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8.気付き
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僕は人を愛した事はない。
人間は嫌いだ…だった。
芦田みくの記憶が少しずつ蘇ってからは
弱い立場の人が損する世の中が嫌いなんだと分かった。
「自分の事、自分が1番分かってなかった」
【誰よりも…人が好きじゃん…かよ…サイコパスじゃ…ないなあ…】
笑いが出た。今までの自分がバカバカしかった。
初仕事を終えてからは、芸能活動をしながらも【殺し屋】の仕事をやった。
だが、今思えば…僕からみた悪い奴。気に入らない、ダサい奴ばかりだ。主観だが、主観で十分だ。依頼を受けるか受けないかは自分が決めるのだから。
そんな事をぼんやり考えていた。。
「けんと!頭は大丈夫かあ?」
山長社長が声をかけてきた。
「頭?ははは、頭は大丈夫ですよ。ところで…今日は打ち合わせって聞いたけど…何ですか?」
「あー、悪い悪い、忙しいのに来てもらってなあ」
「全然、いいですよ」
「テレビの仕事がきていて、バラエティなんだけど、どうだ?」
「バラエティ??芸人じゃないですけど」
「はははは!分かってる!芸人じゃなくて【今一推しのアイドル紹介のコーナー】に出ないかってプロデューサーから連絡があってなあ」
「う…ん」
「分かってる!テレビ嫌いなんだよなあ!歌って踊って、ライブアイドルだもんな!」
「まあ…あ…そうなんですけど。テレビかあ」
僕はテレビに出ると秘密の仕事としてやりにくくなるのではないかと思い…躊躇していた。
「申し訳ないんですが、今回は…」
そう言いかけた時…
ピキッ!!!!
頭が痛い!割れるように痛い!
どうやら…芦田みくがやりたがっているのかっ…
ははは、まあ…芦田みくの夢でもあるもんなあ…アイドル…
「大丈夫かあ?けんと?また頭痛かっ?やっぱり…病院に行った方がいいんじゃないのか?」
「大丈夫です」
僕は、笑ってみせた。
「やります。まあ…事務所的にも嬉しいですよね…?」
「おい!事務所もだけど、自分の事も考えろ!名前が知れ渡るぞぉ」
それが、嫌なんだけどなあ…僕はね。
でも、芦田みくの生まれ変わりと知ってからは自分の中に2人いる感じがして、いつも話をしてる感じだ。
芦田みくが喜ぶならと思いやる事にした。
「じゃ!明日なあ!」
「明日?早いですね!」
「お前も知っているだろう?この業界は急な事が多いんだよ」
「まあ…そうですけどね」
「じゃ、明日マンションに迎えに行くから」
「分かりました」
社長は出て行った。
これだけ?電話でも良くないかっ?とも思ったが、まあ、社長と直に話せて良かったかと思いながら、自分も事務所を出た。
===========
当日、初めてのバラエティー番組出演は上手くいった。
自分の出番まで楽屋で待機をしていて、本番に近づいたらスタッフさんが呼んできてくれた。
スタジオは狭かった。
テレビから見てると広そうだけど、案外こじんまりとしているんだなあと思った。
司会の方が自分にふってくれる。
「今週のあなたを推したいアイドルコーナー!今日はアイドルの大山けんとさんが来てくれています。さあー!思う存分1分間自己紹介をしてください!!!」
自分は特技のダンスを交えながら、ありきたりの自己紹介をした。
「ありがとうございます!!ダンス上手かったですね!!それでは、次のコーナー…」
番組はどんどん進んでいく。
こんなもので何が良かったのか分からないが、芦田みくや社長のご機嫌は取れたかなあと思った。
「お疲れ様~」
山長社長が声をかけた。
「あれでいいんですか?」
「いい!いい!あれで良いんだよ!」
まあ…社長が言うならいいっか。
あれ?楽屋の前に綺麗な女性が立っている。
「お疲れ様です。何か?」
「すみません…すみません…」
そう言って女性は駆け足で行った。
「あの人何?」
「うん…一度見たなあ…冨田さんの所の子かなあ…?」
「冨田…そっか」
嫌な名前だ。
「今、売れてるみたいだよ。グラビアやってるだってよ」
社長はそう言ってニヤニヤしながら、
「タイプか?」
と聞いてきた。女性に興味はない。が、ないと言うとアレコレ詮索されて面倒だから、
「可愛いですね」
そういつも答えている。
本当に会話って面倒だ。。。
============
僕は、一体何がしたいんだ…
=============
