死ぬと決めた日

いしだしょうへい

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絶望

お祈りの意味

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 それは100通目の記念すべきお祈りメールだった。お祈りという言葉で拒否を表すなんて如何にも日本人らしい奥ゆかしさだよなとつくづく思う。

 そんな奥ゆかしい日本社会にとって、どうも僕は不要な存在らしい。確かに僕の顔面は侘び寂びからは程遠い。反面、性格は奥ゆかしいってのを通り越して、休みの日はほぼ引きこもりに近い生活を送ってる。女の子にもモテないどころか目を見て話すことすら困難だし、スポーツを任せればどんな競技であれまず間違いなくチームメイトの足を引っ張ってしまう。

「死のうかな」

 電車内だというのに、僕はそう呟いてしまった。もちろん、周りに聞かれない程度の小さな声ではあるけど。
 僕が社会に求められてないってのは子供の頃から分かってはいた。でも流石に、100回も『あなたは要らない人間です』なんて祈られれば死にたくもなるってもんだ。

『次は、大船。大船です』

 東海道線のアナウンスが流れる。大船駅に到着すると、僕はホームに降り立った。


 ふと見上げた空は僕の心とは裏腹に青く澄み渡っていた。



 青く青く、遥かまで続く空。


 吸い込まれるように、僕はそのまま空を見上げていた。そして、ジワジワと胸の奥から浸み出していた心が土石流のように溢れてきた。

「もう死のう」

 誰もいなくなったホームでそう呟く。そうしたら自然と涙が溢れてきて、僕はそれのまま空を見上げることしかできなかった。

 確信だ。

 自分でもよく分からないけど、確信を得てしまったんだ。この先の人生もどうせロクなことなんてなくて、僕はゴミ屑のように死んでいくんだ。

 ーーそれなら。

 それならいっそ、好きなことを好きなだけしてから死んだらどうだろう?  ふと、そんな発想が頭をよぎった。
 今までは我慢したり諦めてきたことを、死ぬ前に全部やってみるんだ。
 どうせ死ぬなら、後のことなんて考える必要はない。そう思えば怖いことなんてないし、何だって出来るような気がした。
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