三味線声優 しゃみきちとももの物語

桃香

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41.じょんから新節

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六段とソーラン節は自信いっぱいに弾けるようになりました。
ってね、るんるん♪
特にソーラン節は大好き!

ドッコイショ、ドッコイショの掛け声がテンション上がるよね!

最近の私は民謡にハマってずっとずっと聞いてるのです。
でも、声優の仕事もレッスンもやってるよぉ。

今日はその声優のレッスンです。

「おはようございます!」

「おはよう~。最近ももちゃん元気だね。何かいい事があったの?」

この背の高いお兄さんは私達の講師様です。

「最近、三味線が楽しくて、そしたら民謡も楽しくて、
で、着物も楽しくて」

「分かった、分かった、落ちつけ。よかったなあ!」

「もちろん、声優の勉強も全力で頑張ります!」

「そっか、そっか、それは良かった。
でだなあ、先日受けたオーディション受かったから
ドラマCDの台本を受け取って帰ってな」

「はっ!はい!」

やったー!受かったー!!

頑張るぞぉー!!!


あっ…。

この姿を向こうの世界の私は見てるのかな?
見てたらきっと変わるよね、、

。。。

。。。



『見てるわよ。』

キーン!!頭痛い。。

『だけどね、失望は常に隣り合わせなんだから。。』

そんな、、ことない、、。

キーン!痛い。。痛い。。頭が割れそう。。。


「大丈夫か?早退した方がいいんじゃないのか?」

「先生、大丈夫です。。」

「無理はするなよ」

。。。

はぁ、はぁ、、

向こうの世界のあんたが魔物を送り続けても負けないから!!

『知らないって、悲しい事だよね。
あんたが作った目標で自分の首を絞めてる事も気付かないなんて、、』

目標?三味線?ワンマンやCDの事?

そう言うと頭の痛みはスッーと消えました。

その後は今日のレッスン何とか最後まで出来たけど、、

レッスンが終わってもあの声が気になって。。
頭からあの声が忘れられない。。。

向こうの世界の私はとても悲しい声をしてた。
知らないって悲しい事?そう言ってた。
未来にどんな事があったんだろう。。

「たるーだにゃー!」

急にたるが私めがけて突進してきました。

「キャッ!たる!?びっくりしたあ~
最近何か横着してない?登場の仕方が雑だよ」

「失礼にゃ!横着してないにゃ!」

「いたかったよ~で、次は何を買いに来たの?」

「にゃにゃにゃ。いつも買い物をしにこっちの世界に来てる訳じゃないんだにゃ!」

「ふーん。じゃ買い物しないんだね。。
で、、、その紙袋は何?」

「にゃにゃにゃ。こっこれは、、、紙袋ですにゃ」

「じっー」

「分かったにゃ。鰹節だにゃ!」

「また鰹節!!好きだね~」

「好きにゃ!」

「そっか。そっか。。。あっ
そうだ、さっきね、向こうの世界の声が聞こえてきたよ」

「何て??何て言ってたにゃ?」

「悲しい声でね、知らないって悲しいねとか、、何とか」

「そっかにゃ。。」

たるの顔がくもりました。

「魔物は今もこっちに来てるの?」

「来てるにゃ。先日のイヤな事言われたあの連中も魔物に
取り憑かれてると思ってるにゃ」

「そうなの!?何で?退治してないよ?退治しなくていいの?」

「退治出来ない程の魔物が送り込まれてるにゃ!それは
もう向こうの世界の君だけじゃない黒幕がいるような気がしてるにゃ」

「そんな。。どうしたら。。」

「大丈夫。確かに魔物は弱い心にとり憑くし、ももちゃんの周りにもとり憑く可能性もあるけど、。ももちゃんがキラキラ頑張ればね、、夢に失望しなければいいにゃ」

「失望。。」

「悲しんでもばかりはいられないにゃ。
今度はじょんから節の新節を覚えてもらうにゃ」

「新節?」

「そうにゃ。津軽五大民謡の一つじょんから節は新節、中節、旧節とがあるにゃ。その内の新節を覚えてもらうにゃ」

「こっこれが楽譜?」

「そうにゃ。文化譜にゃ」

「わっ分かった!これをいつまでに覚えたらいい?」

「一か月だにゃ」

「一か月。。了解」

「これからはもっともっと曲数を覚えてもらうにゃ」

「分かった、たる!
あっ!たる!!声優での仕事でドラマCDも受かったんだよ」

「良かったにゃ。おめでとうにゃ!
声優は声優で頑張ってにゃ。こっちはこっちで三味線頑張るにゃ」

たるはそう言うと鰹節を握ったまま空の隙間に入っていきました。




☆☆☆
ももLevel 3
三味線Level 3
勇者Level 2

変わらず。



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