人間は嫌いだ…だった。
芦田みくの記憶が少しずつ蘇ってからは
弱い立場の人が損する世の中が嫌いなんだと分かった。
「自分の事、自分が1番分かってなかった」
【誰よりも…人が好きじゃん…かよ…サイコパスじゃ…ないなあ…】
笑いが出た。今までの自分がバカバカしかった。
初仕事を終えてからは、芸能活動をしながらも【殺し屋】の仕事をやった。
だが、今思えば…僕からみた悪い奴。気に入らない、ダサい奴ばかりだ。主観だが、主観で十分だ。依頼を受けるか受けないかは自分が決めるのだから。
そんな事をぼんやり考えていた。。
「けんと!頭は大丈夫かあ?」
山長社長が声をかけてきた。
「頭?ははは、頭は大丈夫ですよ。ところで…今日は打ち合わせって聞いたけど…何ですか?」
「あー、悪い悪い、忙しいのに来てもらってなあ」
「全然、いいですよ」
「テレビの仕事がきていて、バラエティなんだけど、どうだ?」
「バラエティ??芸人じゃないですけど」
「はははは!分かってる!芸人じゃなくて【今一推しのアイドル紹介のコーナー】に出ないかってプロデューサーから連絡があってなあ」
「う…ん」
「分かってる!テレビ嫌いなんだよなあ!歌って踊って、ライブアイドルだもんな!」
「まあ…あ…そうなんですけど。テレビかあ」
僕はテレビに出ると秘密の仕事としてやりにくくなるのではないかと思い…躊躇していた。
「申し訳ないんですが、今回は…」
そう言いかけた時…
ピキッ!!!!
頭が痛い!割れるように痛い!
どうやら…芦田みくがやりたがっているのかっ…
ははは、まあ…芦田みくの夢でもあるもんなあ…アイドル…
「大丈夫かあ?けんと?また頭痛かっ?やっぱり…病院に行った方がいいんじゃないのか?」
「大丈夫です」
僕は、笑ってみせた。
「やります。まあ…事務所的にも嬉しいですよね…?」
「おい!事務所もだけど、自分の事も考えろ!名前が知れ渡るぞぉ」
それが、嫌なんだけどなあ…僕はね。
でも、芦田みくの生まれ変わりと知ってからは自分の中に2人いる感じがして、いつも話をしてる感じだ。
芦田みくが喜ぶならと思いやる事にした。
「じゃ!明日なあ!」
「明日?早いですね!」
「お前も知っているだろう?この業界は急な事が多いんだよ」
「まあ…そうですけどね」
「じゃ、明日マンションに迎えに行くから」
「分かりました」
社長は出て行った。
これだけ?電話でも良くないかっ?とも思ったが、まあ、社長と直に話せて良かったかと思いながら、自分も事務所を出た。
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当日、初めてのバラエティー番組出演は上手くいった。
自分の出番まで楽屋で待機をしていて、本番に近づいたらスタッフさんが呼んできてくれた。
スタジオは狭かった。
テレビから見てると広そうだけど、案外こじんまりとしているんだなあと思った。
司会の方が自分にふってくれる。
「今週のあなたを推したいアイドルコーナー!今日はアイドルの大山けんとさんが来てくれています。さあー!思う存分1分間自己紹介をしてください!!!」
自分は特技のダンスを交えながら、ありきたりの自己紹介をした。
「ありがとうございます!!ダンス上手かったですね!!それでは、次のコーナー…」
番組はどんどん進んでいく。
こんなもので何が良かったのか分からないが、芦田みくや社長のご機嫌は取れたかなあと思った。
「お疲れ様~」
山長社長が声をかけた。
「あれでいいんですか?」
「いい!いい!あれで良いんだよ!」
まあ…社長が言うならいいっか。
あれ?楽屋の前に綺麗な女性が立っている。
「お疲れ様です。何か?」
「すみません…すみません…」
そう言って女性は駆け足で行った。
「あの人何?」
「うん…一度見たなあ…冨田さんの所の子かなあ…?」
「冨田…そっか」
嫌な名前だ。
「今、売れてるみたいだよ。グラビアやってるだってよ」
社長はそう言ってニヤニヤしながら、
「タイプか?」
と聞いてきた。女性に興味はない。が、ないと言うとアレコレ詮索されて面倒だから、
「可愛いですね」
そういつも答えている。
本当に会話って面倒だ。。。
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僕は、一体何がしたいんだ…
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