キミの箱庭を求めて

詩晴海 こてこ

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第一章

第二王子 3

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「ほれ座って座って、お前さん達も朝食まだだろう」

座ったのと同時に師匠が指をパチンと鳴らしたらフィンガーボウルが飛んで来た

「はい、お供しようと思いまして」

片手ずつ指先を水に浸し一緒に飛んで来たタオルで軽くふく
ステラの方を見たが心配はいらないようでタオルを置いてサンドウィッチに手を伸ばしていた
  
「伊達前はいいって。出掛けようとしたら朝食が用意してあって断れなかった。そんなとこだろう?言葉遣いも家に入っちゃえば気にすることないといつも言ってるだろう?」

「そうだった、気遣いありがとう師匠。朝食の件も全てお見通しだね」

「もちろんだよ、魔導士をなめられちゃ困るよ。ん~んまい」

ツナサンドを片手に悶えたかと思えばすぐに真面目な顔をして話し始めた

「食事中で悪いが、これからの話をさせてくれるか?」

「えぇ、そのつもりで来たからぜひお願いしたい」

「そうだなぁ、まず誕生日おめでとう。お前さんを14年も見てきたからわかるよ、本当に立派になったな」

「ありがとう師匠」

「それから今日、王城で行われるお前さんの誕生日パーティー兼、王位継承者のお披露目会を機にお前さんの命は狙われるようになるだろう」

「えぇ、覚悟は決まってる」

「そこでだ、力を封印しているその三つ編みを解いて力を開放するのはどうだ?」

腰まである長い三つ編みが肩から垂れていたのをちらりと見て返事に戸惑う

「未だに開放した力をコントロールできていないのはわかっている。だが人様より長けた剣技と治癒魔法じゃ次期王の命を守るにはいささか心もとないかと」

「うん…」

無意識に拳に力が入る

「なあに難しい顔してるんだよ。まぁ、考えといてくれ。明日からそう簡単に家へ来れないだろうからわしが王城へ行った時にでも解いてみようぜ」

「うん、わかった。それまで心の準備しておくよ」

「あんまり気張るな、気楽に考えろ。お前さんは若いのに苦労が多いな」

「もうすっかり慣れたよ、兄さんが倒れてから俺への扱いが変わっちまったからな。師匠だけだよ未だに仲良くしてくれるの」

「騎士団長とこの坊ちゃんと嬢ちゃんとはどうなんだ?王城内で暮らしてるんだろう?」

「いつの間に距離が出来てて…気付いたらそのままさ。きっとアドラー団長に何か言われたんだと思う」

リヒトとニーナの顔を思い出して胸がちくりと痛んだ

「そうか、そりゃ寂しいな。一緒に育ったようなもんだからな」

答えずにサンドウィッチ頬張って、数回噛んだ後にオレンジジュースで流し込む

「とりあえず食え、終わったら防御魔法と攻撃魔法のおさらいをしてそれから、それらを交えた戦いの実践だ」

「はい」

ちらりとステラを見るとお腹いっぱいになったかのかこくりこくりと舟をこいでいる
食べ終わったらとりあえず寝かせてやろうと思い、彼女の頬にそっと右手をあて意識をもう少し繋ぎ止めた









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