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第1章 〈地下世界〉編
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冒険者ギルドでは、登録している冒険者をF・E・D・C・B・A・Sといったランク付けをして管理している。それは依頼を受ける基準、そして戦える魔物の基準となる。
探索者ギルドにも同様にランクが存在しており、こちらでは1~8層という表記を使っていた。数字が大きくなるごとに高ランクとなり、それによって探索できる範囲が変わってくる。
また調査をする学者の護衛は、3層以上からしか務められない。
というのも、
1層:探索初心者。地下受付周囲半日以内の探索のみ。
2層:地下受付から1日以内の探索のみ。怪物との戦闘不可。
3層:1泊2日が認められる。怪物との戦闘可。
4層:2泊3日が認められる。怪物との連戦可。
5層:3泊4日が認められる。
6層:泊数が自由に認められる。指名依頼が発生する。
7層:入場料が免除される。
8層:自由に出入りが可。
といった具合に、怪物との戦闘は3層以上しかできない。というより、怪物に勝利できると3層に上がれるようになる。
護衛というからには、敵である怪物と戦えなければ話にならないというわけだ。
探索者ギルド開設初期から登録しているコッタは5層まで順調に進み、ウォルトが加わったことで6層の壁を超えた。
これまでにない職業ということで、冒険者ギルドでのランクをある程度参考にランク付けが認められている為、探索者になって未だ1ヵ月を過ぎたところのウォルトも、冒険者ランクAの実績をもとに初めから4層となっていた。
そして知古のコッタと組むことで、ウォルトも一気に6層にまで上がっている。
学者ニルヴァと共に調査に赴いたのは、ウォルトが探索者となって5日後から3日間。
そして、半月経ってからの2日間。計2回だ。
今回で3回目となる調査に向け、ウォルトは探索者ギルドに向かっていた。
ギルドに到着すると、建物内から少女のような声と青年のような声が笑いを響かせていた。
「あははは! にるゔぁの眼鏡、またまがってる~!」
「ホントだねぇ! あっはっはっは!」
時刻はまだ早朝を少し過ぎた頃。
朝早くから元気なことだ、とウォルトは苦笑する。
ギルドに入ると、受付の前にコッタともう一人、眼鏡をかけた男が立っていた。
ひょろりとした薄い身体に着古した白衣を纏い、銀縁の眼鏡をかけている。その眼鏡は何故か、フレームが少し歪んでいた。
無邪気な笑みは実年齢よりも若く男を見せ、快活な声には張りがある。
今年で30になったはずのニルヴァだが、ウォルトには相変わらず20代前半にしか見えない。
「おっ! ウォルトリアム、待ってたよ」
「おっはよ~、うぉると!」
歩いてくるウォルトに気付いた2人が、似た笑顔を浮かべて声をかけてきた。
それに片手を上げて返す。
「すぐに出るか?」
「もちろんさ! 時間は有限だからね!」
「うんうん、しゅっぱ~つ!」
そんな元気いっぱいなコッタとニルヴァが先を歩き、微笑ましく目を細めたウォルトが後に続く。
そのまま地下入口にて入場料を払い、〈地下世界〉へと降り立った。
冒険者と違い依頼書を取り合うことのない探索者の朝はそう早くなく、地下には他の探索者の姿は見えない。
前回に潜った時と同じギルド員が受付に座っており、3人に気付くとニコリと笑顔を向けた。
「おはようございます、ウォルトリアムさん、コッタさん。ニルヴァさんはお久しぶりですね」
「ひさしく! 前回の調査では被らなかったからね。約ひと月ぶりかい?」
「そうですね。変わらずお元気そうで何より……では、早速ですがカードの提示をお願いします」
ウォルトにコッタ、そして学者として探索者ギルドに登録しているニルヴァもカードを取り出し、ギルド員に見せる。
「ありがとうございます。調査期間はどれくらいでしょう?」
「そうさなぁ。1週間を目途にしているよ。もし延長するようなら、また連絡しよう」
「かしこまりました。それでは、いってらっしゃいませ」
「うむ!」
ギルド員に見送られ、3人は教会を目指し歩き出した。
先頭にウォルトが立ち、ニルヴァ、コッタと続く。
「この区画は、前回とは違うところだね?」
周囲の建物を見渡し、ニルヴァがウォルトに尋ねる。
「そうだ。前回の調査で向かった『工場』は2つ隣の区画だ」
「ふむふむ。となると、やはり民家にも違いが出てくるんだね。ほら、ここをご覧。扉の上に描かれたマーク、この辺りの家はどこも同じものがある」
「……あぁ、これは教会にも同じものがあったな。見覚えがある」
「そうだろうそうだろう。つまり、この一帯はその教徒たちの住む区画なんだろうね。工場の近くに、職人街があったのと同じだ。いやぁ、見事に管理された街だよ」
素人目にはどこも同じ家屋にしか見えないが、学者であるニルヴァには違うらしい。
視線をあちらこちらへと向けて、楽し気に瞳を輝かせていた。
放っておくとフラフラと勝手に歩き出しそうなニルヴァを誘導しつつ、3人は教会へと辿り着いた。
