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23.自分の気持ち
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ヒューイ殿下は疲れが見て取れる。
睡眠不足か肌艶も良く無く、思わず殿下の頬を撫でて
「殿下。ちゃんと眠れてますか?」
殿下は目を見張りびっくりしていたが、嬉しそうに目を細めて添えた私の手の上に手を重ねた。
「床には入るが眠りが浅い」
辛そうにそう呟く。とりあえずソファーに座っていただき、エレナさんにお茶を用意してもらい扉を少し開けて退室してもらう。
「殿下。疲れている時は甘いモノがいいです。
これはトーイ殿下が巡察の際に買って来てくれたお菓子です。よければ食べてみてください」
「……」
殿下は俯いたまま何も発せない。
「多恵殿は兄上から相手候補が増えたのをお聞きになりましたか?」
「はい」
そう答えると眉間の皺を深める。そしてか細い声で
「明日、グラント殿と面会なさるの本当ですか⁈」
「はい」
「3日後のオブルライト家のお茶会出席も」
「はい」
「……」
普段と違う雰囲気の殿下に戸惑い恐る恐る
「殿下?」
「私はまだ貴女の候補です」
「えっあっはい?」
ヒューイ殿下はグラント様の事を気にかけ、会う目的やナタリー様の事も色々質問してくる。
いつもと違う殿下に少し怖くなってきた。すると私の手を握り心配そうに
「オブルライト公爵はナタリー嬢を溺愛されておられる。もしかしたら貴女にゆわれの無い悪意が向くやもしれません。責任は私に有るのに貴女が悪く言われるべきでは無い」
「そうですね。殿下のお心を決めるのは殿下自身ですから、ナタリー様やオブルライ家の方々に(私が)批難される筋合いはありません」
殿下は顔を上げ驚いた表情をしている。
「もし殿下がナタリー様では無く私にお心をくださっても、その想いに向き合えるかは私の判断で、たとえ女神リリスが口出ししても変わる事はありません。何故なら私の心は私だけのものだから」
そう。この箱庭の為にお仕事を頑張るけど、誰かに想いを寄せるのは私の自由だ。リリスがお願いしても嫌なものは嫌と言うし従う気はない。
身分も無く自分の責任で生きて来た私と、身分と責任を背負っている殿下とは感じ方や考え方が違う。
それに殿下の真面目な性格が相まって大変な事になっている。
「殿下は真っ直ぐで周り事を考え過ぎです。王子としての立場があり、全て心ままとは行かないでしょうが、ご自分の心に向き合って下さい」
「…」
また黙り込む殿下。ここは人生の先輩でもあるおばちゃんの私が一肌脱ぎましょう!
「恐らく殿下は王子としての責務と、保護した私への責任を感じてらっしゃる。それは愛なのですか?
私は違う様に思います。私はこちらの女性と違い自分の意見をはっきり言うし、男性の擁護を必要としません。珍しく興味を持たれる事でしょう。
現にこちらでお会いした男性は好意を向けて下さいます。自惚れでは無いですよ!それは新しいものに対する興味です。まずはご自分と向き合って下さい。必ず答えが見えて来ますから」
そう言い殿下に微笑みを向けた。つられて少し表情が緩んだ殿下。少し安心したら殿下に手を取られ抱きしめられた。少し震えている殿下が愛おしく母性が溢れる私。子供を宥める様に背中をポンポンする。殿下が落ち着くまでぬいぐるみの私。
悩む殿下を間近にしふと思う。はっきりと
『ヒューイ殿下は無いです』
と言ってあげた方が早いんだろうけど、自分で答え出して振った方が殿下の為になる様な気がするし、多分殿下は最後でナタリー様を選ぶと踏んでいる。殿下は責任感の塊ですからね! 病が治った婚約の約束は反故に出来ないだろうし、ナタリー様みたいに守ってあげる方が殿下に似合ってますよ!
