三味線声優 しゃみきちとももの物語

桃香

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33.模索

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私は勇者を探す旅に出た!

。。。


なんてね。。旅には出てないけど、本当に応援してくれる
勇者を探さなくちゃ。活動も出来なくなるし、向こうの世界の自分にも夢をもう一度見てもらいたい!
そして、じゅんきーも早く病気をなおしてもらいたい!

だけど、、、具体的には何をしたら良いのかな?

「とりあえずは毎日しゃみきちと練習しようー」

しゃみきちが語りかけてきた。

「そうだね!たるとの朝練も続いているし、今はとにかく
練習あるのみだー」

だいぶ糸にも慣れてきたから急に糸が切れても自分で張り替える
事が出来るようになったし、それに撥で腱鞘炎になっていたのも
完全には治らないけど少し痛みもひいてきたし、
だいぶ楽譜の暗譜も早く出来るようになって。。

少しずつだけど上達してきました。

早くじゅんきーに見せたいなあ。。

タンタンタン♪タタタンタンタンタン♪


「あっそろそろ事務所レッスンの時間だよー」

三味線の練習は本当に楽しくてついつい時間を忘れてしまうです。

「本当だあ!ありがとう、しゃみきち。
もう事務所に行く準備しなくちゃ!遅刻しちゃう!」

今日はお昼から事務所のレッスンです。


「着いたー!」

「おはよーう!ももちゃん!」

同じ所属の仲間が声をかけてくれました。

「おはよーう!」

「ももちゃん今日は、オーディションもあるからお互い頑張ろうね!」

「うん!」

レッスンは2時間、その後はスタジオに移動して新しく発売する
ドラマCDのオーディションです。
オーディションは、セリフを2キャラ言うとあっと言う間に終わりました。

「お疲れ様でした!失礼致します!」


スタジオを後にしてオーディションの光景が次々と後悔しながら思い浮かんできます。

もっとあーすれば、、良かったかな、、。
いや、もっともっと動きをつけたセリフにすれば、、とか。
ネガティヴになったり、

、、。だけど、毎日の練習の成果は見せれたし、後は結果を待つのみ!とポジティブになったりの繰り返し。
気がつくともう家の前。

考え事をしているとこれまた時間が経つのが早い。


「おかえりー」

「ただいま、しゃみきち。今日はやけに話してくるね」

「ももちゃんは友達いないしー」

「いるよー!少ないけど、、。じゅんきーにいちこちゃんに、。」

「それに僕は相棒だからね」

「相棒、、、。そっか、ふふふ確かに相棒だね」

「あっ笑った!」

「え?」

「今日は朝から難しい顔してて全然笑ってなかったから」


あっごめんね。しゃみきちは心配してくれてたみたい。
勇者になってくれるファンを探さなくちゃいけなかったり、
三味線早く上達したかったり、声優のオーディションなどで
余裕がなくなってたみたい。それをしゃみきちが教えてくれた。

「ごめんね。楽しまなくちゃね。好きで始めたんだから」

「そうだよ。ももちゃん」


優しい声だった。


トルゥトルゥトルゥ

携帯がなった。
じゅんきーのお母さんからだ!

「はい、もしもし」

「ももちゃん、じゅんきーの母です。
じゅんきーね少し落ち着いてきたからお見舞い来てくれるなら
そろそろいいかなって」

「はい!来週行きます!」

実はじゅんきーのお見舞いに行きたくてじゅんきーのお母さんに
容態の様子を見ながらお願いをしていたのです。

「しゃみきち、来週岡山に帰ってじゅんきーのお見舞い行ってくるね」

「僕は?」

「お留守番だよ、さすがに病院には、、」

「行きたいー行きたいー三味線をじゅんきーに聞かせるんだろう?」

「そっそうだけど、、。病院だし、迷惑が、、」

その時、この引っ込み思案がいけないんだと思った。
ダメもとでお願いしてみよう。もしかしたら病院でも弾けるかも。それで断られたらその時は諦めよう。私変らなきゃ!

「わかった。しゃみきち!一緒に連れて行く!」

「うん!」

こうして、来週は岡山に帰ってじゅんきーのお見舞いに行く事になりました。久しぶりに会うのがめっちゃくちゃ楽しみです。












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