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第7章  獄窟

第3話  鳳声

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 ギルド長の白髪の老婆は、俺を睨みながら、吐き捨てるように言葉を置いた。

「――まったく。そういうところがそっくりだよ。エイルミィのユストゥスの処にも顔をだしな。分かったね?」

 エイルミィが何処か分からんが処世術で応える。帰りのルート上になければ無視すればいいか。

「前向きに検討します」

「決定事項だよ。いいかい? それとここのダンジョンを攻略していっておくれ。そうさね。二〇階層までで良かろうか。エステラもね。もしパーティを組むなら斡旋もするよ」

 面倒だな。拠点のダンジョンより弱いここに魅力を感じない。

「断った場合の罰則はありますか?」

「まったく。罰則はないがやっておくれ。そうせね。ズラトロクの金のツノをギルドに収めてくれれば座りがいいね。分かったね? 坊主? エステラ。坊主を頼んだよ。紐付けてでも連れて行っておくれ」

「――はい。分かりました。ね。ノア」

 真面目なエステラは陥落か。こういう強制には俺の天邪鬼心がザワザワするんだよね。拠点のギルド長の耳障りなでかい声の所為かな? そのツノが売ってたら買うのでもいいな。

「一度持ちかえって検討しても?」

「……強制依頼に変更するよ? 階層も増やそうかね」

 おっとと。藪蛇だ。

「はい。謹んで承ります」

 わざとらしい長いため息が聞こえた。


§


 部屋を出て行ったノアとエステラを見送り、もう一度深いため息を吐く。

(まったく。世話を焼いてやっているというのに、面倒くさそうにして、絶界の坊主にそっくりだよ。……ユスティスの言う通り。マティアスの坊主が何かしでかしたのかね?)

 A級に上がるには複数のギルド長の推薦と共に複数のダンジョンでの実績が必要となる。

 ノルトライブのギルド長。マティアスの根回しでギルド長へ推薦依頼の手紙は届いている。後は対外的な実績が必要なのだ。

 エステラに関してはスタンピード制圧の実績によりそれすら必要ないのだが、対外。つまり貴族に公開する情報を整える必要がある。

(さて、何日で達成するかね。最高傑ワンズ作達は)

 彼女の思惑は覆される。面倒を嫌ったノアが本気を出した為に。
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