私みたいな捻くれおばちゃんは似合いません。
そろそろぬいぐるみを卒業しようとしたら、扉の向こうからエレナさんが来客を知らせに来た。殿下の背中を軽く叩いて離す様に促す。すると殿下は放す前に一度強く抱きしめた。
私を解放した殿下は立ち上がり、私の手を取り立ち上がらせてくれた。
「多恵殿。恥ずかしいところをお見せしました。
貴女は素晴らしく魅力的だ。私も自分に向き合い答えを出します」
殿下の表情は少し明るくなったみたいだ。
殿下は私の手を取り手の甲に口付けを落として部屋から出て行った。やっとお茶出来ると思いカップを持つと、お茶は冷めている。溜息を吐きお菓子を食べようとしたら
「多恵様!」
殿下と入れ替わりでエレナさんが来て
「ファーブス公爵家ご令息のキース様が面会をご希望されお見えでございます。先触れもなくご無理でしたら改めてますとの事ですが、如何いたしましょうか⁈」
連チャンの来客に遠い目をしながら
『おっかしいなぁ!今日は1日お休みでフリーの筈ですが!』
続けての来客にグレそうです。冷えたティーカップを持ってフリーズ中。
「多恵様。お待たせしておりますのでお返事を⁉︎」
潔く諦め今日のお休みは返上します!
「エレナさんお会いします。が! キース様の基本情報を下さい。全く知りません!」
エレナさん情報によると
ファーブス公爵家の嫡男 21才
ファーブス領地は海に面し他国との国交の窓口になる港があり、ファーブス家はその港の管理を行っている。領地は港を中心に全て海に面し海産物が主産物。キース様は物静かな方だか交渉術に長けている。
「多恵様。申し訳ありません。サリナ嬢ならもっとご存知ですが私はこの程度しか知りません」
恥ずかしそうにエレナさんは謝る。
「ありがとう。無いよりいいです!お待たせしてるのですぐお通しして」
エレナさんは踵を返し扉に向かった。でも!
「あ! 待って茶器を下げ新たに用意をお願いします」
テンパってそのまま行こうとしたエレナさんを止めた。バタバタしたけどやっとキース様に入室いただきます。
夫を当てがった陛下に次会ったら小言言ってやる!
睡眠不足か肌艶も良く無く、思わず殿下の頬を撫でて
「殿下。ちゃんと眠れてますか?」
殿下は目を見張りびっくりしていたが、嬉しそうに目を細めて添えた私の手の上に手を重ねた。
「床には入るが眠りが浅い」
辛そうにそう呟く。とりあえずソファーに座っていただき、エレナさんにお茶を用意してもらい扉を少し開けて退室してもらう。
「殿下。疲れている時は甘いモノがいいです。
これはトーイ殿下が巡察の際に買って来てくれたお菓子です。よければ食べてみてください」
「……」
殿下は俯いたまま何も発せない。
「多恵殿は兄上から相手候補が増えたのをお聞きになりましたか?」
「はい」
そう答えると眉間の皺を深める。そしてか細い声で
「明日、グラント殿と面会なさるの本当ですか⁈」
「はい」
「3日後のオブルライト家のお茶会出席も」
「はい」
「……」
普段と違う雰囲気の殿下に戸惑い恐る恐る
「殿下?」
「私はまだ貴女の候補です」
「えっあっはい?」
ヒューイ殿下はグラント様の事を気にかけ、会う目的やナタリー様の事も色々質問してくる。
いつもと違う殿下に少し怖くなってきた。すると私の手を握り心配そうに
「オブルライト公爵はナタリー嬢を溺愛されておられる。もしかしたら貴女にゆわれの無い悪意が向くやもしれません。責任は私に有るのに貴女が悪く言われるべきでは無い」
「そうですね。殿下のお心を決めるのは殿下自身ですから、ナタリー様やオブルライ家の方々に(私が)批難される筋合いはありません」
殿下は顔を上げ驚いた表情をしている。
「もし殿下がナタリー様では無く私にお心をくださっても、その想いに向き合えるかは私の判断で、たとえ女神リリスが口出ししても変わる事はありません。何故なら私の心は私だけのものだから」
そう。この箱庭の為にお仕事を頑張るけど、誰かに想いを寄せるのは私の自由だ。リリスがお願いしても嫌なものは嫌と言うし従う気はない。
身分も無く自分の責任で生きて来た私と、身分と責任を背負っている殿下とは感じ方や考え方が違う。
それに殿下の真面目な性格が相まって大変な事になっている。
「殿下は真っ直ぐで周り事を考え過ぎです。王子としての立場があり、全て心ままとは行かないでしょうが、ご自分の心に向き合って下さい」
「…」
また黙り込む殿下。ここは人生の先輩でもあるおばちゃんの私が一肌脱ぎましょう!
