさんに恩を受けた者です。今あの人は暴走状態です。止めないと」
「あの人間は聖獣様に勝ったのか?」
(――聖獣様? 黒狼の事かな)
「えぇ。それに勝ち。代償に暴走に感染されました。今は目に映る者を襲います。私はジョシュアさんに貴方達を襲わせたくない。頼むから早く逃げてくれ」
その言葉を示すように光の楯が複数現れてジョシュアを囲む。
ジョシュアも警戒してか動きを止めた。
長は逡巡する。自身の種族の仕来りの通り初めに闘うのは自分であると。
「――あなたでは届かない。俺も守りながらでは手札が切れない。助けると思って行ってくれ」
長は戦闘を見て判断しようと、自身は離れた場所に陣取り。集団は外縁へと向かわせた。
◇
ホブゴブリンが一人だけ遠くから俺達を見ている。正直に言うと邪魔なんだけどね。
あれか? エルフの森に住むゴブリンに聞いた仕来り。
年上の実力者から闘うってやつかな。早めに何処かへ行ってくれるといいんだが。
さてとジョシュアさんだ。
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