秘密の仕事

桃香

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9.相澤なな

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今度のターゲットはグラビアアイドルなのかなあ…と思った。

帰ろうとした時、グラビアアイドルが声をかけてきた。

「生まれ変わりですよね?」

急にだ。急にこんな事を言われたら、びっくりだ。本当に今までの人生の中で1番ドキッとした。

「はあ?何を言ってるんですか?大丈夫ですか?」

僕は呆れたように答えた。


「そう言うの大丈夫です。私分かる人なので。あなた女性の生まれ変わりですよね?って言うか…結構精神もコントロールされちゃってる?ふふふ」

「………」

僕は黙り込んでしまった。

「いきなりだとびっくりしますよね。すみません。私、相澤ななと言います。冨田さんの所でグラビアアイドルやってます。
よろしくお願いします!」

彼女はニコニコしながら急に営業スマイルをしてきた。

「あの…どこまで分かるん…ですか?」

信じてはいないが、ここまで分かるのは単純に凄いと思った。

「はい!そうですね…女性の恨みが……
凄い……!殺されていますよね」

「なるほど」

「あなた…直接的には会話してないけど精神が支配されてるのは…これのせいだったんですね!ふふふ」

「何が面白いの?」

バカにされているように感じた。相澤ななこいつは何なんだ…


「いやいや、すみません。あまりいないからあなたみたいな方。楽しくなっちゃって。」

僕は焦っていた。あの秘密の仕事までこの彼女には分かるんだろうか…

「言いたい事はそれだけ?自分忙しいから」

「あっまあ…それだけですが。あなたの体から血の匂いがするのは…大体察しがつくので深くは詮索しません」

バレている。どうする…どうする…今までこんな経験はない。殺すか…いや…彼女からは悪意が感じられない。でも他の人に話されたらややこしくなる。やっぱり殺しておくべきか…

「あの!私も多分ですけど、同業者です」

「はあ!!?」

「今…殺しておこうとか…めっちゃ悩みたましたよね??ふふふ。私は、あなたにそう簡単には殺せないわよ。ふふふ」

「……………」

全て見透かされている。


「あなたのターゲットは冨田さん?かなあ?」

「違う」

声を絞り出した。

「違ったかー!ふふふ…でも半分当たってるでしょう?あなたの中にいる女の子を殺した人間を探している?そうでしょう?」

僕は本当に驚いた。何でも分かるのかっ!
気づいたら相澤ななの腕を掴んでいた。

「…痛いから離して!」

また感情的になっている自分に戸惑ってしまい、最近の自分が自分でないような頭の整理がつかない状況に混乱してしまった。

すると、相澤ななは急に声のトーンを落とした。

「ごめんなさい。からかって本当にごめんなさい。実はあなたを探していたのよ。芦田みく。この子があなたの生まれ変わりね。大丈夫…どうしても私は分かるのよ……
私…も芦田みくに呼ばれたから…」

「呼ばれた?兄弟でないし…かなり前の事件だから歳だって、母親って事もないし…どういう事?」

「私は姉がいたんだけど2年前から姉が行方不明になっているの。姉はちょうど冨田の事務所に入ったばかりでグラビアをやっていたんだけどね…」

「もしかして、それって…」

「そう。私の姉も殺された…ただ私には昔から不思議な能力があって…心の中の精神のつながりみたいなものが見えちゃうんだよね。
分かりやすく言えば、守護霊や背後霊や生き霊とかね…でも、まれに…あなたみたいに…精神を霊にコントロールされている人がいるのよ」

「そうだったのか…」

「芦田みくがね、教えてくれたから。あなたに生まれ変わったって。まあ、普通は信じられない馬鹿みたいな話なんだけどね」

「信じるけど、何でお姉さんじゃないんだ?」

「それが…姉だけ何も感じないし、見えなくて。もしかしたら生きてる?とも思ったけど
やっぱりダメだったの…だから、芦田みくの声が聞こえてきた時、うれしかった。
だからねお姉ちゃんを探しながら、今は潜入捜査しています」

相澤ななは敬礼のポーズをしながら笑った。
ショートボブが似合う彼女は小柄でどことなく芦田みくに似ているのかなぁとも思った。

「じゃ、これ連絡先ね」

「えっ」

「後でメールちょうだいね。バイバイ」

「あっわかった」

「そうだ!」

そう言うと、彼女は僕の耳元で囁いた。

「私の仕事ね…殺しの請負屋さん」

「はあ!!!!?一緒じゃんか」

「しーっ」

彼女は走って廊下の奥に消えていった。

============


「おーい!意外とガツガツいくんだなあ」

山長社長は自販機の後で見ていた。ただ声は聞こえてなさそうだ、


「いいえ。そんなんじゃないですよ。ただ長い付き合いにはなりそうです」



自分は笑って答えた。。






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