農家は万能！？いえいえ。ただの器用貧乏です！

第６章 罪咎

第６２話 合流

　ゴブリンの群れが集落に戻り終わる。ここは一〇数名のホブゴブリンと五〇名あまりのゴブリンで構成されていた。

　ゴブリンは身長が１４０ｃｍ程で小さなツノが額の両端から生えている。肌は褐色で人間と同じように頭髪があり、髪は黒から灰色系で暗めの配色でグラデーションがあり個性的だ。子犬を思わせる円らな眼をしていてチョコチョコ動き回るので愛らしく見える。

　初めて彼等を眼にしたエステラも好意的な印象を持ったようだ。

　ホブゴブリンは少し背が高く１６０ｃｍ程。ゴブリンに比べてツノも長い。その瞳は理性的でゴブリンを見守り導いている。

　全員が元の住処へと戻り落ち着いた頃にノアが戻って来た。

「遅くなった。すまない」

　謝罪するノアに、ほんのりと微笑み問題ないと表し、エステラが聞き返す。

「――ん。何を作るの？」

「そうだな。――ホブゴブリンさん。食べられない物は何かありますか？　キノコと鳥と卵。野菜を使った料理を振舞いたいのですが？」

　長おさにノアが話かける。

「自然の恵みを頂いている我らに、食べられない物は特にない。何でも好むよ」

「分かりました。気に入って頂けるよう気合を入れて料理します」

　ノアはエステラを振り返り伝える。

「キノコと鳥肉の炊き込みご飯。あとは本シメジの丸焼き。キノコ鍋。丸鳥の蜂蜜酒ミード焼きを作るぞ」

「ノア。ここならララ。――クラーラを紹介してもいい？　手伝ってもらえる」

　色々と思考を圧されていたノアは、思い出したようにそれに応えた。

「あっ！　そうだったな。紹介してくれるかい」

「――ん！」

　間を置かず光とともに少女が現れた。界域異空エスパシオには外からベルで報せる機能が付いている。その合図を聞きクラーラは外へと出てきたのだ。

　キョロキョロと辺りを見回して、エステラを見つけると安心したように微笑んだ。

「クラーラ。この人が話していたノア。ノア。この娘がクラーラよ」

「初めまして。ノアです。どうぞ宜しく」

「えっと。……クラーラです。九歳です。ノアさん。思っていたより大きいんですね。スティ姉に料理を教わっています。だから、ノア大師匠！　って呼んでもいいですか？」

　キラキラの笑顔で、そうまくし立てた。

「……普通に呼んでもらった方がいいかな」