「恐らく殿下は王子としての責務と、保護した私への責任を感じてらっしゃる。それは愛なのですか?
私は違う様に思います。私はこちらの女性と違い自分の意見をはっきり言うし、男性の擁護を必要としません。珍しく興味を持たれる事でしょう。
現にこちらでお会いした男性は好意を向けて下さいます。自惚れでは無いですよ!それは新しいものに対する興味です。まずはご自分と向き合って下さい。必ず答えが見えて来ますから」
そう言い殿下に微笑みを向けた。つられて少し表情が緩んだ殿下。少し安心したら殿下に手を取られ抱きしめられた。少し震えている殿下が愛おしく母性が溢れる私。子供を宥める様に背中をポンポンする。殿下が落ち着くまでぬいぐるみの私。
悩む殿下を間近にしふと思う。はっきりと
『ヒューイ殿下は無いです』
と言ってあげた方が早いんだろうけど、自分で答え出して振った方が殿下の為になる様な気がするし、多分殿下は最後でナタリー様を選ぶと踏んでいる。殿下は責任感の塊ですからね! 病が治った婚約の約束は反故に出来ないだろうし、ナタリー様みたいに守ってあげる方が殿下に似合ってますよ!
私みたいな捻くれおばちゃんは似合いません。
そろそろぬいぐるみを卒業しようとしたら、扉の向こうからエレナさんが来客を知らせに来た。殿下の背中を軽く叩いて離す様に促す。すると殿下は放す前に一度強く抱きしめた。
私を解放した殿下は立ち上がり、私の手を取り立ち上がらせてくれた。
「多恵殿。恥ずかしいところをお見せしました。
貴女は素晴らしく魅力的だ。私も自分に向き合い答えを出します」
殿下の表情は少し明るくなったみたいだ。
殿下は私の手を取り手の甲に口付けを落として部屋から出て行った。やっとお茶出来ると思いカップを持つと、お茶は冷めている。溜息を吐きお菓子を食べようとしたら
「多恵様!」
殿下と入れ替わりでエレナさんが来て
「ファーブス公爵家ご令息のキース様が面会をご希望されお見えでございます。先触れもなくご無理でしたら改めてますとの事ですが、如何いたしましょうか⁈」
連チャンの来客に遠い目をしながら
『おっかしいなぁ!今日は1日お休みでフリーの筈ですが!』
続けての来客にグレそうです。冷えたティーカップを持ってフリーズ中。
「多恵様。お待たせしておりますのでお返事を⁉︎」
潔く諦め今日のお休みは返上します!
「エレナさんお会いします。が! キース様の基本情報を下さい。全く知りません!」
エレナさん情報によると
ファーブス公爵家の嫡男 21才
ファーブス領地は海に面し他国との国交の窓口になる港があり、ファーブス家はその港の管理を行っている。領地は港を中心に全て海に面し海産物が主産物。キース様は物静かな方だか交渉術に長けている。
「多恵様。申し訳ありません。サリナ嬢ならもっとご存知ですが私はこの程度しか知りません」
恥ずかしそうにエレナさんは謝る。
「ありがとう。無いよりいいです!お待たせしてるのですぐお通しして」
エレナさんは踵を返し扉に向かった。でも!
「あ! 待って茶器を下げ新たに用意をお願いします」
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