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第7章 獄窟
第8話 授霊
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やにわに、燃え上がる供えられた炭。
そこから白い閃光が瞬き、炭を瞬時に尽きさせた。と同時に光の中から赤い明滅がゆらゆらと姿を表す。大きさを変えながら、時折、炎をその身に纏い漂う。
その光は挨拶をするようにパオラの眼前を揺蕩った。
(温かい何かが流れ込んできて、魔力が繋がってゆく? これが精霊との契約なのかしら)
精霊柱は頷くように明滅すると大気に消えるようほどけた。
「――やはり、炎の精霊と契ったわね。さすが、焔術に長けた王家の血ね」
ウェンは満足そうにそう口にする。
供えた石が反応すれば土の精霊、榊の枝葉に反応すれば風、或いは植物の精霊、水に反応があれば水の精霊だ。尤も、精霊は多様性に富む為に系統の中でも独自性が高く、複合するものまでいる。
「――契約は為されたのでしょうか?」
「えぇ。――良かったわね」
ウェンが安心させるように太鼓判を押す。
「ありがとうございます。――これで、もしもの時は私も力になれます」
そう言ったパオラの胸元に精霊が馴染むように消えていった。
「定着まで数日かかるけど。まだ、若い精霊のようね。その在り様は貴女の影響で変わるはずよ。頑張って」
「――名前は何でも良いのでしょうか?」
ウェンはクスリと笑う。
「人間的な発想ね。――私達は名前など付けないけど。好きに呼べばいいわ」
「はい。――では、ガラ……アノア。この子の名前はガラアノアにします」
そう言ってパオラは右の拳を左手で包み、愛おし気に胸へと押し当てた。
「フフフ。太陽の煌めき? 大きく出たわね」
ウェンがその意味をなぞる。
「はい!」
パオラは、そう声を張り笑顔で返した。彼女は備える。王国に訪れる予告された混乱へ。
王族で唯一の女性であるパオラは王都で大切に囲われている。他都へすら移動が禁止されていた。
彼女は求めた、翼を、民を守る力を、精霊はその大きな一助となる。彼女の有する類い稀な焔術魔法でも足りなかったものだ。
王族で有史以来初めての精霊使い。彼女を導き解き放つ輝く光。その願いを名に込めて。
そこから白い閃光が瞬き、炭を瞬時に尽きさせた。と同時に光の中から赤い明滅がゆらゆらと姿を表す。大きさを変えながら、時折、炎をその身に纏い漂う。
その光は挨拶をするようにパオラの眼前を揺蕩った。
(温かい何かが流れ込んできて、魔力が繋がってゆく? これが精霊との契約なのかしら)
精霊柱は頷くように明滅すると大気に消えるようほどけた。
「――やはり、炎の精霊と契ったわね。さすが、焔術に長けた王家の血ね」
ウェンは満足そうにそう口にする。
供えた石が反応すれば土の精霊、榊の枝葉に反応すれば風、或いは植物の精霊、水に反応があれば水の精霊だ。尤も、精霊は多様性に富む為に系統の中でも独自性が高く、複合するものまでいる。
「――契約は為されたのでしょうか?」
「えぇ。――良かったわね」
ウェンが安心させるように太鼓判を押す。
「ありがとうございます。――これで、もしもの時は私も力になれます」
そう言ったパオラの胸元に精霊が馴染むように消えていった。
「定着まで数日かかるけど。まだ、若い精霊のようね。その在り様は貴女の影響で変わるはずよ。頑張って」
「――名前は何でも良いのでしょうか?」
ウェンはクスリと笑う。
「人間的な発想ね。――私達は名前など付けないけど。好きに呼べばいいわ」
「はい。――では、ガラ……アノア。この子の名前はガラアノアにします」
そう言ってパオラは右の拳を左手で包み、愛おし気に胸へと押し当てた。
「フフフ。太陽の煌めき? 大きく出たわね」
ウェンがその意味をなぞる。
「はい!」
パオラは、そう声を張り笑顔で返した。彼女は備える。王国に訪れる予告された混乱へ。
王族で唯一の女性であるパオラは王都で大切に囲われている。他都へすら移動が禁止されていた。
彼女は求めた、翼を、民を守る力を、精霊はその大きな一助となる。彼女の有する類い稀な焔術魔法でも足りなかったものだ。
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