いつも通りに、まずは怪物避けの魔道具を設置し、安全地帯を確保する。テントを張り荷物を置いたところで、調査が始まった。
探索者ギルドにも同様にランクが存在しており、こちらでは1~8層という表記を使っていた。数字が大きくなるごとに高ランクとなり、それによって探索できる範囲が変わってくる。
また調査をする学者の護衛は、3層以上からしか務められない。
というのも、
1層:探索初心者。地下受付周囲半日以内の探索のみ。
2層:地下受付から1日以内の探索のみ。怪物との戦闘不可。
3層:1泊2日が認められる。怪物との戦闘可。
4層:2泊3日が認められる。怪物との連戦可。
5層:3泊4日が認められる。
6層:泊数が自由に認められる。指名依頼が発生する。
7層:入場料が免除される。
8層:自由に出入りが可。
といった具合に、怪物との戦闘は3層以上しかできない。というより、怪物に勝利できると3層に上がれるようになる。
護衛というからには、敵である怪物と戦えなければ話にならないというわけだ。
探索者ギルド開設初期から登録しているコッタは5層まで順調に進み、ウォルトが加わったことで6層の壁を超えた。
これまでにない職業ということで、冒険者ギルドでのランクをある程度参考にランク付けが認められている為、探索者になって未だ1ヵ月を過ぎたところのウォルトも、冒険者ランクAの実績をもとに初めから4層となっていた。
そして知古のコッタと組むことで、ウォルトも一気に6層にまで上がっている。
学者ニルヴァと共に調査に赴いたのは、ウォルトが探索者となって5日後から3日間。
そして、半月経ってからの2日間。計2回だ。
今回で3回目となる調査に向け、ウォルトは探索者ギルドに向かっていた。
ギルドに到着すると、建物内から少女のような声と青年のような声が笑いを響かせていた。
「あははは! にるゔぁの眼鏡、またまがってる~!」
「ホントだねぇ! あっはっはっは!」
時刻はまだ早朝を少し過ぎた頃。
朝早くから元気なことだ、とウォルトは苦笑する。
ギルドに入ると、受付の前にコッタともう一人、眼鏡をかけた男が立っていた。
ひょろりとした薄い身体に着古した白衣を纏い、銀縁の眼鏡をかけている。その眼鏡は何故か、フレームが少し歪んでいた。
無邪気な笑みは実年齢よりも若く男を見せ、快活な声には張りがある。
今年で30になったはずのニルヴァだが、ウォルトには相変わらず20代前半にしか見えない。
「おっ! ウォルトリアム、待ってたよ」
「おっはよ~、うぉると!」
歩いてくるウォルトに気付いた2人が、似た笑顔を浮かべて声をかけてきた。
それに片手を上げて返す。
「すぐに出るか?」
「もちろんさ! 時間は有限だからね!」
「うんうん、しゅっぱ~つ!」
そんな元気いっぱいなコッタとニルヴァが先を歩き、微笑ましく目を細めたウォルトが後に続く。
そのまま地下入口にて入場料を払い、〈地下世界〉へと降り立った。
冒険者と違い依頼書を取り合うことのない探索者の朝はそう早くなく、地下には他の探索者の姿は見えない。
前回に潜った時と同じギルド員が受付に座っており、3人に気付くとニコリと笑顔を向けた。
「おはようございます、ウォルトリアムさん、コッタさん。ニルヴァさんはお久しぶりですね」
「ひさしく! 前回の調査では被らなかったからね。約ひと月ぶりかい?」
「そうですね。変わらずお元気そうで何より……では、早速ですがカードの提示をお願いします」
ウォルトにコッタ、そして学者として探索者ギルドに登録しているニルヴァもカードを取り出し、ギルド員に見せる。
「ありがとうございます。調査期間はどれくらいでしょう?」
「そうさなぁ。1週間を目途にしているよ。もし延長するようなら、また連絡しよう」
「かしこまりました。それでは、いってらっしゃいませ」
「うむ!」
ギルド員に見送られ、3人は教会を目指し歩き出した。
先頭にウォルトが立ち、ニルヴァ、コッタと続く。
「この区画は、前回とは違うところだね?」
周囲の建物を見渡し、ニルヴァがウォルトに尋ねる。
「そうだ。前回の調査で向かった『工場』は2つ隣の区画だ」
「ふむふむ。となると、やはり民家にも違いが出てくるんだね。ほら、ここをご覧。扉の上に描かれたマーク、この辺りの家はどこも同じものがある」
「……あぁ、これは教会にも同じものがあったな。見覚えがある」
「そうだろうそうだろう。つまり、この一帯はその教徒たちの住む区画なんだろうね。工場の近くに、職人街があったのと同じだ。いやぁ、見事に管理された街だよ」
素人目にはどこも同じ家屋にしか見えないが、学者であるニルヴァには違うらしい。
視線をあちらこちらへと向けて、楽し気に瞳を輝かせていた。
放っておくとフラフラと勝手に歩き出しそうなニルヴァを誘導しつつ、3人は教会へと辿り着いた。
いつも通りに、まずは怪物避けの魔道具を設置し、安全地帯を確保する。テントを張り荷物を置いたところで、調査が始まった。
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